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2023年6月 9日 (金)

ダム決壊で得をするのは誰か?

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カホフカダム決壊について、いくつかの意見がでています。
大雑把に分けると、可能性の高い順から並べると、①ロシア軍説、②自然崩壊事故説、そして③ウクライナ軍説となるでしょうか。
実は、まだ事故調査がはじまってもいないので、決定的証拠がありません。
したがって状況証拠を積み上げて、蓋然性と消去法でかんがえるしかないわけです。

まず大雑把に、人為的破壊工作か、自然発生的なものかを考えてみます。
自然発生的事故説は地質学者の藤原かずえ氏がツイートしておられます。

「河川幅が3kmある中での堤高30m程度のダムの部分破壊であったため当初の被害は限定されたと推察しますが、見たところ、バットレスで保護されているとはいえ、基本的にアースダムであるため、パイピングによる浸透破壊により洪水吐を除いたダム全体の堤体破壊が予想されます。
浸透破壊が急激に進行したようです。ロック材で補強された日本のロックフィルダムとは異なり、アースダムは力学的に脆弱であるため、ひとたび材料の流出が始まると簡単に崩壊します。すべての有効な貯水が流出するまで待つしか方法はありません」
藤原かずえ(@kazue_fgeewara)さん / Twitter

藤原氏の説明を補足します。
ロックフィルダムとアースダムとの違いは、ダムを積み上げる外壁(遮水壁)がコンクリートであるか、土で作るかの違いです。

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短足おじさんの一言 ラオスのダム崩壊に思う事 (fc2.com)

カホフカダムはアースダムです。

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カホフカ水力発電所 - Wikipedia

カホフカ発電所の貯水量18.18立方キロメートル世界48位ですが、日本最大の奥只見ダムと比較してみましょう。

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奥只見ダム - Wikipedia

カホフカダムは奥只見ダムの約40倍の貯水量を持ちますが、堤高は5分の1です。
しかも奥只見ダムはアースダムよりはるかに堅牢な重力式コンクリートダムです。
カホフカダムはソ連時代の1950年にできたもので、堤は低すぎ、遮水壁はただの土でした。

昨日山形さんがコメントされたように、ウクライナのアースダムは地震がない平原に作られており、表面も浸透を防ぐコンクリーで守られていたので適切な工法だった、という指摘はそのとおりです。
しかし決壊時の動画を見ると、カホフスカダムは満水状態であったことがわかっています。
これは非常に危険な状況で使用されていたことを現しています。
いつ水が堤防を超えて越水してもおかしくはなかった。
いや、すでに一部では越水が始まっていたという説もあります。
越水とは、川の水位が上昇し越水すると、土でできた川裏法尻(のりじり)が崩れて堤が崩壊を始め、やがて堤の川裏側が崩れる現象のことです。

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川の水が溢れる前から危ない 堤防決壊の危険  - ウェザーニュース (weathernews.jp)

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大貫剛🇺🇦🇯🇵З 

この越水があったとするのが、サイエンスライターの大貫剛氏です。
氏は去年11月以降水門管理がされていなかったために、満水状態となり、越水したことが崩壊の原因ではないかと推測しています。
大貫氏のツイートです。

・カホフカダムは、越流を想定した洪水吐を備えていなかった
・昨年11月に一部の水門を開けたが、その後は水門の操作をしていなかった
・崩壊直前には貯水池の水位が水門を大きく超え、激しく越水していた
といったことは、観測的事実として確度が高そうに思う。
大貫剛🇺🇦🇯🇵З УкраїноюTwitter

これらの自然崩壊事故説をとりあげて、これでロシアは無罪確定だとばかりに、手をうって喜ぶ者もいるようです。困った人たちです。
たとえばクラタマ氏がそうです。
この人は9条フェチでしたが、いまやとうとうロシアンラバーになってしまったようです。

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なにが、ハハハだ、ハハハはあんたのほうです。
いいでしょうか、倉田さん、老朽化でダムが壊れたなんてどこで聞きかじったんですか。
大貫氏は老朽化で崩壊したなどとひとことも言っていませんよ。

越水を想定した排水管理をしていなかった管理の問題だと言っているだけです。

しかもこのカホフカダムは、去年からロシア軍の軍事支配下にあり、管理は彼らが行っていました。
ロシアが意図的に越水の危険性を知りながら満水状態に置いたのですから、自然崩壊だろうと人為的破壊工作であろうと、ロシアの責任は免れないのです。

また老朽化崩壊説に至ってはナンセンスです。
山形氏の指摘どおり、ダムはまともに作れば、アースダムだろうとなかろうと、なんの問題もなく100年くらい平気で持ちます。
鴨緑江にある水豊ダムができたのは1944年の大戦中で、カホフカダムの前ですが、いまだ北朝鮮の最大の電力源としてバリバリの現役です。
ですから、このカホフカダムもいくら堤高が低かろうと、アースダムだろうと、管理さえ適切になされていれば崩落事故など起きる道理がないのです。

ただ一点気にかかるのは、このカホフカダムがすでに11月の戦闘でダムの上の橋が損傷を受けておりそれが影響しているかどうかです。
ロシア側は、盛んにウクライナ軍のハイマースがダムを破壊したとプロパガンダしているようです。
しかしフィナンシャルタイムスはその可能性は低いと見ています。

「ロシアの関与の可能性は、来たるウクライナの反撃に対する懸念を指摘していると、タフツ大学フレッチャー法外交大学院の客員研究員であるパベル・ルジンは述べた。
彼は、ダムの建設(圧縮された土で作られたアースフィルダム)は、それが内側から爆破されるだけで、砲撃によってほとんど損傷を受けなかったことを意味したと言った。
「彼らは5月中ずっと、より多くのミサイル攻撃で攻撃を阻止しようと努力した。それはうまくいかなかったので、彼らは発電所を爆破することに決めました」とルジンは言う」
軍事ブリーフィング:ロシアはウクライナのダム決壊から最も利益を得る |フィナンシャル・タイムズ (ft.com) 

満水状態で越水があった上に、なんらかの破壊活動が加わったことが原因と考えるほうが自然ではないでしょうか。
破壊活動に動機があるとかんがえるのは、よりにもよってウクライナが総反攻に移ろうかというこの時期に起きていることです。
ロシア軍にはこのカホフカダムを壊したい動機があります。
下の写真で列柱の上に乗っているのが、ドニエプロ川の両岸を結ぶ橋です。
ドニエプル川の東と西を結ぶ数少ない渡河橋で、戦略的要衝です。

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Гребля і Каховська ГЕС 19 - カホフカ水力発電所 - Wikipedia

ウクライナ軍が、ヘルソン州から上流のザポリージャ州を奪還しようとすると、ぜったいにこの橋を渡らねばならないのがこのカホフカダムの橋なのです。

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ウクライナ国防次官が訴える“領土奪還”の重要性 | 日曜スクープ | BS朝日 (bs-asahi.co.jp)

川というのは攻める方が難しく、守る方が守りやすい地形ですから、ウクライナとしてはこの川を渡るのかどうかというのは一つのポイントになります。
ですから、ウクライナ戦争では橋を巡ってたくさんの戦闘が繰り広げられてきました。
ロシアから見れば、おそらくウクライナの次の反攻はこのカホフカダムの上の橋を渡ってウクライナ軍が来ると想定しています。
この橋を渡られると、ドニプロ市、ザポリージャ市辺りから南下して一気にメリトポリに進撃されてしまいます。
ですからロシアには、このカホフカダムを破壊したい強い動機が存在し、逆に、ウクライナ軍はダム橋を破壊されてしまうと、大変に困るのです。

また洪水によって下流域は水没し、戦車どころか自動車すら交通できない状況です。
これによってISWは、ウクライナ軍がとり得る戦略的選択肢が狭まったと見ています。

iSW(国際戦争研究所)はこう書いています。

「ISWはさらに、対照的に、ロシアは洪水を利用してドニプロ川を広げ、すでに挑戦的な水の特徴全体でウクライナの反撃の試みを複雑にする可能性があると評価した。ロシアの情報筋は、ウクライナが川を渡って東岸ヘルソン州に反撃する準備をしている可能性について、強烈かつ明白な懸念を表明している。ロシアのミルブロガーによる主張によって裏付けられた入手可能な映像は、洪水がドニプロ海岸線近くのウクライナの陣地を洗い流し、ウクライナの部隊を避難させたことを示唆している」
ウクライナ紛争の最新情報 |戦争研究所 (understandingwar.org)

したがって、冒頭の①ロシア軍説、②自然崩壊説、③ウクライナ軍説の問いに答えれば、③は動機が欠落しているため消去すべきで、②と①のあわさったものではないかと思います。
小泉悠氏のツイートです。
この人のヘンなユーモア感覚にはついていけないけど(笑)。

「ウクライナ軍の攻勢が始まったことはおそらく確定だと思うのだが、そうなるとやはりカホウカのダム破壊も偶然ではなかったのだろうか。ロシアとしてはヘルソンを水浸しにして通行不可能地帯を作り、ドニプロ左岸の兵力をザポリージャ正面に集中する、といった戦略であったのかもしれないぬ 」
ИРО法人全裸中年男性理解促進センター(@OKB1917)さん / Twitter

しかし、この洪水は皮肉にもロシア軍も苦しめています。

「しかし、ロシアの立場は長期的にはウクライナの立場よりも深刻な影響を受ける可能性が高いと彼は付け加えた。「水は数日で流れ去り、氾濫しているのは左岸のロシアの陣地である」
軍事ブリーフィング:ロシアはウクライナのダム決壊から最も利益を得る |フィナンシャル・タイムズ (ft.com)

ロシア軍はダムごと橋を破壊しましたが、それによって引き起こされた奔流は皮肉にもロシア軍が守るドニエプロ川左岸により多く氾濫し、こ個に作った守備陣地ごとロシア軍を押し流してしまったようです。
ちなみに、ロシア軍はヘルソン州をロシア領として「併合」したと称していますが、いまだ数千の避難民を救助せずに放置したままです。
ウクライナ側救助隊を銃撃したとも伝えられています。
これが彼らの「併合」の真実の姿です。

 

 

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ヘルソンのダム決壊で地雷が下流に、赤十字が警告 - BBCニュース
ウクライナに平和と独立を

 

 

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コメント

地震が多くてや地すべり地帯や山岳地で堤体が高くなる日本の大型ダムの多くはロックフィルか重力式コンクリートダム、たまにコンクリアーチダムです。
土盛りアースダムで大規模なのだと最近クマで有名になった北海道朱鞠内湖の雨竜ダムですかね。それこそ水深が浅くて広域という場所に戦時急造したものですから。
現地には当時徴用されて亡くなった朝鮮人労働者のデカい慰霊像があって「この恨み忘れまじ!」みたいなことが書いてありました。
工法なんてそれこそ原場の地質や形状で決まるもんなので、アースダムで良ければそれでいいのです。

で、確かに満水状態で道路が既に壊れていたという今回のカホフカダム決壊ですけど、東岸は去年の攻撃で損傷していたとはいえ水門管理をしていたのはロシア軍。適切に放水路に流していたら決壊なんてしません。
壊れ方からして管理不良があったにしても、内部からの大規模爆破だと私は主張します!

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