プーチンの粛清が始まる
プーチンの粛清が始まりました。
未確認ですが、スロビキン将軍が拘束されて査問を受けていると報じられています。
「米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は27日、米政府高官の話として、ウクライナでのロシアの軍事作戦副司令官であるセルゲイ・スロビキン氏が、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏による反乱計画を事前に知っていたと報じた。 同紙によると、この件に関する米情報当局の情報について説明を受けた政府高官らは、スロビキン氏がプリゴジン氏の計画を支援したかどうかを把握しようとしているという。 また、他のロシア軍指揮官らがプリゴジン氏を支援した可能性も示されているという。 ロイターはこの報道を独自に確認できていない。 米国防総省はロイターのコメント要請に応じていない」
(ロイター6月28日)
ロシア軍指揮官、プリゴジン氏の反乱計画を事前に認識=米紙 (fmworld.net)
スロビキン上級大将
またワグネルの会員となっていた軍高官30人が、事前にこの「武装蜂起」を知っていたとの報道もあります。
「プリゴジン氏の露軍人脈について、英拠点の調査研究機関「ドシエセンター」は28日、事前に反乱計画を知っていたとされるウクライナ侵略の露軍副司令官セルゲイ・スロビキン上級大将ら約30人がワグネルの名誉会員になっていたと明らかにした。スロビキン氏は反乱後に拘束されたと報じられており、露当局が今後、他の高官の粛清に乗り出す可能性がある」
(読売6月30日)
モスクワ進軍、プリゴジン氏は直前に決断か…当初の計画には含まれず(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
プリゴジンがあっさりと敗北を呑んだのは、ロシア正規軍との本格的な交戦に入れば勝ち目が無いことが分かっていたといわれていますが、それ以上にガス欠だったからです。
ワグネル先鋒部隊がボロネジの給油施設を破壊前に押さえていれば、そのままモスクワにまで数時間の距離でした。
モスクワに到達すれば、どう状況が展開したか予測がつきません。
南部軍管区は早々に降伏しましたが、これはかねてからワグネルの駐屯地がロストフ州にあったよしみだからで、モスクワ市街地で国家親衛隊と戦闘状況になれば、寝返る部隊が出る可能性がありました。
先日も書きましたが、プリゴジンが明確にクーデターと自らの行動を規定して綿密に計画を策定していれば、このようなガス欠で蜂起途中取りやめなどという醜態をさらさずにすんだはずです。
とはいえ、おそらく決起前後から、プリゴジンは各方面に決起を要請をしていたはずで、そのひとりに盟友のスロビキンがいたと思われます。
この人物が地上軍か、国家親衛隊のボスならば違ったのでしょうが、あいにく空軍でした。
しかも空軍はスロビキンがなにを命じたのかしりませんか、唯一ワグネル軍を攻撃し、大きな損害をうけた部隊です。
ところで、プーチンは片手でショイグのロシア連邦軍を使い、片手でプリゴジンのワグネルを操ってきました。
ちょうど広域暴力団プーチン組に、若頭ショイグ組と舎弟プリゴジン組があるようなもので、ちょうどナチスの国防軍と武装親衛隊のような構図です。
とうぜん、双方はプーチンの寵愛と武器補給を巡って仲がよいはずがありません。
ただし受け持ち分野が違っていました。
ショイグは軍服こそ着ていますが、軍歴はありません。政治家です。
ウクライナ侵攻が緒戦で失敗するまでプーチンの次に人気がある政治家だったほどです。
2014年のクリミア侵攻が成功した時は後継者はこの男をおいていないとすら言われていました。
ショイグは、力の信奉者であるプーチンの力の源泉である「軍」を仕切る国防相を任され、それを情報で支えるGRU(軍参謀本部情報総局)のトップでした。
ショイグが指揮を執ったGRUがやったのが暗殺政治でした。
2018年に英国ソールズベリーで起きた毒殺事件、2020年にシベリアで起きた反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイの毒殺未遂事件、そして多くの亡命オリガルヒを暗殺しまくったのは、この人物の仕業です。
このようにプーチンのダークサイドを仕切っていたのが、ショイグでした。
ウクライナ戦争前まで、もしプーチンが誰かひとり側近を選ぶとすれば、長年の腹心のショイグしかいませんでした。
ウクライナを非武装化し、ロシアを西側の「軍事的脅威」から守る、というプーチンの主張を、そっくりそのままなぞってきたのがこの男だからで、この人物の失敗は実はプーチンの失敗なのです。
プライベートでも見事にタイコ持ちを努めており、プーチンのシベリアへの狩猟や釣りの旅に同行してきました。
ウクライナ戦争がこのような形でハチャハチャになる前には、唯一プーチンが意見を聞く男されていました。
しかしいまや下の写真をご覧下さい。
BBC
この写真は、キーウ攻撃が失敗に終わった開戦3日目に撮影されたものです。
この写真はプーチンがショイグをさらし者にして罰するために撮らせたものなのでしょう。
ショイグ、お前がこれ以上失敗するなら、お前はクビだ、そうプーチンは言ったはずです。
そしてさらに戦局が思わしくなくなると、もう一方の片腕であり、ショングとは別のダークサイドを任せていたプリゴジンの出番となります。それまでワグネルはアフリカやシリアで表に出せないロシアの権益を拡大する役目を担っていました。
彼らは正規軍ではないので、他人に言えないような外国での汚い仕事を任せていました。
仮にバレても、あれは民間軍事会社がしたことで、ロシアは関知しないと言い張れるからです。
「ワグネルは何を言われても、いくらでも否定できる。そうした組織の性質がプーチン氏に気に入られ、プリゴジン氏は自らの権力基盤を構築できるようになった。そしてこの1年間で、ロシア軍や、ロシアを支配する安全保障分野のエリートたちに匹敵する存在になった」
(BBC6月26日)
ワグネル、プリゴジン氏、プーチン氏、ショイグ氏……激しい対抗意識がロシア政府への反乱招く - BBCニュース
シリアやマリにおける大規模な市民虐殺は、このワグネルがしたものです。
ウクライナで非道行為を重ねるロシア民間軍事会社、北朝鮮から兵器を入手か 正規ロシア軍をも従わせる「ワグネルグループ」とは(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)
「民間軍事会社」と称していますが、もちろん100%ロシア政府がそのカネを出して育成した「影の軍隊」です。
「ロシアのプーチン大統領は27日、露大統領府で開いた露軍兵士との会合で、反乱を起こした民間軍事会社「ワグネル」を国防省などの予算で全面的に支援していたと明らかにした。また、ワグネル創設者のプリゴジン氏が手がける食品販売・飲食店運営会社「コンコルド」にも、露軍との取引で約800億ルーブル(約1350億円)を支払ったと述べた。ロシア当局は、プリゴジン氏の周辺で資金を巡る不正が無かったかを調査する方針」
(毎日6月26日)
プーチン大統領、ワグネルを「国家予算で全面的支援」認める(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
ロシア正規軍を信用できなくなったプーチンは、ウクライナ戦線でワグネルを前面に出します。いままでワグネルはアフリカ、中東以外ルハンシクなどの親露派の支援をしていました。
ワグネルを辞めた元兵士はこう証言します。
「「初めてルハンシクに派遣された時は、私も、現地にはナチスやファシストがいると信じ込んでいました。しかし現地で見たのは、親ロシア派勢力がまるでロシア革命での赤軍兵士のように、権力を奪取しコントロールしていた。実質、軍事クーデターのようでした。
私たち(ワグネルの兵士)は、契約書にサインし、『自分たちは存在しない』ということを受け入れました。お金さえ払ってくれればそれでよかったのです。
しかし、しばらく時間が経ってから、私は自国の人材をそのように扱ってはならないと感じるようになりました。その後、2018年の終わり頃には、これは異常な状況であり、社会にはびこっている非常に重い病気、ロシア社会の病気の結果、こうなっているのだと考えるに至りました」
(NHK2022年9月28日)
ワグネルは当初元特殊部隊出身者を雇っていましたが、やがて膨張するにしたがいそれでは間に合わなくなって囚人や精神疾患の患者を「徴兵」する権限を与えられました。
最盛時には5万(5個師団規模)の強力な軍隊になり、バフムト戦線では助っ人ではなく主力を任されていました。
その名は「ワグネル」 ロシアの傭兵集団”とは?元メンバーが語る - クローズアップ現代 - NHK
彼らは損害を省みることなく突撃を命じられ、文字通り鉄砲玉としてすり潰されました。
このバフムトだけで2万人近く戦死したと言われています。
このプリゴジンがウクライナ侵攻司令官として押し込んだのが、「ハルマゲドン将軍」ことゼルゲイ・スロビキンでした。
プリコジンは、シリア内戦で市民虐殺をしていた時に、空軍現地司令官のスロビキンと緊密なつながりを持ったようです。
プーチンは去年10月18日にクリミア大橋がウクライナの攻撃で破壊されると、プリゴジンの推薦を得たスロビキンを最高司令官に任命しました。
セルゲイ・スロビキン将軍
ダム破壊計画もその一環、露軍、ヘルソン州ドニプロ川右岸から「撤退」準備へ ロシアの「ハルマゲドン将軍」
スロベキン将軍は別名「ハルマゲドン将軍」と呼ばれ、2017年にシリアでロシア軍を指揮している間、アレッポへの無差別爆撃を指揮した人物です。
「ここは地獄」、変わり果てたアレッポの街 シリア内戦(1/3) - CNN.co.jp
「(スロベキンは)1990年代のタジキスタンやチェチェンでの紛争、そして最近では2015年にロシアがアサド政権側に付いて介入したシリア内戦に参加した。空爆作戦の経験がないにも関わらず、ロシア航空宇宙軍の司令官として、シリア北部アレッポの大部分を消滅させた空爆を指揮した。
英イーストアングリア大学のウォルドロン教授は、ロシアはシリア内戦に介入し、無制限の空爆と民間人への攻撃を繰り広げたと指摘する。ロシア軍の攻撃の責任者だったスロヴィキン氏は、「必要などんな手段も使う用意があるのは明らか」だったという。
米ワシントンを拠点とするシンクタンク「中東研究所」のシリア・プログラム責任者、チャールズ・リスター氏は、スロヴィキン氏は「敵に対して絶対的に容赦ない態度」をとり、戦闘員と民間人を同一視していると話す。
スロヴィキン氏の指揮のもと、ロシア部隊は神経ガス「サリン」の使用隠ぺいに関与したと、リスター氏は言う。 シリア北西部ハーン・シェイフンで80人以上が死亡した化学攻撃が起きる数分前に、シリアの航空機にサリンが積み込まれるのをロシア部隊が目撃していたのだという」
(BBC2022年10月13日)
あだなは「アルマゲドン将軍」 ウクライナ侵攻の新総司令官、スロヴィキン将軍とはどんな人物か - BBCニュース
プーチンからスロビキンが命じられたことは、全力を上げてウクライナの電力網、ダム、通信、水道、下水処理場、火力発電所を徹底的に破壊し尽くすことでした。
電力網は、開戦以来すでにロシアの主要な攻撃目標でしたが、さらにスロビキンに与えられたのは、発電所を稼働させ続けるためにに必要な燃料供給プラント、送電網、そして市民を冷蔵庫と闇に投げ込む街の集中暖房施設でした。
スロビキンは高価な精密誘導兵器を使って、病院や住宅、電力インフラを攻撃し続けたのです。
そしてこの人物もまた、プリゴジンの乱に連座して粛清されるようです。
ショイグは無能、プリゴジンは反乱、スロビキンはそれに内通、さてさてプーチンは誰を信じてよいものやら。
こうしてプーチンの周囲に「そして誰もいなくなった」、となる日は近いようです。
ウクライナに平和と独立を
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ここに来て相性の良かったトランプにまで「彼は弱くなった。馬鹿げた戦争をしたものだ」なんて笑われる始末。
一応ショイグとゲラシモフという高官は残っていますが、側近に現場を知る人間は誰もいなくなったのでは?
また、ワグネルはアフリカや中南米で独自に鉱山利権を持ってプーチンに上納していたので···そのカネの流れがどうなるのやら。
核兵器はまあまだちゃんとした軍人の管理下にありますが、
今一番心配なのはザポリージャ原発です。
一部報道によると職員も退避し始めたと。
投稿: 山形 | 2023年7月 1日 (土) 06時07分
こうして人事経過を辿ってみると、プーチン自身が初動の失敗以降、すでにテンパッていた事が分かります。
スロビキンが短期で総司令官を解任された理由がイマイチ分かりませんが、もともとプーチンは軍の内部対立を統治に利用して来たのであって、ここらでプリと関係がない非主流派まで一掃し尽くしたいようです。
ただ、そうした改革となると、非常な時間も労力も甚大です。
面白いのは中共の動きです。
習近平はさっそく人民解放軍の粛清に着手してますね。
理由は分かりませんが、ロケット司令官をクビにするなどしているようです。同病相哀れむというか。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年7月 1日 (土) 23時38分