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2023年6月16日 (金)

やせ細ったロシア極東軍事力

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G7やウクライナ反攻の陰に隠れて、あまり目立たないのですが、中国とロシアが組んで日本近辺を荒し回っています。
まずは航空機のほうから。

「防衛省によると、中国のH6爆撃機2機とロシアのTU95爆撃機2機が6日、日本海から東シナ海を飛行した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応し、領空侵犯はなかった」
(ロイター2023年6月7日)
日本周辺での中ロ爆撃機による共同飛行、重大な懸念=官房長官 | ロイター (reuters.com)

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中国H6爆撃機

また日本近海での中露共同演習も継続すると言っています。
下の写真は去年のものですが、今年もやりたいですと。

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日経

「中国国防省の譚克非報道官は30日の記者会見で、ロシアとの海空上の共同訓練の定期化に意欲を示した。「軍事的な相互の信頼をさらに深め、共同で国際的な公平と正義を守る」と述べた。
21日の習近平(シー・ジンピン)国家主席とプーチン大統領の会談を「両国関係発展の新しいビジョンの青写真を描いた」と評価した。「中国軍はロシア軍と戦略的な意思疎通と協力を強め、定期的に海と空の共同巡航、共同訓練を実施したい」と語った」
(日経2023年3月30日)
中国国防省、ロシアと海空共同訓練の定期化に意欲 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 

中露は東シナ海で、2022年12月21日から27日まで合同軍事演習をやったことがあり、今年も定期化するとみられています。
では、ロシアの極東艦隊はどんな状況なのでしょうか。

「ロシア国防省は5日、太平洋艦隊(司令部ウラジオストク)が日本海とオホーツク海で同日に演習を開始したと発表した。期間は20日まで。艦艇60隻以上、航空機約35機、兵員1万1000人以上が参加するという。
太平洋艦隊は、所属の海軍歩兵旅団が2月にウクライナ侵攻で大損害を被ったと伝えられ、4月中旬に「緊急点検」名目で2万5000人以上が参加する演習を行ったばかり。責任論が浮上していたアバキャンツ前司令官は「定年」を理由に退任しており、4月下旬に後任に就いたリイナ司令官の下で初の大規模な演習となる。」
(nippon com2023年6月5日) 
ロシア太平洋艦隊が演習開始=日本海などに60隻超 | nippon.com

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nippon com

4月半ばには、ロシア軍はオホーツク海を舞台として大演習を行っています。
ロシア国防相によれば、演習には兵員2万5000人、艦船167隻(うち潜水艦12隻)、航空機89機などが動員されたというから、ウクライナ戦争の真っ最中にどこにこんなカネがあるんだと世界を呆れさせました。

見た目はスゴイ規模のようにみえますが、巡洋艦クラスは1隻のうえに老朽化が激しく、近代化が進んでいるのはコルベット艦や通常動力の潜水艦だけで、主力となるべき駆逐艦や巡洋艦の近代化は遅れています。
ちなみにこのお宝のスラヴァ級巡洋艦ヴァリャーク(上写真)は、去年、黒海でウクライナに撃沈された「モスクワ」と同型艦です。

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巡洋艦「モスクワ」、沈没直前とされる画像が浮上 黒煙上げ傾く - BBCニュース

改めてロシア極東艦隊の内実をおさえておきましょう。
巡洋艦は1隻だけで、あとは駆逐艦が5隻、さらに小さいコルベットが6隻、ミサイル艇が11隻です。
コルベット級はフリゲート級より小さい沿岸警備艇であり、ミサイル艇に至ってはハナクソです。
この陣容で日本の自衛艦隊と米第7艦隊に対決しようとすることなど純粋な自殺行為だということは、自分でもわかっているはずです。
戦闘艦はこんな陣容です。

・第36水上艦艇師団スラヴァ級ミサイル巡洋艦ヴァリャークソヴレメンヌイ級駆逐艦:ブールヌイ、ブィーストルイ
・第44対潜艦旅団クウダロイ級駆逐艦:アドミラル・ヴィノグラードフ、アドミラル・パンテレーエフ、アドミラル・トリブツ、マルシャル・シャーポシニコフ
・第11水域警備艦大隊:グリシャ型コルベット:MPK-17ウスチ・イリムスク、MPK-64メーティエリィ、MPK-221、MPK-222コリェエツ
・第38独立水域警備艦大隊:グリシャ型コルベット:MPK191ホルムスク、MPK-214ソヴェツカヤ・ガヴァニ
太平洋艦隊 (ロシア海軍) - Wikipedia

特にロシア軍が力を注いでいるのが戦略原潜です。
今年秋から戦略原潜が2隻配備されます。

「ロシアがアジア太平洋をにらんで核弾頭の配備を急いでいる。弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)2隻を新たに極東に展開し、対立する国々に核戦争が勃発した際の「壊滅的な報復措置」を示唆する。東西冷戦が終結し、ソ連崩壊から30年を経た今、ロシアは再び核抑止論へと走りだした」
(東京2022年1月12日)
核抑止論へ走りだしたロシア…太平洋にらみ核弾頭配備 最新型原子力潜水艦を異例公開、見学ルポ:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp) 

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フォーサイト

「太平洋艦隊には、戦略核抑止という重要な役割が存在している。その担い手となるのがカムチャッカ半島を母港とする弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)で、米国から先制核攻撃(第一撃)を受けた場合の報復攻撃(第二撃)を確実に行うことを任務とする。ロシア海軍を構成する4つの艦隊と1つの独立小艦隊のうち、SSBNを運用しているのは太平洋艦隊と北方艦隊だけ、と言えばその重要性が理解できるだろう」
(小泉悠2023年5月19日)
強化される「オホーツクの要塞」――極東ロシア軍の実像と日本の安全保障:小泉悠 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

こんな核ミサイルをぶっ放なせるようなモノ騒がせな戦略原潜は、ウククライナ戦争にはお呼びではありません。
米国との核抑止のバランスを取るには必要ですが、核を封じられたウクライナ戦争には、カネだけ食う無用の長物でしかありません。
というか、極東艦隊全体がいかにポンコツ艦隊であっても、旗艦を沈められた黒海艦隊を助けに行かねばならないはずですが、NATOが管理するボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過できないので、あってもなくてもどーでもいい余剰兵力となってしまっています。

演習では、北方領土にわが国が攻撃を仕掛けた場合の反撃もシミュレーションされたようですが、おいおい、うちの国には戦力投射能力がないから北方領土の実力奪還なんかできんがな。
しかしロシア極東艦隊の揚陸艦の厚みは海自など及びもつきません。
海自は、仮に北方領土奪還を命じられても、兵員を揚陸する能力が欠落しています。
民間船をチャーターしようにも、危険すぎて断られることでしょう。

それに較べて、ロシアは極東艦隊に過剰なほど揚陸艦を配備しています。
実に、大小合わせて8隻です。

第100揚陸艦旅団 ロプーチャII型戦車揚陸艦ペレスヴェート、ロプーチャI型戦車揚陸艦:アドミラル・ネヴェルスキー、オスリャービャ
タピール級揚陸艦:ニコライ・ヴィルコフ、デュゴン型汎用揚陸艇:イヴァン・カルツォフ、セルナ型汎用揚陸艇:DKA107、オンダトラ型機動揚陸艇:DKA57、DKA70

この陣容を見ると、ロシア軍はかつてのソ連時代にはかなり真剣に北海道に侵攻するオプションを検討したことがうかがえます。
そしてソ連崩壊後は、違法に占拠している北方領土を、「日本軍」が取り返しに来ることを恐れているようてす。

しかしあいにく、いまや大規模な揚陸艦隊に乗せるべきロシアの極東の陸上戦力は壊滅状態です。
基幹となるはずの第155海軍歩兵旅団や北方領土に駐屯する陸軍第18機関銃砲兵師団は、地獄のウクライナ戦線送りにされてしまいました。
もはや極東のロシア陸上戦力はカラッポ、備蓄した砲弾や戦車なども、一緒にウクライナに送られたようです。
ちなみにこの精鋭の第115海軍歩兵旅団は、ウクライナであえなく全滅してしています。

「(ウクライナ国防省は)「第155旅団は3回人員を補充しなければならなかった。最初が(首都キーウ近郊の)イルピンとブチャの後、ドネツク近郊で敗北したときが2度目。そして今回、ブフレダール周辺で旅団のほぼ全体が破壊された」と話した」
(朝日2023年2月13日)
ロシア軍、精鋭の旅団5千人を東部での戦闘で失った可能性 米サイト [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

この第115海軍歩兵旅団全滅の報を聞いた時、年配の自衛官は、「あいつが北海道に来襲する先鋒だったはずなのに」と感慨に耽ったそうです。
ついでに「モスクワ」級ともガチンコ勝負を覚悟していたので、コイツが撃沈された時もショックだったそうな。
とまれ、冷戦期に作り上げた世界最強の軍隊の遺産がどんどんとすり潰されていったのが、このウクライナ戦争だったことは確かでしょう。
つまりロシア軍の極東勢力は、海軍はあっても小型艦と補助艦ばかりで役に立たず、陸軍と海軍歩兵はウクライナ方面に抽出されて全滅、残るは威風堂々の戦略原潜艦隊ばかりなのです。

では、こんな大演習をする理由はなんなのでしょうか。
一言で言えば、ウクライナ支援を続ける日本に対しての恫喝と、中国に対する「見栄」です。

「太平洋艦隊は、太平洋地域におけるロシアのパワー・プロジェクション(戦力投射)能力に必要な戦闘力が不足しているようだ。そうであれば、日本にとっての真の脅威となるような姿勢を見せたり、対等な軍事大国であることを中国に確信させたりすることは難しい」と、ISWは主張している」
(ニューズウィーク2023年4月17日)
北方領土で演習のロシア太平洋艦隊は日本を脅かせるほど強くない──米ISW(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース

ロシアは、ウクライナ戦争を経て、極東で一大勢力を張れるほどの能力を急速に失いつつあります。
なにかしようにも、中国の「大海軍」に共同作戦を組んでもらうしかありません。
しかし極東を失うことは、同時にロシア戦略原潜艦隊の存立に関わることですから、中国にすがってでも日米に対抗したいようです。
そのためには、中国と対等の勢力であることを誇示せねばならないために、このような無意味な軍事演習を繰り返して、中国との共同演習に臨もうというのです。

北朝鮮がまた弾道ミサイルを撃ち、日本のEEZ内に落下しました。

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北朝鮮が少なくとも2発の弾道ミサイル発射 EEZ内に落下か…岸田総理「北朝鮮に厳重抗議」 “衛星”とは別か(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース

「北朝鮮が、少なくとも2発の弾道ミサイルを発射しました。日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したとみられます。
防衛省によりますと、15日の午後7時台に北朝鮮の西岸付近から、少なくとも2発の弾道ミサイルが発射されました。
ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性があり、それぞれ石川県の北北西およそ250キロの日本のEEZ内に落下したと推定されるということです」
(TBS 6月15日)

まさにやりたい放題ですが、それは周辺国の中露がベタベタに正恩坊やを甘やかし、核兵器や弾道ミサイル技術を漏洩してきたからです。
今度も常任理事国の中露はさらなる制裁に反対するでしょう。

なんせ議長国がロシアですから。

 

 

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反転攻勢で「きわめて激しい戦闘」=ウクライナ国防次官 - BBCニュース
ウクライナに平和と独立を

 

 

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コメント

ポンポン撃って来て全く迷惑な。

サッカー日本代表のつまんねえ試合とNHKのトリセツショーをちょいちょいチャンネル変えながら見てたら速報字幕。NHKの方が5分くらい速かった。
酒田のイカ漁船団が今週向かった辺りじゃん!幸い無事なようですが。
鳥取のカニ籠漁漁船が着弾音を聞いたそうで、本当にシャレにならん状況になってますね。

 こう見て来ると、冷戦期のマインドとスタンスを保ち続けているのは西側ではなくて、もっぱらロシア側である事が良く分かります。
その暗い劣情とハッタリ精神を中共に見透かされ、利用され、あげくにロシアの大事な部分を中華に献上する羽目になるんでしょう。
その時プーチンは真正の売国奴とみなされ、大ロシア史の終章にその名を刻まれる事になるんではないかな。

敗戦後、どんなに立ち上がれないほど疲弊したロシアが相手であっても、日本が武力を持って北方領土を取り返しに行く、なんて事は金輪際ありません。NATOも同じで、ロシア領土を侵そうなんて夢にも考えてはいない。なんとロシアは歪な勘違い思考なのか?と言いたいところですが、そうではないですよね。
ロシアはロシアの中で政権の力を維持発展させるため、敵がなければ無理やり作り出してまでも狂気に走らなければならず、また、そうでなければ独裁統治は成り立ちません。

ここまで窮しているんですね、ロシアが軍隊を元通りにするには10年かかるとか。
その前に極東ロシアは中国になっちまうような。

 カホウカダム決壊の犯人がロシアだと言う状況証拠が挙がってるにも拘らず、未だに「ウクライナの自作自演だ」と強弁するロシアンラバーがいますが、リンク先はこのブログを八つ当たり的にディスってますな。
 一体何の義理があってここまでロシアを擁護するんでしょうね。

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