• S011_20240620013801
  • 20240620-013638
  • 20240620-030619
  • S-039
  • 20240619-023207
  • S2-014_20240616150501
  • 20240616-145751
  • 20240617-003403
  • S-027_20240618020301
  • 20240618-021950

« 北朝鮮、弾道ミサイル実験をしくじる | トップページ | 北朝鮮、ロシアに大砲の弾出して、小麦をもらう »

2023年6月 2日 (金)

愚者が招いた北朝鮮の水害と干ばつ

S2-011

私にはひとつの国家を見る時に、定点とでもいうものがあります。
実にシンプルなもんで、要は「国民に飯を食わせることができているかどうか」に尽きます。 
飯を国民に食わせられないような国は、国としての存在理由がありません。
そんなもんは、ただの監獄、ないしは兵営です。

人間が「国家」という装置を作った目的は、煎じ詰めれば「民を外敵から守り、民に飯を食わせる」ことです。
オレは国家だ、などえらそうな顔をしていても、食わせてナンボなのであって、「民に飯を食わせるために」国防があり、治安があり、法律や税などの諸制度があるのであって、「民に食わせられない」ような国家など国民を閉じ込めておくただの収容所でしかありません。

この意味において、北朝鮮は核兵器を持とうが持つまいが、言葉の正しい意味で「破綻国家」、あるいは「失敗国家」そのものです。 
いくら核兵器を持ち、大量の兵士と戦車があろうと、「民を食わせられない」ような国家には自暴自棄の戦争すら起こす力はありません。  
そのようなものは軍服を着た餓死予備軍であり、戦車などさっさと鉄クズにしてトラクターにするか、鋤鍬に変えたほうがいい。

この国の経済の崩壊のきっかけは1991年のソ連崩壊でした。 
初代金日成は、中ソを手玉に取るようにして、旧社会主義圏全体からまんべんなく支援を受けることで存続してきましたが、ソ連圏崩壊のマグマの奔流に巻き込まれるようにして、一気に国内生産を瓦解させていきます。
ソ連の衛星国はことごとくタナボタ独立してしまい、キューバは化学肥料・農薬の極端な不足から有機農業に道を求めました。
北朝鮮もその影響をまともに食らいます。

食料生産が崩壊に向かったのが、このソ連崩壊の1991年以降です。下の表をご覧ください。 

Photo

※UNDP(国連開発計画)による『朝鮮民主主義人民共和国の農業復興・環境保護に関する円卓会議(Thematic Roundtable Meeting)-農業の基本的発展』(1998年5月)と、FAO (国連食糧農業機構)およびWFP(国連世界食糧計画)による『朝鮮民主主義人民共和国の作物収穫と食糧供給に関する特別報告書』による。

20230602-054043

  北朝鮮における食糧事情の推移とその要因 022187 渡部 慎 (utsunomiya-u.ac.jp)

ソ連崩壊前まで800万トンを超えた生産高が、もっとも落ちた96年には200万トンと4分の1にまで下落していまい、現在は300~400万トンていどで推移していると思われますが、なにぶん統計数字がいい加減です。
食糧生産が下落した直接的原因は、ソ連など社会主義圏から供給されてきた石油・化学肥料・農薬などが断たれたからですが、それ以上に国民にとって災厄だったのは、2代目の金日成の常軌を逸した軍事路線への傾斜でした。
国の富のすべてが「先軍政治」の名の下に、軍事部門に傾斜投入された結果、農業や水利事業は見捨てられました。

米国はGDP(国内総生産)の4%が軍事費、ロシアも4%、中国は1.7%(他の項目に入れてゴマかしていますが)ですが、北朝鮮はなんとGDPの25%が軍事費です。
この世界最貧国が、平時で国庫の25%を軍事費に入れ続ければ治水や灌漑などの農業部門に予算がいくわけはないのです。

20230602-025246

North Korea - The Craziest Country in the World
http://www.onlineschools.org/blog/the-craziest-country-in-the-world/

さらに北朝鮮は5000トンの生物兵器と化学兵器を所有、核兵器もロシアの1万2000個、アメリカの9400個と比べると少ないのですが、10個持っていると言われています。   

Photo_3

デイリーNK

上の写真はたまたま撮られた北朝鮮の耕作風景ですが、この写真が100年以上前に撮られたといわれても納得してしまうでしょう。 
今なお牛を使っているのはともかくとして、骨が浮きだしてガリガリ、電柱らしきものはただの木の枝です。 
土壌は乾燥しきり、地味は詳しい分析をするまでもなく貧困なことがうかがえます。 
そしてなんといっても土壌が渇ききっていることから、極端な水害の多さと干ばつが、くり返し襲っていることが分かります。 

事実、水害は毎年のように北朝鮮を襲っています。

Sty1609140014f1

AFP

Ke

AFP  出典UNOCHM

上図は、北朝鮮北東部の洪水被害について示したUNOCHM(国連人道問題調整事務所)が作ったものですが、赤い部分が水害の影響が深刻な地域です。
この原因は、北が言うような異常気象にあるのではなく、この国には農業生産の根幹であるまともな水利・治水システムがないことによって起きています。
痩せ牛が渇ききった土を耕す風景のメダルの裏側にあるのがこの水害なのです。
こんな見捨てられた土に種を撒いても、絶望的な収量しか得られないでしょう。 

わが国においては、治水と灌漑は一体のもとして進められて来ました。

20230601-104236

『流域治水』は地域力の結集で取り組む|積算資料アーカイブ|建設資材ポータルサイト けんせつPlaza (kensetsu-plaza.com)

たとえば、旧民主党政権が「コンクリートから人へ」などと言って、目の仇にしたダムは治水と灌漑の要です。

「ダムは、河川上流の山間部につくられる人工の湖で、周囲の山からの湧き水(河川の源流)や雨水が集められています。
ダムに雨水を溜め込むことで下流の流量を抑制します(治水)。そのほか水力発電や灌漑などにも用いられます(利水)。
大雨時、ダムの貯水率が100%に近くなると、水を抜くため大規模な放流が行なわれ、下流の河川が急激に水位上昇するため注意が必要ですが、それまでは下流の流量抑制のためふんばってくれます」
治水システム | つもりTech (tsumori-tech.com) 

ダムは可動堰や遊水池と組み合わさって、流域の農地を潤し、また水害から人と農地守っています。
堤防は最後の砦です。

これらの水利事業に投資しないで、ミサイルと核開発にばかり奔走したのが金王朝です。
そして3代目の正恩もまた異常気象に悩まされ続けています。

北朝鮮の国土は、今年もまたお約束のように春に深刻な少雨に、夏には猛暑や大雨と異常高温とその後の異常低温に悩まされ、農業は壊滅的なダメージを受けました。

「平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内でも山間地にあたる价川(ケチョン)、陽徳(ヤンドク)、北倉(プクチャン)を中心に、異常気象による果樹栽培の被害が深刻だ。
中でも北倉が最も深刻で、价川でもほぼすべての農場の果樹作業班が被害を受けたとの報告がある。
3月の異常高温で開花時期が例年に比べて早まったのに、4月には異常低温が到来した。韓国気象庁の気象資料開放ポータルによると、陽徳では4月初旬には最高気温が25度に達したが、その後には最高気温が10度、最低気温は氷点下まで下がった」
(デイリーNK2023年5月23日
北朝鮮農業にまた暗雲…気温の乱高下で果樹の落花相次ぐ|ニフティニュース (nifty.com)

果樹は貴重な輸出品なので、またまた経済に打撃を与えるはずです。
そして目の前に迫る梅雨ではまたお定まりの水害が発生することでしょう。

「まもなく到来する梅雨では極端な大雨が降ることが予想されている。東シナ海の海水温が高く、それが黄海に流れ込むことで低気圧が発生し続ける「線状降水帯」ができ、韓国のソウル首都圏、北朝鮮の黄海道(ファンヘド)、平安道(ピョンアンド)に何日も続く集中豪雨を降らせる。
防災インフラの整っている韓国でも大きな被害が発生するが、それが不足している北朝鮮では、さらなる被害が予想される。ゼロコロナ政策による深刻な食糧不足が未だに解決できていない状況だが、もし今年も異常気象が続けば、北朝鮮の人々は、さらに飢えに耐え忍ぶことになる」
(デイリーNK前掲)

そして今の5月は、前年の収穫の蓄えが底をつく「ポリッコゲ」(春窮期)です。
目前の中央委員会総会の議題は農業だそうです。

正恩はなにを話すのやら。あんたが「指導」すればするほどおかしくなるのですがね。
そもそもこんな状況で、国民の数カ月分の食料を買えるミサイルを、夏祭の花火大会よろしく打ち上げているのが正恩なのです。

 

« 北朝鮮、弾道ミサイル実験をしくじる | トップページ | 北朝鮮、ロシアに大砲の弾出して、小麦をもらう »

コメント

金日成が亡くなって正日が後を継いだ2,3年後くらいに北朝鮮に行ったことがあります。確かその時も冷害だかで食糧危機が叫ばれていて、7人のツアーだったんですが、何人かはかの地の食糧事情に関心があったようで、毎食ごとの写真をとったりしていました。

板門店への移動中、休憩場所の周辺のコメ畑を見たんですが、あまりの貧相さに驚きました。

かなりの密植で、そのせいもあるのかもですが株立ちが極端に悪い
一株の収量が容易に想像できました。

今日の記事で、こういうこともあったんだな、と納得がいきました。

国とは国民を食わせられるか。
全くその通りで、戦国武将みたいなもんですね。経済自立できないのに民草から搾り上げるだけなら亡国の道です。
ソ連崩壊した時点で急速発展した南と融和なり東西ドイツのように合併するなりしていれば全く違う状況だったでしょうが(ドイツと違い今でもですが朝鮮戦争はただの休戦中なので無理)。
ボロボロの中で核開発チラ付かせてKEDOなんて一時的に条件だまくらかしてクリントンから勝ち取って援助受けたけど、土留めや土作りといった圃場整備もせずに荒れ果ててドン底になった96年にはノドン発射ですからね。そして正日に代替わりしたら日本人拉致を認めて何人かは帰ってきましたけど。

軍事費のGDP比25%って90年代のデータですね。当時から世界でも突出してましたけど、あれから月日も経って今は統計の取りようも無いでしょうけどもっと酷いことになってるかと。そしてその軍でさえマトモに食えないというね。。まさにディストピア!

書き忘れました。
第二次大戦中に大日本帝国の一部だった北朝鮮への「帰還事業」を、戦後に主導していたのが社会党という大野党でした。
彼らの謳い文句は「北朝鮮はユートピア」でしたね。
当時の議員さんなんか皆鬼籍に入ってるでしょうけど、それを引き継いだ連中は帰還した彼ら彼女らにどう責任を負うんでしょうか?
土井たか子が率いた80年代末までは衆議院で130もあったんですけど、みんな逃げ出すタイミングで起きたのが93年の小沢一郎政変でした。
日本新党とか新生党とかもうシッチャカメッチャカになって、自社さなんておかしくていびつな事になり。。
選挙区制度も変わって、15年前には「民主党」という左派の有象無象の学級会議政権が出来ました。もうあんなのだけはごめんですよ。先鋭化して旧社会党の色を今でも色濃く残してるのが分裂後の立民。

岸田親族の失態を嗤う蓮舫や旧山尾志桜里とかね。どんだけブーメラン刺さっても平気な図太さにむしろ感服です!!

で、本流の社民党は···まだあるのか?

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 北朝鮮、弾道ミサイル実験をしくじる | トップページ | 北朝鮮、ロシアに大砲の弾出して、小麦をもらう »