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2023年7月17日 (月)

福島県漁連が海洋放出に反対なわけ

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福島県漁連と全漁連が、処理水の海洋放出に反対しているのはご承知のとおりです。

「西村康稔経済産業相は14日、東京都内の全国漁業協同組合連合会(全漁連)で坂本雅信会長と面談した。東京電力福島第1原発から出た処理水の海洋放出計画について、国際原子力機関(IAEA)が国際的な安全基準に合致しているとの包括報告書を先にまとめたことを説明し、放出に理解を求めた。坂本氏は面談後、「(放出に)反対であることは現時点では変わらない」と述べた。
面談は、冒頭を除き非公開で行われた。IAEAが4日に報告書を公表したのに続き、原子力規制委員会は7日、放出設備の使用前検査に合格したことを示す「終了証」を東電に交付。設備や安全規制の面で放出準備が整ったことを受け、西村氏が全漁連を訪ねた」
(時事2023年07月14日)
全漁連会長「反対変わらず」=東電福島原発処理水の海洋放出|ニフティニュース (nifty.com)

KOBAさんからこんなご意見をいただいています。コメントありがとうございます。

「ここまで懇切丁寧に説明がなされてるのに地元の漁協は未だ放出に反対の姿勢を崩してません。IAEAの科学的根拠よりマスゴミや放射脳パヨクの言い草を信じるその思考回路が理解できません」

 KOBAさんは、漁連に、「IAEAに対する見解を漁協にはコメントして欲しいモノ」ともおっしゃっています。
漁連はIAEAについての公式見解をしないか、してもぼやかしたことしか言わないと思います。
なぜでしょうか。

最大の理由は福島第1事故による風評被害が、余りに巨大だったことが根にあります。
事故当初の2011年、今と違ってALPSで処理されていない高濃度の汚染水が海洋に漏洩しました。
これは現在の、タンク群に貯まった処理水ではなく、事故の結果漏洩してしまった文字通りの汚染水でした。
当時のセシウム(Cs)の分布状況をみてみましょう。
2011当時の原発周辺水域の3000Bq(ベクレル)の赤色が数年で減少に転じ、2015年は濃度が高い所でさえ100Bq以下にまで下がっているのがわかります。
放射性物質は海洋に拡散し、一部は海底の泥に吸着したのです。

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Geo. Soc. Jpn., 55(4): 159-175 (2021) (jst.go.jp)

2011年には、県が行ったモニタリング検査でも、基準値100Bq/㎏を超えた魚は39・9%に登り、政府の出荷制限を受け、県内水域の操業は1年あまり停止せざるをえませんでした。
2012年6月から試験操業を始め、リスクの低い海域や魚から徐々に試験操業の対象を広げてき、今では操業自粛の原発10キロ圏を除き、出荷自主制限中のクロダイなど7品種以外の海水魚をとることができるようになりました。
制限されている理由は、検体数が少なかったこと、かつて高い数値を出したホットスポットだったことによります。
2019年の海産魚介類モニタリングでは、不検出が99%に達しています。

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日刊水産経済新聞

「福島県沿岸の海産魚介類に対しては、東日本大震災から8年経過した今も、県の公的検査(モニタリング)と漁協による自主検査(スクリーニング)の両建てで放射性物質の測定を行い、慎重に安全性を確保しながら試験的な操業を続けている。このうち毎週150検体ずつ実績を上積みして計5万7000検体の検査を行ってきた県のモニタリングは2018年、検体数に占める不検出の割合が初めて99%台に到達した」
(日刊水産経済新聞 2019年3月11日)
日刊水産経済新聞 |THE SUISAN-KEIZAI DAILY NEWS (suikei.co.jp)

直近の2023年7月13日のモニタリング結果です。

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水産物(R5年6月27日-7月9日採取分)

このようにモニタリングでは安全が確認されているにもかかわらず、水揚げ高は低迷し続けています。
しかし流通を慎重に広げてきたこともあり、漁獲高は事故前の2割未満にとどまっています。
考えていただきたい、収入がいきなり8割奪われたのです。

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遠い、福島県の漁業復興 : 水揚げ震災前の2割以下 | nippon.com

「福島県海面漁業漁獲高統計によると、震災前の2010年に3万8600トンだった水揚げは、2011年に激減。その後、漁港などハード面の復興が進んでも水揚げ量は足踏みが続き、2018年は約5900トンと震災前の約15%の水準にとどまっている。金額ベースでも、2010年の109億5900万円に対して、18年は7億9600万円と7.3%水準だ」
(NIPPON.com 
遠い、福島県の漁業復興 : 水揚げ震災前の2割以下 | nippon.com

理由ははっきりしています。風評被害です。
反原発原理教と化した「市民団体」と、メディアが流した「汚染水」報道が煽ったためです。

それに対して福島漁連は地道なモニタリングを続け、県魚連の漁獲再生計画では2024年に6割にまで回復させたいとしています。
コメの全袋検査といい、風評がどれだけ生産者に打撃を与えたことか。

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 毎日新聞 (mainichi.jp)

「東京電力福島第1原発事故の影響で海域や漁獲を制限して試験操業を続ける福島県漁業協同組合連合会(県漁連)が本格操業に向け、水揚げ量の目標を掲げた復興計画を初めて策定した。まずは主力の相馬地区の沖合底引き網漁を対象に、原発事故前(2010年)の23%にとどまる1隻当たりの水揚げ量を24年に61%に回復させる。県漁連の野崎哲会長は「計画は福島の漁業再生への切り札。底引き網漁が先行して目標を達成し、他の漁法にも広げたい」と話している」
(毎日2019年9月11日)
東日本大震災8年半 福島県漁連 相馬水揚げ、6割回復目標 流通再生、人材育成 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

とうぜんのことながら、このような水揚げでは漁業者の生活は賠償で維持されている部分が大きくなりました。
たとえば、福島県漁連は2011年 3月、4月の2カ月間の損失補填だけで14億円を東電に請求しています。
単純計算で年間84億に達します。

相馬双葉漁業協同組合(福島県相馬市)の組合長 はこう言っています。

「「廃炉は早く進めてほしいし、処理水のタンクの設置に限界があるのもわかる。悩ましいが、漁業者の生活を守るためにも基本的には海洋放出に反対だ」
(毎日前掲)

漁業者は処理水タンクに限界があること、それをクリアしないと廃炉作業が行き詰まること、そして海洋放出しか手段がないことは百も承知しています。
漁業者はそんじょそこらの「放射脳」の学者などより遥かに海洋の放射能汚染の実態に熟知しており、状況を正確に把握しています。

にもかかわらずこのような口ごもった言い方になるのは、今回の海洋放出でまたもや風評が起きる可能性があるからです。
私は国内では風評はミニマムに抑えられると考えていますし、また抑えねばなりません。
抑えられねば、科学が風説に敗北することになります。
その意味でも、韓国と歩調を合わせて風評を煽っている立憲、れいわ新撰組、社民党などは強く批判されねばなりません。
もっとも彼らの影響力はいまやミニマムだとかんがえられますし、メディアもやっと「汚染水」と呼ぶことを止めたようです。
しかし残念ながら、中韓香港は日本の海産物の主な輸出先ですが、激減することは避けられないでしょう。

このような可能性が残る以上、福島漁連が建前として反対を続けるのはあたりまえであって、それはIAEAの報告書ウンヌンとは別次元です。
前述したように漁連は放射能について熟知していますから、中韓の反対とまったく次元が違います。
彼らは単に反日カードとして利用しているにすぎませんし、一部野党やメディアは政権を叩きたいだけのスケベ心で騒いでいるのとはまったく違います。

漁連は現時点で妥協したくともできないのです。
今、妥協したことは海洋放出を「承認」したと同義だと捉えられます。
いったん承認してしまえば、この後に風評被害が起きた場合、あるべき利得を失ったことによる損害補填を要求する根拠が希薄になりかねません。
仮に風評被害が起きた場合、このような結果を分かっていたから、あんたらはあの時承認したのだろうというロジックが成立しかねないのです。
そんなことはない、われわれはかつての大きな風評被害から、今回もまた風評が起き得ることを予見していたと言わねばなりません。
そのためにはここで安易に賛成にまわれないのです。

私は東日本大震災時に農業生産団体の代表をしていました。
その後に来た放射能の風評被害には徹底的に苦しめられました。
その時に受けた「東日本の農業や漁業は滅びればいい。止めることが復興だ」という差別に満ちた言葉をいまでもしっかり覚えています。
3年ぶりで思い出した2011年夏のリンチの血の味: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
私が原子力を呪いつつ脱原発派と一線を画した理由: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
「被災地瓦礫」の拒否運動は、「脱原発運動」に分断を持ち込みます: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

こんなことを叫んでいたのは、放出反対を言い続けているれいわ新撰組の山本太郎や社民党などの反原発運動のひとたちです。
このひとたちについては、いくら時間が経過しようと、水に流す気はありません。
現在もいまだなんの反省の色もなく、10年一日のように同じ馬鹿げたことを言っている彼らを見ると吐き気がします。
この人らが海洋放出反対などと言っているのは、風評を煽る反社会的行為以外なにものでもありません。
ですから、今、私が福島漁連の立場だとしたとしても、いささかでも風評被害の可能性が残り続ける限り海洋放出反対と言い続けるかもしれません。

一方、国のほうもその辺の漁連の心理はよくわかっていますから、最後の最後まで説得しましたがご理解いただけないので涙を飲んで放出いたしました、という形を作るためにギリギリまで説得活動をし続けるでしょう。
だから中韓には筋論で応じますが、漁連には筋論では通用しないので、もっとリアルな補償の話をしているはずです。
このへんは阿吽の呼吸としかいいようがありません。

 

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コメント

 この組合長は立派な人だと思っています。
漁協は斯業をつうじて組合員や、その生活の糧を守るべき使命があります。そのために原発事故による補償を受け取らざるをえなかったし、しかし今度はその補償が切れれば廃業するしかない漁業者も少なくない。放出に内心理解はしても、賛成を表明する事は出来切らないのは仕方ありません。
沖縄の米軍基地問題と似ていなくはないですが、違うのは組合がどこまで行っても国や行政側と対立の構図を作らない事です。
「悩ましいが~」云々の下りはそうした苦衷を現わしていて、組合の将来まで見据えた長としての義務感ゆえ。

一方、日本政府のやり方は遅々として進まずワジワジさせられましたが、振り返ってみれば穏当で成熟した民主主義国らしい、日本的な細やかさが光る対応でした。
ついに韓国政府を納得させ、EUも解禁させるまでにこぎつけました。
台湾でも緩和され、次の選挙次第で完全撤廃となるでしょう。

組合は若い漁業者の育成に力を注いでいて、今後とも国や県などと共に協調して組合や漁業を守ろうとする姿勢でいます。
ですので組合を批判するのは筋違いだし、やがて海洋放出反対のプロパガンダ総元締めである中国の姿が丸裸になる時も近いです。

実質禁漁が続いたせいで、今めっちゃ常磐物の魚介類がいいらしいですね。
でも回遊魚のカツオなんかも小名浜に水揚げすると安く買い叩かれるので、銚子や気仙沼等に。同じ沖合いで取ってるのにです。
風評とはそういう物です。
カレイやメバルのような底魚なんか最高です。
去年あたりから、昔は真冬に相馬まで買いに行ってた「松川浦産養殖生青のり」がこちらのスーパーでも出回る程度に復活して、今年も随分と食べました!

護ってあげる人、護ってあげない人、それは己が決める、というのがマスコミ。
しかしながら、例えば7月15日東京新聞のこの記事は、
https://www.tokyo-np.co.jp/article/263261
存外にまともな解説をしておいて最後に、韓国・中共のそれぞれ各1箇所の原発の1年間の放出量(ベクレル)と、日本の全原発の事故前3年平均放出量(ベクレル)、これらの数値を並べて見せています。
これを何の疑問もなくやっているならやっぱり、この人やこの社の人たちが受けてきた教育の敗北、態とやっているなら、このレベルのことしか寄る辺ない抵抗。
これは誰を護っていることになるんですの?己の砦すら壊している。
最近Twitterにできた新機能「コミュニティ・ノート」は、間違いや不適切さのある元ツイートを閲覧する誰もが、素早く集合知によって加えられた「背景情報」まで含めて知ることができるようにしました。情報の質管理でマスコミは、また水を開けられたわけです。
それでもマスコミは、何処がどう間違っていたか、不適切であったかを指摘されても、見る人誰にでもわかるように訂正することが無く、誤情報や単なる感想を存分に利用し利用させる。そこが最も厄介です。
無謬の信心や悪意だけは折れることのないおバカたちが砦の中から放つ破壊力を、漁業農業の方々は身に染みて理解しておられるでしょう。
そんなおバカは数も力も減らすばかりの流れですが、ただ待っていては間に合わない。今現在を踏ん張り切れなければ、将来も描けない。
何に負ける道理は無く、何に負けるわけにはいかない闘いなのかを見失っていない限り、理解されていい闘い方のひとつだろうと考えます。

 漁協組合長の心中を知るにつけ、若干彼らに対する考えが変わりました。頭では理解できても今までの経緯から海洋放出に素直に賛成を表明できないのですね。彼らをそのようなジレンマに追い込んでいるのは言うまでもなくパヨク放射脳&マスゴミだと言う事を改めて感じました。建前上の反対と、放流の妥当性を理解すると言う二つの立場で葛藤する漁協に味方面して言い寄る放射脳パヨクの下衆っぷりには吐き気がします。仰る通り奴らはデマを飛ばしているのがばれても全く反省も謝罪もなく、今度は「日本政府がIAEAを買収している」と新手のデマを飛ばす始末。自国や他者の不幸を実現させることを生き甲斐にしているとしか思えません。
 まさに「汚物は消毒だ~!」です。

KOBAさん、「若干見方が変わった」ですか。
そんで、パヨクが悪いから誤魔化して「汚物は消毒だー!」とな。
そんなことで逃げ切れると思っているんでしょうかね?自分の散々な暴言を見直してみなさいな。
あなたは完全にマスゴミとやらと同様の加害者側だということを理解しておられないようですが。
これまでのあなたの発言はセカンドレイプやサードレイプという地元の農業者や漁業者への侮辱はかりです!

「若干見方が変わった」とはどういうことなんですかね?あくまでも漁協をだまくらかすマスゴミが悪い?というようにしか受け取れませんけど、自分は悪くない!パヨクマスコミのせいだと!?
「汚物は消毒だー!」なんて言うのなら、自力で日本の左翼マスコミや新華社通信みたいなデタラメな連中をあなたが自力で黙らせて下さい。福島や隣県の農業者や漁業者は突然降り掛かった全くの被害者なのですよ。
異論や反論は受け付けません。無視しますね。私はバーチャルではなく現実世界の人間ですから。。

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