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2023年7月25日 (火)

プーチン、主戦派を粛清

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プーチンが今度は極右を拘束し始めました。
バリバリの主戦派であるイーゴリ・ガルキンを逮捕したのです。

「ロシアの複数のメディアは21日、政権を批判してきた強硬派のイーゴリ・ギルキン氏が首都モスクワで拘束されたと伝えました。国営のロシア通信によりますと、ギルキン氏はインターネット上で過激な活動を呼びかけた疑いがもたれ、最長で5年の禁錮刑を科される可能性があるということです。
ギルキン氏は9年前、ウクライナ東部で親ロシア派の武装勢力の軍事部門を率いていました。そして2014年7月、オランダ発のマレーシア航空機が撃墜され乗客乗員298人が死亡した事件に関与したとして去年、オランダの裁判所から終身刑の判決を言い渡されています。
ギルキン氏は、ロシアによる軍事侵攻を支持する一方で、進め方が効果的でないとしてプーチン政権やロシア国防省などを批判してきました」
(NHK7月22日)
プーチン政権批判の強硬派ギルキン氏拘束 “最長で禁錮5年も” | NHK | プーチン大統領

この男もプルゴジンと一緒の裏街道男です。
元KGB将校にして、ウクライナ人でもないのに「ドネツク人民共和国」の国防相。
そして「国防相」時代には、ドネツクの上を通りかかったマレーシア航空MH17便を撃墜したのもこの男。
いまはオランダの裁判所から終身刑を言い渡されて、ヨーロッパに行くと即刑務所行きとなるお尋ね者。

このマレーシア航空17便撃墜事件とは、2014年7月17日に、マレーシア航空機がウクライナの東部ドネツク上空を飛行中に撃墜された事件です。
乗客283人と乗組員15人の全員が死亡しましたが、この犯人はすぐに堂々と「戦果」として名乗り出ています。
それがこのイーゴリ・ギルキンです。

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ロシアでギルキン氏拘束 ウクライナ情報機関がコメント (ukrinform.jp)

ギルキンは、落としたのは民間航空機ではなく、ウクライナ軍のAn-26だと主張したようですが、すぐに残骸から民間航空機だと判明しました。
彼らが撃墜された残骸から乗客の貴金属を略奪したこともわかっています。
バレるやいなや、ギルキンは、いやオレはまったく関与していないからと主張を翻しました。
なんと腐敗した遺体を自動操縦で飛ばして落とした西側のインボーなんだそうです(笑)。

「航空機には腐敗した遺体が予め載せられ、自動操縦で飛行していた。そのため生きている人々は航空機に乗っていなかった」
Putin's Media Lives in an Alternate Reality | Opinion”. The Moscow Times. 2014年8月1日

臆面もない陰謀論ですが、これがロシア政府の国営放送から流れた公式見解なのですから二度ビックリです。
犠牲者の多くがオランダ人であることから、オランダ司法当局と国際調査チームが発足し、2019年6月19日、オランダ検察庁は航空機の撃墜に関連してギルキンらロシア人工作員ら4人を殺人罪としてし終身刑を宣告しました。
もちろん殊勝に出頭するようなタマではないので、被告人なし裁判ですが。
この者たちは、ウクライナ東部の工作に当たっていたロシア情報機関ばかりでした。
マレーシア航空17便撃墜事件 - Wikipedia

ギルキンらは、ロシアの暗部をもっともよく知る男で、プリゴジンがロシアのアフリカ・中東政策の暗部を熟知しているのに対して、この男はクリミアと東部ドネツクの工作を知り尽くしています。
ただしプリゴジンは、経済活動に片足を置いた傭兵業者でしたが、ギルキンは同じ裏街道ながらもロシア軍連邦軍参謀本部情報総局(GRU)大佐でした。
退役した後は、FSBともつながって、ウクライナ各地で破壊・宣撫工作をしていました。

ギルキンは2014年の東部ドネツク州の併合工作の主要な責任者のひとりで、ロシアの傀儡国家の「ドネツク人民共和国」の自称「国防相」でした。

「2014年4月26日・27日の週末、分離主義者でドネツク人民共和国(DPR)の政治指導者アレクサンドル・ボロダイ(モスクワ出身のロシア人、ギルキンの長年の友人)は[28] 、ドネツク全域の全ての分離主義勢力戦闘員の統制権をギルキンに譲渡した。(略)
ドネツク人民共和国の全ての軍隊、治安部隊、警察、税関、国境警備隊、検察官およびその他の準軍組織の最高指揮官である」
イーゴリ・ギルキン - Wikipedia

このド人共和国は、建前ではウクライナのネオナチからの防衛のためのロシア語系住民の分離独立運動でしたが、もちろん嘘八百で、実体はロシアから資金、武器、人員まで丸ごと面倒を見てもらう傀儡運動でした。
そしてドネツクにロシアから送られてきたのがこのギルキンでした。
ギルキンがやったことは、ドネツク州内部で親露派を指揮し、併合反対派を沈黙させることでした。

ギルキン自身もインタビューでこう述べています。

「ロシアのメディアが描いたクリミアのロシアとの併合に関する圧倒的な国民の支持は作り話であり、実際は代議士に対してロシアと併合するために投票するよう強制しなければならなかったと語った。ギルキンの指揮下で、投票させるために反乱軍は代議士を会議所に集めている。法執行機関、統治機構および軍隊の大多数は「ロシアの自衛」を支持していなかった。それでも併合に投票されたのはクリミア内にロシア正規軍が存在したからであり、ロシア正規軍が全てを機能させた」
I. Strelkov vs N. Starikov debate”. Neuromir TV  2015年1月22日

つまり2014年前後の時期からロシア正規軍がクリミアや東部に浸透しており、ロシア情報機関がその指揮をとっていたわけです。
その責任者の地位にいたのがこのイーゴリ・ギルキンでした。

ギルキンはウクライナ戦争が敗色濃厚になるや、テレグラムにプーチン批判を繰り返すようになりました。
これは昨年から執拗に続けられていました。

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CNN  イーゴリ・ギルキン

「(CNN) ウクライナ東部ドネツク州の一部を実効支配する自称「ドネツク人民共和国(DPR)」の親ロ派、イゴール・ガーキン氏はSNSのテレグラムで、ロシア軍司令部の「プロ意識の低さ」を痛烈に批判した。
ガーキン氏はウクライナ軍が同州東部リマンのロシア軍を実質的に包囲したことに触れ、「我が軍の士気に大きな打撃となる一方、ウクライナ軍にとっては大きな士気向上につながる」可能性があると指摘した。ガーキン氏は2014年の紛争時にDPRの「国防相」だった人物で、現在は親ロ派の宣伝要員や軍事アナリストを務める。
ガーキン氏は、ウクライナ軍の兵力はロシアや親ロ派の部隊の3~4倍に上ると指摘。火力や航空戦力ではロシアが優勢だが、樹木に覆われた険しい地形では役に立たないとの認識を示した。
さらに「なぜ『回廊』の維持や撤退支援に必要な部隊を投入して、前もってリマンからの撤退を確保しなかったのか、私には答えが見当たらない」と指摘。もしロシア軍がリマンから撤退できなければ、「比較的小さな戦術的敗北」にとどまらず、ウクライナ軍の「大きな士気向上」につながりかねないと述べた」
(CNN2022年10月1日)
ウクライナ軍、東部リマンを包囲 親ロ派がロシア軍司令部を批判 - CNN.co.jp

結局、ハルキウ州に続いてこのリマンも陥落しました。
4州併合を宣言してすぐのことです。

また「プリゴジンの乱」翌日の6月25日には、プリゴジンを批判しつつこう言っています。

「ウクライナ戦争の戦い方に関して、プーチンをたびたび批判している元ロシア軍司令官のイーゴリ・ギルキンは「クーデターの試みが進行している」と述べている。
「今回の騒動がフェイクでなければ(その可能性は排除できない)、軍事クーデターが始まったと言える」と、ギルキンはテレグラムの投稿で見解を示した。
「国防省とワグネルの対立は、もはやコントロール不能ということになる。大統領が直ちに介入しなくてはならない。大統領がまだ権力を掌握していればの話だが......」(ニューズウィーク6月26日)
「プリゴジンの乱」収束...元ロシア軍司令官イーゴリ・ギルキンの見解は(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース

そして返す刀でプーチンに対してこう言っていました。

「もしプーチンが戦争即応体制の創出にリーダーシップを発揮する用意がないのであれば、そうした厳しい仕事を遂行できる誰かに適法な形で権力を譲る必要がある」

さらに7月18日には、プーチン大統領を「取るにに足らない人物、ごろつき、卑劣な凡庸(臆病な凡才)」と呼び捨てています。
ギルキンはいつまで「特殊軍事作戦」なんて生ぬるいことを言っているんだ、戦時国家体制を作り出し、総力戦で戦わねば勝てんゾと言いたいようです。

ギルキンは、ウクライナでの4州併合までの裏工作を取り仕切った人物です。
いまはSNSでガナっているだけに見えますが、ロシア国内の極右グループのリーダーのひとりと目されてきました。
プーチンに余裕があれば、元々は自分の手先だったのですから、あるていど野放しさせてガス抜きを計ったことでしょう。
しかしそんな大人の対応は、今のプーチンには出来ないようです。
プリゴジンやギルキンの批判を許さないほど、今のロシアは追い詰められているともいえるのかもしれません。
ただ「プリゴジンの乱」が市民の大歓迎を受けたように、ギルキンが法廷で言いたい放題をしゃべれば 彼への人気が逆に高まることが容易に予想されます。

プーチンにとって前門のNATO、後門のギルキンということのようです。
ISW(国際戦争研究所)は、クレムリン内の抗争だろうと見ているようです。

「元ロシア将校で熱心な超国家主義者のイゴール・ガーキン(ストレルコフ)の逮捕は、おそらくガーキンが務めていたロシア連邦保安局(FSB)に損害を与えるために、クレムリン派閥間の勢力均衡の変化の公の現れである可能性があります
戦争研究所 (understandingwar.org)

いずれにしても、プリゴジンの乱以降続くクレムリン内部のバランスをめぐる闘争を、求心力を急速に失いつつあるプーチンがうまく乗り切れるか見物です。

 

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コメント

プリゴジンはワグネルという一応独立組織だったけど、これだけ軍の強硬派·主戦派まで粛清したら···マジでクーデターあるんじゃないか?と。
安い石油を買いまくってたインドも距離を取り出したし、中国も一応支援はしてるけどどうせ打算。ロシア経済は実質中華圏になります。

それにしても暑い。ステアリング触れないほど。昼間の車外温度計40℃で市街地ノロノロ運転ではエアコンが効かないわ、明らかに注意散漫なお婆さんの軽ワゴンが横道から出て来るわ、ハザード等の合図も無く急に止まるわ。危なかったー!

全国の皆さんもお気をつけて。。

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