• 20241212-235901
  • 20241211-032939
  • 20241211-154712
  • 20241211-160322
  • 20241210-023508
  • 20241210-023758
  • 20241210-031101
  • 20241208-145048
  • 20241208-151315
  • 20241208-154842

« 夏休みをいただいております | トップページ | 被災民は叫んだ、「これは天災ではない!」 »

2023年8月10日 (木)

北京水没

S3-002_20230810005301

台風6号は沖縄圏を中心に大きな被害をだしましたが、そのひとつ前の台風5号は中国大陸に上陸し、北京が水没するような大災害になりました。
台風5号は、先島の西を抜けて台湾に上陸した後、福建から大陸内部へと進路をとりました。

20230809-145949

台風5号は非常に強い勢力へ 先島諸島は荒天の恐れ 本州付近は再び酷暑 2週間天気(気象予報士 吉田 友海 2023年07月23日) - 日本気象協会 tenki.jp

福建省では記録的な被害を引き起こし、泉州で体育館の屋根が吹き飛び、数十階の高層アパートが暴風によって倒壊しました。
動画では自動車や街路樹が洪水に押し流され、橋などを破壊している様子が見られます。

16ef139a54bdc6e02a4a42edd5c3e7b8_1690797

北京で今年一番の大雨 2人死亡 台風上陸の福建省では145万人超被災|au Webポータル国際ニュース (auone.jp)

厦門、泉州、福州を破壊し、浙江、江蘇、上海にも甚大な被害を出しながら移動し、ここでいったんは亜熱帯低気圧になったと言われたものの勢力は衰えることなく河北、首都北京を襲いました。

「被害は1日までに、北京市だけで4.4万人が被災し、12万人以上が避難。災害救急隊員2人の殉職を含めて11人が死亡し、27人が行方不明だ。台風5号は福建省ですでに被災者266万人以上、直接経済損失147.5億元以上の大被害を出している。中国全土で被災者は300万人を超える。この大災害は、人災の側面もあり、習近平の治水事業の失敗ではないか、という声も上がっている」
(福島香織8月4日)
中国・北京の大洪水は「人災」、治水失敗の皇帝・習近平は天から見放された? 600年以上水没被害のない故宮・紫禁城も冠水(1/5) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

この程度の犠牲者ではきかないでしょう。たぶんケタがふたつ違うはずです。

では台風5号の内陸に入ってからの進路を見てみましょう。北京直撃コースです。

20230809-090847

台風5号、気象庁の予想進路と米軍の見方 日本への影響は…2023年7月26日18時時点 | 社会 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE (fukuishimbun.co.jp)

ちなみに比較してみると、中国大陸を襲った台風5号の最低気圧は1002hPa、沖縄、奄美を襲った6号は985hPaでやや5号が強いものの、最大風速は5号が18m/Sに対して6号は最大風速が30m/Sです。
北京市は先月29日から1日午前6時までの平均降雨量が257.9ミリを記録したと発表しました。
門頭溝区は470.2ミリ、房山区は414.6ミリを記録し、河北省臨城県は先月29日午前8時から31日8時までの48時間に1メートルに迫る994.6ミリの降雨量を記録しました。
5号は雨台風、6号は風台風だといえるでしょう。
ただしこの規模の台風はたびたび日本を襲っており、首都が水没するようなものではありません。

北京市西部の山間地域の門頭溝区は集中豪雨により永定河の水位が急上し氾濫、川沿いの道路は濁流と化して、沿道の店舗が完全に水没しました。
特に永定河大橋が濁流で破壊された様子がSNSで拡散しています。

20230809-154303

北京大雨続く、永定河橋が崩壊、沢山の乗用車が洪水で流される、中には人がいる□□□ - ニコニコ動画 (nicovideo.jp)

「門頭溝豊沙線安家荘駅付近では冠水で、列車が立ち往生していた。列車内は、夏休みで新疆ウルムチ旅行からの帰路にある家族連れが多く、高温と飲料水不足で具合が悪くなる乗客も多く出た。門頭溝は水道、電気、ガス、通信の供給が停止され、公共交通もすべて停止。陸の孤島となったのだった。
門頭溝に近い房山区も洪水で、1万人以上が暮らす社区(コミュニティー)が深さ1.5mの水につかった。永定河大橋から、河面が急上昇して家を押し流す様子が目撃された」
(福島前掲)

北京市周辺の都市や重慶は「スポンジ都市構想」の掛け声で治水対策モデル地域のはずでしたが、永定河の氾濫は50年以上ぶりです。
最新の排水設備が設計されているという触れ込みでした。
しかし北京の玄関口北京大興空港の停機場の大部分が冠水し巨大な湖のようになっています。

20230809-155055

北京洪水│啟用僅4年大興機場變澤國 網民:兩天下了一年的雨南方也扛不住 | 星島日報 (singtaousa.com)

またこともあろうに、中華帝国のシンボルである紫禁城も冠水してしまいました。

20230809-092840

新華社

北京は内陸で、北部と西部に高い山があり、台風や海からの降水はここで止まると言われてきましたが、首都に向かう濁流をまったく止めることができませんでした。
むしろ濁流を集めてしまったようです。

人民日報は習近平が対策に奔走し、陣頭指揮を執ったように書いています。

「5日付けの人民日報とCCTV、新華社は「風雨同心、人民至上」の長編記事を発表。
習近平が北京の洪水防止と災害救援で指揮をとったことを賞賛した。記事によれば、習近平は7月25日から27日まで四川を視察している最中すでに、洪水情報にしっかり注目しており、全面的に各部門が主体的責任をおって洪水防止災害救援の準備任務をしっかりするよう、要請したという。また副首相の張国清を門頭溝区の災害指導のために派遣する措置をとった、という」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.850 2023年8月9日)

しかし、北京に隣接する河北省タク州市はダムの容量が基準を超えた時に、北京への奔流を回避するために無警告で水門を開放し、市は丸ごと水没してしまいました。
いわば都市を丸ごとひとつ人身御供したようなものです。
こんなまねは権威主義国家でしかできません。

20230810-013932

テレ朝  タク州市

「この地区にある企業の社長によりますと、1日午後に放水の通知があり、1時間後には水位が1メートル以上に達したといいます。
タク州市の会社社長:「政府の(避難)通知は遅かった。ダム放水と知らされず、何メートルも水位が上がった」
タク州市では一時、13万人以上が避難し、現在も広範囲で停電や断水が続いています」
(テレ麻8月9日)
「放水だと知らされず…」北京を守るため水没した街 (tv-asahi.co.jp) 

20230810-013948

  テレ朝 タク州

いまタク州市共産党の蔡書記長は、災害直後にもかかわらず失踪中です。
どうやらこの蔡書記長は、習近平へのゴマスリのために自身が水門の開放を要請したようです。
この蔡?華書記は、共産党指導部の蔡奇政治局常務委員の甥っこだと言う理由で異例の出世をした男です。
アッパレな出世欲ですが、無警告で洪水を受けた市民はたまったものではありません。

「タク州市の蔡?華書記は、今のところ雲隠れ中。噂では、雄安新区を守るために、タク州に水を流す泄洪の要求を(自身の出世のために)したのは蔡?華書記自身らしいです。実はタク州の泄洪が決定されたのは、上級政府の保定市党委員会ですら知らず、蔡奇政治局常務委員が2時間で批准したのだとか。じつは蔡?華は蔡奇の甥っこで、もっかスピード出世中だとか。つまり自分が施政を執り行う地域の人々の命と財産を、自分の出世のために差し出した、ということです。
蔡奇は習近平の三大酷吏(三大悪代官)と呼ばれる冷酷な人間らしいですが、その甥っ子も!」
(福島前掲)

タク州市政府も、批判にさらされるのを嫌がってか、民間ボランティア救援隊の受け入れを、理由をつけて拒否しています。
その一方で、救援フェークニュースを流して、全力で救援しているかのように見せているように見せかけていますが、じっさいには被災者は放置されているようです。

ところで、習近平は防災を何もしなかったわけではありません。

「2012年に北京で発生した洪水で79人が死亡した後、習近平国家主席は「海綿城市(スポンジ都市)」の建設を提唱。これを踏まえ、中国はこの数年で洪水対策に多額の資金を投じてきた。
スポンジ都市とは、屋上緑化や透水性舗装、地下貯水槽などスポンジのような機能を使って雨を吸収した後、河川や貯水池へと徐々に放出するという発想だ。北京や重慶など数十に上る都市がスポンジ化を図る方針を示してきた。
だが、中国北部では先月29日以降、豪雨で死者数が増えており、世界的な気温上昇で降水量も増える中、スポンジ戦略が目的を果たしているのか警鐘が鳴らされている」
(ブルームバーク2023年8月3日)
中国の「スポンジ都市」も吸収しきれず-異常な豪雨で洪水被害 - Bloomberg 

ブルームバークは遠回しに「スポンジ戦略が目的を果たしているのか」と問うていますが、もちろんまったく機能していないことは明らかです。北京や福建、重慶に東京にあるような外郭放水路のひとつでもあれば、こんなことにはならなかったはずですが、空母や戦略原潜を作るのに忙しく、治水にはカネを配分していなかったようです。
現実にやったことといえば、水没予定都市を設定することだけだったようです。

「中国河北省では7月下旬からの豪雨により、100万人近くが避難を余儀なくされた。あふれかえった河川の水を多くの住民が暮らしている幾つかの「保水地区」に誘導せざるを得なくなったからだが、首都北京を守るためのこうした措置の犠牲になって家を失った人々がインターネットで怒りの声を上げている。
豪雨で氾濫したのは海河。流域面積は河北省の大部分と北京市、天津市など、ポーランドに匹敵する広大さがあり、特に河北省では洪水被害が大きい。
中国の法律では、大規模洪水で貯水ダムの容量オーバーとなった場合、一時的に指定された低地の保水地区に水を放流することが定められている。
こうした中で7月31日に河北省は13の保水地区のうち7カ所に水を放流。対象にはタク州市や、習近平国家主席が打ち出した国家プロジェクトの一環として設置された雄安新区なども含まれた」
(ロイター8月7日)
中国河北省で100万人近く避難、北京守るため「保水地区」へ放流 | Reuters

都市防災が近隣都市を水没させることだけだったというお粗末。
それでも首都は水没を免れなかったのですから、これはもはや習近平の引き起こした人災です。

 

 

« 夏休みをいただいております | トップページ | 被災民は叫んだ、「これは天災ではない!」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 夏休みをいただいております | トップページ | 被災民は叫んだ、「これは天災ではない!」 »