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2023年8月11日 (金)

被災民は叫んだ、「これは天災ではない!」

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水は引くでしょう。水害で瓦礫と化した街もまた元のようになるでしょう。
ただ「元に戻る」のが、その都市の支配者の登場に合わせてだったら、たまりません。
全体はまだ瓦礫の山、救助を求める人がいるときに、その男だけは、自分の道の前をだけを掃き清めさすのです。
その街は、首都の外堀となって沈められた涿州(タク)市です。

「水が引いたとは言え、まだ洪水被害の生々しい河北省涿州市内。しかし「その場所」だけは、街の路上に散乱していたゴミや泥もきれいに片付けられていた。用意された「その場所」へ、河北省の省委員会書記(河北省のトップ)である倪岳峰氏とその一行が8月3日、ようやく視察に訪れた。
倪岳峰(げい がくほう)氏は安徽省出身の58歳。現職に就任したのが2022年4月であるため、河北に赴任して1年4カ月である」
((エポックタイムス8月10日)
「今まで何してた?」 ようやく現れた省書記に、市民が怒りをぶつける=中国 河北 | 河北省 | 涿州 | 洪水 | 大紀元 エポックタイムズ (epochtimes.jp)

倪(げい)の現職は中国共産党河北省委員会書記、つまり河北省の支配者です。
ご承知のようにこの国は屋上にもうひとつ家を置いたような構造になっています。
たとえば、最近まで外相という重要ポストに秦剛がいましたが、座ってまもなく理由も明らかにされないまま今は牢獄の住人だと伝えられています。
代わって外相をやっているのが王毅。
この男は元外相だから代役をしたのではなく、外交トップは共産党政治局常務委員の外交担当が握っているからです。
ま、本家が出ただけのこと。
すべからく共産党が実権を握っており、小は企業から地方自治体、そして政府に至るまで二重構造になっています。

今回のタク市の水害事件も同じです。
市長などという「小物」はどうでもよく、市の共産党書記か、省の共産党書記がほんとうの責任者です。
市の共産党ボスの蔡?華書記が行方不明なために、しかたがなくその上の省トップ倪閣下がお出ましになったようです。

この倪がお出ましにならればならないほど、タク市の状況は緊迫していました。
「北京を守る」という大義名分のため、タク市が事前通告なしにダムの放流にあって街ごと沈められたからです。

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エポックタイムス

上の写真は8月5日、河北省涿州市で洪水が引いた後の町を歩く市民の姿ですが、街は概観をとどめないまでに破壊され尽くしました。

「河北省涿州市は当局による事前通告なしのダム放水により、住民が避難する間もなく市のほぼ全域が水没した。
市中心ではようやく水は引いたが、依然として浸水している地域もある。壊滅的な被害を引き起こしたのは、自然災害ではなく、共産党政府による「人災」であるとして、抗議の声が上がっている」
(エポックタイムス8月9日)
「これは天災ではない。人災だ!」政府前で抗議する被災民を、警察が鎮圧=中国 河北 | 横断幕 | 洪水 | ダム放水 | 大紀元 エポックタイムズ (epochtimes.jp)

しかも、この事態に抗議するズブ濡れの被災民は市庁舎に向かったのですが、待っていたのは武装警察です。
同じような抗議行動は、河北省保定市定興県の政府庁舎前でも起き、5日には同じ河北省廊坊市覇州市の政府前でも、被災民による抗議活動が行われていました。

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エポックタイムス

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エポックタイムス

まず日本ではありえないでしょうな。
被災者が救援を求めに行った先で、治安警察にメッタ叩きされるなど考えられもしません。
ではなぜ被災者は弾圧されたのでしょうか。

その理由は、被災民が「これは天災ではない!」と叫んだからです。

「河北省廊坊市覇州の政府前で5日行われた抗議活動。掲げられた横断幕には「私たちの家を返せ。(洪水は)ダム放水が引き起こしたことは明らかなのに、降雨のせいにしている」書かれている。(中国のSNSより
「4つのダムによる同時放水のせいで、私たちは家を失った。これは天災ではない! 当局は放水するためにダムを爆破したんだ。私たちは、ただ政府から納得できる説明が聞きたいだけだ。しかし、定興県政府は帰る家を失った難民(被災民)を武力で鎮圧した。この動画を拡散してほしい」
(エポックタイムス前掲)

これらの被災者が発信したSNSは今は完全に削除されています。
残っているのは、「被災民の生活や医療をふくめ、どんな要求でも政府は責任を取る。損失は補償する」と自信満々に約束する現地政府の高官の映像だけだそうです。
共産党は、こんな災害時だけくらいは自由な発信を許してもよさそうなものですが、しない。
彼らにとってメディアは党のスピーカーであり、国民の声が繁栄されるものではないからです。
ただし、削除までのレスポンスがあって世界に流出してしまうのが救いです。

その被災者のSNS上の貴重な動画を見ると、

「8月5日時点でも、定興県では多くの村が「泥の海」のままだった。水が流れて、引いているようには見えない。このまま天日で乾燥するの待つとすれば、いったい何カ月かかるのか。家を失った住民にとって、それは生活再建の目途さえ立たない絶望の光景でしかない。
甚大な洪水被害を受けた河北省涿州市の一部地域では、水が徐々に引いている。
街中には「苦労して、やっと手に入れた」という支援物資を運ぶ市民の姿が多くみられた。いっぽう、市民が街中で撮影した動画のなかには、路上に転がる災害犠牲者の遺体や家畜の死体の山があった。
被災地では、折からの高温が続いている。そうした遺体や家畜の死骸は今、一斉に腐敗し、凄惨な光景となっている。伝染病などの二次災害が発生する危険性は、極めて高い」
(エポックタイムス前掲)

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8月5日時点での定興県の様子 

いま習近平のこのタク市なとの外堀水没作戦に多くの批判が、国内で起きています。

「2023年8月4日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国の北京市や河北省を襲った豪雨について、中国共産党の河北省トップが北京市や習近平(シー・ジンピン)国家首席にこびへつらうものだとして批判の声が出ていると報じた。
事は、中国共産党河北省委員会の倪岳峰(ニー・ユエフォン)書記が8月1日から2日にかけて同省保定市と雄安新区の治水、救援作業救済を視察した際「洪水防止の貯水エリアを始動して北京の洪水リスクを低減させる。首都の城を守る堀として断固行動する」と強調したことを紹介。この発言がネット上での論争を引き起こしたと説明した」
Record China 2023年8月4日)
洪水被害の中国河北省、当局者の発言に批判殺到―仏メディア (recordchina.co.jp)

この習近平のオベッカ使いの倪岳峰に対して、あのゴリゴリの共産党媒体の環球時報元編集長ですらこう述べています。

胡錫進(フー・シージン)環球時報元編集長も3日に「北京市、天津市、河北省は地理的に同じユニットにあり、豪雨が降れば運命共同体になる。この時、ある地域を他の地域の『堀』としてはならない。三地における洪水を防ぎ安全を確保する重要性は同等である」と指摘したことを伝えている」
(レコードチャイナ前掲)

ある地域をある地域の「堀」にしてはならないという、いたって当たりまえの認識です。
たとえば、東京都下を守るために八王子を沈めろというようなものです。
これが正論となるようなこの国の実態がこの大洪水で明らかになりました。
それにしても、陣頭指揮をしていたと称する習近平の写真が一枚も出てこないのはなぜなんでしょう。

 

 

 

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コメント

6号カーヌンでなかなか・そこそこ酷い打撃を受けた友人や仕事相手の、原状回復を手伝う連休。
自分でやれない修理などは、専門に依頼するも当然順番待ち。
必要な物を買いにホームセンターをまわれば、似たような目的と思しき人々もあり、楽しそうに買い物や品定めに興じる人々もあり。
そうして世の中は動いていく。
家屋敷からの退避を続けねばならなくなった方々や、出荷するはずだった作物を失った生産者さんの心中は如何に。
けれど残酷さや優しさの中で、みんな先へと動いていく。
暴風雨の最中も後も、誰かの安全や利便のために仕事をしてくれる人があり、損保各社の見舞いの言葉と請求の案内があり、自力でできることをやる人があり。
人生はチェスとは違って、チェックメイトの後もゲームは続く、とアイザック・アシモフは言ったっけ。
ごめん悪いけれど、あの国に生まれなくて本当に良かった、としか言いよう無し。

 日本や普通の先進国であれば、治水は自然や公園、ゴルフ場の緑地などを利用した都市計画設計になっています。けど、国民の命にも階級がある共産党の場合、習近平肝いりの雄安区を守るため、琢州市には当初計画から浸水させて雄安区を守る役割を果たさなければならなかったもののようです。
共産党にしてみれば、まさに「計画通り」なのであって、それがのうのうと北戴河で避暑を楽しんでいられる理由なのでしょう。
また、習の写真が出てこないのは陣頭指揮などしていないから当然で、フェイクすら出ないのも世論の習近平責任問題を回避するためでしょう。

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