3貨物船、ロシアの穀物封鎖を突破
ロシアが海上封鎖している黒海を、勇敢な3隻の貨物線が挑んでいます。
ロシアは、ウクライナに出入港しようとする貨物船は一切軍事目標だと宣言していました。
「イスラエルの民間船が黒海でロシアの穀物封鎖を破った、とAPAはUNIANを引用して報告している。
「Ams1」、「Şahin 2」、「Yılmaz Kaptan」と名付けられた<>隻の民間船がイスタンブール海峡を通過した。
これらの船はイスラエル、ギリシャ、トルコの旗の下で航海した。
Ams1はドナウ川のウクライナ支流に入った。
ロシアが行った、7月25月のライン川沿いの穀物倉庫爆撃の後、これはロシアの黒海の封鎖を破った最初の船である。
イスラエルのアシュドッドから旅を始めて、イスラエルの船は、その目的地がウクライナであると公然と述べた。
また、アメリカのP8航空機は、潜在的な脅威に対する船の安全を確保している」
(APA7月22日)
イスラエルの船がロシアの穀物封鎖を突破した最初の船になる-写真 (apa.az)
APA
航路はこのようなものです。
一路最大の積み出し港であるオデーサに向かっています。
APA
7月24日、ロシアはNATO加盟国のルーマニアと皮一枚のドナウ川沿岸の穀物倉庫をミサイル攻撃しています。
BBC
「ウクライナ南部のドナウ川沿いの港で24日、ロシアのドローン(無人機)による攻撃があり、穀物貯蔵施設が破壊された。現地当局が発表した。
破壊された施設は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のルーマニアから、ドナウ川を挟んですぐの至近距離にある。
当局によると、4人が負傷し、うち1人は重傷だという。
ロシアは今月17日、ウクライナが黒海経由で小麦やトウモロコシなどを輸出できるようにする協定から離脱した。そのため、ドナウ川はウクライナにとって重要な輸出ルートとなっている。
黒海の港湾都市オデーサも毎晩のように攻撃を受けており、穀物倉庫が破壊されている。
当局によると、この1週間で6万トン以上の穀物が被害を受けている。
穀物の世界市場では、ロシアが輸出協定から離脱してから1日のうちに、穀物価格が8%上昇した」
(BBC7月25日)
ロシア、ドナウ川の穀物倉庫を攻撃 ルーマニアの対岸 - BBCニュース
「国連食糧農業機関(FAO)は、8月6日、世界食料価格動向を公表しました。2022年7月の値は平均140.9ポイントで6月よりも8.6%低く、史上最高値を記録した3月から4か月連続で下落しましたが、1年前の水準からは16.4ポイント(13.1%)高水準にとどまりました。7月の食料価格指標下落は、とりわけ植物油と穀物価格指標の大幅な下落を反映したものです。
穀物価格は6月に比べ11.5%下落したものの、昨年7月に比べ16.6%高水準でした。世界小麦価格は7月に14.5%下落しましたが、国連の仲介によりウクライナの黒海からの穀物輸出を再開することが合意され、再開への期待が高まったことも反映しています。それでも、小麦価格は昨年7月よりも24.8%高い水準を維持しています。
植物油価格は、19.2%下落し、171.1ポイントと、ここ10カ月では最低値をつけました。この背景には、需要の落ち込みと主要国からの十分な輸出の見込みを反映したパーム油・ダイズ油・ヒマワリ油の国際価格の下落があります。原油価格の下落も植物油の下落に影響を及ぼしています」
(国際農研2022年8月8日)
595. 2022年7月 世界食料価格動向 | 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS
ロシアとウクライナは世界有数の穀物産地だったために、去年3月の侵攻初期から小麦の国際相場は急上昇して約14年ぶりに最高値を更新しています。
ウクライナがダメならロシアから買えばよいという問題ではなく、巨大産地のひとつが失われるという市場の危機感は買いを呼び、国際穀物市場を一気にはね上げました。
下図はFAO(国連世界食糧機構)が出した世界市場の食料価格指数ですが、2月に4%近く上昇しました。
既にウクライナ戦争前から食品コストは2020年半ば以降で50%余り上昇していたところに、今回のウクライナ戦争が追い打ちをかけた形になりました。
食品価格上昇は小麦だけには止まらず、ウクライナが世界最大のひまわり油生産地だったために、植物油の価格までもが高騰した影響が大きいようです。
原因はロシアが世界第2位のウクライナの穀物輸出を、海上封鎖によって止めてしまったからです。
そして穀物輸出第3位が当の原因を作ったロシアです。
下図をご覧いただくと、米国はブッチギリですから別にするとして、二位三位が今回の被侵略国と侵略国だということが判ると思います。
朝日gloveプラス
ロシアとウクライナは欧州を支える穀倉地帯です。
ふたつの国が輸出している食糧は、世界で消費されるカロリーの実に12%を占め(国際食糧政策研究所による)、世界の穀物市場において小麦の約30%、トウモロコシの約20%、ひまわり油の80%以上の原産国は、ロシアとウクライナです。
ウクライナ戦争は世界食料危機をもたらす: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
そして現実にウクライナからの穀物出荷が途絶え、黒海イチシャチブで再開された矢先にロシアの離脱と黒海海上封鎖という暴挙ですから、これてであがらないわけはありません。
穀物の世界市場は、ロシアが輸出協定から離脱してからわずか1日のうちに、穀物価格が8%上昇しました。
そしてさらには執拗なウクライナの穀物倉庫が爆撃され続けています。
特に主要積み出し港のオデーサは集中的攻撃を浴びており、州内のドナウ川のレニ港とイズマイル港が、ロシアによって4時間にわたってイラン製ドローンで攻撃され、倉庫3棟が爆撃されました。
BBC
ウクライナは世界7位の小麦輸出国で、欧州の穀倉地帯と呼ばれています。
クライナの空の青と小麦の黄金色の美しい国旗はそれを象徴しています。
ウクライナの国土は71%が農地で、ドナウ川を通って輸出された穀物は昨年には200万トンに上っています。
これは海上ゆそう使えないためで、侵攻前までは60万トンにすぎませんでした。
河川運送は小型船のために効率が悪いのですが、今はこれとさらに効率の悪い陸上輸送しか道がありません。
レニとイズマイルはドナウ川を隔ててルーマニアと直近であるため、ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は、「非常に近い」場所で攻撃があったと、ツイッターで非難し、「最近の状況悪化は、黒海の安全保障に深刻なリスクをもたらす。ウクライナの穀物輸送と、ひいては世界の食料安全保障にも、さらなる影響を及ぼす」と強く非難しています。
またウクライナはこの穀物倉庫爆撃を戦争犯罪だと認識して調査しているようです。
「 ウクライナ検事総長事務所は3日、7月以降激化しているロシア軍によるウクライナの農業インフラへの攻撃について、「戦争犯罪の可能性があるとして調査している」とロイターに対し明らかにした」
(ロイター8月4日)
ロシアによる穀物港への攻撃、ウクライナが戦争犯罪として調査(ロイター) - Yahoo!ニュース
現代においては、戦争にもルールがあるのです。
かつては非戦闘員大量虐殺以外なにものでもない原爆投下や都市空襲があったために、その反省から大戦後は戦争において「やっていいこと」と「悪いこと」の区別をつけるために「国際人道法」が生まれました。
軍事力に当たらない非戦闘員の市民、特に女性や子供、老人、病人が多数居住する住宅地、病院、集会場、宗教施設、文化施設を攻撃対象にすることは禁じられています。
この穀物倉庫は軍事目標とは言えません。
ロシアは、ウクライナ戦争における戦争犯罪法廷で厳しい処罰を受けねばなりません。
ウクライナの国旗の背景に小麦畑。 の写真素材・画像素材. Image 189206162. (123rf.com)
ウクライナに平和と独立を
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7月31日Forbes
https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2023/07/31/nato-planes-watched-as-three-civilian-ships-ran-russias-naval-blockade-of-ukraine/
によると、3隻は米海軍のP-8哨戒機、米空軍のRQ-4グローバルホーク、NATOのE-3早期警戒管制機、それに4機以上の戦闘機にカバーされていたことや、3隻ともトランスポンダをオンにして、自らの位置と進路を誰でも確認できるように航行していた、とありました。
ネット上にはそれに対して、「Forbesの記事は正しくない、3隻はシェラレオネやバヌアツの旗を掲げていた」という反論??記事も。
(確かに当該Forbes記事中には、3隻をカバーした布陣の中に「米陸軍のチャレンジャー戦車」という記述があったりしてますが)
まぁ何にせよ、3隻の封鎖突破が事実として、友軍の護衛があっても、船長とクルーと船舶会社、国際荷主、保険会社、関係各所の相当な勇気と事態打開への意欲なり使命感なりがあったかと推察します。
投稿: 宜野湾より | 2023年8月 4日 (金) 17時57分