ロシアが日本水産物を禁輸だって(笑)
ロシアが面白いギャクを飛ばしています。
なんでも「放射能汚染」した日本産海産物を禁輸したいんですと。
ガハハ、どうぞどうぞおやり下さい、
痛くもかゆくもありません。むしろ勧めたいくらいです。
[26日 ロイター] - ロシアは日本産の水産物の輸入を禁止することを検討しており、この問題について日本に協議を要請した。ロシアの食品安全監視機関ロセルホズナゾールが26日、明らかにした。
日本産の水産物を巡っては、中国が東京電力福島第1原子力発電所の処理水の放出開始に反発する形で、輸入を8月24日から全面的に停止している。
ロセルホズナゾールは声明で「放射能汚染の可能性を巡るリスクを踏まえ、日本からの水産物の供給について、中国が実施している制限に(ロシアが)加わる可能性を検討している」と表明。日本との交渉後に最終的に決定するとした。
ロセルホズナゾールは日本政府に書簡を送付し、協議の必要性を伝えたほか、輸出向けの水産物のトリチウムなどの放射性物質に関する検査の情報を10月16日までに提供するよう要請したとしている。
ロシアの年初からの日本産の水産物の輸入量は118トン。」
ロイター2023年9月27日
ロシア、日本産水産物の禁輸を検討 中国の措置に参加=食品安全当局 | ロイター (reuters.com)
初めロシアは「汚染水」についてまるで関心がなく、ニュースの扱いも小さなものでしたが、「盟友」中国が火のついたような大騒ぎを始めると、いきなり「連帯の挨拶」を始めたようです。
実にわかりやすい反応ですな。
プーチンという男は、マウントできると思えばパチカン法王ですら待たせる、安倍氏など何時間待ったことか。
正恩の訪露にはあらかじめ待っていました。
立場が弱くななると、ささっと先に行って待っていらっしゃるんですね、この「光の戦士」は。
貧すれば鈍する、とはよくいったもんです。
ウクライナ戦争までは、ロシアはあからさまに中国を舎弟あつかいにしました。
そもそも中国共産党はソ連が作ったもんだ、だからソ連時代にはズっと兄貴分だった、みたいな伝統的歴史観があったのでしょう。
合同大規模軍事演習も、ロシアが中国を招待する形でしたし、海軍合同演習も、中国に教えてやるという気分マンマンだったものです。
ロシア軍と中国軍の将校レベルの交流は強化されましたが、これも中国軍将校が4千人規模てロシア士官学校に送り込んでいたものです。
また、中国が進めているミサイル防衛システムも、ロシアの防空システムを習ったもので、プーチンは教えてやらんでもないという鷹揚な態度をしていたものです。
中国とロシア、深まる軍事交流 なぜ日本の警戒感は薄いのか:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)
このような流れは中露相互防衛条約にすすむのでは、と思わせる観測を呼びましたが、いきなりブレーキがかかったのが、皮肉もロシア軍のあまりの惰弱な内実を暴露することになったウクライナ戦争でした。
兵士の戦意はゼロ、戦車はポンポンと景気よく砲塔を吹き飛ばされ、黒海艦隊の旗艦はあえなく撃沈、頼みの大砲は砲弾の備蓄がショートし、いまや世界最貧国の北朝鮮にすがりつくありさま、おまけに厳しい経済制裁を食らっている、こんな奴に「連帯」なんぞして二次制裁をもらったらたまらんとチャイナは思ったのでしょうな。
そしてじわーと距離を置き始めました。
そもそも軍事同盟とは、強い相手とするもので、ヘタレといくら同盟を結んでも無意味ですらかね。
ロシアは経済はないに等しいのですら、軍事力で強くってナンボのものなのです。
それがああ弱くちゃね。
そうなると、ロシアは兄貴分の顔を投げ捨て、腹をだしてシッポを振る犬よろしくほんとうはどうでもいいと思っている「汚染水」問題でも中国と共闘すると言い出したのです。
要するに、ご機嫌とりです。
馬鹿だねぇ。禁輸は、一定の規模があるから有効なのであって今の日露貿易関係で、海産物を禁輸したからどーだっていうんでしょうか。
ところで、巨大な規模の対中国とはうって変わって、日露貿易関係は実に寒々としたものです。
だって、ロシアから買うものは原油と石炭くらいなもので、売るものは自動車くらいだからです。
かんじんの禁輸すると言っている日本産魚介類はたった2億円規模、タワマン一部屋くらいの規模です。
逆にロシアからの海産物は、今年1月から7月だけで682億円に達しています。
完全な日本の入超ですから、日本産海産物を禁輸して、日本が対抗措置としてロシアが178億円も輸出しているカニを禁輸でもしたら、目も当てられないのはロシアのほうです。
今、制裁で喉から手がでるほど欲しい外貨収入がいっそう細ります。
こういうことを、世間では天に唾すると呼びます。セルフ制裁ですね。
一般社団法人ロシアNIS貿易会の服部倫卓氏はこう述べています
「日本側の統計にもとづいて、最新の2017年の日本の対ロシア輸出・輸入の商品構造を示すと、上の図のようになっています。輸出では、自動車関係(青で示した部分)が全体の55.4%を占めています。
輸入では、石油・ガス・石炭というエネルギー(濃い赤で示した部分)が全体の69.3%を占め、残りは金属(アルミニウム、パラジウム等)、魚介類、木材といった資源・素材系の品目がほとんどです」
(朝日2018年7月31日)
正念場を迎える日本とロシアの経済関係:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)
一方、ロシアへの輸出は自動車とタイヤや部品くらいなもので、中古車が大きな割合を占めているのはご愛嬌です。
シベリアでなんとか保育園とか、なんじゃら温泉と書いた中古車が元気に走っているのを見たか方も多いようです。
同上
全体規模を見ても輸出入共に1%にも満たない屁のような規模です。
・対露輸出額は2908億円で日本の輸出額全体(56兆0781億円)・・・0.52%
・対露輸入額は6207億円で日本の輸入額全体(63兆1088億円)の0.98%
・対露貿易額は9115億円で日本の貿易額全体(119兆1868億円)の0.76%
ロシアから日本への輸出は6割が天然ガス、これに続いて多いのが非鉄金属(パラジウムやアルミニウムなど)そして三番手が魚介類です。
ウクライナ戦争までは、日本もロシアを有力な天然ガスの輸入先のひとつとして考えていました。
石油から再エネまで、あまり知らないロシアと日本のエネルギー協力|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
同上
日本は、輸入原油のうち約6%を、輸入天然ガスのうち約9%をロシアから輸入しています。
輸入だけではなく、現地生産プロジェクトにも直接投資していました。
「サハリン1」「サハリン2」というロシアのサハリンにおける石油・天然ガス開発プロジェクトからは、原油と天然ガスが輸出されています。また、東シベリアでも、探鉱段階から日本がイルクーツク石油と協力してザパド鉱区を掘りあてて、2016年から原油の生産が開始されいます。
これらはウクライナ戦争がなければ一般的な国際貿易として進展したのでしょうが、ロシアは自らの手でこれを壊してしまいました。
このように、日本が海産物禁輸で受ける被害は皆無です。
困るのはロシアですので、ぜひおやり下さい。
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