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2023年9月26日 (火)

もし「核兵器のないジャパンチェア」が出来たら

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昨日の続きで、仮に岸田氏の提唱する「核兵器のない世界に向けたジャパン・チェア」が開催されたとして考えてみましょう。
岸田氏は、「核保有国と非保有国との話し合い」と言っていますが、核保有国はたぶんP5(常任理事国)+印パていどで考えているのでしょう。
では非保有国はというと、あの核兵器禁止条約締結国になるのかしら。
たぶんこういう括り方をすると、もっとも重要なグレーゾーンの国々がこぼれ落ちますよ。

では北朝鮮やイラン、あるいはイスラエルを、保有国、非保有国いずれの枠に入れるのでしょうか。
北朝鮮は断固としてオレ様は核保有国だ、と言うでしょうが、米国は認めません。
再突入を確認できなきゃ、ただのロケットだと言うでしょうね。
イランはシラっとして民生用開発はしているが、核兵器開発の意図はないと言い放って、ウソつけ、ウランを60%まで濃縮したという事実をどう説明するんだと欧米からどなられるはずです。
イスラエルもシラっとして、核兵器は持っているかもしれないし、持たないかもしれない、ナンとも申し上げられませんから出席は辞退します、というかもしれません。

とまぁこんな具合に、岸田氏が思うほど「核兵器国と非核兵器国の間」はあいまい、かつ混沌としています。
北のように完成間近ならば自分から核兵器保有国だと言うでしょうし、まだいくつかハードルがある国はイランのようにシラっとして民生用ですというでしょう。
すでに持っていても黙っているほうが賢明で、凄味があると思っているイスラエルはシラを切り通しますが、万人が保有国扱いにしています。
したがってジャパンチェアは、その枠組みづくりから暗礁に乗り上げるでしょう。

ところで岸田氏は、先日イランを訪問しました。

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外務省

  1. 岸田総理大臣から、イランとの長年にわたる伝統的友好関係に基づき、中東地域の緊張緩和と情勢安定化に向けて外交努力を継続する考えである旨述べました。これに対して、ライースィ大統領から、日・イラン関係を様々な分野で拡大していきたい旨述べました。
  2. 両首脳は、イラン核合意をめぐる状況について率直な意見交換を行いました。岸田総理大臣から、日本としてイラン核合意を一貫して支持している立場から、国際原子力機関(IAEA)との共同声明の完全かつ無条件の実施を含め、イランの建設的な対応を求めました。両首脳は、引き続き緊密な意思疎通を継続していくことで一致しました。
    日・イラン首脳会談|外務省 (mofa.go.jp)

この「伝統的友好関係」という言葉は、耳にタコができるほど聞いてきたけれど日章丸事件っていつのことだったんでしょうか。
もう70年前のことです。当時の政権は親西側で、イランはイスラム原理主義政権に変わって久しく、とっくに時効です。
イランにとって中国や北朝鮮、ロシアとの「伝統的友好」のほうが、日本なんぞより100倍大事なはずです。
いつまでこんな不確かな情緒にすがっているのでしょうか。
日本のタンカーを革命防衛隊に攻撃させたのはどこの国だったか、思い出して下さい。

核合意についてイランは復帰する意志がないからこそ、核濃縮を60%の兵器級濃縮に引き上げたのです。
ですから、いまさら核合意に戻れといっても無駄です。
今、イラン首脳と会って「率直な意見交換」できるとすれば、もう時間がないぞ、やめないなら次はマーベリックの出番だぞ、ということを友情を込めて忠告してあげることくらいです。
あるいはイランが核武装すれば、サウジも核武装も止められないし、イスラエルも公然と核保有を宣言するという中東世界全体を巻き込んだ核の連鎖が起きるゾ、と警告することです。
イランが核を持ち、サウジが対抗核を持った場合、他の中東諸国はどちらの核の傘に入るか判断を迫られます。
中立はありえません。

ちなみにサウジは「イランが核保有した翌日にこちらも持つ」ことを明言しています。

「イランが核兵器を入手する可能性とそれがサウジアラビアにとって何を意味するかについて尋ねられたとき、皇太子は再び言葉を細かく刻まず、イランがそのような兵器を入手した場合、サウジアラビアは「安全保障上の理由から、力のバランスをとるために核兵器を入手しなければならない」と明確に述べた。
「私たちは、核兵器を手に入れる国があれば心配しています。それは悪いことであり、悪い動きです」と彼は言いました。核兵器は使えないから、彼らは核兵器を手に入れる必要はない」
ブレット・ベイヤーがサウジ王子にインタビュー:イスラエルの和平、9/11の関係、イランの核攻撃の恐れ:「別の広島を見ることができない」 |フォックスニュース (foxnews.com)

よくメディアはイランとサウジが接近したなんて言っていますが大嘘。これが実態です。
まぁイランの制裁原油はまとめて日本が買うたるくらいの土産を持って行けば、ちっとは考えてくれたかもしれませんが、そんなマネしたら日本が2次制裁国になってしまいます。
というわけで、こんなイランが「岸田チェア」に出てくるわけがありません。

一方北朝鮮は、「非核は人類共通の理想」なんて岸田氏の演説には大賛成と言いそうですが(実際、かつてムン・ジェインに非核化推進なんてリップサービスしていたことがあります)、彼らの言う「非核化」とはICBMの実戦配備ができあがるまでの時間稼ぎ、出来た後はせいぜいが「核軍縮」ていどのことしか意味しません。
そしてこのまま推移すれば今年中に追加の核実験をして、完全に核保有のチェクメイトを宣言するはずです。

ではそれ以降、北はどうするつもりでしょうか。
正恩は核兵器を核実際の国際政治の場で交渉カードとして使い倒すかもしれません。
非核化=核兵器禁止条約なんていうのは、
自分が核兵器で攻撃を受ける心配のない国か、「市民団体」の言うことで、非核化とはすなわち核軍縮のことです。
これは国際社会の共通理解ですから、とくに驚くべき考えではありません。
核軍縮は、双方が核兵器を段階的に削減していくことですから、正恩はできたばかりで実戦配備中のICBMを削減のカードをこの核軍縮のテーブルに投げます。
もちろんタダではありません。
米国に見返りとして、北を核保有国として承認すること、朝鮮半島への核兵器持ち込みを禁止すること、などを求めるでしょう。
この核軍縮交渉に、岸田さん好みのネーミングをすれば「朝鮮半島非核化チェア」というわけです。
軍縮の前段としてIAEAの査察が必須なので、これを受け入れたら、ホンモノです。

ところが実はこの「核軍縮」というのはクセ球で、「段階的削減」である以上、長距離核は削減しても、中距離核は削減対象にならないのです。
つまり日本を標的にしたノドンは丸ごと生き残ります。

実は、なんと米国内にもこの北朝鮮の思惑に共鳴するプランが存在します。
ロバート・ゲーツ元国防長官は、ウオールストリート・ジャーナルとのインタビューで、こう述べたとされています。

「中国が依然としてカギを握るだろう。
中国に対して
①旧ソ連とキューバ危機を解決したときと同様に、北朝鮮の体制を承認し、体制の転換を狙う政策の破棄を約束する用意がある。
②北朝鮮と平和条約を締結する用意がある。
③韓国内に配備している軍事力の変更を検討してもいい
と提案する。
この見返りに、米国は北朝鮮の核・ミサイル開発計画に対して強い制約、つまり基本的には現状での凍結を要求し、国際社会や中国自身が北朝鮮にこれを実施させることを求める必要がある」

これは「現状凍結」路線とでも言うべきものです。
ではどの段階で「現状凍結」するのでしょうか。
このゲーツ案は長距離核の火星シリーズが頻繁に実験される前に出されたものですから、長距離核開発を止めればその時点で「現状凍結」を認めるということになります。
そしてこれを条件にして直接協議しようというのです。

「レックス・ティラーソン国務長官とジム・マティス国防長官がこの計画を中国に示し、中国が支持すれば、その時初めて北朝鮮との直接協議が始まる」

おいおい、日本を向いた中距離核をお忘れか、といいたくなります。
中距離核は米国も保有していないので、まさにがら空き。
対抗抑止がない状態で、北と手打ちしてもいいということになります。
冗談ではありません。

このようなプランに米国が乗った場合は、日米同盟は形だけは残るでしょうが、日本は米国に対して根深い不信を持つでしょう。
そして日米同盟は、中露朝の歓声に包まれながら、もろくも内側から瓦解していくことになります。
そして日本国内には、いままで机上の空論の域を出なかった独自核武装が、初めて現実味を帯びて台頭するでしょう。
こんなことを米国が安易にするとは思えませんが、むしろ共和党系にはこういう日本切り捨てを辞さない考えの流れもあるのです。

つまり、非核化=核軍縮は、国によって意味することは大きく違い、その違いは話しあいなどでは埋まらないのです。
そして非核化は、やり方によっては極めて危険な選択であることをお忘れなく。

非核と名がつけばなんでも「人類の尊厳」だなんていう情緒的脳味噌の人にはお分かりにならないでしょうが。

 

 

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コメント

岸田首相のかねてからの主張は、「(保有国は)核使用は個別的、集団的自衛権にもとづく極限の状況に限定する宣言をすべき」というもので、続いて「(保有国が)こう宣言する事により、最終的には核兵器のない世界につなげていく」という結論を導き出す、というもの。
「宣言」という前提から後段の「結論」が導き出されるなんてハズがなく、論理的にも間違っています。控えめに言って、何も言っていないのと同じ。

だいいち、核保有国で常任理事国でもあるロシアが自身が始めた侵略戦争において、核による恫喝を繰り返しているのが現状です。すでにして「岸田理論」は前提を形成するだけでも困難を極めます。

各国が核を持とうとする事情は様々です。
仮に逆に「核を持たない」という選択肢があるとして、そのことを戦略的に優位に変えられるならともかく、そうでないなら「我が国はいつでも核を持てるのだ」とのスタンスからの発信くらいすべきでしょう。

バラク・オバマ元合衆国大統領は、2009年1月に大統領に就任したその年4月のプラハ演説で、「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」「この目標を達成するのは、おそらく私が生きているうちは無理であろうが、それでもYes,we canと言わねばならない」と述べました。
この「おそらく」に彼が使ったperhapsは確信の度合いが3割から5割くらいを示すので、「おそらく」の確信度7割以上を意味するprobablyとの差分程度には、夢を信じていたのかしら?
誰もが知る通り、軍事介入をせずに外交で解決する方針であったオバマ元大統領でしたが、言い出しっぺが自分から捨てられはしない核兵器を他国が捨てたり、保有希望を諦めたりする動機も道理も無いし、在任中にISの台頭もロシアによるクリミア併合も予測はできず、誰も予測できなかったのは仕方なくともそれらを話し合い外交では解決できず、「軍事介入はしない」と予め言ってしまうことで中露を接近させ、中共が舌を伸ばす状況を招きました。
それゆえにオバマ元大統領は、「最高の法学者にして最低の司令官」ともいわれます。
夢見がちなことを悪いとは全然思いませんが、「私が生きているうちは無理だろう」という現実を、ではどうしのいでいくのかといえば、核兵器を捨てられないなら、誰であれ持ち分をいつも明確透明にして、使わないために力を均衡させ、透明性維持に協力しない者や恫喝と侵略を試みる者には、対抗するオプションを全て排さず用意しておく。
オバマ政権当時の「地域的な大国が現れても容認する」ような方向の考え方であればあるほど、それが覇権国になりたい国出現の可能性・蓋然性に繋がることに備えて必要なことではないだろうか、国家どうしの「自由」と「歯止め」の問題に「これで安心」は無く、尽きも終わりもしないはず、と考えます。
勝ちたい、勝たなくていいが負けたくはない、強くなりたい、味方を増やしたい、支配したい、とやかく言われたくない、そう思うのも、他者がそうなろうとするのを脅威に感じるのも、ヒトとして不可避なことでしょうから、惨事を避けるための法やルールと、逸脱行為に対する罰を用意するくらいしかないですが、俺様ルール以外には乗る気は無い者がある現実。
誰にとっても「恐怖」のコントロールはものすごく難しいと思うと、明るい昼間のうちに考えてもいつも通りの真っ黒になる、しょうもない私。

実際のところ外交では、腹黒い真意を隠したりゴマかすために理想や夢やキレイゴトを言うのですが、頼りない岸田首相は本心から言っているようにしか見えませんわ。これでは聞いている相手側も、「ナンダコレハ?カレガ、ナニイッテルノカ、サッパリワケワカメダ…」と困惑しているか、「ショセン、アメリカノゾッコクダカラ、アタリマエノコトヲナラベテイルンダロウ」と馬耳東風ですわ。

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