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2023年9月25日 (月)

優等生フミオ君の国連演説

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岸田氏の持論は「外交は官邸主導でやる。安倍外交だってそうだった。外交は総理大臣がメッセージを出していくものだ」だそうです。
まぁ、岸田氏は安倍氏の外相として4年8カ月もやってきたわけですから、そのスタイルだけはしっかり踏襲しています。
だから林外相を改造ではずすというマネもできたようです。
外相のような対外的に重要な大臣職はよほどのことがないかぎり変えないというのが不文律なのですが、それを岸田氏はやったわけです。
林氏の対中外交に対しては多くの批判があったところなので、それ自体はいいのですが、ではなんのためにということです。
派閥の仕事がどうのということがいわれているようですが、決定的理由がわかりません。

ところで、岸田氏の外交の師であった安倍氏は、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)という国際的枠組みを提唱し、米国すら動かしてそれを実体化してしまいました。
「アメリカをもう一度強い国に」と叫んで大統領になったのはいいのですが、トランプにはこれといって外交戦略がありませんでした。
内政については民主党に対する有象無象の批判はあっても、コレという外交戦略など勉強してこなかったからです。

トランプにとってラッキーだったのは、太平洋の向こうのカウンターパートに安倍氏が居たことです。
そして人たらしの安倍氏はたちまちトランプとポン友となってしまい、なにかというと電話をかけてきては「シンゾー、あれどう思うよ」と聞いてくる仲にまでなってしまったほどです。
ですから、安倍氏が生きているうちは、トランプは見事な外交を展開しました。

しかしシンゾーを失った後のトランプは、迷走につぐ迷走を始めました。
元のモンロー主義の地が出てきたのです。
ウクライナ支援には尻込みし、バイデンの尻を叩くどころか逆に支援なんぞやめろと言って足をひっぱる始末です。
彼に引きずられてか、共和党はウクライナに背を向けようとしています。

トランプはウクライナに力を削がれると中国との対峙がおろそかになると考えているのでしょうが、勘違いもいいところです。
ウクライナを勝利させることこそが、中国に対する最大の抑止なのです。
中国がどうして今のようにロシア支援をおおっぴらにできないのか、考えてみればわかります。
中国は、ロシアと同じように国際的制裁を食うのはまっぴらだから、ロシア寄りの仲介案なんかを出してお茶を濁しています。

バイデンの出し遅れウクライナ支援ですらそうなのですから、本気で支援をしていたら中国は一言も口を突っ込まなかったでしょう。
そのくらい中国は、米国の対ウクライナ支援を恐怖の眼で見ているのです。
台湾侵攻をした時、あの規模の支援を送られたらどなうする、1年、2年ではあの島を落とせないかもしれない、ということです。
泥沼になったら地獄はむしろ中国です。

国境の現状変更がいかに代償を支払わねばならないか、今のロシアを見てチャイナも身に沁みてわかったはずです。
だからここで万が一にもウクライナが負けることがあれば、「法の支配」なんて力の前には無力だという教訓になってしまいかねない。
わかっていないのは、むしろ自由主義陣営の一部です。
ウクライナに対する支援が先細り、ゼレンスキーは頭が固い、もっと和平を考える指導者がウクライナには必要だ、という手合いが西側陣営に増えることをロシアと中国は望んでいます。

ゼレンスキーが次の大統領選で破れ、朝鮮半島型和平が現実味を帯びると、台湾の総統選と連動して侵攻も現実の日程に入ってきます。
だからここで対中抑止の意味も込めて、ロシアを徹底的に叩いておかねばならないのです。
ウクライナを支援することは対中抑止と同義であり、それは台湾侵攻を防ぐことであり、同時に日本の平和を守ることなのです。

岸田氏は、そのへんのつながりをトータルにわかって外交戦略を構築しているのでしょうか。
私は岸田氏は安倍氏から官邸主導のスタイルだけを盗んだだけで、外交を戦略的に考えてはいないと思っています。
それが改めて露になったのが、先日の国連総会演説でした。

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ロイター

「岸田文雄首相は19日(日本時間20日)、米ニューヨークで国連総会の一般討論演説を行った。ウクライナに侵攻するロシアについて「国際法、法の支配を蹂躙している」と非難。国連の機能強化に向け安全保障理事会の改革を訴えた。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出には触れなかった。政府関係者によると、中国による日本産水産物の輸入停止撤廃に向け、中国を過度に刺激するべきでないと判断した。
首相はロシアによる侵攻に関し「力または威圧による一方的な現状変更は認められない。人権侵害の状況を一刻も早く是正し、核の威嚇をやめるべきだ」と強調した」
(ロイター2023年9月20)
首相、処理水放出触れず | Reuters

「中国を刺激すべきではない」ですって?呆れてものが言えない。
ではなぜ親中派の林外相を改造ではずし、米国民主党に近い上川陽子氏を据え、さらに防衛相に台湾とのパイプを持つといわれる木原稔氏に替えたのでしょうか。
この改造人事はとりようによっては、日本は中国に簡単な譲歩はしないというシグナルとなりますが、ただの派閥の事情だったようです。

この相手の気に障るようなことは言わない、揉め事になるようなことはあらかじめ封じる、というのは戦後自民党外交の伝統でした。
相手を刺激しさえしなければ、敵が生まれず、平和に暮らしていける、という砂丘に首を突っ込むダチョウのような体質でした。
したがって国家意思はないに等しく、なにかやるにしてもそれは「米国にいわれたから」という体面を作ることで凌いできました。

その結果が、中国や韓国ムン・ジェイン政権の卑日、侮日、反日政策を生んだのです。
彼らは、いかに日本を蔑もうと、ジャパンディスカウントに奔走しようと、必ずまぁまぁなぁ、大人の対応で、と取りなす自民内部の親中・親韓派がいることを知って甘えていたのです。

さて、処理水について「刺激するのを恐れて」一言も言わなかった岸田氏が、積極的に主張したのはやっぱり非核でした。
どうも非核こそが、人類共通の至上の理想であるとでも考えているようです。

「「人間の尊厳」を守り・強化するための国際協力の一つとして、核軍縮の流れを確実に進めていくこと、カットオフ条約(FMCT)への政治的関心を再び集めること、核兵器国と非核兵器国の間の議論を促進すべきこと等の重要性を訴えつつ、新たに30億円を拠出して「核兵器のない世界に向けたジャパン・チェア」を設置することを表明しました」
第78回国連総会における岸田総理大臣による一般討論演説|外務省 (mofa.go.jp) 

プっプーとコーヒーを吹きそうになりました。
なんなんですか、「この人間の尊厳」って。(苦笑)
よくこんな大仰な言葉持ち出したもんです。
これでは核保有国はもちろん日本が庇護してもらっている米国まで含めて「人類のソンゲン」とやらを汚しているみたいです。
高邁すぎて卑俗な頭脳しか持ち合わせていない私には、とんと理解できません。
「ニンゲンの尊厳」なんていえば、総会に居並ぶイランの指導者も、ロシア、中国も、そして米国も、ははぁ、キシダお前はえらいとでも言ってくれるとでも思ったのかしら。
わきゃありません、なにをキレイゴトを言っているんだ、ここは生徒会の会長演説しゃないんだぞ、と心の中で毒づかれるだけのことです。

「核兵器保有国と非保有国の間の議論を促進」だそうです。
たとえば米国と北朝鮮やイランがナニ話すの。核武装を止めろ以外ないじゃないですか。
そんなテーブルを作ったら、日本はお前米国の核のかさに入っていながらナニいうとんねん、といわれないか、少しは考えなさい。
リベラル特有の話しあえば万事解決するさ、というノーテンキです。
馬鹿だね、するわきゃないしょ。こういうタイプの人を見ると、あたしゃ、人生の修行がたりないな、と思っちゃいます。

イランの核武装がチェックメイトの段階に入り、イランの核武装は自動的にサウジの核武装化を引き起し北朝鮮の核武装の完成は韓国のリアクションを呼ぶというこの今の今、それを具体的にどう阻止するかではなく、「核兵器のない世界に向けたジャパン・チェア」とやらを作ろうというのですから、脳ミソのねじが2、3本抜けています。
椅子だか机だか知りませんが、荒れた学級で、「人間のソンゲンを守って話あえばきっといい社会ができるさ」、と言っている優等生の子みたいなもんです。

本気で呼ぶなら、必ずウクライナを呼ぶべきです。
米露はブタペスト覚書において、当時ウクライナが保有していた核兵器を「ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する」と確約して取り上げました。

そして米露はこの確約をあっさりと反故にしたのです。
その結果が、2014年のクリミア侵攻であり、2022年のウクライナ侵略でした。

この優等生フミオ君に対しての中国の応えは、まことに分かりやすいものでした。
日中中間線を超えて石油掘削リグを移動させたのです。

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日テレ

「中国当局が日本時間23日までに天然ガスなどを掘削する作業装置を沖縄県尖閣諸島の周辺海域に運ぶことがわかりました。一帯は「日中中間線」から日本側に大きく入り込んだ海域にあたり、日本政府関係者は危機感を示しています。
中国の海事局は日本時間の21日午後6時から天然ガスなどを掘削する作業装置「勘探8号」を船でえい航して東シナ海の目標海域に運ぶと発表しました。指定された目標海域は沖縄県尖閣諸島の大正島から北東におよそ140キロの海域で、23日午後6時までに到達する予定を示しています。この海域は日中中間線からも大きく日本側に入り込んだ場所にあたります。
日中中間線は日本と中国との間に位置していて、日本政府はこのラインを基にEEZの境界を定めるべきとの立場です。
これに対し、中国は今回の目標海域を含む沖縄トラフまでを自国の排他的経済水域などと一方的に主張しています。中国はこれまでも日中中間線の付近で一方的にガス田などを開発、日本政府も中止を求めてきましたが、今回は中国側がさらに強硬な措置に打って出てきたかたちです。
日本政府関係者は「従来に比べてはるかに大胆だ。外交問題に発展するだろう」と危機感をあらわにしています」
(日テレ9月21日)
中国 掘削装置を尖閣周辺にえい航へ 日中中間線を大きく越える海域…政府関係者が危機感「外交問題に発展するだろう」(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

あーあ、まったくなめられたものです。
海産物禁輸という横紙破りにも沈黙し、米国の核の傘に守られていながら非核を唱える、なんて奴にはやりたい放題がお似合いだぜ、とでも思われてしまったようです。
抗議すべき時にニタニタ笑ってやり過ごせば、より大きな災厄を招き入れるなんてあたりまえじゃありませんか。
「法の支配」を拒否するならず者たちにお話あいをしましょう、では話にもなりません。
麻生さんはフミオ君を評して「誠実そうに、リベラルそうに見える顔が世のなかに受けている」なんて持ち上げていますが、中国には大受けしたようです。
どうやったらならず者にルールを守らせることができるのか、それを言わないでキレイゴトだけ言っているフミオ君は、国際社会では誰からも相手にされません。

 

 

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コメント

よくホンチャンは中国なのでリソースを割くのは得策ではない、なんて話を聞きますがホンマかいなと思ってしまいます。

たしかに各国それぞれエネルギー問題や食糧問題などを抱えて、ある程度温度差が出るのは致し方ありませんが、「力による現状変更」は許さないという基本姿勢は絶対なくしてはならないでしょう。

各国のウクライナ支援の動向を何処よりも注視しているのは間違いなく中国のはず。悪しき前例を作ることはのちのちの台湾有事にも大きく影響を与え兼ねないことを考えれば、ウクライナで行われていることは決して他人事ではないと肝に銘じるべきだと思います。

 岸田演説が「優等生」ならデニー演説は?
 まあ語るまでもないですけど。たった90秒しかしゃべらせてもらえなかったのに、当人は「精神的勝利宣言」でご満悦。
 シナチスシンパってこういうのばかり、

マスコミがよく持ち出してくる「関係者」とやらは存在そのものが怪しいことがあるので記事内にそれが出てきた時点で参考程度の信用度に下げることにしてます。

ウクライナと中国の関係はロシア侵攻以前はかなり親密な間柄だったと聞きます。
しかしこの関係もウクライナが勝利することがあれば今後100年は回復する事はないでしょう、もはや中国にとってはロシアがウクライナに勝利し属国化することでしか修復することは不可能です。
中国はあからさまにロシアを支援をしていないからセーフと思っているかもしれませんが、ゼレンスキーが中国向けへのメッセージを一切行ってない時点で水面下で敵国認定してるのは明らかです。

台湾情勢を抜きにしても中国にとってはウクライナが負けてもらわないと都合が悪いんですよね、最近マスコミ発で活発に発信されるようになった「ウクライナ疲れ」というやつにも一役買っていそうな気もしている今日このごろです。

キッシーは、半身で「中国を刺激すべきでない」「核兵器のない世界」と言い、もう半身で「外交での説得力にもつながると考えて防衛力を整備している」「防衛力強化は円滑な経済活動に直接資する」(16日官邸記者会見)と言っていて、空港や港湾を台湾有事に備えて整備する方針で、既に検討は始まっていますよね。
この辺りが、人によって評価が「策士」だったり「ふらついてる」だったり、分かれるところなのでしょう。
私にはわかりません。なので、それぞれを観察するのみです。
2ヶ月とちょっと前、中共が尖閣海域の中間線我が国側に入り込んで調査用のブイを設置し、9月下旬になって移動式掘削船を停船させるとしていました。ところが急にそれを「撤回した」ようですが、その理由は。
a. 岸田政権側が、いつもの遺憾砲にちょっと毛を生やして、「管轄権を侵害するのであれば断じて受け入れられない」「我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの考えのもと、毅然かつ冷静に対処する」(21日松野官房長官会見)と言ったから
b. 把握外で現場が弾け過ぎてキンペたんが慌てた
c. 防衛力強化=外交はやらず戦争したがっている、との前提に立って髪の毛を逆立てている人たちが「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」とかいうのを立ち上げたばかりなので、それの説得力を無くすようなことは今は不味いとキンペたんが思った
さてどれなのか、いやもっと他に理由があるのか、私には分かりませんが、aであり、かつ外交ルートでもっと強いことを言っていた、だったらいいのにな、そしてbであってほしくない、という感じ。

 どうやらプーチンは戦況でヨタヨタしながらも、米大統領選までウクライナ戦争を継続していくつもりですね。
トランプが勝てばロシアに有利な状況が生まれる事は確実で、それをも折り込み済みのゼレンスキーはクリミアはじめ、南部を支配下に置く事が急務となっているようです。
このような場合、トランプには国際社会に手をたずさえて導く安倍さんがいました。それが日本の役割なのですが、岸田さんには到底無理です。

ここで、しゅりんちゅさんの指摘は重要です。
ゼレンスキーは中国に何ら期待してなどはいず、ロシアと一衣帯水の敵性国家だと正確に認識しています。
「これからの対中国を考えれば、ここでウクライナ支援する事は資源の無駄」と考えるのが共和党トランプ派の骨子ですが、大間違いです。
プーチンの勝利は習近平の勝利であり、侵略による国境改変に法的合法性を与える事は致命的です。
トランプ押しの日本の保守の人たち、ちゃんと考えて発信して貰いたいものです。

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