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2023年9月 2日 (土)

海洋放出を国際法で読む

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中国は、海洋放出を国際紛争にしたいようです。
日本がこれしか現実的方法がないのだ、などといっても国際関係では無意味です。
当該国の必然など誰も聞いていないからです。
こういう時は、この海洋放出を国際法に照らしてみましょう。
日本は国際法に忠実に海洋放出したことがわかるはずです。

海洋放出関連の国際法は三つあります。

●海洋放出について定めた国際法

海洋法に関する国際連合条約
海洋法に関する国際連合条約 (doshisha.ac.jp)
いわゆる国際海洋法と呼ばれるもので、これが基本となっています。
1972年ロンドン条約
ロンドン条約及びロンドン議定書|外務省 (mofa.go.jp)
「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」
1996年ロンドン議定書

「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書」
a.pdf (mofa.go.jp)

ただし、①は一般的な海洋全般を取り扱っており、②は③へとバージョンアップされていますから、事実上③の1996年ロンドン議定書が当該の国際法となります。

●主要な規制事項
(ア)廃棄物その他の物の船舶からの海洋投棄を禁止。

(注3):しゅんせつ物,下水汚泥,魚類残さ,船舶・プラットフォーム,不活性な地質学的無機物質,天然起源の有機物質等
(イ)附属書Iに掲げる廃棄物その他の物の投棄は,附属書II(廃棄物評価枠組み(Waste Assessment Framework)といわれるもの)に基づく許可を必要とする。
(ウ)廃棄物その他の物の海洋における焼却を禁止。
(エ)内水における議定書の規定の適用または内水における効果的な許可及び規制のための措置をとることを義務づける。
(オ)予防的取組の適用及び汚染者負担原則の促進について規定。

つまり、議定書によれば、廃棄物は船舶や航空機から投機してはならないということです。
ですから、コメンテーターの処理水をマンンモスタンカーに乗せて日本周辺に分散して捨てろという思いつきは議定書違反となります。
あくまでも地上からの投機に限定されます。
また廃棄物については「廃棄物評価枠組み」に準じた評価が要求されます。

72年議定書は放射性廃棄物全般の投機を禁じていましたが、96年議定書は廃棄物評価枠組みに基づいて投棄の基準を定めています。
今回のトリチウム海洋放出の場合、審査とモニタリング機関はIAEAです。
審査の結果、「国際原子力機関によって定義され、かつ、締約国によって採択され僅少レベル」だと認められています。

「一般 WAG(廃棄物評価枠組み )の手続の要点
附属書Ⅰの品目に合致し、海洋投棄せざるを得ない廃棄物であって、その量が最小化できているものについて、潜在的影響の評価を行い、その結果が適切であれば個別の許可を発給する。また、投棄後の監視(モニタリング)の実施についても規定がある」
今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について(案) (env.go.jp)

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今後の廃棄物の海洋投入処分等の在り方について(案) (env.go.jp)

ロンドン議定書の「廃棄物評価枠組み」によって、IAEAの評価が必要となりました。
IAEAは長期間かけて検証した結果、今年7月、「ALPS処理水の海洋放出は、「国際安全基準に合致」し、「人及び環境に対する放射線影響は無視できるほどである」という報告書を公表しました。

「IAEAは原子力分野について専門的な知識を持った権威ある国連の関連機関(安全基準を策定・適用する権限を保有)であり、専門的な立場から第三者としてレビュー(検証)を実施
○レビューの結果として、ALPS処理水の海洋放出は、「国際安全基準に合致」し、「人及び環境に対する放射線影響は無視できるほどである」といった結論が盛り込まれた包括報告書を本年7月4日に公表
○IAEAは、放出前のレビューだけではなく、放出中・放出後についても長年にわたってALPS処理水の海洋放出の安全性確保にコミット
○グロッシーIAEA事務局長は「この包括報告書は、国際社会に対し、処理水放出についての科学的知識を明確にした」、「処理水の最後の1滴が安全に放出し終わるまでIAEAは福島にとどまる」とコメント」
IAEAがALPS処理水海洋放出の安全性を確認|ALPS処理水(METI/経済産業省)

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IAEAがALPS処理水海洋放出の安全性を確認|ALPS処理水

日本は、このような国際法と国際機関の審査の段階を踏んで海洋放出をしているのです
同様のロンドン議定書を遵守して、IAEAの査察と指示に従って世界各国の主要原発もトリチウムを海洋放出しています。

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100193104.pdf (emb-japan.go.jp)

上図によれば

・フランス・ラ・アーグ再処理施設・・・  1京1460兆㏃(液11400+気60) 2018年
・カナダ・ブルースA,B原発       ・・・1750兆㏃(液756+気994) 2018年
・英国セラフィールド再処理施設    ・・・  479兆㏃(液423+気56) 2019年
・カナダピッカリング1-4原発   ・・・ 440兆㏃(液140+気300) 2015年
・カナダ・ダーリントン原発        ・・・ 430兆㏃(液220+気210) 2018年
・英国・ヘイシャムB原発(英国) ・・・398兆㏃(液396+気2.1) 2019年
・ルーマニア・チェルナヴォーダ1原発・・・ 292兆㏃(液140+気152) 2018年
・中国・泰山第三原発                ・・・238兆㏃(液124+気114) 2019年
・中国・紅沿河原発      ・・・(液体:87兆Bq+気体:1.9兆Bq ) 2019年
・中国・寧徳原発       ・・・(液体:98兆Bq+気体:1.0兆Bq)2019年
・中国・陽江原発       ・・・(液体:107兆Bq+気体:1.2兆Bq)2019年
・韓国・月城原発                       ・・・ 141兆㏃(液31+気110) 2019年
・韓国・古里原発(韓国)・・・(液体:91兆Bq+気体:23兆Bq)2019年

世界各国が日本の海洋放出について批判できないのは自らもこれだけ出しているからです。
みずからもしていることで、他国を批判することはフツーやらないんですがね。
その世界唯一の国が中国でした。おっと、ロシアもいたっけか。

 

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コメント

残念ながら、国際法を遵守する相手ではありません。国内的には、「大メディア・反日左翼・シナ朝鮮」の言うことの反対が正しく、国際的には、シナ朝鮮+ロシアは西欧・日本とは全く異なる文明文化圏であることを訴え・広め続けるしかないのでしょう。それに気づかず・発信もしなかった日本が悪いのです。オカシナ贖罪意識にとらわれ、かの文明文化圏を擁護・支援し続けた結果が、今日の世界の混乱です。一つだけ、日本が立派だと思うのは、国内事情のまずさを対外事象にすり替えないことです。もっとも、そうする度胸もない「びびり」ということなのでしょうが。

はい。「汚染水ガー」な人たちは、中共産アサリ、イカ、カニフレーク、縁側…etc. 、韓国産ヒラメ、アナゴ、タイラギ、ウニ…etc.、英国産サーモンや北米産ズワイガニ、サケ、数の子…いやもしかして、英国マルドンや仏ゲランドの海塩まで全部、「危険!使用禁止!輸入禁止じゃー!」と言わねばならないのです。
みんな大好き冷凍食品の具材や、サメ類や甲殻類などサプリメントの原料はどうですの?アホらし。
各国みんなお互い様で、科学技術と法や枠組みに沿ってやっている中で、水産物の衛生面で度々問題を起こす輸出国があるのは皆知っているし、日本企業が輸入相手国に技術指導している品物ならより一層良き、と思っている国民は多くございましょう。
常に診断しながら動いて、鎬を削るような努力をするしかないのです。
商売の9割以上が中共向けで困ってます、な企業(漏れ聞くところによればそれほど多くはないそう)に自業自得と評価を下すのは簡単ですが、独力だけで切り開いて転換するのは無理でしょうから、多勢の助けを借りながら、EU-HACCPを取得するなどして、リスク耐性を増やしてほしいと考えます。
なお、野村農水大臣はおそらく、しくみや論理を自身の脳を使って咀嚼して自分のものに出来ていないし、その力もないと見受けます。せっかくある様々な裏付けを、発言に全然活用できていません。なのでそのポジション、宜しくはないですね。とはいえ、更迭されようが続投しようが、どうにでも都合のいい解釈ができますから、中の人変わったの?と思うくらい成長してほしいのですけどね。無理か。

 中国が海洋放出に異様なほど反対する背景として識者は以下の三点を挙げています。

1 岸田首相がキーウ訪問したことで当時「平和の使者」として訪露していた習近平のメンツを潰した。
2 日本が米国の対中半導体輸出規制に協力している。
3 日韓関係が改善し、日台関係も親密になっている。

 したがって彼らの目的は処理水放出を実行させた岸田首相のメンツを潰し、水産物輸入規制緩和と引き換えに半導体輸出規制を撤回させるとともに、韓国と台湾の反日親中野党を勢いづかせるという一石三鳥を狙っているのだと思います。
 昨日も書きましたが、岸田首相が取りえる譲歩は中国の専門家を招いての現場視察くらいであり、それ以上は米国を裏切ったり、日台親善関係者の行動を不当に縛ったりしなければならないので難しいでしょう。
 中国があくまで処理水放出禁止にこだわり続ければ辺野古移設阻止のオール沖縄のように自縄自縛に陥ってくれるのですが……。

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