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2023年9月 9日 (土)

1ミリシーベルト除染という愚行


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1ミリシーベルト除染という愚行がありました。
過剰な除染活動は、住民の帰還を大幅に遅らせ、避難地域を著しく荒廃させました。

ではなぜ、「1ミリシーベルト」なのでしょうか。
これは民主党政権時に定めた規制値でした。
この背景には、当時世間を覆っていた放射能への過剰反応による、「1ベクレルでも低線量被曝して多臓器疾患を起こす」「事故前はゼロだったんだからゼロに戻せ」というような脱原発派の「民意」がありました。 
これにおびえたのが当時の民主党政権でした。民主党政府は、事故収束に失敗しただけではなく、情報を隠匿したり、朝令暮改の発表をしたあげくリスクコミュニケーションに失敗しました。

その結果、国民にいらぬ動揺を与えてしまい、生み出されたのが「ゼロベクレル主義」と私が呼んでいる過剰に放射能の被害を恐怖する心身症でした。
首都圏を中心としてあらゆる地域に子供を持つ若い母親たちのサークルができます。

シーベルトは、外部被曝や内部被曝で実際に人体が影響を受ける放射線量を表す単位として、「1時間あたり1ミリシーベルト」のような形で用います。
ベクレルは本来持っている放射線量の量であることに対して、シーベルトはそれかどれだけ人体に影響のあるのかを示した数値を表しています。
「1ミリシーベルト」は1シーベルトの1000分の1です。 

ではこの1シーベルトはどのていどに危険な数値かといえば、急性被曝による吐き気などの症状がではじめる数値です。
この倍の2シーベルトになると、5割の人が死亡します。
下の『美味しんぼ・福島の真実』で、あの雄山が「福島から逃げろ」とトンデモを言っていますが、確かに2シーベルト以上なら正しいのですが、あいにく単位はその1000分の1でした。

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スピリッツ

雄山こと雁屋哲が「放射線の知見はない」と言っていますが、ないどころかこれほどハッキリと知見がある分野は珍しいほどです。
それはともかく、逆に半分の500ミリシーベルトでは、リンパ球の減少が見られ、100ミリシーベルトあたりからグラデーションのように、喫煙・暴飲暴食などの生活習慣による健康被害と混じり合って、これが放射能被害だと言えなくなります。 
放射線防護ではこの100ミリシーベルト以下を、「わからなく」なるが、「ないともいえない」ということで、そのまま「いちおうあるかもね」ていどのニュアンスで考えています。 

というのは、100ミリシーベルト以上までは、鉄板の臨床記録があるのです。 
放射能障害が分かっているというのは、悲しいことですが、わが国は広島・長崎の被爆という悲劇を通じて大規模疫学調査である寿命調査(LSS・Life Span Study)がなされたからです。 
これはいわば被曝の巨大データ・バンクで、責任ある広島大学医学部研究機関による、実に20万人以上の、しかも40年間という被曝者の終生に渡る追跡調査です。
これは被爆者手帳によって、その方が亡くなられるまで健康状況を追跡したもので、世界でこれを凌ぐ疫学記録は存在しません。 

この広島・長崎LSSの調査の結果、以下のような放射能の影響があることがわかっています。   
障害は被曝後数週間で発生する急性障害と、数か月から数十年の潜伏期間を経て発症する後障害(晩発障害)に分けられます。  

これは受けた放射線量によります。


100ミリシーベルト           ・・・・吐き気、倦怠感、リンパ球の激減
250ミリシーベルト以下        ・・・・臨床症状が出ないが、後障害
250ミリシーベルトを短時間に受けた場合・・・・早期に影響が出る
500ミリシーベルト           ・・・・リンパ球の一時的減少
1500ミリシーベルト    ・・・・半数の人が放射線宿酔(頭痛、吐き気など)
2000ミリシーベルト          ・・・・長期的なは血球の減少(白血病)
3000ミリシーベルト          ・・・・一時的な脱毛
4000ミリシーベルト          ・・・・30日以内に半数の人が死亡
(「放射能と人体」1999年による) 

広島・長崎では500ミリシーベルト以上被曝した場合、その線量によってガン発生率が増大することがわかっています。  
1時間に年間許容限度の放射能を浴びてしまうと、人体はDNA損傷を修復できなくなってしまいます。それがガンなどの原因になる可能性があります。

またもや『美味しんぼ』で恐縮ですが、福島で山岡こと雁屋氏は「たまらない倦怠と鼻血が出た」といっていましたが、これは100ミリシーベルト以上を一気に浴びた急性被曝症状です。
ホントなら、雁屋氏はとっくに死んでいるか、高い確率でガンを発症したはずです。
雁屋氏が死んだとか、ガンになったという噂は聞かないので、こういう類の話は、世間では「幽霊は見たがる人にのみに見える」と言っています。

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スピリッツ

放射線はその量と時間によって、大量に一時期に被曝すれば活性酸素を発生させてDNAに損傷を与えます。 
逆に言えば、少量の放射線を浴びても、人体はよくできているもので、切断されたDNAを自己修復してしまいます。
これをグラフで表したのが、福島事故以来一躍有名になったLNT仮説(閾値なし仮説・Linear-No-Threshold )というものです。 

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100ミリシーベルト(mSv)以上の被曝についてはAのライン(赤実線)のように、被曝線量に比例して発がん率が上昇しました。 
ここまでは、さきほどお話したように広島・長崎の鉄板記録があって『美味しんぼ』のようなヨタ話ではなく事実です。 
しかし、100ミリシーベルト以下については、疫学データーが存在ません。 
しかし、リスク評価としては「ないとも言い切れない」ということで、この部分をグラフで点線で描いていますが、「100ミリシーベルト以下も線量に比例する」と叫びたい人たちは、実線で書いています。 

しかし、立ち止まって考えてみましょう。
放射性物質という目に見えない無味無臭の物質だから恐怖心が募りますが、これがアルコールだったらどうでしょうか。 
アルコールによる健康被害をこのLNT仮説に置き換えると血中アルコール濃度が0.4%を越えると、約50%が死亡するから0.04%を越えると、約5%が死亡する恐れがあるということになります。
0.04%とは、ビール1本分ていどです。

わきゃないでしょう。だって常識的に考えて、大量摂取すれば危険ですが、少量摂取すれば百薬の長になるかもしれないわけです。
ちなみに酒には強い弱いの体質がありますが、放射能に強い体質などはありません。
ただし、80ミリシーベルトあたりで逆に健康になるという、眉唾なホルミシス効果説もあります。
ラドン温泉などの薬効というやつですね。ただし、科学的に解明されておらず、いまのところは異端の説となっています。

このLNT仮説の危なさは、このような大量摂取した時の危険性を、そのまま比例して見積もったことにあります。
ただし、ビール1本をゲコが宴会で、無理やり一気飲みさせられたというケースもあることを考えて、ICRP(国際放射線防護委員会)は、このLNT仮説を否定していません。

おそらく現実にはあえて100ミリシーベルト以下を書くとすると、開米瑞浩氏によればこんな感じではないかとのことです。

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開米瑞浩氏 による

■参考資料 LNT理論に関する論争 原子力技術研究所 放射線安全研究センター
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/20080604.html

しかし、この科学者がデータがないから「わからない」と言っていることを逆手にとって、「わからないから判明していないだけで、ほんとうは危ないのだ」という人がゴッソリ発生しました。
科学者が言う「わからない」は、一般人が使う「わからない」とは意味が違います。
先ほど漫画の中で雄山は、「知見がないことはわからないことだ」なんてバカを言っていますが、知見はありますが、疫学的に他の健康障害の中に紛れ込んでしまっているから「わからない」のです。
したがって、1ミリシーベルトていどの低線量被曝の健康被害は、「疫学データがないために科学的根拠がない」という意味てのです。

ではまったく低線量被曝の疫学データが「ない」のかといえば、そんなことはありません。
南相馬病院の坪倉正治医師と、東京大学の早野龍五氏によるホールボディカウンター(WBC)の測定と分析結果かあります。
南相馬で測定した約9500人のうち、数人を除いた全員の体内におけるセシウム137の量が100ベクレル/kgを大きく下回るという結果が出ました。これは測定した医療関係者からも驚きをもって受け入れられたそうです。

この調査の時にも実は4名の高齢者が1万ベクレルという高い線量を持っていました。この原因もわかっています。
この方たちは、避難区域の原木からとったキノコ類を食べていたということです。
キノコ類はもっとも後まで放射能が測定されたものです。

なお、このキノコによる放射性物質の過剰摂取は、ベラルーシでも観測されています。
ベラルーシで長年被曝に対しての研究と指導を続けている、ベルラルド放射能安全研究所のウラジミール・バベンコ氏は、「基準値の100~200倍あった」と話しています。
おそらくこの被曝原因物質が、乾燥きのこだとすると、25万bqから50万bqという気が遠くなるような線量です。これを5bqですら恐怖する方々はなんと評するでしょうか。

このきのこ類による子供たちの被曝は深刻でした。下図がベラルーシ児童の被曝数グラフです。

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ベルラルド放射能安全研究所による

これを見ると、白くハイライトした部分が飛び抜けて高いのが分かります。
2003年11月、2004年11月、2006年11月・・・すべて秋のきのこ収穫期にあたっています。
特にきのこに大きく食生活を依存する貧しい家庭では小児ガンなどが多発したようです。

秋のきのこを食べたこと、これがベラルーシの児童被曝が今に至るも続く最大の原因です。
このベラルーシ特有の原因を押えることなく、「ベラルーシでは、事故後10年、25年経つ今でも小児ガンなどが発症している」ということを平気で書く人がいるので困ります。

では福島に戻って、事故後の子供の被曝状況はどうでしょうか。
坪倉先生のチームでは、これまでに、いわき市、相馬市、南相馬、平田地区で子供6000人にWBCによる内部被ばくの測定をしました。親御さんの心配もあり、この地域に住む子供の内部被ばく測定の多くをカバーしています。(一番多い南相馬市で50%強です。)
6人から基準値以上の値が出ています。6000人に対して6人というのは全体の0.1%で、この6人のうち3人は兄弟です。

基本的には食事が原因に挙げられるでしょうが、それ以外にもあるかもしれないそうです。
子供の線量について、坪倉先生はこう分析します。

「子供は大人に比べて新陳代謝が活発で、放射性物質の体内半減期が大人の約半分ということがわかっています。ですから、子供の場合は例え放射性物質が体内に入ったとしても、排出されるのも早いです」

このように福島事故の後も、放射能による有意な健康障害は確認されていません。
1ミリシーベルトという民主党の規制値がいかに現実ばなれしているか、おわかりになったでしょうか。
民主党政権は原発事故終息に失敗し、その反動で起きた国民の放射能パニックを、本来ならば正しい情報を与えて、「冷静になれ」とクルーダウンすべきなのを、逆に煽ってしまったのです。

 

 

 

 

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コメント

愚行というか幻想ですね。

当時の不安な消費者心理に付け込んだ「ベクミル」とか上手いこと商売しとるなあ、と。

これで入るか?ココログ!

100mSvという値も、急性被曝(瞬時あるいはせいぜい1日)の場合の人体への影響であって、線量率、100mSv/年とはまったく違うのです。
修復機能のないオスのショウジョウバエを使ったマラーの実験に基づいて放射線被曝で損傷したDNAは回復しないという間違いで1mSv/年などという間違った防護基準ができ、これが未だに独り歩きしています。
DNA損傷は、1日で普通の人でもストレス、運動、紫外線、食事などで数万から数十万個も損傷しているのです。一方、100mSvの急性被曝でさえ、損傷するDNAは僅か数百個です。ですから、100mSv/年などで人体に影響などあるはずがないのです。
なお、ICRPはLNT仮説はあくまで放射線被曝防護基準のための仮説であって、実際の人体への影響とは関係しないと2007年に報告しています。

週末なので、くだけて作品の話を。
雁屋哲原作の「美味しんぼ」が読み手の食への意識を高めたことは否定しませんが、Google先生で「美味しんぼ」と入力すると、サジェストや続く検索ワードに「間違いだらけ」「嘘」「矛盾」「おかしい」などがある通り、様々な人々から「美味しんぼ」にある嘘情報や根拠無し情報が指摘されています。
「美味しんぼ」で正しい知識を得た、と信じる人は今やそう多くはないでしょうが、そういう人を気の毒に感じるほどです。
トンデモ情報や偏った思想に気をつけていれば、かつてのブームももっと意味あるものになっていたでしょうけれど、結果今では、食材や料理のダメなところを論う「美味しんぼ」よりも、良いところを楽しむ「孤独のグルメ」(久住昌之原作)の方が、多くの人々から手堅い支持を得ていると思っておりまする。
偽科学や偏った情報に依って立てば結局は崩れますが、そこまでに掛かる時間で多くを失ってしまうのですね。

100ミリシーベルト以下は、あまりにも影響が少なすぎて、他のリスクに中にかくれてわからないほどなので直線仮説にしていることは、私が学生の頃、もう50年以上も前に習ったと思います。 一方、自然放射線で被曝するのは世界平均で年間2.4ミリシーベルト、日本の平均で2.1ミリシーベルトなので、なぜ年間1ミリシーベルトを基準値にしたのかよくわかりません。自然放射線より少ない量なので、そんなもの基準になるんだろうか? そして、宇宙飛行士が1日で被曝する量がほぼ1ミリシーベルトです。 年間の基準を1日で被曝して、そして何日も宇宙にいます。 だれも被曝が多いからやめろとは言わない。 それぐらい被曝しても人間はどうもないことが、わかると思うのだけれど。 ちなみに私はホルミシス現象はあると思います。 微量の放射線を被曝した方が健康に良い。世界中のラジウム温泉で確認されている気がします。

この世の中には、「この世界に不幸が絶えないのは、影で美味い事やってる現体制の悪人どもが跋扈してるからだ」「私は賢いので、彼等の悪だくみなど先刻お見通しだ」「正義の私が奴等の悪をあばき、大衆を正しい方向へと導くのだ」「そんな私はエライし、その私の行動には間違いは無い、私に従うのだ!」、というようなお目出度い心理の人も少なくないんですわ。

ヒトは恐怖を感じると何故だか脳内に快楽物質が出る(おそらく恐怖の元に対して萎縮しないように)そうです。心霊スポットへワザワザ出掛けたりするのも、そのためとか。その傾向がより強いと、放射能が死ぬほどコワイのに放射能で騒ぐ事が三度のメシより楽しいという放射脳な方々が出て来ます。

旧民主党とその支持者の多くが上記の特徴を兼ね備えていたとしたら、支持者の希望を叶えるという意味で、旧民主党の対応には合理性がありました。今では恥ずかしくてコッチが赤面する「美味しんぼ」の内容ですが、あの時には私も信じていました。それくらい放射脳の方々の影響力は絶大でしたし、視聴率に血眼のマスゴミは競って「タイヘンだぁ」と報道していましたしねぇ。

事故からやや時が経って「たしか、福島に人住めないって言ってなかったっけ?????」と正気に戻った頃に、どこにリンクが貼られていたのか忘れましたが、こちらのブログに辿り着いて、より現実に相応する事実とやらを知らされて納得しましたわ。くりかえし、お礼させてもらいます。

>民主党政権は原発事故終息に失敗し、その反動で起きた国民の放射能パニックを、本来ならば正しい情報を与えて、「冷静になれ」とクルーダウンすべきなのを、逆に煽ってしまった

あれから10年、思い返すと。過剰なリスク回避と無謬への拘り、それを歯を食いしばって成すことを労う事なく疑い更なる苦行を強いる、それがまるで当たり前の権利のようにまかり通る風潮が定着してしまった今は、これが起点なのかと感じています。
元々屋上に屋を架すのが寄り添う姿勢という政策文化はありましたが、1ミリシーベルトやゼロベクレルを目指すのは下の屋が本懐する愚策です。
それを日本を崩壊させる意図がある程策略があるわけでもなく、なんとなく勢いでやってた民主党の面々、私は忘れません。

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