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2023年9月27日 (水)

黒海艦隊司令部の破壊、黒海艦隊司令官死亡か

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なんというのか、かんというのか、ここまで必中だと、すげぇとしか言いようがありません。
ウクライナ軍が、1週間前にドックで2隻を使用不能に追い込んだセバストポリ軍港に対して22日、場所もあろうに黒海艦隊司令部をピンポイント爆撃し、司令官、参謀長を含む数十人を死傷させました。
日本でいえば、横須賀の自衛艦隊司令部で幹部会議を開いていたところにミサイルが3発も壁をブチ破って全員病院送りになった、というようなものです。
このようなことは世界の海軍の歴史でも稀です。

ウクライナ軍特殊部隊によれば、攻撃時、司令部では最高幹部会議が行われており、この攻撃によってアレクサンドル・ロマンチュク大将とオレグ・ツェコフ中将が重傷を負ったとされ、この他にも数十人の高級将校が負傷したとされます。

ウクライナ国防情報長官キリロ・ブダノフは攻撃で少なくとも9人が死亡、16人が負傷、死者の中にはアレクサンドル・ロマンチュク大将も含まれるとされていますが、未確認です。
ロマンチュク大将は、黒海艦隊だけではなく、ザポリージャ周辺に展開するロシア軍全体のの司令官です。

ロシア側は死亡説を否定していますが、とうぶんの間は病院送りのはずです。

「ウクライナ軍は23日、クリミアのロシア黒海艦隊司令部に対する前日のミサイル攻撃について、ロシア海軍当局者の会合に合わせて実施したと説明した。クリミアでは23日も攻撃が続いた。
ウクライナ軍は短い声明を発表。22日の攻撃でロシア側は「黒海艦隊の幹部を含む数十人が死傷した」と主張した。詳細は明らかにしなかった。

ウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長は、ロシア軍司令官2人が重傷を負ったと述べた。ウクライナ軍関係者は、攻撃にはイギリスとフランスから供与されたミサイル「ストームシャドウ」を使ったとBBCに話した」
(BBC9月24日)
ロシア黒海艦隊司令官ら重傷、海軍会合に合わせクリミアを攻撃=ウクライナ軍 - BBCニュース

ロシア国防省も、26日、ソコロフ大将が参加する会議の映像を公開して、ウクライナ側の発表を否定しています。
ただしウクライナは、この映像は静止画の貼り付けにすきず「映像に映るソコロフ大将は全く動かない」と指摘しています。
これだけの攻撃でまったくの無傷というのもおかしな話ですし、かといって死亡が確認されたわけではありません。

少なくとも3発以上のミイルが司令部に着弾し、司令部は黒煙を上げ、中心部分が完全に破壊されたことが確認されています。
攻撃には英仏から供与された巡航ミサイル「ストームシャドウ/SCALP」が使用されました。

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ストームシャドウ/SCALP

ストームシャドーは、重量1300キログラムで2段式のタンデム弾頭を搭載し、1段目がコンクリートの外壁を打ち抜き、2段目が内側に突入し爆発します。
艦隊司令部は分厚いコンクリート製の建造物でしたが、このタンデム弾頭により完全に内部まで破壊されてしまったようです。

ロシア軍は一週間前に大規模なミサイル攻撃を受けた事で防空網を強化していたはずですが、司令部もろとも吹き飛ぶという失態を許してしまった形です。

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この作戦は、22日金曜の午後一時に開始されました。
作戦名は伝えられる所によればCrab Trap、つまり「カニを捕まえる罠」です。
ウクライナにとって1週間前のドック攻撃は前菜のようなもので、これは艦隊司令部を一網打尽にするための罠だったようです。
通常、ロシア軍海軍司令部は地下にもぐっていると見られていましたが、軍港の大打撃に際して艦隊首脳は必ず一同に会して会議を持つとウクライナは読んでいたようです。
この日時、場所、さらには部屋のありかまでウクライナは察知していました。

攻撃を受けた当時、セバストポリは十重二十重のレーダーや地対空ミサイルシステム、対空砲を多数配備していました。
世界有数の対空ミサイルシステムであり、約240キロメートル射程を持つS-400地対空ミサイルシステムを少なくとも4基、短射程のパーンツィリ、ブークなど計50基がひしめくように配置されていたはずでした。
これを突破するのは不可能だと思われていましたし、西側もそう思っていたはずです。

ウクライナ空軍は、この黒海艦隊司令部攻撃の二日前の20日にも大規模なミサイル攻撃をセヴァストポリに向けて行っています。
ストームシャドウ/SCALPを搭載した11機のSu-24M戦闘爆撃機は、ヘルソン州との州境に近いオチャコフまで飛行した後、8発のミサイルと3発のスタンドオフデコイジャマーのADM-160 MALDを発射しました。
ジャマーとは囮ミサイルのことで、防空システムをこちらに引きつける仕事をします。
しかし5発は途中、ロシア軍の短射程防空ミサイルシステムによって迎撃され、残りの3発はセヴァストポリ近郊で迎撃され、攻撃は失敗に終わりました。

今回の司令部攻撃も、この失敗を修正して実施したものだと思われます。
そもそもウクライナ空軍は弱小であり、機体は古く旧ソ連製の機体には西側のストームシャドーは搭載できないといわれていました。

それを可能にしてしまったウクライナ空軍と特殊部隊に敬意を表します。
どのような作戦だったかは不明ですが、作戦の目的は達成されました。おめでとう。

なお米国はATACMS(エイタクムス)の供与を決定したようです。

「ワシントン 22日 ロイター] - バイデン米大統領はウクライナのゼレンスキー大統領に対し、米国はウクライナに長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」を供与すると伝えた。米NBCニュースが22日、複数の米政府当局者と議会関係者の話として報じた」
(ロイター2023年9月23日)
米、ウクライナに長距離ミサイル「ATACMS」供与へ=報道 | ロイター (reuters.com)

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ATACMS ブロック1Aは射程距離最大306キロにも及ぶ長距離ミサイルで、前線のはるか後方にある指揮統制センターや防空施設、兵站施設などの攻撃に利用できます。
ひとくちに射程300キロといいますが、東京から愛知県豊橋あたりというとてつもない遠距離に相当します。
これが使用できるようになると、今回のように航空機で決死的作戦を遂行することなく、はるか後方からセバストポリを完全に射程範囲に収めることが可能になります。
もはやセバストポリは、ロシア海軍にとって安住の地ではなくなったようです。

 

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露メディア、ウクライナ軍はSu-24でストーム・シャドウを運搬している (grandfleet.info)

ウクライナに平和と独立を

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コメント

 そら恐ろしいほどの戦果でした。
入念な準備と情報収集、何重にも張り巡らされたミサイル防衛網を突破する方法等、すべてがドンピシャだったという稀有な例です。

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