ムネオはuseful idiotです
イスラエルが大変なことになっているようですが、こちらを先に書いてしまったもので、明日に。
さて「ムネオ」こと、鈴木宗男氏が維新を除名されるようです。
当然すぎるほど当然で、維新の党内処分に止まらず、国会議員として懲罰委員会に掛けて辞職勧告するべきです。
ところがこの人、実は懲罰委員長で、しかも参院には届け出だしてたそうです(笑)。
党のほうの事務局は閉まっていたのを知って出し、国会のほうはぬかりなく提出してあるとは、さすが古狸、やることがセコイ。
まぁこの人、仮に除名になっても無所属で当選できる自信がありますしね。
「日本維新の会の鈴木宗男参院議員は8日、自身のロシア訪問に関する党の除名処分検討を受け、札幌市内で記者会見した。現地滞在中のメディア取材への発言が問題視されていることについて「政治家の言葉尻や認識でとやかく言い始めたら民主主義ではなくなる」と反発した。
鈴木氏は党に事前届を出さずにモスクワを訪問したことについて、党事務局が閉まっていて届け出ができなかったためと釈明。その上で「(手続きに)瑕疵(かし)があるのは事実。いかなる処分も受ける」と述べた」
(時事10月8日)
維新・鈴木氏、発言問題視に反発=「民主主義でなくなる」|ニフティニュース (nifty.com)
【ノーカット版】「ロシアの勝利 ウクライナに屈することはない」鈴木宗男議員 国営メディアにメッセージ ― 2分55秒動画(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース
ロシア官営のスプートニクの動画を見ると、ムネオはこの戦争をロシア用語の「特別軍事作戦」と呼び、「ロシアの勝利、ロシアがウクライナに対して屈することはない。ここは私は何の懸念もなく、100%確信を持って、ロシアの未来、ロシアの明日を信じているし、理解している」と言っています。
当人は国力の差がどうのと言っていますが、「ロシアはウクライナに屈しない」という表現をしていますから、言い訳になりません。
なにが「ロシアはウクライナに屈しない」だつうの。てめーのほうから侵略しておいて「屈しない」はないもんです。
ほんとうにムネオがロシアの友人ならば、2014年2月までの国境線に戻ることだけが和平ですよ、と忠告していらっしゃい。
とまれ言葉遣いから認識までまんまロシアの主張そのもので、これではパイプ役もナニもあったもんじゃありません。
パイプはパイプでも、ロシアから日本への伝声管です。
当人はこれは届け出が遅れた瑣末な行為にすぎず、政治家が認識を問われるのは言論の自由に反すると言いたいようですが、ちゃうねん。
今あんたが批判されているのは届け出うんぬんに対してではなく、ロシアに出かけてゴマをすりまくってくるという自由主義国の政治家にあるまじき裏切り行為に対してです。
国内の媒体にしゃべったり、身内の周回で言っているぶんには、批判は受けても辞めろとまでは言われませんでした。
渡航禁止を破ってまで出かけて行って、ロシア様万歳を叫んでくれば、こう言われても仕方ありません。
ところで、田母神俊雄氏がこんな援護射撃をしています。
「鈴木宗男議員が独断でロシアを訪問したとして日本維新の会で処分が検討されるとか。しかし今回の露ウ戦争で日本は露を完全に敵にしてしまい中露の挟み撃ちにされる状況になってきた。露とのチャンネルも必要だ。その意味で日本政府も鈴木議員をうまく活用した方がよい。日本は中露とは地理的に近い。米国と全く同じ露対応でいいわけがない。米とも露ともそこそこ上手くやれる方策を考えるべきだ」
Xユーザーの田母神俊雄
「日本は中露と地理的に近いから、米と露とそこそこにうまくやれ」というのが、この憂国センセイのご意見だそうで、ムネオはロシアとうまくやってくれた、ということのようです。
この人の薄っぺらな愛国心がバレます。なんですか、「そこそこ上手にやれ」というのは。
ロシアに対してはウクライナに侵攻したお気持ちはよーくわかります、と言い、米国に向いては、けしからんG7で結束しましょう、という二枚舌外交をしろとでも。ご冗談を。
そんなことをしたら米国は日本を信頼に足る同盟国とは金輪際思わなくなるでしょうから、持論のニュークリアシェアリングなんぞ吹き飛びます。
そもそもウクライナ正面で手一杯の今のロシアに、中国と共同して日本と戦端を切る軍事的余裕があるかどうか、元軍事官僚ならわかりそうなものです。
中国ですらウクライナ戦争の戦況を見て大いに日和見しているのであって、濡れ手に粟の儲け話と乗り気なのは正恩の国だけです。
なりふりかまわぬ領土拡大をするロシアと「そこそこうまくやれ」と言う元幕僚長とは、いったい何者だったのでしょうか。
ほんとうにウクライナ侵略は、日本社会のバカ発見器になりますね。
さてロシアという国は、旧KGB(現FSB)のチェキストを統治体制の核にしてできあがった国家です。
よくプーチン体制の支柱はシロヴィキとオルガルヒだと言われていますが、シロヴィキはFSBと軍を指します。
オルガルヒはすでに権力から退けられており、いまやシロヴイキはFSBによって支配されています。
「シロヴィキの中核は、プーチン自身が長官を務めた旧KGBの後身であるロシア連邦保安庁(FSB:アルファ/ヴィンペルなどの特殊部隊と国境警備隊を傘下に収める)である。これに内務省(民警・ミリーツィヤと国内軍と国防省(連邦軍)などの武力省庁が加わる構図である。シロヴィキのロシアの政治エリートに占める割合は年々増加しつつあると考えられている」
シロヴィキ - Wikipedia
旧ソ連では、チェーカー(国家保安委員会・KGB・GPUの前身)の勤務者をチェキストと呼びましたが、この言葉は今もロシアで生きています。
KGBという諜報・防諜組織が、ロシアという統治体制の隅々まで浸透しており、外に向けては西側の政界、官僚組織にまで浸透し、多くのエージェントを獲得しています。
ですから、ソ連崩壊の混沌から再生してきたのも、またチェキスト国家となったのも必然であり、その独裁者がプーチンKGB中佐だったというのも偶然ではありません。
このウライナ侵略を考えて立案したのもFSBでした。
FSBは本来国内諜報機関であるはずなのに、対外軍情報機関であるロシア対外諜報庁(SVR)を押し退けてイニシャチブを握ったのです。
『諜報国家ロシア』の著者・保坂三四郎氏(元在ウクライナ日本大使館勤務)はこう述べています。
「ソ連やロシアでは、軍と情報機関は明確に異なる存在です。体制が最も信用を置くのは、軍や警察ではなく、伝統的に情報機関なのです。
それは最近のロシア・ウクライナ戦争でも確認できます。
例えば、ウクライナ全面侵攻の失敗の責任を取らされ、ロシア軍の将軍が10名近く解任されました。ところが、電撃作戦のシナリオを主導したと言われるFSBの幹部が解任されたという情報はありません。そして、今年の5月9日に赤の広場で行われた「戦勝記念日」の軍事パレードで、プーチンの両横に座ったのは、第二次大戦のソ連赤軍の退役軍人ではなく、ウクライナ独立運動やチェコスロバキアの民主化運動の弾圧に活躍したチェキスト(情報機関要員)だったことも象徴的です」
『諜報国家ロシア』/保坂三四郎インタビュー 前編|web中公新書 (chuko.co.jp)
彼らKGB(FSB)は、自由主義国のそれと根本的に違った存在です。
自由主義国のインテリジェンス機関は指導者の判断の助けになるような情報を与えることが任務ですが、ロシアのそれは国家の意思決定に介入し、支配する機関になっています。
「全体主義国家の情報機関は、同時に、体制を守る「盾と剣」としての「保安機関」でもあり、国内の防諜部門が肥大化して対外諜報を侵食し、いつしか体制や指導者の望む情報のみを報告するようになります」
(保坂前掲)
プーチンが自分の好む情報ばかりを聞き、崇拝者のみを身辺に置くようになったのはこのためです。
つまり独裁者を操る機関が、このチェキストなのです。
チェーカー - Wikipedia
チェキストは大量に自由主義国にバラ撒かれており、ロシア政治やロシア語を勉強した研究者や学生、ジャーナリスト、政治家を影響下に置いています。
彼らは一様にこう言うでしょう。
「「欧米メディアの描くロシアは一面的だ」、「ロシアを悪者扱いしてはいけない」、「ロシアには欧米と異なるロジックがあり、我々はそれを理解しなくてはいけない」、という思考になっているのを見受け、強い危機感を覚えます。実はこれは日本だけでなく、欧米にも共通する傾向です」
(保坂前掲)
そして彼らは善意で、ロシアの誤解を解こう、彼らとのパイプにならねば大変なことになってしまう、そしてそう考えて、ロシアのプロパガンダに加担することになります。
そのひとつが、ワタバウティズムです。
ワタバウティズムとは、「自身の言動を批判された者が直接疑問に答えるのを避けて話題をそらす論法のこと」ですが、自由主義国のロシアに対する正当な批判を逸らす発言を繰り返すようになります。
ほら、よく聞くでしょう。
ウクライナがミンスク合意を守らないから懲罰を受けたんだとか、ネオナチだからロシア系住民をいじめたのだとか、ブチャの虐殺はフェークだ、子供の誘拐は人道措置だ、とか。
全部ナラティブですが、ずいぶんと流布されましたっけね。
Whataboutism - Wikiwand
ところで彼らチェキストの協力者は、日本の各界に広く浸透しています。
ムネオはロシアのエージェントですが、カネをもらう職業的エージェントではなく、useful idiot(役に立つ馬鹿)です。
チェキストがムネオ氏に期待する役割は、前述したように「ロシアは悪くない」「ウクライナがネオナチなので、ロシアは自国民を守るためいたしかたなく特殊軍事作戦をしたのだ」ということを言い散らすことです。
ムネオはなにかといえば、自分ほど対ロシア外交に精通した政治家はおらず、一貫してオレはブレない政治家だ、と豪語していますが、まったくそのとおり一貫してロシアの利益代弁者でした。
ムネオと佐藤優氏は、プーチンの意図を読み間違えて「2島返還論」を喧伝して、北方領土返還運動を攪乱して、「2島先行返還」が現実の道であるかのように言うことで、安倍氏すらミスリードしました。
プーチンにはまったく返還の意志などこれっぽっちもないことは訪日で明らかになりましたが、この安倍氏の判断が誤っていたのはご承知のとおりです。
プーチンはいかなる妥協も拒みました。
「しかし、2004~05年を境にその発言内容は一変、以降は「南クリルが第二次大戦の結果正式にロシア領になったことは、国際法で認められており、これについて一切議論するつもりはない」、あるいは「1956年宣言には、島を引き渡すとしても、どこの国の主権が及ぶかは書かれていない」、「日本との間に領土問題は存在しない」などという、日本としては理解しがたいレトリックを繰り返し、一貫して強硬な姿勢を示してきた。
特にここ数年のプーチン大統領の発言は、どれも2000年代前半の時分とはかけ離れたものだ。それにもかかわらず、安倍政権は当時のプーチン氏の発言に引きずられてきた可能性が高い。シンガポール合意で、日本が1956年宣言まで下りる決断をしたのも、まさにプーチン氏が当時、1956年宣言の履行はロシアの義務と認めたという一点に、望みをつないだ結果だったと考えられる」
(吉岡 明子 2021年1月13日キャノングローバル研究所)
思えばこのプーチンを日本に呼んで開かれた日露首脳会談時は、すでにロシアのクリミア進攻が起きていたのです。
この時点で安倍は二つの交渉の失敗をしています。
ひとつめの決定的失敗は、2014年3月のクリミア侵略を受けても、ロシア融和策を変更せず、北方領土・平和条約交渉に邁進してしまったことです。
そして2016年5月には、オバマの反対を押し切って安倍自身が訪露し、ソチを再度訪問し、ロシアに「新アプローチ」という経済支援プログラムを伝えます。
そして続く同年12月には、プーチンを故郷山口に招くところまで前のめりになりますが、ご承知のようにプーチンはゼロ回答でした。
当時、私は反省をこめていくつかの記事を書いておりますので、よろしければご覧ください。
崩れたロシア幻想・反省を込めて その1: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
崩れたロシア幻想・反省を込めて その2 揺らぐプーチン帝国: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
崩れたロシア幻想その3 ロシアは対中牽制になりえない: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
もちろんムネオには反省の色もなく、ロシアンフレンド街道まっしぐらでした。
この男が対露外交に与えた害悪は巨大です。
保坂氏はこうツイートしています。
「この20年間、鈴木宗男氏&貴子氏が国会に提出した質問主意書は①(外務省への個人的復讐というよりも)「反ロシア的」対露政策を進める特定官僚を標的にコンプロマット(中傷情報)を暴露・更迭、機能麻痺させる。
②2014年以降ウクライナ政府に「ネオナチ」のレッテルを貼り支援を妨害する」
XユーザーのSanshiro Hosaka
かつて、無罪なのにムショ暮らしをしたことの怨念が、ただのuseful idiot から本格的エージェントに飛躍させたのかもしれません。
とまれ、維新うんぬんではなく、政界に置いてはならないロシアンチェキストのひもつきの人物なことは確かです。
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田母神さんは民族主義者で、その延長線上に反米があります。
実は、そういう似非保守が日本に多く存在している事が「保守派」の大問題です。「保守派はバカ」と言われる、主要因でもあります。
ムネオ氏は、維新をクビになっても愛するロシアのためにこれからも多くのことができるだろう、と考えた用意周到な方法でした。北海道では新党大地の復活をさせるつもりでしょう。
さらに大きな問題は娘の貴子氏です。
この人の質問主意書をいくつか読みましたが、こんなのが自民党にいて、かつては外務省の副大臣にまでなっていた。米国はじめ西側社会で生きる我々は、大ロシア主義や中華思想など欠片も受け入れられるものではありません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年10月10日 (火) 07時40分
田母神や最近になって政治家ごっこに邁進している百田らは保守ではなく右翼とでも言ったほうがいいと思います。
リベラルと左翼が違うように保守と右翼も異なる存在だと思います。
投稿: 中華三振 | 2023年10月10日 (火) 08時13分
我が国における一緒くたに報道されがちなリベラルと沖縄や各地で騒いでる左翼の乖離も甚だしいですが、
右派もねえ。田母神さんのような極端な反米民族主義右翼、とJSFや小泉悠のようなロシア兵器に興味津津ながら極めて中立的な親米右派とは何光年もの違いがあります。
投稿: 山形 | 2023年10月10日 (火) 10時00分
事は維新にとどまらないと煽るかのように鈴木親子は森元首相を出してきており、森氏も言うべきでない話を地元新聞にわんさか喋るわ宗男を激励するわ。
所謂森配下の派閥の面々はどう思っていて、どんな態度を見せていくのか。
下手を打ったら安倍派が撃沈して謎の右翼政党にいっ時票が流れる可能性があります。
今は一時的にでもそれがあっては危うい時期です。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/277999
リベラルと保守、右翼と左翼の違いについて。
地に落ちたリベラルの看板は、今ウクライナ報道と新安保戦略を通して国際政治学者達が本来の路線に上書きができ始めています。
だからこそお花畑左翼だけでなく単なる反米保守が炙り出されているのだと思って、メディアやSNSを観ています。
左右の端を指して罵しりあいをする時期は峠を越えました。
リベラルが正論を語るなら、保守も政局や好き嫌いを脇に置いて、真っ当な論を張って極端なものを蹴散らして見せなければまた右翼の色に塗り潰されてしまうのではないでしょうか。
投稿: ふゆみ | 2023年10月10日 (火) 12時05分
こんにちはブナガヤさん。いつもレベルの高い記事を読ませていただいております。
宗男にしろ、それを肯定的に見る人々に共通しているのは日本が一主権国家として、ロシアと対等に対話できると思い込んでいることです。「米国の属国」という言い方はあまりしたくはありませんが、ロシアは日本をそのように見ており、プーチンも「半主権国家」と呼んで見下しています。
ウクライナ侵攻以前は経済を優先していたから話ができていただけで、欧米との「大祖国戦争」に突入した今となっては「欧米との決別」を約束しない限り会ってすらくれないでしょう。当然それは日米安保の解消を視野に入れたものになります。
安保解消は左翼の長年の悲願であるとともに田母神ら反米右翼にとっての対米自立と鏡合わせにあります。何年かしたら親ロシア派や親中派は新しい右翼の代名詞になっているかもしれませんね。
投稿: HY | 2023年10月10日 (火) 22時45分
そもそも何でこのイカレタヌキを維新に引き入れたんでしたっけ。
まあ、橋下みたいな「さっさと降伏しろ、それが一番幸せだ」論者も普通に抱えてるし、維新の心の声の代弁者だったりしたんでしょうかね。
投稿: ねこねこ | 2023年10月11日 (水) 12時29分