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2023年11月23日 (木)

北弾道ミサイル実験、失敗か?

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多くの日本人がそうであるように、私も怒るきにもなりませんが、北朝鮮がまたまたまた(以下略)弾道ミサイル実験をしました。
これまた言う気にもなりませんが、弾道ミサイル実験はもちろん国連制裁決議違反です。

「北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の立ち会いのもと、21日夜、北西部の「ソヘ(西海)衛星発射場」で行われた、軍事偵察衛星の3回目の打ち上げのもようを捉えた写真を22日放送しました。
写真からは、白い塗装で北朝鮮の国旗の下にハングルで「朝鮮」と表記され、一日に千里を駆けるとされる伝説の馬「チョルリマ(千里馬)」などがデザインされた新型ロケットが、オレンジ色の炎を吹き出しながら上昇していく様子が確認できます」
(NHK11月22日)
北朝鮮 “軍事偵察衛星” 打ち上げの写真公開 成功アピール | NHK | 北朝鮮 ミサイル

あ~、ばかばかしい、破ってしまって居直れば済むという程度が国連制裁決議人1695、1718、1874で、国連もずいぶんと馬鹿にされたものです。
まぁ、馬鹿にされて仕方がありませんね。

北からすればさらなる制裁強化を米国が提案しても、安保理で中露が拒否権を必ず出してくれますから、やりたい放題です。
そもそも紛争を起こしているのが常任理事国の中露ですから、永遠にナニも決まりません。
ないほうがまし。

一方、開かれていたG7外相会議は即座に非難声明を出しました。

「先進7カ国(G7)外相は22日、北朝鮮による軍事偵察衛星「万里鏡1号」の打ち上げを受けて共同声明を発表し、弾道ミサイル技術を使用した発射を最も強い言葉で非難した
(産経11月22日)
G7外相が声明 北朝鮮の偵察衛星発射を強い言葉で非難 - 産経ニュース (sankei.com)

今回のイスラエルの一件といい、もはや国連は機能不全を通り越して、ないほうがましとなっている中、G7を核にしてあらたな国際的枠組みを作る必要があるようです。

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NHK

どうやら今回も失敗したようです。

「防衛省関係者によりますと、22日午前の時点でも地球の周回軌道への衛星の投入は確認されていないということで、防衛省が引き続き情報を詳しく分析しています。
防衛省によりますと、21日午後10時43分ごろ、北朝鮮の衛星発射場がある北西部のトンチャンリから、衛星の打ち上げを目的として弾道ミサイル技術を使用したものが発射されました。
発射されたものは複数に分離し、このうち1つは沖縄本島と宮古島の間の上空を通過したあと、小笠原諸島の沖ノ鳥島の南西およそ1200キロの太平洋に落下したと推定されていて、22日未明の時点で地球の周回軌道への衛星の投入は確認されていないとしています。
防衛省関係者によりますと、衛星が軌道に投入された場合は一般的にはおよそ1時間半ごとに地球を1周しますが、22日午前の時点でも軌道への投入は確認されていないということです」
(NHK前掲)

「複数に分離した」というのは分解してしまったということです。

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北朝鮮発射 “地球周回軌道への衛星投入 確認されず” 政府 | NHK | 北朝鮮 ミサイル

おそらく前回5月と同じように2段目、ないしは3段目の推力不足により、分離に失敗して爆発して分解したようですが、まだ詳しいことはわかっていません。
また、軍事偵察衛星ならば、かならず必要になる地上との交信は確認されていないようです。

日本政府は失敗したとしています。

「松野官房長官は午前の記者会見で「北朝鮮が衛星の打ち上げに成功したと発表していることは承知しているが、現時点で地球周回軌道への衛星の投入は 確認されていないと認識している」と述べました」
(NHK前掲)

※追記
どうやら成功したようです。

「夕方になり北朝鮮の朝鮮中央通信は「偵察衛星がグアム島のアンダーセン米空軍基地の撮影に成功、12月1日より本格運用開始」と報告、そして韓国軍は北朝鮮の偵察衛星の軌道投入を確認、アメリカ宇宙軍も衛星軌道上に二つの新しい物体(衛星および第3段ロケットと推定)が乗ったことをカタログに記載しました。北朝鮮は今年2回の失敗を経て3回目にして、遂に初めて偵察衛星の軌道投入に成功したのです」
(JSF11月22日)
北朝鮮が偵察衛星の軌道投入に成功(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース

米宇宙軍が確認していますから、間違いないと思われます。

 

え、なになに、今回は偵察衛星だから弾道ミサイルじゃないだろうって。
同じです。弾道ミサイルと人工衛星ロケットの運搬体は共通、使う技術もまったく同じ。
違いは、「なにを載せているのか」だけです。
弾道ミサイルは核弾頭ですが、軍事偵察衛星は偵察衛星だということになっています。

ただし、弾道ミサイルの方はいったん宇宙空間に出て、楕円軌道を描いてから地上に再突入しますが、北がこの再突入という難関をクリアしたという証拠はありません。
ですから、北の火星ナンジャラは、現在はただのロケットにすぎません。

一方、軍事偵察衛星人工衛星運搬体は低高度の軌道に載せなければならないので、ほとんど水平に飛ばし、高度約500kmの低空軌道へ投入します。
これは低空でなければ、地上を監視できないからです。

軍事情報を常時収集するつもりだ、と軍事委員会は述べています。

「北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が29日、「軍事偵察衛星1号機を6月にすぐ発射することになる」と表明したと伝えた。李氏は、他にも多様な偵察手段を実験予定だとし、「米国とその追従戦力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡、監視し、軍事的準備態勢を強化するのに不可欠だ」と主張した」
(産経2023年5月30日)
北軍首脳が偵察衛星を6月発射と表明 「米の軍事行動を即時監視」 - 産経ニュース (sankei.com)

低く飛べば解像度が高い画像が得られる代わりに監視できる範囲は必然的に狭まります。
ですから、偵察衛星は同一の軌道を周回するのではなく、少しずつ軌道を変えて飛行して広域をカバーするか、多数の衛星がペアになって監視するようにしています。

北朝鮮が欲しい軍事情報は朝鮮半島における米韓軍の動きと近海における米空母の動向でしょうが、1基偵察衛星が上がっただけではほとんど無意味です。
よく安易に「北や中国は米空母の位置情報を知ろうとしている」などという人がいますが、バカ言っちゃいけない。
米海軍の空母の位置は最高ランクの秘密ですから、大洋に撒いたゴマ粒のような艦船を発見するには、どれだけの衛星が必要なのかわかって言ってほしいものです。

というのは地球周回軌道にうまく乗せたとしても、衛星はすぐに必要とされる地上目標の上空を通過してしまうからです。
また偵察衛星は地上を監視する性格上、人工衛星としてはギリギリまで低い1000キロで飛行せねばなりません。
一般的に、衛星は4日で同じ位置に回帰するため、地球上の任意地点を毎日最低1回は観測可能となるように、数基がペアで飛行します。

軍事偵察衛星で遅れをとった日本の場合でも、2組計4機の体制を構築することから始まり、2003年以来、高性能化のための18機(うち2基は技術実証衛星)の衛星が打ち上げられ、2023年1月現在は8機が稼働しています。

日米韓にとって、北朝鮮が軍事偵察衛星にうつつを抜かすことはいいことです。
役に立たない軍事偵察衛星を実験し続ければ、本命のICBMやIRBMの開発と増産を圧迫してしまうからです。



 

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コメント

とはいえ、時間と共にどんどん精度や安定性が増して、成功体験をどんどんと積み重ねていってしまうことは事実であって。

こういう衛星も、一個二個と見逃してるうちに、何かとんでもない技術革新が起きて(それが流出して)「一個でも軌道になっていれば軍事プレゼンスが非常に向上する」なんて未来もあるかも知れません。油断はできないかと…

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