• 20250216-055038
  • S-127_20250215005301
  • S-129_20250215004901
  • S-141
  • S-142
  • S-143
  • 20250214-014540
  • 20250215-001818
  • 20250213-105949
  • 20250211-165850

« 日曜写真館 さからはぬ薄は草の柳哉 | トップページ | ハマスを作ったイラン革命防衛隊 »

2023年11月13日 (月)

どうしてガザの病院が機能停止するのか?

S3-007_20231112072101

ガザでイスラエル軍が病院を攻撃して患者が死に始めているという報道があります。
こういった報道に反応して、日曜日には何十万単位の反イスラエルデモが各国で行われたようです。

「ガザのシファ病院の院長は、最後の発電機の燃料が尽きたため、完全に電力を失ったと言います。
イスラエルは、シファ病院がハマスの主要な司令部であると述べ、テロリストはそこで民間人を人間の盾として利用し、その下に精巧な掩蔽壕を設置したと付け加えた。ここ数日、ガザ北部の戦闘地域にあるシファや他の病院の近くでの戦闘が激化し、物資が底をついている。
「電気がない。医療機器が停止しました。患者、特に集中治療室にいる患者が死に始めた」と、シファのモハメド・アブ・セルミア所長は、銃声と爆発音を聞きながら電話でAP通信に語った」
(イスラエルタイムス11月11日)
ガザのシファ病院が燃料を使い果たしたと院長が語る |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com) 

イスラエル軍は、ガザ市を包み込む包囲環を作った後、ハマス司令部があると思われるシファ病院に向けて行動中であり、ハマス兵と激しい戦闘になっています。

20231112-071635

ガザ地区のシファ病院が機能を停止、集中治療室の患者が死に始める (grandfleet.info)

では、どうしてこのような悲惨な状況が起きているのでしょうか。
メディアは、原因がイスラエル 軍が病院を攻撃して、世界中でイスラエルの虐殺を止めろというデモが起きていると報じています。

確かにイスラエル軍は、先週9日木曜から10日金曜夜にかけてシファ病院とその北部にあるアル・シャティ難民キャンプにかけて、IDF第401師団とハマス兵が激しい銃撃戦を繰り広げました。
それに先んじてイスラエルは、シファ病院敷地内周辺に避難していた5~6万人(ベッド上2500人)のガザ市民に南部へ移動するよう再三に渡って指示していました。
戦闘のじゃまだからです。
ハマスは市民に隠れて銃を撃ち、住宅地や学校などの民間施設からロケット砲を撃ってきます。
ですから、イスラエル軍は市民の巻き込まれを防ぐために膨大なチラシを撒き、避難路を教え続けてきました。

しかし避難は始まっているものの遅々として進まず、いまだ戦闘地域に多くの市民が取り残されたままです。
この避難の遅れの原因として考えられる理由は、イスラエル軍が病院から避難する人を攻撃して逃がさないか、ハマスが病院から避難している人を逃がさないかのいずれかです。
メディアはイスラエル軍が避難を妨害しているように報じていますが、それはほんとうでしょうか。
両者はこう主張しています。

「イスラエル軍はシファ病院への攻撃も包囲も否定していて、12日には、シファ病院から南部に続く道への安全な避難経路を示して退避を呼びかけました。命の危険があるとされる乳児を避難させる支援を行うともしています。
これに対し、ガザ地区保健当局の報道官は12日、シファ病院にいる650人の患者を避難させることは絶対に不可能だと訴えました」
イスラム組織「ハマス」が人質解放交渉を中断 イスラエル軍のシファ病院への攻撃理由に~ロイター通信

「ガザ地区保健当局」とはハマスのことです。
どちらかが嘘をついていることになりますが、ガザ病院協会のツイートに病院から避難する人々の動画がアップされているので、ご覧になって下さい。

リアルなガザの現場がわかるはずです。
XユーザーのAssociation of Hospitals 

下のガザ病院協会の動画には、病院から逃げようとする人々が白旗を掲げて行進しているのが見えます。

20231112-072602

続いて二枚目、当然に銃声が響いて人々は逃げまどって追い返されます。

20231112-072628

上の動画は、このシファ病院から避難しようとする人々を撃って逃がさないようにした者がいることを示しています。
それは誰でしょうか。
シファ病院に民間人がいて欲しい者たち、彼らを最期まで避難民を人間の楯にしておきたい者たちです。それはハマスです。

また病院が燃料不足のためにICUが機能停止し、子供の患者が亡くなったと報じられ、これもイスラエルの仕業だとされています。
痛ましいことですが、ではどうして燃料がないのでしょうか。
これもイスラエル軍が燃料の搬入を拒否しているためだと報じられていますが、しかしよく考えて見てください。

ハマスは当然イスラエル軍がガザに侵攻してくることを想定しており、トンネルに籠もっての籠城戦を準備していました。
そのための燃料、食糧、医薬品などの備蓄を数カ月分を保有していました。
1年前の報道にこのようなものがあります。
このクーリエが紹介した中東当局者によれば、ハマスは数十万ガロン備蓄して3、4カ月戦えるといいますから、おおよそ40万から50万ℓは保有していたはです。

「アラブや西側諸国の政府関係者らによれば、ハマスが食料や燃料などの物資を備蓄しているというイスラエルの主張には真実味があるという。ハマスが何年もかけて建設してきたガザの地下トンネルに、長期戦に必要なほぼすべての物資をため込んでいるというのだ。
具体的には、車両やロケット弾の燃料が数十万ガロン、弾薬や爆発物、そうした武器を作るための材料、そして食料や水、医薬品などだ。
レバノンの高官によれば、ハマス(戦闘員数は3万5000~4万人と推定される)には、補給なしで3、4ヵ月は戦い続けられるだけの備蓄があるという」
(クーリエ2023年10月31日)
ハマスが長期戦に備えて、地下トンネルにたんまり「備蓄しているもの」 | 3、4ヵ月は戦い続けられる | クーリエ・ジャポン (courrier.jp)

なんとハマスは50万ℓもの石油備蓄を難民キャンプ内に持っていたようです。
地下トンネルを稼働させるために、大型換気ファンを回したり照明のために大量の電気を必要とするからです。
当然、こんなことはこのキャンプの管理責任者である「国連」UNRWAがいちばんよく知っているはずです。
トンネルにしてもそうですが、「国連」UNRWAはハマスのこの戦争準備を知り得たはずです。
「国連職員100名死亡」なんて記事がでていますが、UNRWA職員の9割はハマスで、戦闘で戦死しただけのことです。

このハマス備蓄タンクは、現時点で破壊されたという情報はありませんので、いまもたっぷりと石油を持っているはずです。
ハマスはガッチリと軍事用で抱え込んでおきたいので、民生用には分け与えない、だから民生用が枯渇するのです。

「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がパレスチナ自治区ガザに燃料が搬入されなければ25日夜に人道支援業務を停止せざるを得なくなると発表したことを受け、イスラエル軍は24日、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに燃料を分けてもらうのがいいと投稿した。
イスラエル国防軍はUNRWAによる警告に関して再投稿し、ハマスがガザ内のタンクに50万リットル以上の燃料を持っていると指摘。「ハマスに燃料を分けてもらえるか聞けばいい」と投稿した。
ガザには21日以降、食料品や水、医薬品などの支援物資が限定的ながら到着しているが、燃料は、ハマスが使用することをイスラエルが懸念しているため、搬入が認められていない」
(ロイター10月25日)
ハマスから燃料調達を、イスラエル軍がガザ国連拠点に向け投稿 | ロイター (reuters.com)

イスラエルはそれを知っているから燃料の通過は許さない、ハマスからもらいなさいと言う、メディアはそれをイスラエルの冷血と報道します。
 結果、病院の機能が停止して患者が亡くなったとしても、世界に対して人道キャンペーンを張れて、反イスラエルプロパガンダに利用できます。

またイスラエル軍がR9Xというヘルファイアの改造ミサイルを病院に撃ち込んだという報道もなされました。
流しているのは、カタールのアルジャジーラで、イスラエル軍が「悪魔の実験をした」と報じています。
ちなみにカタールはハマスのボスの豪邸がある国で、アルジャジーラは一貫してハマス寄りの報道をしてきました。

20231113-021756

JSF氏はこの残骸から照明弾の殻だと分析しています。

「この写真の右は155mm榴弾砲の照明弾の殻です。弾帯(driving band)を確認できます。R9X(ヘルファイア対戦車ミサイル対人用体当り型)ではありません」
R9Xがガザの病院に撃ち込まれた根拠無し。現場で発見された兵器の残骸は155mm榴弾砲の照明弾の殻(JSF)

それ以前にはイスラエルが「悪魔の兵器である白燐弾を使用し、多数の火傷が出ている」というパレスチナ側の報道がありましたが、これもただの白煙を出すスモーク弾にすぎませんでした。

20231113-051457

パレスチナ医療救援協会(PMRS)による即時停戦の要求(2023.10.21)|日本国際ボランティアセンター (ngo-jvc.net)

これがいま流されている西側メディアの「ガザの患者や子供がイスラエルの攻撃で死んでいる」という報道の内幕です。
戦争というのは元々錯誤と誤認の渦ですが、このガザの戦闘はわずかの期間に多くの意図的な流言飛語が流され、それが一方の側のプロパガンダに使われています。

 

 

 

« 日曜写真館 さからはぬ薄は草の柳哉 | トップページ | ハマスを作ったイラン革命防衛隊 »

コメント

 プロパガンダ戦とはかくも恐ろしいもの。ウクライナ戦争でもロシアは「ウクライナ=ネオナチ」を前面に出して発信していました。アメリカやSNSを通じたリアルな情報がなければそれが信じられていたかもしれません(今も日本国内では未だに信じている人がいるようです)。
 将来、中国が台湾や日本に攻撃を仕掛ける時も強烈なプロパガンダを仕掛けてくることが予想されます。

 ハマスが「すべての民間人は兵士である」という時、それはイスラエルへのテロ攻撃を正当化するだけでなく、ガザ地区パレスチナ住民がハマスの「人間の盾」になる事をも意味します。

ハマスは国連のガザ北部住民への避難勧告に対し、「国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がイスラエルに加担し、ガザ住民を「強制移住」させている」と糾弾しています。AFP
(AFPはこのハマスの糾弾についてUNRWAの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られていない)との事。

地上戦前の度重なる勧告や戦闘開始の延期、戦闘休止などなど民間人の被害者を出来るだけ少なくしようとするイスラエルの努力、対するハマスの民間人の避難阻止。
イスラエルによる虐殺? それは大概においてハマスの責任です。
国際法上も住民の生命財産に責任を持つ統治者であるはずの側であるはずのハマスが、人命を軽視し避難を妨害した事の責任は重いものです。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 日曜写真館 さからはぬ薄は草の柳哉 | トップページ | ハマスを作ったイラン革命防衛隊 »