• 20250216-055038
  • S-127_20250215005301
  • S-129_20250215004901
  • S-141
  • S-142
  • S-143
  • 20250214-014540
  • 20250215-001818
  • 20250213-105949
  • 20250211-165850

« ただの呼び方では済まない | トップページ | イスラエルはこの先どう考えているのだろうか »

2023年11月 7日 (火)

イスラエル、核使用をほのめかす

S-013_20231105170501

国連が、イスラエルを「戦争犯罪」として批判するまでに対イスラエル感情は悪化しています。

「(CNN) 国連人権高等弁務官事務所は1日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区のジャバリヤ難民キャンプを空爆したことについて、戦争犯罪に相当する可能性があるとの見解を示した。
同事務所はSNSへの投稿で、「イスラエルのジャバリヤ難民キャンプ空爆によって死傷した民間人の多さや被害規模の大きさを考えると、これが戦争犯罪に相当しうる不釣り合いな攻撃であるとの重大な懸念を抱いている」と指摘した」
(CNN11月2日)
国連人権機関がイスラエル非難、「戦争犯罪に相当の可能性」 - CNN.co.jp

ガザからの情報の出所の大部分は、ハマスそのものの「ガザ保健当局」か「国連」です。
では、
この爆撃を受けたガザの難民キャンプは、いったいどこの管轄下にあったのでしょうか。
このジャバリア難民キャンプは国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の管理下でした。
その「国連」がこの地下になにが作られていたかまったく知らなかった、などととぼけられては困ります。

この地下司令部は1日や2日で出来たものではなく、おそらく10年単位でハマスが作ってきたものです。
その間、「国連」はなにも見ませんでした、なにも聞きませんでしたとでもいうのでしょうか。
「国連」は地下で極めて大規模な地下司令部や弾薬庫が建設されていたのを知っていながら止めもせずに地表で市民を暮らさせ、あげくここからハマスがテロに出撃しても知らんぷりでした。
そしてここを爆撃したイスラエルには「戦争犯罪だ」と言っているのですから、なんだかなぁです。

ならばここにテロ組織が基地を作っているのを知っていなから放置してきたことは、なんと呼べばいいのでしょうか。
テロ加担罪でしょうか。

とまれ、ガザ爆撃問題でひんぱんに登場する「国連」は著しく中立性を欠いています。
口を開けば「国連」は「停戦しろ」と言っていますが、同じことをハマスに言っているのでしょうか。
なぜか「国連」は、ハマスというテロ組織にはひどく寛容です。

先日来、「国連」は燃料がないと騒ぎ立てています。
いや大量にハマスが持っているのだから「国連」はハマスからわけてもらえ、とイスラエルは言っています。

「[24日 ロイター] - 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がパレスチナ自治区ガザに燃料が搬入されなければ25日夜に人道支援業務を停止せざるを得なくなると発表したことを受け、イスラエル軍は24日、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに燃料を分けてもらうのがいいと投稿した。
イスラエル国防軍はUNRWAによる警告に関して再投稿し、ハマスがガザ内のタンクに50万リットル以上の燃料を持っていると指摘。「ハマスに燃料を分けてもらえるか聞けばいい」と投稿した」
(ロイター10月25日)
ハマスから燃料調達を、イスラエル軍がガザ国連拠点に向け投稿 | ロイター (reuters.com)

イスラエルが言うように、ハマスはしこたま燃料も食糧も医薬品も備蓄していますが、それを市民に分け与えないだけのこと。
「国連」はハマスと交渉する努力を払うべきですが、「国連」はハマスの民生部門にすぎないのでできないようです。

ところで、イスラエルはガザ地下のハマス司令部を攻撃したと発表しています。
それはイスラエル空軍の撮影した動画を見ると、爆煙が大きく拡がるのではなく地中にすぼまるように吸引されているのを見るとわかります。

20231106-140231
【ガザ地区の難民キャンプ空爆】“地下の司令官殺害”イスラエル軍報道官が主張 - YouTube

これは地表の写真をみても、爆発の威力に対してクレーターが小さく、しかも中心が深く穿たれているように見えます。

20231106-140800

CNN

おそらく米国から供与された地中貫通型爆弾を使ったのだと思われます。
これは地下30mまで地下を穿って、そこで爆発します。
ここまで深い地下で爆発すると、地表には大きな被害は出にくいので、たぶん火薬庫にでも誘爆したのかもしれません。

20231106-145135

イスラエルのガザ侵攻で地上戦が急速に拡大中。「非非対称戦」がハマス制圧のカギになる!! -

二見元陸将補は、イスラエルはガザを南北に分断し、北部に関しては徹底したトンネル潰しをするだろうとして、こう述べています。

「まず、ガザ地区中央部に幅2~3kmで東西に貫く回廊を作ります。そして、その回廊の南北の地下要塞地域を地下40mまで達する地中貫通爆弾(バンカーバスター)で徹底的に潰していきます。続いて、中央部分には155mm榴弾砲に遅延信管を入れた砲弾を打ち込んで破壊する。こうして、その回廊部分のトンネルなどの地下施設を確実に破壊していきます」
|週プレNEWS (shueisha.co.jp)

また、イスラエルの閣僚が「核使用」をほのめかしました。

「[エルサレム 5日 ロイター] - イスラエルのネタニヤフ首相は5日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘を巡り、核兵器使用が選択肢の一つだと発言したアミハイ・エリヤフ遺産相を職務停止処分にした。
極右政党に所属するエリヤフ氏の発言は非難を呼んでおり、首相府は声明を出して「現実に基づいていない」と釈明。イスラエル政府は核保有を正式に認めていない。
アラブ連盟は声明でエリヤフ氏の発言が「核兵器保有を認めた」ものだとし、イスラエルによるパレスチナ人差別の実態を裏付けていると非難した。
米国務省高官も「明らかに好ましくない発言」と語った」
(ロイター11月6日)
イスラエル閣僚、ガザへの核使用「選択肢」発言が波紋 停職処分に | ロイター (reuters.com)

うへぇ、とうとう言っちゃったという類の放言だと思います。
ネタニエフは言った当人をすぐに解任しましたが、これでイスラエルが即投入可能な核兵器を相当量保有していることが初めて明らかになりました。
いずれにせよ、いまままで米国のメンツを立てて、持っているようないないようなぬらりくらりとしたあいまい戦略は今後もうできないということになります。
中東諸国は「核保有を認めた」と騒いでいますが、あんたらよーく知ってたでしょう、そんなこと。
ブリンケンは頭を抱えてゴミ箱のひとつも蹴り飛ばしたかもしれません。
米国が汗水かいて中東を走りまわっているのになんてこと言いやがるんだって感じでしょうか。
これで湾岸諸国をなだめるのは相当に厳しくなりましたが、核保有を宣言したイスラエルを軍事的に攻撃する国はひとつもなくなりました。
イランですら、自分の息がかかったテロ団体にミサイルのひとつも撃たせるでしょうが、それ以上はしないはずです。

ところでたぶんイスラエル軍内部では、核使用のオプションを検討しているはずです。
仮にカザで核を使用したとしても、地表はほぼイスラエル軍が確保しているはずですから、地下に潜ったハマスには無意味です。
地下70メートル以下にあるといわれるハマスの指令中枢を破壊するには通常の地中貫通型爆弾では足りず、より深震度で爆発するためには核を取り付けた「核バンカーバスター」のようなものが必要です。

不確実ですが、シリアから供与された疑いがあるハマスの生物兵器に対しても、核は爆発による熱と放射線で無害化できるといわれています。

「(イラク戦争)この戦争の後,米国の軍事戦略家は地中深くに隠蔽された堅牢な攻撃目標を破壊する方法について検討を進めていた。彼らは,地下バンカーや地下武器貯蔵庫への攻撃を成功させるのが難しいことを十分に認識していたようだ。さらに恐ろしいことは,地下爆撃によって,地中に隠蔽された化学剤や生物剤を迂闊にも周辺地域に撒き散らしてしまい,致命的な結果を招きかねないという問題だ。
国防戦略家が検討した1つの解決策は,爆発力を抑えた地中貫通型の核弾頭を配備することだ。この特殊弾頭は地中に貫通した後に爆発することで破壊力を増し,そのうえ放射性降下物(死の灰)の放出を少なくするものと期待された。原理的には,化学・生物剤がバンカーから漏れ出して近隣住民に危害を及ぼす前に,爆発による熱と放射線によって破壊できる」
地下攻撃核ミサイルに異議あり - 日経サイエンス (nikkei-science.com)

米国が「核バンカーバスター」を検討しているのは、北朝鮮の地下施設を攻撃するためですが、同じ懸念をもたれているハマスの地下施設に対しての検討はあるはずです。
ただしいかなる方法であれ、核を選択したなら、その政治的反動は測り知れません。
イスラエルは深刻な国際的孤立を代償に支払わねばなりません。
絶対に核に手をつけるのはお止めなさいと忠告します。

 

« ただの呼び方では済まない | トップページ | イスラエルはこの先どう考えているのだろうか »

コメント

 これはイランが核開発を推し進めるいい口実になりますね。むしろこのためにハマスをけしかけたのではと邪推してしまいます。

核発言大臣は停職で解任されてないですね。
西岸地区への度重なる入植もガザとは別にかなり詳細に報じられ出してますし、テロ被害者としての立場が弱まる中で核をほのめかすのは孤立を恐れない表れだと理解します。

流石のプーチンでさえ、(現状では)核を使ってないところを見ると、イスラエルは核を使わない(ブラフだけ)じゃないかなぁと思います。保証はありませんが・・・。

 エリヤフ氏の発言は積極的にしたものではなく、同じ政治指向のラジオ局の質問に対して可能性の話をしただけ。
イスラエルなら、脅しにしても、以前のように核ミサイル収納サイロのフタをあけて見せるくらいな事をやるでしょう。だいいち、イスラエル側が核使用をしなければならないような状況には至っていません。

さはさりながら、こういう発言は「右派の挑発的言辞」として、世界中のリベラル勢力によって政治利用される事になります。
せめて閣僚をクビにすべきだったでしょうが、それも連立内閣の性質上出来なかったのかも。
別に憲法問題のからみもあり、ネタニヤフ政権は戦後すぐに総辞職するとの観測が正しいかも。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ただの呼び方では済まない | トップページ | イスラエルはこの先どう考えているのだろうか »