トンネルの証拠は見つからなかっただって?
どうも世の中では、ガザのシファ病院からはトンネルは見つからなかったということになっているようです。
いつのまにか、かつては中東学会の古い左翼体質を体現していた高橋和雄氏と、かつてはその批判者だったはずの池内恵氏が、仲むつまじくこんな交換日記を交わす異様な光景が見られます。
そして篠田氏と池内氏を師と仰ぐお調子者の上念氏までが、病院にはナンの証拠もなかったと決めつけています。
ちなみにこの人、初めはテッテイ的にやれと言ってたんですが、師の意見を聞くや180度旋回。
中東学者らがこの調子ですから、サヨク業界の皆さんは早くも「ガザジェノサイド」という呼び、イスラエルに輸出している商社まで死の商人と呼んで抗議行動をするように呼びかけています。
なんでも「軍拡阻止」だとか。よろずすべてが安全保障をぶっ壊したい欲求に繋がる人たちらしいですね。
商売繁盛でけっこうなことです。
『ウィーン発コンフィデンシャル』の長谷川良氏が「加害者と被害者の逆転現象」だと嘆いていました。
同感です。
「パレスチナ自治区のガザ地区を2007年以来実効支配しているイスラム過激派テロ組織「ハマス」が先月7日、イスラエルとの境界網を破り、近くで開催されていた音楽祭を襲撃し、キブツ(集団農園)に侵攻して多数のユダヤ人を虐殺したテロ事件が報じられると、世界はその残虐性に衝撃を受け、ユダヤ人犠牲者に同情心や連帯感が寄せられたが、時間の経過に連れてその同情心、連帯感は薄れ、中東紛争でこれまでよく見られた「加害者」と「被害者」の逆転現象が起きている」
「加害者」と「被害者」の逆転現象 : ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog)
加害者がいつのまにか被害者にすり替わり、ジェノサイドを止めろと叫び、「ガザを人が住めない土地にするな」と言う、それに世界の空気が共鳴してしまう、まったくやれやれです。
「平和構築学者」までが、ハマスと声を揃えて「快楽殺人国家」と呼ぶのですから、もう末世ですね。
ひとつお聞きしたいのですが、この人たちは一回くらいは片方の当事者であるイスラエル国防軍(IDF)の公式チャンネルくらいはご覧になったことがおありでしょうね。
この人らの情報は、制圧初期の先週末で止まったままです。
その後決定的ともいえる今回の情報が開示されたのですが、たぶん修正はしないでしょう。
一回印象づけたら勝ち、その後に都合が悪い証拠がでても黙殺、これが彼らの流儀ですから。
修正するくらいの柔軟性があったら、こうも簡単に「トンネルの証拠はなにも見つからなかった」と言ってのけて、高橋氏のように「捜し物はなんですか♪見つけにくいモノですか♪」なんて楽しげに歌えるはずがありません。
私はこういう情報が錯綜している場合、当事者の1次情報に当たります。
イスラエルのシファ病院捜索についてメディアは「イスラエル軍はあったと主張しているけどね」というだけで、具体的にはあまり報じられていません。
イスラエル軍の公式サイトはこのシファ病院のトンネル施設について2本の動画を上げています。
IDFの記事と動画を重ねてご紹介しておきます。
暴露:シファ病院の地下にある要塞化されたテロトンネル |イスラエル国防軍 (www.idf.il)
videoidf.azureedge.net/b9216285-5630-44f4-87a0-7f8f543de11f
videoidf.azureedge.net/95c68ff8-19f4-47ce-aeee-fe08589192cf
まず、シファ病院全体の見取り図はこのようになります。
赤い部分がテロリストの武器が見つかったり、トンネルなどの施設です。
idfanc.activetrail.biz/ANC191120236846486486
「イスラエル国防軍とISAの諜報情報に基づき、イスラエル国防軍はシファ病院の地下10メートルにある長さ55メートルのテロトンネルを暴露した。深い階段を上るとトンネル立坑の入り口に通じており、防爆扉や発射孔など様々な防御手段で構成されている。
この種のドアは、ハマスのテロ組織が、イスラエル軍が司令部やハマスの地下施設に入るのを阻止するために使用している」
このトンネルの立坑は、RPG、爆発物、カラシニコフライフルなど多数の武器を積んだ車両と並んで、病院の小屋の下のエリアで発見されました。
病院と武器を積んだ車両との位置関係はフェンスから縦穴までわずかの距離でした。
この武器を積んだ車の内部にあった武器類です。
自動車のそばの縦穴は下に10m下り、そこから横に5m行ってから50メートル下り、爆風防止扉に行き着きます。
トンネルについて、ニューズウィークはこう述べています。
「報道や研究、イスラエル・ハマス双方の情報から判断すると、ガザに要塞化された複雑な「地下都市」が存在するのは間違いないだろう。
ガザのハマス政治部門指導者ヤヒヤ・シンワールに言わせれば、同地区の地下に建設したトンネルは最大で総延長500キロに及ぶ。ハマスの人質や捕虜は、今回拘束された人々も含めて、巨大な地下施設に収容されたと証言した。
コンクリートで補強されたハマスの地下通路は「恐怖の地下都市」であり、国際社会がガザ住民支援のために寄付した建設資材を盗用したものだと、イスラエル軍は主張する。国連もハマスが人道援助物資を流用していると申し立てたが、後に撤回している。
イスラエル側によれば、多くのトンネルの入り口は「学校やモスク(イスラム礼拝所)や病院など、民間人施設の間に隠されて」いる。イスラエル軍は2014年、パレスチナ人の住宅にある洗濯機がトンネルの入り口になっていたケースも報告している」
(ニューズウィーク11月20日)
ガザ攻防「地下戦」研究者が語るイスラエル特殊部隊の実力、全長500キロの要塞への入り口は洗濯機にも!?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
内部は暗く、コンクリートで塗られたトンネルが続きます。
これは縦穴の底から数m横に行った部分です。
さらに斜面を下るとこのようになります。
また、シファ病院の監視カメラからは、タイ人とネパール人が病院に拉致されている様子が記録に残されていました。
「日曜日、イスラエル国防軍は、ハマスのテロリストが、10月7日にイスラエルから拉致されたネパール人とタイ人の市民をガザ市の医療センターに連れてきて、パレスチナのテロ組織がそこで誘拐されたイスラエル兵を殺害したと非難している様子を映したシファ病院の監視カメラ映像を公開した」
イスラエル国防軍:人質はシファで殺害された。10月7日、ハマスが2人の人質を取った映像 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)
以上がイスラエル軍が現時点で開示している証拠映像です。
証拠があがらなかったどころか、トンネルは出てくるわ、武器を積んだ車両は見つかるわ、人質の拉致現場を撮った監視カメラ映像まで飛び出すわ、なんですが、あ、これはプロパガンダで自作自演なんでしたっけね。
まぁ「快楽殺人国家」が行っていることなど信じられるか、というのなら、どうぞご勝手にというしかありません。
いつまでも捜し物はなんですか♪と季節外れの盆踊りを踊っているがいい。
イスラエルに対して批判するのはけっこうです。
私も過剰な空爆や民間人被害を批判してきました。
しかし、それをジェノサイドと称したり、ガザを人が住めなくなる土地に変えるのが目的だとまで言うのはバランスを欠いていませんか。
そしてこういう偏った言辞は、なにがイスラエルの対ハマス作戦の目的なのかをわからなくします。
また、この紛争のもう一方のハマスの責任を免罪します。
多くの人が言うように確かに民間人被害はが多いことは胸が痛みますが、ガザ市内からイスラエルに5000発ものロケット弾を発射し、イスラエル領に侵入して1200名以上もの人を虐殺し、200人以上の人質をガザ市内に連れ込んだのは誰なのでしょうか。
ハマスをまるで一国の「軍隊」のように説明する人がいますが、ならば「軍隊」としての最優先任務は自国民保護です。
「国民」を避難をさせず、むしろ意図的に戦場に放置したのは誰なのでしょうか。
いや守るどころか、市民の住む民間施設から発砲し、病院を武器庫や司令拠点にしたのはいったい誰だったのか。
公然とハマスの指導者が人間の楯で守ると言っていたとおり、犠牲者は積み上がったのです。
そのことに対する責任を問わずして、イスラエルがジェノサイドを働いているとまで言うならば何をかいわんやです。
« イラン提案すべて否決 | トップページ | フーシ派の船舶乗っ取りを「拿捕」と言うな »
ガザにおける民間人の犠牲と、それに対する一方的な批判の報道を見ていると、日本国内における熊出没と被害、それに対する駆除行為への一部の動物愛護(愛誤?)人のヒステリックな批判行為とダブって見えます。事の本質を理解しようとせず、方や人道、方や動物愛護の美名のもとに他を批判する。そしてその行為を行っている自分に酔っている。私にはそう思えてなりません。
投稿: 一宮崎人 | 2023年11月21日 (火) 08時49分
鈴木一人東大教授は、「ハマスが人質を引き立てて行く病院内の映像が事実だったとしても、イスラエル側が病院を武力で制圧すると言う事が正当化されたワケではない」とXに投稿。
あくまでイスラエルを悪魔化したい趣旨の中々巧妙な手口です。
しかし「武力による制圧」には違いないとしても、彼らも認めるように病院内で戦闘行為は行われていません。
人質を引き立てて移動する犯罪者集団と、主権国家による行動の区別がついていない国際政治学者。嘆息するしかありません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年11月21日 (火) 09時39分
民間人への攻撃と野生動物の駆除を比較するのはかなり無理があって強引だと思いますけどね。
投稿: 中華三振 | 2023年11月21日 (火) 11時40分
イスラエルに対し国際法順守を要請することは言葉上は同じでも
最初の認識が異なるとこうも考え方に差が出るのかという話
イスラエルを一方的な虐殺者とする人々は大抵10月7日のハマスの攻撃をテロ攻撃と呼称しない、過去の経緯を理由にイスラエル側が攻撃の原因を作ったという立場をとる
となるとイスラエルの反撃は許容できず、国際法を順守していないこともあり絶対的な悪行と映ることとなるだろう
テロ攻撃でないとする擁護には民族自決権の行使が如く正当なパレスチナ人の反抗であるとするしかないと思う、だが本当にそんな認識で良いのか?ハマスはパレスチナ人を代表していないんだろう?
イスラエルへの民間人攻撃はパレスチナ人の反抗で、反撃で死ぬのは無関係のパレスチナ人だなんてまったくおかしな話じゃないか
ハマスは攻撃するときだけパレスチナ人を代表し、反撃で被害を受けるパレスチナ人になんの庇護も与えていない
こういう連中をなんと言うのか、テロ組織以外無いじゃないか
むしろハマスがテロ組織だから、イスラエルに「だけ」民間人を巻き込むな、犠牲者を出すなとはっきり要求できるのではないか?
まあそんな訳で、ハマスへの無批判とパレスチナ人の犠牲を理由に一方的なイスラエル批判を行うことは完全に矛盾すると考えます
だが本人の頭の中でだけ矛盾しない場合がただ一つだけ、記事中に言及されているような人々、イスラエル批判がしたいだけです
「彼ら」流石に直接的なハマス擁護まではしていないようですがハマスには出来るだけ触れないようにしてますね、実に醜い
投稿: しゃちく | 2023年11月21日 (火) 15時58分
野生動物と民間人を比較することに無理がありますか?人と動物だから?
投稿: 一宮崎人 | 2023年11月21日 (火) 21時01分
「トンネルは元々イスラエルの掘ったモノだからハマスが使ってる証拠にはならない」と言う見解があるのですが・・・
https://blog.goo.ne.jp/moja_gd/e/acbea33912b2f4eaf8199634579629ab
投稿: | 2023年11月22日 (水) 21時37分