人質交換続くいまこそ本格的停戦に入る時期です
人質の返還が少しずつ進んでいます。
「イスラエルとイスラム組織ハマスは27日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止を2日延長することで合意した。仲介役のカタール政府が明らかにした。当初合意の4日間の戦闘休止は24日午前7時(日本時間同日午後2時)に始まり、28日が丸4日で期限が迫っていた。イスラエル軍は27日夜、ハマスが拘束する人質のうち、第4弾としてイスラエル人11人が解放されたと明らかにした。
戦闘休止後、イスラエル側に引き渡された人質は計69人となった。イスラエルも交換で、拘束するパレスチナ人の女性や未成年者33人を新たに釈放、これまでに釈放されたのは計150人になった」
(産経11月28日)
ハマス、第4弾はイスラエル人11人解放 ガザ戦闘休止2日延長合意 - 産経ニュース (sankei.com)
産経
「ハマスとの休戦は4日間の予定で始まった。これまでに3回の人質釈放が実施され、イスラエル人39人が帰国した。まだ183人がガザに残っているとみられている。一方釈放されたパレスチナ囚人は、117人。今夜で最終日を迎える。
今日、ハマスは、11人(合計50人ちょうど)のイスラエル人を解放する予定で、イスラエルは朝8時にそのリストを受け取っている。午後4時(日本時間午後11時)にはまた11人が戻ってくると予想される」
3回目イスラエル人14人解放:パレスチナ囚人39人釈放 2023.11.26 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
イスラエルは人質を返すなら、休戦を延期しても良いといっています。
またガザに人道的支援のトラック200台が入りました。
IDF
「本日(11月24日金曜日)、人道支援物資を積んだトラック200台がラファ交差点を経由してガザに入り、ガザ地区南部で活動する国際援助団体に届けられました。
動画には、保安検査後のトラックの車列が映っています。人道支援の継続的な流れは、米国と合意し、カタールとエジプトが仲介した人質解放の枠組みの一部として、イスラエル政府によって承認されました」
プレスリリース 人道支援物資を積んだトラック200台がラファ検問所を経由してガザに入り、国際援助機関に届ける |イスラエル国防軍 (www.idf.il)
このような状況の反面、イスラエル側の要求も厳しく、ハマスの人質解放の履行の遅れを許しません。
何月何日何時までに何人という約束が守られなければ、イスラエル側からは容赦なく「〇〇時前に履行しなかれば戦闘を再開する」という通告がでるのだそうです。
イスラエルのことですから、ブラフではなくほんとうに戦闘が再開するでしょう。
イスラエル型交渉術は日本と真逆で、片手にこん棒を握ったままで休戦交渉をします。
軍事的裏付けの優位性があって初めて交渉が成立すると考えています。
これについては、ハマスも合わせ鏡で同様の認識を持っています。
いま彼らが人質を返還に合意しているのは、4人いたハマスの軍事指揮官のうちすでに3人が戦死してしまい、継戦能力を喪失しかかっているからです。
ネタニヤフがガザ地区にイスラエル現職首相として初めて入って前線で戦うイスラエル軍を激励しましたが、その時彼が述べたのは、「人質全解放とハマスの壊滅という2つの大きな目標は変わらない」と強調することでした。
つまりネタニヤフに言わせれば、この休戦は停戦でもなければ終戦でもないということです。
「ネタニヤフ首相は、交渉で可能性として合意していた延長について、ハマスの出方次第で、人質10人解放につき休戦を1日延長(最大100人)し、パレスチナ囚人1人につき39人釈放する用意があると発表。ただし、10日間が限度であり、10日後からは、ハマス殲滅にむけた攻撃を再開すると発表した。これにより、コマはハマス側にある形となっ」
3回目イスラエル人14人解放:パレスチナ囚人39人釈放 2023.11.26 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
ただしネタニヤフも、人質が返還されるたびに喜びにわく国民を無視するわけにもいかないために、ハマスの人質解放次第で変化することはありえそうです。
またハマス以外にもイスラム聖戦が人質を押さえているようです。
「休戦での懸念はハマスのほか、イスラム過激テロ組織イスラム聖戦の動きだ。10月7日のテロはハマスと共に実行していた。彼らも人質を取っている。だから、ハマスがイスラエル側と休戦に合意しても、イスラム聖戦が納得しなければ、休戦合意が破棄される危険性が出てくる。ちなみに、人質解放初日にはイスラム聖戦が拘束していたイスラエル人の人質が1人含まれていたというから、現時点ではハマスの命令のもとに動いていることが確認されている」
(CNN11月28日)
ハマス以外が拘束の人質、40人以上 - CNN.co.jp
とまれ、私はここでイスラエルに武器を置いて、本格的停戦交渉に入ることを呼びかけます。
ここで休戦を本格的停戦にまで進めないと、たぶんこの紛争はこぶしの降ろし所を失います。
すでにガザ地区の大部分は、イスラエル軍のコントロール下にあります。
そしてハマスは軍事的能力の過半を喪失しています。
その意味で復仇はなったのです。
これ以上の戦闘は南部への侵攻を伴い、さらなる悲惨な犠牲とイスラエルの国際的孤立、そしてさらにはイスラエル社会の分裂をもたらす結果となるでしょう。
いったん武器を4日間でも置いた、置くことができたということを大事に思い、これ以上戦う意味を問う時ではありませんか。
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昨日のプライムニュースで、黒井氏が「(軍事的には)休戦はイスラエル軍に有利に働く」と言ってました。陣地を築くなど、今後の展開に必要な準備が出来るからだそうです。
しかし、これで大規模な戦闘開始再開という事になれば、政治的には国際非難に再びさらされる事になるのは必須です。
もちろんハマスの完全掃討という面では達成していず、イスラエル側としては忸怩たる思いもあるでしょう。
けど、「戦争」というくくりで捉えれば、事実としてここまででイスラエル側の勝利は確定したと言っても過言ではありません。
なぜなら、ガザ地区の統治がハマスに回帰する見込みが無くなったからです。ガザに暮らすハマスよる圧政に苦しめれてきたパレスチナ人の解放はとりあえず「成った」のですから、そろそろ次の段階にすすむべき時でしょう。
なぜかメディアや日本の中東専門家からは全く語られないのですが、ハマス統治下のガザの民衆の生活は悲惨でした。50%以上の失業者、重税にあえぐ人権皆無の奴隷的状況からの「民衆の解放者」としてイスラエルはあるべきです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年11月29日 (水) 17時46分