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2023年12月 1日 (金)

オスプレイが「頻繁に落ちる」という認知バイアス

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空軍のCV22オスプレイが不時着水しました。
まだ事故の詳細はわかりません。

「アメリカ空軍の輸送機オスプレイが29日、鹿児島県の屋久島沖で墜落した事故で、これまでに現場付近の海上で機体の残骸とみられるものが多数見つかったほか、救助された男性1人の死亡が確認されました。オスプレイには当時8人が乗っていて、海上保安庁などが30日も捜索を続けています」
米軍オスプレイ 墜落情報【30日 随時更新】1人死亡 海保など捜索継続 | NHK | 鹿児島県

米軍は「パイロットは最期までがんばっていた」として不時着水したと政府に伝えてきました。

「政府は29日、鹿児島県の屋久島沖で発生した米軍輸送機オスプレイの墜落を「不時着水」と位置付けた。米側から「最後までコントロールを試みていた」との説明があったことを踏まえた判断。米軍も「不時着水」の用語を使っているといい、宮沢博行防衛副大臣は同日、記者団に「最後の最後までパイロットは頑張っていたということだ」と理解を示した」
オスプレイ事故は「不時着水」 政府、米軍説明受け:時事ドットコム (jiji.com)

エンジンが火を吹いていたという目撃情報もあるので、あるいはエンジントラブルかもしれません。
この記事のコメントに、「ガダルカナルは撤退と言わず転身、占領軍は進駐軍」というものがありますが、まったく違います。
今回「不時着水」と言っているのは米軍であって、言い換えが好きな言霊民族の日本人ではありません。
このような航空機事故の時、米軍は直ちに始まる事故調査委員会まで見据えていますから、いいかげんなことを言うはずがありません。
不時着水は操縦によって制御された状態で、飛行場にたどり着けず機を破損させた事故です。
典型的なのは、うるま市沖のオスプレイ事故のケースです。

自動車に置き換えれば、緊急着陸は警告灯が点ったので路側に寄せて停止した状態。
不時着(水)は、運転手がブレーキやハンドルを操作しながら、壁などに衝突して止めた状態。
墜落はそのものズバリ、ハンドルもブレーキも効かずに車や物に衝突する状態。
米軍は今回は、きちんと事故機の動翼が動き、パイロットがそれをコントロールしていたとして「不時着水」のカテゴリーに入れたのです。
ですから、これを一括して、ぜんぶ「墜落」だというのはおかしいのです。

この三つの概念を混同してメディアは、今回も「墜落」と表現していました。
事故当事者が「不時着水」と言っているのですから、それを打ち消す証拠があるならともかく、なぜ「墜落」にこだわるのでしょうか。
それはなにがなんでもオスプレイが「欠陥機」でなくては困るからです。
このオスプレイ=事故多発機というイメージは、日本のメディアが作り出した幻想です。

オスプレイデマが発生した地域は沖縄でした。
いうまでもなく、発信元は沖縄地元紙です。
普天間に旧式ヘリと交代でオスプレイが配備された時には、この2紙が「構造的欠陥機を沖縄に配備したのは沖縄差別だ」とまでいいだしたのにはたまげました。
故翁長氏が突如として左翼に転向したきっかけはこのオスプレイ配備でしたね。

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たしかに普天間移設とオスプレイ配備が時期的に重なったのが刺激的だったとは思いますが、オスプレイは世界的な配備計画の一環であって、かねてから決まっていたことです。
とくに「沖縄差別」をしたくて、オスプレイを配備したわけではありません(あたりまえだ)。

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北部訓練場の大規模返還の代わりに、高江につましいヘリパッドをつくろうという計画があった時にも言われたのが「高江に危険機オスプレイパッドを作らせない」という論法でした。
この人たちは政治的認知バイアスを作るためにオスプレイを利用し、それに本土の左翼メディアが相乗りしました。
ですから、オスプレイは「欠陥機」でなくては困るのです。

具体的に見てみましょう。
メンドーだったら個別事例は飛ばして下さってもけっこうです。
要は、いろいろ挙げられているが、ほとんどが普通の航空機の事故の範囲内で「オスプレイだから落ちた」ということではありません。

まず最初に、よくテレビでオスプレイ欠陥機説でとりあげられるのが下の映像です。

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片方に沈んで壊れるオスプレイの画像は、1991年6月11日に、試作5号機がグァシャーンとやった時のものですが、軽傷者2名で済んでいます。
そもそも 試験機は欠陥を洗い出すためですから、事故を起こしたと言って欠陥機呼ばわりはいかがなものですが、この事故は配線を逆につないだという凡ミスです。
最終調整工程で、飛行制御システムの3系統あるロールレイト・ジャイロのうち、2系統を逆に配線してしまったためです。
理由はすぐに判明して、この事故の5日後には別な試作機でテストが再開されています。


411 琉球新報

国内では、「事故をひんぱんに繰り返す」といいますが、めだった事故は2016年の不時着水の一回きりです。
この事故は事故報告書によれば、気流の突然の乱れによって給油機側のホースを、オスプレイのプロペラ(ローターブレード)が切断してしまい、それがプロペラにダメージを与えたうえにホースがブレードに絡みついてしまったために、左右の回転が不均等になり、強い振動が発生したためのようです。
機体の欠陥ではありません。

オスプレイのプロペラは左右が連結されていますから、すごい振動だったと推測されます。

Proxy

このような事故は今までも他機種で起きていますから、オスプレイ特有のものではありません。
もちろんオスプレイはすべての双発機がそうであるように、片肺といって片一方のエンジンだけで飛行もできますし、着陸もできます。
現にこの事故で片肺になった当該機も普天間の目前まで飛んでいます。
※参考資料
http://booskanoriri.com/archives/2565
http://kinema-airlines.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/ceo-11d5.html

沖縄配備後のものとしては、2017年のオーストラリアで強襲揚陸艦ボノム・リシャールを発艦し、ドック型輸送揚陸艦グリーン・ベイへの最終進入中にデッキに衝突した事故です。
これなどは艦艇が大きく波で揺さぶられたために起きたもので、構造的欠陥とはまったく無関係に起きたものです。

「今回の事故は、陸上への着陸よりはるかに複雑な、海上を移動中の艦船への着艦の最中に発生したものであること、米軍が事実関係及び事故発生までの状況を初期調査で確認し、MV-22の飛行は安全であると結論付けていること、MV-22に安全な飛行を妨げるような機械的、構造的及びシステム上の欠陥はないと米軍が認識している」
(防衛省『オーストラリアで発生した第31海兵機動展開隊所属のMV-22オスプレイによる事故について』)

沖縄以外の事故としては、2015年5月ハワイ事故があります。
原因は、砂塵による「ブラウン・アウト」現象と、同じく砂塵によるコンプレッサー・ストール(失速)です。 
いずれも機体の構造欠陥ではありません。
ブラウンアウトとは、濃密な砂塵に包まれて自分の機体の位置がパイロットにわからなくなくなる現象です。

002http://news.mynavi.jp/column/airplane_it/056 

上の写真は米国のユマ訓練場でのオスプレイのものですが、これがブラウンアウト現象です。 
この時事故機のパイロットは操縦ミスをしています。
本来マニュアルで60秒で完了せねばならない着陸操作を110秒もかけてしまって、さらに多くの砂塵を吸い込む結果になったようです。 

当然のことですが、このようなブラウンアウト現象は特にオスプレイ特有の事故ではなく、2003年にイラクでわずか1カ月間に17機のAH64アパッチが、同じブラウンアウトで墜落しています。
ヘリでもジェットのような固定翼機でも、このような砂塵の中を飛べば視界が妨げられ、エンジンに異物が吸い込まれて危険に決まっています。

このハワイ事故と似た、砂塵が原因の事故が2010年4月にアフガニスタンで起きています。
空軍型は特殊作戦機なので、陸自や普天間に配備された輸送機型と違って、危険を承知の飛行をしたり、不整地に着陸するために事故が多いのです。
国内で飛行するかぎり砂塵による事故はほとんど無視できると思います。

オスプレイの事故について米軍の統計がでています。1376321535


  出典 防衛省 下も同じ

上のグラフは米軍機全体で見た飛行10万時間あたりの事故率です。最少から二番目です。
グラフ中程にCH-46とありますが、これがオスプレイに代わってスクラップになった大型ヘリです。 1376321536_2

 

上図は米軍全機種の中でのオスプレイの事故率ですが、平均より下です。

このようにもはやオスプレイ・デマは種切れなのですが、いったん刷り込まれてしまったオスプレイデマはなにかというと「繰り返される事故」として蘇ってきます。
繰り返されるのは事故ではなく、デマのほうです。

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なおオスプレイが米国で都市上空を飛べないとか言っている人がまだいますが、まったくのデマです。
事実は、まったく普通に都市上空を飛行しています。
なんせ大統領専用機になっているくらいですから、都市上空を飛べない「未亡人製造機」だったらどうします。

このようにオスプレイについて頻繁に落ちるというのは、典型的なメディアが作り出した認知バイアスです。

 

 

 

 

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コメント

今回のは「墜落」ですね。
政府も昨夜に言い換えました。

一昨日夜時点での報道からのあくまで想像になりますが、移動中に何らかのエンジン異常(たぶんエンジン油圧)警告灯が点いたので屋久島空港への緊急着陸要請。受理。

低空で沖合を飛行している時にアプローチに入ってヘリモードにトランスフォーメーションする時に漏れたオイルがエンジン下側の高温高圧部に落ちて出火。エンジン出火してアンコントロールでスピンしながら沖合にドボン!と。

島民多数のの目の前で!なんて報道は、そりゃあ屋久島空港目指してたのたから当たり前。海上で良かったね。
沖縄メディアは「県民にも衝撃走る!」とかね。煽りまくってます。

全国紙の毎日新聞なんか、またも「ウィドウメーカー」なんて歴史も知らない薄っぺらいパワーワードを出す始末です。

メディア、特にTVのニュースには自己検証という概念はないのでしょうかね?ま、速報性が命、いかに人々の興味を引くかが命の彼らには、過去、自分たちがいかに間違った報道をしていようとも、それを反省することなく、二匹目三匹目のドジョウを求めるのでしょうね。病院が攻撃された聞けば、喜んで報道し、危ないと言われていた(偏った方々の言い分ですが)オスプレイが空港の近くで落ちたら嬉々として報道する。
そんな姿勢に嫌気かさして、TV離れが起きている思います。それでも彼らは反省することはないのでしょうね。

ローターが吹き飛んだという目撃談の通りならば crash だと考えられますが、乗員の発見救助、機体全ての発見回収をまず待ちながら見守るとして。
オスプレイは「事故率が高い欠陥機」「米国本国では飛行制限されている」などは誤情報ですね。
参考
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/96b0b8c3ca3a45d67c0abd5ad774fe556ed2db26

さて。
沖縄全域から自衛隊も米軍も無くす運動を従前からやって来た人たちは、普天間飛行場辺野古移設を巡る裁判結果についてと同様、オスプレイについても本当はわかっているのです。相手にするものを勉強する人ほど尚更に。
わかっているが、この世を去らないうちに自分らのポジションを失い、教義が否定され面目が傷つくのは、例え一片たりとも許さない、なので言い張り続けるしかないのです。
少しの凹みも許さないから、常識的なり、現実の状況に即すなりの「落とし所」には向かえないのです。
かつてこの沖縄で、美しくそれなりの説得力があった運動の、今の姿です。
割を食うことになるのは、後からやって来て誤情報で「真実を知った!」と思い込んでしまった皆さんでございます。
それもまた、その人たち自身の選択ですけれど。

比較する時は分母をそろえるというのは、小学生の分数の計算で習ったハズなんですが、およそ半数の人は分数の計算が出来ない(元々出来なかった、あるいは忘れた)らしくて、理系でも全入可の大学では講義で教えているそうですわ。ウソだと思ったけど本当らしい。

それだから、過去の事故をカラめて報道を大きくすればするほど、「タイヘンだ~」「オスプレイはよく堕ちる」「欠陥機だ、こんなもの日本の空を飛ばせるな」と、半数の人の認知バイアスは増々強化されますわ。マスゴミは、半数の人が分母をそろえることが出来ないと解かっていて、確信犯的に煽りますからタチが悪い。本当に大衆に寄りそうマスコミならば、本記事で管理人さんが示した資料なども併せて報道するのが良心というものですわ。

まあでも、何かにつけて「政治がワルイ」「大企業から金をとれ」「米軍は出てけ」「ラブ&ピースが一番」「それ言うオレこそ正義よ」なんて言ってりゃ幸福な人達がウラヤマシイですわ。ふつう20歳代で、そんな表面的なことを大上段に構えるのは飽きるし、理念では世界や個人の人生は変わらないと知る。己一人が生きるだけでもとてもやっかいで、そんな人生が数十億もある世界は複雑怪奇でとても骨が折れると気分が沈むものなのに、彼等ときたら実に楽しそうですわ。

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