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2023年11月 2日 (木)

中国の中東での動き

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実はサウジはすでに「参戦」しています。
どちらかって?決まっているでしょう、イスラエル側です。ただし間接にですが。

「17~24日イランに支援された武装集団がイラクの米軍基地に10回、シリア南東部の米軍基地に3回ドローン(無人航空機)やロケット弾攻撃を行った。イエメンではイランに支援されたイスラム教シーア派武装勢力フーシ派がイスラエルに向けイラン製巡航ミサイル5発、ドローン約30機を発射した。
このフーシ派が発射した5発の巡航ミサイルのうち4発は、紅海北部で活動していた米海軍のミサイル巡洋艦が撃ち落とし、5発目はサウジアラビアが領空を守るために迎撃した 」
(ウォールストリートジャーナル10月24日)

イスラエルにミサイルを撃ったこのフーシー派は、イランが育成して武器と資金を与えているハマスのイエメン版のような存在です。
彼らはハマスの今回のジハドの呼びかけに狂喜乱舞して、祝砲よろしくイスラエルに巡航ミサイルをぶッ放した馬鹿者たちです。
それを紅海北部で待機していた米国のイージス艦とサウジで撃ち落としたというわけです。
これでサウジはイスラエルの防衛に一役買ったことになります。

サウジは、このイエメン北部に巣くうフーシ派と長年に渡ってバトルを展開してきました。
フーシ派はサウジに執拗なミサイル攻撃をしかけてきており、その供給源はイランです。
したがって、サウジにとって最大の敵はこのフーシ派とそれを裏で操っているイランの革命防衛隊ということになります。
中国はサウジとイランを仲介して、反イスラエル勢力を拡大させ、米国を追い込もうと画策していました。

そしてその「友好」の最大のイベントが、10月2日のイランでのサッカーアジアチャンピオンズリーグにおけるサウジ対イランの一戦となるはずでした。
サウジは大枚のカネを叩いてクリスチアノ・ロナウドを獲得していたので、大いに見せびらかしたかったはずですが、あるものを見た瞬間凍りついて帰ってしまいました。なんでしょうか。
サウジを激怒させたのはこれです。

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読売

「【テヘラン=吉形祐司】イラン中部のイスファハンで2日夜、サッカーのクラブチームによるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のイラン・セパハン―サウジアラビア・アルイテハド戦が直前で延期となった。両国の国交正常化を象徴する試合だったが、サウジ側が、スタジアム内に飾られたイランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の元司令官の胸像に反感を示し、試合を拒否したとみられる」
(読売10月3日)
イランのサッカー場に「革命防衛隊」元司令官の胸像…サウジのクラブが試合拒否か:写真 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

サウジが出場を拒否した理由は、サウジ選手の通るスタジアムの通路にサウジが憎んでも憎みきれない仇敵の革命防衛隊司令官スレイマニの胸像が恭しく飾ってあったからです。
スレイマニはイランのテロ組織の総元締めのような男で、サウジはこれまで何度もひどい目にあってきました。

イランは、世界をイスラム原理主義が支配することを目指す革命輸出国家だと自認しています。
そのための対外工作をするのが革命防衛隊・クドゥス部隊で、その司令官だったのがソレイマニです。
ソレイマニはサウジの王政を打倒することを命じられており、その手先がフーシ派です。
フーシ派はミサイルでサウジの石油施設を爆撃したこともあります。

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ロイター

「[リヤド 25日 ロイター] - イエメンの親イラン武装組織フーシ派は25日、サウジアラビアのエネルギー施設への攻撃を開始したと発表した。一方、サウジ主導の連合軍はジッダにある国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設が攻撃を受け、貯蔵タンク2つで火災が発生したと発表。ただ死傷者は出ていないという。
フーシ派の軍事報道官は、フーシ派が25日にジッダにあるアラムコの施設にミサイルを、ラスタンヌーラとラービグの製油所にドローンを発射したと述べた。首都リヤドの「重要施設」も標的にしたという」
(ロイター2022年3月26日)
フーシ派がサウジアラムコ石油施設を攻撃、火災発生 死傷者なし | Reuters

いちおう表面的にでも握手しようとしたら、相手がソレイマニと書いたピンを手に隠して刺したというわけです。
そうか、オレたちにコイツを見せたということは、今後もイランは「革命の輸出」をして、オレらの国を攻撃する気なんだなとサウジはピンっときたのです。

これで、中国が仲介しようとしたイランとの友好関係の樹立は御破算になりました。
いままでどおり米国と安全保障関係を維持することとなりました。
ま、米国が安全保障から手を引けば、米国製で占められているサウジの軍隊は動かなくなる、というのもあるんですがね。

ところでいちばんがっかりしたのは、誰よりも中国だったはずです。
今まで中東にはナニも足掛かりがなくロシアの独壇場だったのを、どうにか自分の影響力を扶植できると思ったのですが、残念。
今回、王毅外相はハマスを批判せずに、「イスラエルの行動は自衛の範囲を超える。ガザ住民への集団的懲罰は避けるべきだ」とイスラエルだけ非難しました。

おーい、秦剛、どこに行ったんだーい。王毅は本来外相ではなく、共産党の外務担当ですから兼務です。
外相なしの国なんて珍しい。
ついでに李尚福国防相もいなくなってしまいました。
最重要ポストの外相と国防が欠員というめずらしい国です。
そんな中、胡錦濤に後を託された李克強の唐突な死、当然立つのが暗殺の噂。
なにかが宮廷内部で起きているのでしょうが、いずれにしても細かな外交工作をやるなんて余裕はないでしょう。
せいぜいできるのは軍隊を動かすだけ。

それはさておき、中国としてはなんとしてでも「イスラエル・パレスチナ紛争」にして、イスラエルを軍事支援する米国が危機を拡大させていると責任を追及したいと考えています。
中国の思惑としては、いままでのBRICSにアルゼンチンを加え、さらに中東にまでウィングを伸ばしてエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、UAEを加わえて、世界にまたがる一大勢力圏を作り、それを牛耳るつもりでしたが、今回のハマスのテロで改めてバラバラの烏合の衆だということがわかってしまいました。
日本には米国に対抗する一大経済圏ができたぁ、なんてことを言う者もいましたが、なにを言っているのやら。
ゆるやかな経済連携がせいぜいで、共通通貨など夢のまた夢。
基軸になる通貨がない、自由貿易圏に向けての様々な実務的すり合わせもない経済連携なんて絵に描いた餅ですから、仲良しクラブ以上の関係になる可能性はありません。
第一、リーダーになりたい中国の経済が失速していますしね。

今回も、海賊対処国際活動でドバイに派遣している6隻の艦隊を、今回のハマスのテロ事件を理由に、中東に展開させたいようです。

[ロンドン発]イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム武装組織ハマスの戦争で地域の緊張が高まる中、ソマリア沖・アデン湾で半年近い護衛任務を終えた中国人民解放軍海軍の第44次部隊が第45次部隊と交代、10日にオマーンに到着後、同国海軍と合同演習を行い、18日には5日間の親善訪問のためクウェートに寄港した。(略)
中東でプレゼンスを誇示しているのは米軍だけではない。中東諸国がイスラエルとハマスの戦闘激化を固唾を飲んで見守る中、中国海軍の艦船もペルシャ湾とオマーン湾を航行している」
中東への影響力を拡大する中国、「軍艦6隻を中東に展開」報道に噛みつく 中東重視に舵切り替えた米国、「仲介外交」にシフトしはじめた中国はどう動く(5/5) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

だからなんだつうの。中国のプレゼンス拡大?ご冗談を。
米国のほうが外交も軍事も数十倍動き回っていますよ。
チャイナは近くにいた海賊対処艦隊を中東に寄り道させただけでしょうが、なんの戦略性もありません。
中国の主観としては、米海軍の2個空母打撃群の向こうを張ってと堂々の艦隊派遣でイラン・ハマスを支援、ということなのかもしれませんが、海軍力の展開というにはあまりに貧弱です。
なにもできないのはみんな知っていますから、だからナニていどのお話です。

というわけで、今回ハマスの影にはイランがあり、そのまたお仲間には中露や北があるといっても彼らの影は薄いのです。

 

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コメント

 サウジとイランの国交正常化を演出した中国のメンツは丸つぶれ。
プロパガンダの余勢を買って、いまだにイラン側についている中国の思惑は早晩粉々になるでしょう。(それを防ぐために早々にイランを裏切る可能性も無きにしも非ずですが)

経済制裁にあえぐイランにサウジの多くの金が渡れば、その金でイラン革命よろしくサウジ王室の転覆が有り得たところでした。

どだいサウジとイランの仲介など無理な相談で、サウジ側の目論見の、「イランのイエメン内戦はじめ近隣諸国への不干渉」などの約束など果たされるハズもなかった。テロによって革命を輸出するのがイランの国是ですから。
当初の合意内容のプレスリリース段階から両国の文言解釈の違いも際立ってましたし。

サウジとすれば、中国の力で合意内容遵守を担保出来るだろうとの腹だったでしょうが、中国に騙された思いも強いでしょう。
サルマンは出来の悪い二股外交に終止符を打って、世論の沈静化を待ちつつ米国側に完全回帰するしかない状況です。
戦争が済めば、案外早くイスラエルとの対話も再開するでしょう。

イスラエルの地域ナンバー1の(核を含む)軍事力、その後ろ建てとなっている米国の存在が湾岸諸国にとって、この戦争で図らずも再認識される事になってますね。


中国としては「一帯一路」でジワジワと海路と陸路を抑えようとしていた所のチョークポイントが中東湾岸。
アメリカの影響力はオバマや特にトランプ政権下で明らかに低下したし、バイデンも心許ないですから。
今はイラン傘下のハマスやヒズボラにイエメンのフーシ派がやらかしてるだけ。

ハマスに扇動される連中も多い(我が国のデモも)ですが、ボリビアのように国交断絶するような中国にとっては浸透した策源地みたいな国もあります。元々ボリビアはゲバラが最後に逃げ込むほどの共産主義でしたからね。

で、習近平帝国としては各国に浸透しつつも悪いタイミングでハマスがやらかしたと。内紛はおそらく習近平陣営が圧倒しているんだろうけど、国内ですらマトモに統制できてはいない。中華帝国の野望が壊れる瞬間を見ているようです。

ヤバイのはやはり総統選挙の台湾への影響力ですね!!

尚、台湾海峡では、事前アナウンス無しに演習を連打中の模様。
そうせずにいられないのですかね。
https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202310150001

https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202310190001

https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202310270003

https://japan.focustaiwan.tw/cross-strait/202311010004

この先、公表無しで大規模演習をやるようになるか、ならないか。

 山形さん

 いやはや、ボリビアのような香ばしい国がイスラエルと「断交」だとか。だんだん分かりやすい構図になって来ましたねぇ。

アラブ首長国連邦はアブラハム合意を順守する方向で、戦後はイスラエルとの国交正常化・平和条約締結の路線を変えないようです。

王毅は大忙しでカタールなど中東諸国を巡っていくようですが、成果を上げる事は出来ないでしょう。テロリストに悩んできた国々が、今さら王毅のいう事など聞くとは思えません。テロリストの温存は平和の足しにはなりませんから。

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