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2023年12月 9日 (土)

ガザ市民はもう限界だ

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11月19日に、ユニークなコメンターであるアホンダラさんがこんなことを投稿してくれました。

「それに民間人(ここではガザ市民)にも、「テロリストに少しでもかかわっていると、白黒関係ナシに攻撃されてしまう、テロリストは追い出せ!奴らは死神だ、失せろ!」というような、自らぜひマトモな新自治政府を作ろうとする気概が生まれやしないかと想像するからです。
カタギを平気で射殺するような日本で一番凶悪といわれた九州の暴力団K会が弱体化していくキッカケは、公権力もさることながら、カタギ衆が危険にさらされてもテッテ的にミカジメ料などの支払いを拒否して関係を断ったからですわ。

関係したテロリストトップ層の斬首作戦はもちろんとして、民間人を盾にしたところで屍越えて地の果てまでテロリストを追い詰めていくという先例を一度作ってしまえば、ワザワザ足手まといになる民間人を盾にするという作戦は廃れてしまうハズですわ。世界中の甘っちょろい世論を黙らせてしまうような、民間人を盾にして自分達は生き残ろうとする無慈悲で残酷なテロ犯罪者丸出しのハマスの決定的な証拠を掴むまで作戦を継続させて欲しいですわ」

このコメントにはずっと心に残り続けましたが、どこかで返事を書かねばと思いつつここまで来てしまいました。すいません。
仰せのことはたいへんよくわかります。

たぶんイスラエルは今でもそう考えていることでしょう。
ハマスを今、徹底的に叩かねばハマスは人間の楯を止めない、したがってガザ市民は救われない、と。

いまやある意味、問題は「ガザ住民」に移っています。
彼らがただただ追い詰められる家畜のような存在なのか、人間としてもうたくさんだ、死体はもう見たくない、これ以上家族が死ぬのを見たくない、家が焼かれるのを見たくない、と「誰に向かって」叫ぶかです。
今までのようにイスラエルに対して言ったとて、彼らは考えを変えないでしょう。
なぜなら、今のネタニヤフ政権を牛耳っている宗教右派が生きているのは、旧約聖書の時代なのですから。
一民族が潰し潰された古代に、彼らの脳内はまだ生きているのです。
だから彼らは、ガザ市もカンユニスも聖書にあったエリコのように人もろとも焼き尽くさねばならないくらいに思っています。

しかし、時代は違う、今は今なのです。
今ここに現実に存在する国家としてのイスラエルは、宗教右派が考える「イスラエル」ではなく、現実に多様な文化と人種をはらんだ国家なのです。
このことは昨日も書きましたが、長谷川良氏もこう書いています。

「このように説明すると、「イスラエル」と「ユダヤ民族」はほぼ同じ意味と受け取れるが、1948年に建国したイスラエルの人口構成をみると、3つの異なった出自がある。2022年5月のイスラエル中央統計局によると、①ヤコブの血統引く生粋のユダヤ人(約74%)、②アラブ系でイスラエル国籍を有する国民(約21%)、③キリスト教徒など少数派(5%)で、全人口は約950万人だ。だから、たとえ、ユダヤ人が全体の4分の3を占めているといっても、イスラエル=ユダヤ民族というわけにはいかないわけだ」
ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog)

よく誤解されるようにイスラエルは一枚岩でもなければ、ユダヤ教を国是とする宗教国家ではありません。
イランとは根本的に違うのです。
イスラエルは、多様なアラブ民族まで含んで国家として成立しています。
イスラエル国民のアラブ系国民は「アラブ統一リスト」という政党さえ持ち、宗教右派である「宗教シオニスト」とほぼ勢力を拮抗しています。
彼らを法の下に平等に扱うためにも、イスラエルには民主主義が必要だったのです。
ですから、ガザでの戦闘によるこれ以上のアラブ系民間人被害者は、イスラエル国内にアラブ系国民との間に断絶を生むのでしょう。

話を戻します。アホンダラさんのコメントを読んで、「カタギ衆が危険にさらされてもテッテ的にミカジメ料などの支払いを拒否して関係を断つ」時は来ないと思っていました。
来て欲しいとは思いますが、絶望していました。
ガザ住民がハマスに抵抗するなどありえないと思っていました。
シファ病院の「空爆」誤報の時でさえ、正しく「ハマスのロケット弾の誤射」と報じられても、当時のガザ市民が「支払いを拒否して関係を断つ」ことができたかどうか、私はそれを危ぶみました。

しかしアホンダラさんの意見が現実のものとなるなら、今をおいてはないでしょう。
今、ガザの市民が立ち上がって、彼らを長期に渡って支配し、殴りつけ、収奪し続けてきたハマスを自主的に叩き出すことができるのは今をおいてありません。

その兆候はあります。
12月6日には、ガザにおいて民間人たちが、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の食糧保管庫から食料を取ったことが報じられています。

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Xユーザーのガザ・レポート - اخبار غزةさん

ガザレポートによれば、住民たちはUNRWAの食料配布に疑問を持っており、深刻な食糧難を見ながらなぜUNRWAはそれを倉庫から出さないのかと訴えています。
「国連」名乗っていてもほんとうにガザ住民のために食糧を配給したか疑っているのです。

ガザ内務省(ハマス)がスピーチしている後ろの住民が、傷ついた腕をふるいながら「神のさばきがハマスの上にあるように!」と叫んでいるのが写り込んでいる動画がアップされました。

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Xユーザーのガザ・レポート - اخبار غزةさん

こういうハマス非難の声が出るのは、ガザ住民が受難の限界に達したからです。
北部から逃れてきた民間人と、カンユニス住民はさらに南のラファへ脱出しようと試みています。

「イスラエルの北部南部への攻撃で、ガザ市民の80%に当たる187万人が自宅を追われることとなった。ガザ全土で激戦となり、特にガザ北部には、食糧も燃料もいっさい届かなくなっている。
南部へ避難してきた人は、イスラエルが安全地帯と約束するアル・マワシに避難した人もいたが、とうてい187万人全員が入れるものではない。イスラエル軍は、今のカンユニスへの攻撃の前に、ラファへ避難するように指示している。ガザの人々は移動に次ぐ、移動で疲れ切っている。
しかもどこへ行っても十分な資源も食糧もなく、避難所では、子供も大人も数万人がぎゅうぎゅうに雑魚寝状態で、気温も下がって、伝染病が拡大している。医療システムもほぼ崩壊している」
(石堂ゆみオリーブ山通信12月7日)
カンユニスでのシンワルに迫るか:ガザ市民はもはや限界の様相 2023.12.7 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

国連のグテーレス事務総長は国連憲章第99を発動し、国連事務総長として即時停戦を命じることを目的に、国連安保理の開催を要請すると発表しました。

「パレスチナのガザ地区の情勢をめぐり、国連のグテーレス事務総長は、国連憲章の99条に基づいて、安全保障理事会に対し人道的な停戦を求めるよう要請しました。2017年の就任以来、グテーレス事務総長がこの条項に基づいて安保理に要請を行うのは初めてで、これを受けて安保理では8日に新たな決議案の採決が行われる見通しとなりました。(略)
歴代の事務総長でも99条に基づいて要請を行うと明言したケースはほとんどなく、グテーレス事務総長としては一歩踏み込んだ措置をとったものです。
国連の外交筋によりますと、事務総長の要請を受けて国連安保理では8日に緊急会合が開かれることになり、新たな決議案の採決が行われる見通しとなりました」
(NHK12月7日)
国連事務総長 安保理に停戦求めるよう要請 国連憲章99条基づき | NHK | イスラエル・パレスチナ

この異例の事務総長動議に安保理常任理事がどのように判断するかが注目されます。
米国としては、イスラエルが拒否するのが目に見えているだけにどうするのか悩ましいところです。
私は米国がこの動議に賛成し、いったんここで停戦をイスラエルに強要する可能性もあると見ています。
なお、イスラエル国連大使は、即座に、グテーレスの解任を要求しました。
イスラエルは、ろくな調査もしないうちからシファ病院を爆撃をイスラエルになすりつけたグテーレスの所業を忘れてはいません。

しかしそういった国際社会の動きとは別に、ガザ市民たちは崖っぷちに立たされています。
今後、どのように展開するのか私にはわかりませんが、ガザ住民が切所に立たされて判断を迫られる時期に置かれていることだけは確かです。

 

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コメント

 アホンダラさんの秀逸なコメントはたいてい最後なので、勝手に「しんがりの賢者」と思って読んでます。特徴的には、しっかりとした基本を提示されるところにあって、こっちの何やかやの枝葉的考えが整理されて清々しくなりますね。

ハマスによるガザ地区支配の実態は、武力と恐怖による住民の抑圧と搾取です。かつては反ハマス1000人規模デモなんかもありましたが、すべて力で粛清されています。ハマスを一層する事で新しい指導者が出る可能性が大であり、民衆の生活状態を第一に考える統治が行われる事が二国共存への一番の近道と思います。

ハマスを裁くべきはガザ難民であるという意見があるならば、より生存権を保証された中で、西岸地区への入植者を引き上げさせるべきはイスラエル国民であるとも言うべきだと私は考えます。
裁判所が裁定を下したとか、それを覆す政府にデモをしているとかでなく、入植者を直接非難できない国内情勢があるならば、その原因は何なのか。イスラエル国民自身が見つめなくてはならないでしょう。

本記事内で私のタワゴトなんぞに返事を頂き、恐縮です。

イスラム教の成り立ちからして、イスラム以前はアラブの部族同士が血で血を洗うような凄惨な報復合戦をしていた暗黒時代があって、それを予言者ムハンマドが唯一神アッラーの教えとして平和共存を唱え、イスラム教に帰依する同胞同士が戒律を守ることでそれを実現したものですわ。

ただ、ムハンマドの布教当初からイスラム教に対する反対者も多くて攻撃を受け、いよいよイスラム教団が絶体絶命の窮地に陥った時に、教団絶滅の危機を救うためにムハンマド自らが武装した集団の先頭に立って戦い、イスラム教の平和を実現したんだとか。

このイスラム教祖の行動を崇めるアッラーを信じる真のムスリムならば、パレスチナ民衆こそが立ち上がり、テロリスト集団を撲滅するのが筋というものですわ。管理人さんの期待される通りです。

しかし、ウイグル自治区のイスラム同胞に対する態度もそうですが、二大宗派が敵対するとはいえイスラム教国がパレスチナ民衆に対して冷淡すぎると思うのは私だけでしょうか? 世界的世論(ほとんどは同情にすぎない)はあれど、実体としてパレスチナ民衆に味方する者は見当たりませんわ。もう、イスラエルからハマスから、踏んだり蹴ったりのヤラレまくり。

ハマスが深くパレスチナ民衆に溶け込んでいるとしたら、たしかにそれを区別できない外部者には何も出来ないかも知れません。もう日本でいうところの『一揆』を期待するしか… 自分達のことは自分達で解決しないと、結局は踏んだり蹴ったりのされまくりというのが、古今東西を問わない現実ですわ。

アホンダラ1号さんが「しんがりの賢者」にはオレもものすごく納得です!
あーだこーだやってる最後に纏めに締めの独特ながら堅実なコメントなので助かります。「ハイ、これで締めでーす!」感ばかりで。

えっと、ふゆみさんの言うヨルダン川西岸地域のイスラエル入植とガザを同列に扱うのはおかしいと思いますよ。
スーパー過激派のハマスが住民を人間の盾にしてるけど、ヨルダン川西岸は一応ファタハの支配領域で、イスラエルともそれなりに仲良く農園を共同経営して日本にも作物を輸出してたりします。最近はイスラエル産スウィーティーを全く見なくなりましたけど。
どっちも腐ってると言われればそれまでですが、一応の国連機関(ハマス)とは全く違いますね。そこにイスラエル人の意向がどうとか言われても困るだけです。ちゃんと分けて考えないとただの迷宮の入り口になるだけでしょう。。

今後について書かれた記事なので、今後望まれる2国共存構築の為にそれぞれの側に必要な事として挙げたのであって相対化して並べてはいませんよ。

先のコメントを途中送信してしまい追記をしようとしたらスパムの沼にはまっています…。
こちらの方々も解決はニ国家共存だと書かれていましたが、今後その交渉があるとして
彼等が入植した広大な西岸地区内の土地はどうなるのでしょう。
私は1坪たりとも入植地を手放すとは思えません。
彼等が地主となってパレスチナ農夫を雇い柿やオリーブを育てる場所が平和なパレスチナ国家の姿なのでしょうか。
多数派ではないとはいえ、世論調査で19%が戦後もネタニヤフ続投支持という数字は私は引きました。共存を祈っても叶わないのではと思いながら手を合わせています。

NYでは子供の幼稚園も学校もユダヤ人学校の敷地内にあり、今の時期は文化交流でハヌカの灯火を共に見つめ話に花を咲かせたものです。
ドイツ住みの頃は子供達はユダヤ迫害の歴史を学び、イスラエルマークのついた柿を美味しくいただきました。彼等が利益や生存について激しく主張する姿にも接した経験があります。
子供達が一緒に歌をうたったユダヤ人の何人かはその後イスラエルに住み今回テロで命を失ったかもしれないと悼みながらニュースを見ています。

ココログのスパムの疑いで投稿出来ない問題ね。すごく分かります!
珍しく深夜の投稿ですけど無理なさらないで下さいね!誰も悪くないんだから。ちゃんと寝る時は寝て下さいよ。意見を言うのは大事です。
私は元々夜型なので···(笑)

何度も引っ掛かってるかもしれない単語を何度も書き換えて表現しても、投稿で弾かれるのってツライです!!

ヤケになって「ぬ!」と投稿したら、何故か通って···ブログ主に怒られたわ!

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