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2023年12月 2日 (土)

国際法は未完成ではないのか

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名無し氏から「ハマスのプロパガンダを見抜く一方で、JSF氏は「トンネルをハマスが利用していた証拠はない」とも言ってるみたいですが」というコメントがありましたので、お答えしておきます。
当初コメント欄に書いたのですが、長くなってしまったのでこちらのほうに移しかえました。

JSF氏がなにを言ったかは置いて、確かに病院の下のトンネルは決定的確証とはならなかったのは確かです。
あの地下施設からはハマスのテロ決行日である10月7日に作戦名を記したカレンダーが見つかりましたが、弾薬庫か人質がそこにいたという決定的証拠は見つかりませんでした。

また病院施設内からも、カラシニコフは電磁的影響を受けやすいMRIの横にあったりして、保管場所したというより、急いで隠したというかんじでした。
同じようにハマスのボディアーマーなどもありましたが、これらは負傷したハマス戦闘員が所持して病院に持ち込んだものかもしれません。
証拠として使えそうなものは、トンネル脇の車両に武器が積んであったことくらいでした。

逆説的な言い方になりますが、これはイスラエルが捏造をしなかったからではないでしょうか。
もしこれが宣伝上手のハマスなら、数日間メディアを遮断して大量の武器弾薬を持ち込み、ハマスの旗と戦闘員の死体のひとつふたつは放置しておくくらいの芸当はしたことでしょう。
しかしイスラエルは、病院制圧からすぐにメディアを入れて、この報道官の動画も公開しています。
実にデモクラティックというか、能がありません。
後から反イスラエルに傾いている国際世論からつつき回されることがわかっていないか、病院地下に司令部があったという確信があるからでしょう。

ハマスの子供の負傷者をメディアの前に走らす、泣き叫ぶ母親というハマスの宣伝と較べ、このイスラエルの不器用さは真実を語ろうとしているからに見えます。
素朴な疑問ですが、どうして戦場となることがわかっていながら、ハマスは「国民」を退避させなかったのでしょうか。
彼らはまがいなりとも「保健省」や「国連」、あるいは「軍」を名乗る組織でありながら、一般人の避難を進めるどころか、避難民に発砲して押し戻す様が撮影されています。
まるで、戦場に一般民間人がいて欲しく、彼らの犠牲の血が欲しいからのように見えます。
ハマスの最大の「武器」は、カラシニコフでもなければRPGでもなく、民間人の「血」なのです。
民間人犠牲者は、ハマスがイスラエルで1200人を虐殺したことを忘れさせてしまい、浄化し被害者と加害者の立場をみごとに逆転させました。
ハマスのようなテロリストにとって、民間人は時に楯であり、時に兵士予備軍であり、そして宣伝の道具にすぎないのです。

では、あのトンネルはハマスとは無関係なのでしょうか。
かつてこの病院下にイスラエルがトンネルを掘ったことはあるようです。
しかし問題は「誰が掘ったか」ではありません。「誰がそれを使っていたか」です。
まだ情報が圧倒的に不足していますが、シファ病院、ナスル病院、ランティシ病院などが人間の楯としてハマスに利用されていたのは、その近辺が激戦区であることから確かだと思われます。
とくに地区最大の病院シファ病院について、イスラエル軍はハマスの中枢が指揮をとる司令部があると主張していました。

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NHK

では、なぜ今はもぬけの殻だったのでしょうか。
私は、「空白の1カ月」があったからだと思っています。
「空白の1カ月」とは、テロ攻撃を受けたのが10月7日、そして地上進攻は11月3日、丸々1カ月間ちかくイスラエルが足踏みをしていた期間のことです。
イスラエル軍はわずか48時間で予備役を招集し、1週間以内に地上進攻のすべての準備を完了させていたにもかかわらず、人質交渉が裏で進んでいたために地上進攻に踏みきれませんでした。

この作戦の初動の遅れが、徒に空爆に偏った攻撃を生み出し、民間人犠牲者を増やしていきました。
そして起きたのが、シファ病院「空爆」誤報です。
陸戦の交戦規定では、民間人と戦闘員を区別して視認してから発砲せねばならず、空爆よりはるかに犠牲を押さえられたはずでした。
しかし人質交渉によってイスラエルは地上進攻ができず、その間1カ月間もの時間的猶予をハマスに与えてしまったのです。

この「空白の1カ月間」はハマスが前線部隊の一部を除いて、指導部と戦闘員主力の南部への撤退を完了させるには充分でした。
もちろん推測の域を出ませんが、シファ病院地下の司令部もこの時期に南部へと移動していたのかもしれません。
いずれにしても、決定的なことは誰も言えないはずです。
それはいままさに現在進行形の戦場で、しかもイスラエルが戦っているのは、ハマスという国際人道法も武力紛争法もクソもないテロリスト武装集団だからです。

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イスラエル中部、南部への激しいロケット弾の発射。48時間で30万人の予備役を動員 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

イスラエルの兵士たちが戦っているのは、非対称な戦場です。
ふと思うのですが、今回の対ハマス戦争も、空軍も地上軍すら使わず、イスラエルが使い続けた古典的「暗殺」という手段を使うことも可能でした。
イスラエルはミュンヘン五輪テロ事件ではこの非公然、かつ非合法の方法を使い、モサドがテロリストを世界の果てまで追い詰めていきました。
ダーティと言わば言えという無言の迫力が、テロリストを圧倒したのです。
今回、その古典的手段を封じたのは、あまりに規模が大きい民間人虐殺だったからと、これを未然に阻止できずに、まんまと大規模テロを成功させてしまった弱みのためです。
しかし、いま「快楽殺人国家」とまで罵られているイスラエルの姿を見ると、テロリストから非対称な戦いを挑まれた場合、非対称の手段で応えるしかないのかとも思うのです。
非対称な戦いに大規模な空爆で対応してしまったことは失敗でした。

とまれ相手が守る気がない国際法を、修羅場である戦場で守ることを要求されています。
ハマスが病院から攻撃してもそれは「抵抗運動」であっても、イスラエルが反撃すれば「人道法違反」なのです。
しかも相手は主権国家ではなく、時に「国連職員」であり、時に「保健省」であり、そしてその実態はテロリストなのです。

ところで昨日もエルサレムでテロが起きました。

「(CNN) イスラエル当局は11月30日、エルサレムで銃撃があり、少なくとも3人が死亡、7人が負傷したと発表した。発砲した2人は兵士と市民によって殺害されたという。
警察当局によると、「テロリスト」らは東エルサレムの出身で、M16ライフルとピストルで武装していた。銃撃現場のバス停に車で乗り付け、市民に向かって発砲したという。
撃たれた市民の1人は現場で、2人は病院で死亡が確認された。犯行に携わった者が他にいないか捜索が続けられている」
エルサレムで銃撃、3人死亡 ハマスメンバー犯行 - CNN.co.jp

ハマスが犯行声明を出したそうですが、ならばこの一般市民を銃撃した男たちは「民間人」なのでしょうか、それとも「兵士」なのでしょうか。ハマスが主権国家の兵士ならば、軍服と記章をつけない敵国民間人殺戮行為は、問答無用にジュネーブ条約違反です。
しかし、ハマスは犯行を認めても、この戦時国際法に違反した不法行為についてはなんのコメントもしていません。

メディアもわからないから、「戦闘員」などというどうとでもとれる表現をつけています。
というか、彼らはハマスの本質がなにかを突き詰めて考えていないのです。
だから、いまもなお「ハマスは福祉ボランティア団体」だというような見当違いの解説を平気でします。
無差別大量殺人を犯すような「福祉ボランティア団体」などあってたまるものですか。

このようなメディアや一部国際政治学者らのあいまいなハマスのとらえ方こそが、ハマスの最大の援軍です。
彼らはハマスを「抵抗運動」と呼び、無意識のうちにハマスがイスラエルで犯した1200人の大量虐殺に目をつぶって、国際法の枠外に置いています。
そして戦時国際法によって非難されるべきは、イスラエル軍「だけ」だと考えています。
なんというダブルスタンダードでしょうか。
戦争の当事者の片方は戦時国際法と人道法によって縛られても、片方はその枠外なのですから。

しかも国際法は他の法律と根本的に異なり慣習法の集合体にすぎず、それを裁く主体が不在です。
それは当然のことであって、国家の上位に超国家機関が存在しないからです。
とりあえずハーグにそれらしきものがあるように見えますが、彼らの仕事は国際間の仲介・調停であって「裁く」ことではありませんし、仮に裁いたように見えても法的拘束力はありません。
そもそもハマスのような国家格を持たないテロ団体などは裁きようがありません。
故にハマスは永遠に裁かれず、イスラエルのみの非行が叩かれることになりました。

このように国際法は未完成な法律なために、このハマステロ紛争をこの不完全な国際法体系でとらえることは不可能です。
国際法を金科玉条にしている人たちは、彼らテロリストにはなぜ戦時国際法が適用されないのか、疑問に思わないのでしょうか。
ヌエのような相手との戦争を国際法が想定しなかったが故に、現実とキレイゴトと化した国際法の狭間でイスラエルはもがいています。

このエルサレムテロを受けて、再びイスラエルは停戦を終了し、戦闘を再開しました。

 

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コメント

先月10日頃でしたか、「この先違法行為の解釈と認定の戦いになる」とコメントさせて頂きましたが、そのあたりのことについて、国際刑事司法(国際法学、国際制度論、平和紛争論)がご専門の越智 萌先生による解説がフォーサイトにありまして、新潮社が「時世に鑑みて無料で公開」にしたとのことで、どなた様もお読みになれますので、リンクを置かせて頂きます。
https://www.fsight.jp/articles/-/50189
(前編後編があります)

中華三振

うーん、イスラエルの方が信じられるからと言うと何とでも…。
イラク戦争の核施設に関してもアメリカの言うことだからと追従して泣きを見た人は多いです。
イラクの核開発もシファ病院の地下司令部にしても「内通者」から得た情報=ヒューミントを基に判断したわけですが、情報の確度が乏しかったようです。

>そして戦時国際法によって非難されるべきは、イスラエル軍「だけ」だと考えています。

そんなこと言っている人いますかね?重信親子や金平やTBS関係者ら極左の人ではないでしょうか。

イスラエルが叩かれている最大の原因は民間人の犠牲を顧みず大型爆弾や無誘導爆弾を使って、区画ごと薙ぎ払っているからですよ。民衆に南部に退避しろと指示(JSF氏曰く、それ自体、国際法違反らしいですけど)しておいて南部を空爆するのも騙し討ちのようで批判を招くのも当然ですし。

それはそれ、これはこれ
メディアに出ている人の多くの考えは、そうなんじゃないでしょうか。
どっちつかずと言われるかもしれませんが、戦争の中に倫理を求めようとするとどちらも違反行為をしているので仕方ないと思います。

 国際法は「法」ではあるが、「法律」ではないんですよね。
でも、「微力」ではあっても、まったくの「無力」とも言えないという事。

テロ組織であるハマスであっても、国際法に縛られるというのが事例によって、大方の一致した意見となっているようです。
という事は、戦時における義務はイスラエル=ハマス双方にかかってくるという意味になります。
(よく、「病院が軍事的利用されている」ことの証明は「悪魔の証明」とか中東学者は言われましたが、疑われないような十分な説明と情報公開は必要です。)
イスラエルは各戸ルーフノッキングや度重なるビラ捲きなど、出来る方途を尽くして非戦闘員を逃がす努力を続けて来ました。
飲用水や燃料、医薬品の供与なども欠かさず、国際法の専門家を帯同するなどしています。
病院や学校攻撃についても、おそらく違法性阻却性が認められるようになるでしょう。

一方、ハマス側は住民を戦闘地域から逃す義務を怠り、あまつさえ妨害し、人間の盾として利用して来ました。
もっとも問題なのが、戦闘員の服装がばらばらで、一般人と区別がつけられない事による犠牲者が多かった事ですかね。

また、シファ病院への「イスラエルによるミサイル攻撃」と発表したのは致命的になりそうです。しかも、自分で撃った出来損ないのロケットだったなんて、最低レベルの軍事的偵察能力もないように見るしかなく、今後の主張における信ぴょう性に大きくかかわって来るでしょう。

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