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2024年1月15日 (月)

台湾総統選挙・民主主義の歴史的勝利


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2024年1月13日の台湾総統選挙、頼清徳(らい・せいとく )・蕭美琴(しょう びきん )において、ご承知のように勝利を収めました。
投票率は71.86%、得票数は約558万票、得票率は40.05%。
国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ )・趙少康(ちょう しょうこう )は467万票で、得票率は33.49%、民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ )、呉欣盈(ごきんえい )369万票、得票率26.46%でした。
事前の民意調査どおりでした。

ただし、前回総統選の蔡英文・頼清徳ペアの得票率を17%落としています。

「2020年の総統選と比較すると、あのときは民進党蔡英文・頼清徳ペアは817万票を獲得、得票率57.13%でしたから、17%も得票率を落としたことになります。つまり、民進党は余裕の大勝利というよりは、厳しい戦いを勝ち抜いた、ということでしょう。700万票以上の反対票があったと考えると、そして国会(立法院も)事実上のねじれ国会ですから、なかなかむつかしい」
(福島香織 中国趣聞NO.944:民進党勝利の要因と歴史的意義)

一方、立法委員選挙は接戦でした。
民進党は惨敗予測を覆して民進党が健闘し、ほぼイーブンの1議席差にまで肉薄しました。第一党は国民党52議席、民進党51議席、民衆党8議席で、3党とも過半数を制することが出来ず、民衆党の8議席がキャスティングボートを握ることになりました。
いわそるねじれが生じたわけですが、これは最小限に止まったとは言えます。

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産経

【台北=桑村朋】13日に投開票された台湾の総統選で、中国の統一圧力に屈しない姿勢を示す与党、民主進歩党の頼清徳(らい・せいとく)副総統(64)が勝利した。対中融和路線の最大野党、中国国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長(66)と、米中間でバランスをとる中間路線の第2野党、台湾民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長(64)がそれぞれ敗北を認めた。
中台統一を「歴史的必然」だとする中国に、台湾の有権者は改めてノーを突き付けた。
頼氏は台北市内で記者会見し、「台湾人は民主主義の新たな1ページを刻んだ。中国の脅威から台湾を守る決意だ」と勝利を宣言した。
1996年に総統の直接選挙が始まって以降、初めて同じ政党が3期連続で政権を担う。2000年以降、民進党と国民党が2期8年ごとに政権交代を繰り返していた」
(産経1月14日)
台湾・総統選の開票終了 勝利の頼氏「中国の脅威から台湾守る」 立法委員選は与党過半数割れ - 記事詳細|Infoseekニュース

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台湾総統選、与党・民進党が勝利 親中の最大野党・国民党は敗北認める - BBCニュース

5月に交代する蔡英文総統と頼清徳新総統の勝利の弁。

「退任する蔡英文総統は、台湾は民主主義を維持するのだという揺るぎない決意を世界に示す選挙結果だと歓迎した。
「世界は台湾の選挙に注目しており、台湾の民主主義の価値を見抜いている」と蔡氏は述べ、「どのような困難や圧力があっても、民主主義を維持するという私たちの決意や、台湾と自由に対する私たちの愛情を打ち砕くことはできない。そのことを世界に示した」と強調した。(略)
頼氏は民進党の選挙本部で勝利演説を行い、「台湾は民主主義国家の共同体にとっての勝利を収めた」と述べた。
「我々の民主主義に新章を刻んでくれた台湾の人々に感謝したい。我々は、民主主義をどれほど大切にしているかを世界に示した。これは揺るぎないコミットメントだ」と、次期総統は強調し、「台湾の人たちは行動を通じて、選挙に影響を与えようとする外部勢力からの活動に抵抗し、成功した。自分たちの総統を選ぶ権利を持つのは台湾の人々だけだと、私たちは信じている」と話した」
(BBC2024年1月13日) 

さて、勝因はいうまでもなく元総統の馬英九の「習近平を信じるべきだ」発言によって、国民党の信頼を貶め、民進党に寄与ししてしまったからです。
馬は総統選投票日直前の11日に、こんなことを放言しました。

総統選は外交安全保障がテーマであり、議会選挙は内政です。
それを「オレは習近平を信じている。彼は中台湾統一を考えていない」と言ってしまったのですから、まさに舌禍です。

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台湾・馬英九前総統「習近平氏を信用すべき」 国民党候補が“火消し”(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース   

「台湾総統選があと2日に迫る中、馬英九前総統が中国の習近平国家主席を「信用しなければならない」と語ったほか、習氏が意欲を示す台湾統一についても「本来は受け入れられる」と述べ、波紋が広がっています。
台湾メディアによりますと、野党・国民党の馬英九前総統は8日、ドイツメディアの取材に応じ、習主席を「信用するか」問われ、台湾と中国の関係を意味する「両岸関係」については、と前置きしたうえで「信用しなければならない」と答えました。
また、習主席が意欲を示す台湾統一について「統一は憲法に書いてあり、本来は受け入れられる」と述べました」
(TBS  2024年1月11日)
台湾・馬英九前総統 中国・習近平国家主席を「信用しなければならない」 波紋広がる | TBS NEWS DIG

この馬は中台統一論者です。
この時、習近平が露骨に言っている中台統一について馬は、「統一は憲法に書いてあり、本来は受け入れられる」と述べました。
いつの話か。これは大陸反攻」と切ないことを言ってた蒋介石時代の遺物にすぎません。
台湾の主流の民意は「現状維持」であり、国民党の総統選候補の侯友宜すら、この馬の発言について「私の考えは少し違う」「中国の一国二制度には反対だ」と繰り返し述べねばなりませんでした。

2023年3月30日、武漢で中国国務院台湾事務弁公室主任の宋濤と面会した時、92年コンセンサス(92共識)に言及したことがあります。
「92年コンセンサス」とは、1992年11月16日に、中国の海峡両岸協会と台湾の海峡交流基金会という両岸関係問題の窓口で、それぞれ各自が口頭で表現する方式のことで、「両岸はともに一つの中国であるという原則」のコンセンサスを指します。

これが実に玉虫色のシロモノで、中台で一致しているのは「一つの中国」(ワンチャイナ)の立場だけで、中国にとっての「一つの中国」とはとうぜん中華人民共和国のことですが、馬にとってそれは国民党が支配する中華民国のことです。
つまり、「92年コンセンサス」という言葉でくるむことで、「一つの中国」をめぐる中台間の立場の違いを曖昧化させ、「意見の不一致への同意」(agree to disagree/各自口頭方式)が可能となった高等外交戦略だ、と馬は言いたかったようです。
現実的には、この馬の主張、つまりかつての国民党の考えは、「一つの中国」という虚構を立てることで、中国が言う「一国二制度」を容認するものでした。

蔡英文は馬が残した「ひとつの中国」という「92共識」の存在自体を否定し、「独立」という刺激的な言葉はつかわずに慎重に国民党政権とは一線を画した「台湾」をめざしました。
これに激怒したのが習です。彼はありとあらゆる方法を使って台湾に嫌がらせをしました。

台湾と国交がある国をカネの力でしらみつぶしに引き剥がし、続々と断交を迫っていきました。
これによって台湾は、いまや世界でたった17カ国にしか承認されていないという国際的孤立を味わうことになります。
これにとどまらず、大人げないことには、中国人の台湾旅行にも制限をかけるようなまねまでやっています。
中国進出した財界は常に蔡政権を揺さぶり続け 、シャープを買収したホンハイの郭台銘(かく たいめい)は、国民党から総統選に出るといって注目を浴びたこともあります。
中国資本に買われたメディアも蔡政権を執拗に攻撃し続けます。
また中国はメディアの重要性を熟知しており、香港でもほとんどすべての新聞が中国系資本となっています。
今回もミサイルこそ撃たなかったものの、陰湿な選挙に対する干渉があったようです。

ちなみに今回3政党共に、一国二制度反対、統一を話しあう予定なし、民主主義擁護、台湾擁護、国防強化支持、米国関係強化で一致しています。
香港の地獄を見て、なおも一国二制度などと言える馬のほうがズレきっているのです。

国民党の侯友宜などはっきりと「統一を話し合わない」と言明し、また習近平を信じろといった馬英九にはっきりと「賛同しない」と批判し、選挙前夜祭イベントに馬英九を招待しない決断をしました。
いままでの馬が仕切っていた国民党からずっと民進党寄りに変化しています。

一方、頼清徳は蔡英文の独立色を押さえる政策を継承し、中国の「一つの中国」には反対するものの最低限のコミュニケーション維持する方針です。
実際、中国団体観光客の受け入れ、中南部の農産物貿易についてどこかで中国と話し合わねばならない現実は見据えています。

つまり、いくら馬が時代錯誤な蒋介石時代の「一つの中国」を言おうと、台湾国民は見向きもしなかったということになります。
では、どうしてこんな馬鹿なことを馬は言ったのでしょうか。
そして習はどう考えていたのか、それについては長くなりそうなので、次回にいたします。

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コメント

 今回の総統選において、中国からの選挙介入は史上最大規模だったとの事。中共報道官は言うに事欠いて「台湾選挙は中国の内政だ」と言い放つありさまでした。
とりあえず最大の心配事はクリアしましたが、ねじれ対策をしっかりしないと防衛予算も組みづらくなります。
行政長官人事をはじめ、総統のかじ取りは出端より気が抜けない様相です。
苦労人の頼清徳はいろいろ言われるが、実は我慢も出来る人。
二期総統をやるつもりで、じっくり取り組んで行かれるのが良いと思っています。

それにしても馬英九は中共にどんな借りを作ってしまったのか?
彼の二期目は中共に平仄をあわせ、反日にさえ取り組んできた経緯からすると、根っからの併合推進者にしか見えません。あるいは脳みそ鳩山由紀夫タイプなのか?


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