強靱なことを証明した志賀原発
ルーピーさん、あなたに重度の虚言癖があるのはよーくよーくわかっていますが、この大災害の時には流言飛語を流さないで下さい。
よく例えにだされるのが、映画館で火事だと叫ぶ行為です。
それでなくても、大規模災害時は情報が錯綜して不安心理が増している時に、こともあろうに震源地に近い原発が炎上事故を起こしたと言われたら、イヤでも東日本大震災時の福島事故を思い出してパニくる人が出るでしょう。
ルーピー氏の1月2日午後9時半のツイートです。
「気になるのは志賀原発で、爆発音がして変圧器の配管が破損して3500ℓの油が漏れて火災が起きた。それでも大きな異常なしと言えるのか。被害を過小に言うのは原発を再稼働させたいからだろう」
(1月2日午後9時半)
実際はどうだったかといえば、ハト氏がツイートする8時間以上前に前に北陸電力が公式に説明しています。
「1日午後に石川県で最大震度7を観測した地震に関して、北陸電力は2日、同日午前11時までの志賀原子力発電所(石川県志賀町)の状況について、報道陣にオンラインで説明を行った。
同原発1号機の変圧器と2号機の変圧器でそれぞれ油漏れがあった影響で、一部の外部電源が利用できなくなったが、別系統の外部電源を利用することで使用済み核燃料の冷却プールの機能などは維持できているという。
地震の影響で冷却プールの水があふれる事象もあったが、いずれも原子炉建屋のプールがあるフロア内にとどまっており、外部への影響はなかったという」
(産経1月2日 13:10 )
志賀原発、変圧器の火災は誤認 冷却プールなど機能維持、北陸電発表 - 産経ニュース (sankei.com)
北陸電力
北陸電力
北陸電力プレスリリースです。
隠すどころか、詳細に写真や図解も使って報告しています。
●北陸電力1月2日
令和6年能登半島地震による志賀原子力発電所の影響について
24010201.pdf (rikuden.co.jp)
(1)1・2号機変圧器関連
●1号機起動変圧器からの油漏れ及び放圧板の動作,噴霧消火設備の起動
・当該変圧器の現場確認を行い、変圧器の絶縁油が約3,600リットル(推定)漏れていたことを確認しましたが、絶縁油は堰内に収まっており、外部への影響はありません。
・なお、地震発生時に1号機起動変圧器の放圧板の動作及び噴霧消火設備を手動起動したことが確認されました。放圧板が動作した原因等は調査中です。また、火災の発生は確認されておりません。
●2号機主変圧器からの油漏れ及び噴霧消火設備の起動、放圧板の動作
・当該変圧器の現場確認を行い、変圧器の絶縁油が約3,500リットル(推定)漏れていたことを確認しましたが、絶縁油は堰内に収まっており、外部への影響はありません。
・噴霧消火設備の起動及び放圧板が動作した原因等は調査中です
また、火災の発生は確認されておりません。
要するに外部電源の変圧器の配管が壊れ、冷却用などの油が漏れ出しました。
一時的に外部電源を失いましたが、正常に他の系統の外部電源に切り替わって冷却は中断されていません。
また、完全に外部電源が切断されたとしても、ディーゼルの自家発電による予備電源に自動的に切り替わるはずです。
したがって、福島事故のようなステーションブラックアウト(全交流電源停止)ではありません。
「北陸電力の志賀原発も、50万ボルトの2回線と、27万5000ボルトの2回線、それに6万6000ボルトの1回線のあわせて3系統5回線の送電線で電気を受けられるようになっています。
送電線から電気を受ける際には、変圧器を通して高い電圧を発電所内で使える電圧に下げる必要があります。
しかし、志賀原発では1日の地震の影響で、27万5000ボルトの送電線から1号機に電気を送るための変圧器と、50万ボルト送電線から2号機に電気を送るための変圧器それぞれ1台が使えなくなっています」
(NHK1月2日)
志賀原発 外部電源一部使えず 安全上重要な機器の電源は確保 | NHK | 令和6年能登半島地震
冷却水の漏洩というと大げさに聞こえて、まるで冷却系パイプでも破損したように聞こえますが、実際は冷却プールの水が溢れただけのことです。
その量もコップ1杯ていどが建屋の床にこぼれただけのことです。
モニタリングポストが数カ所機能しなくなりましたが、大多数のモニタリングポストは作動しており、これでモニタリングができなくなるということはありませんでした。
震度7の地震を受けて、このていどで済んだこと自体が、改めて原発の安全性が確認されたということになります。
他の原発もまったく問題なく運転が継続されていました。
「最大で震度7の揺れを観測した石川県志賀町にある北陸電力の志賀原子力発電所と、最大で震度5強の揺れを観測した新潟県の柏崎市と刈羽村にある東京電力の柏崎刈羽原発は、いずれも長期間運転を停止していますが、原子力規制庁によりますと、午後5時45分時点で、今回の地震と津波による影響は確認されていないということです。
いずれの原発でも核燃料を貯蔵している燃料プールの冷却は継続しているということです。
また、最大で震度4を観測した、いずれも福井県にある関西電力の高浜原発1号機、2号機、3号機、大飯原発3号機、4号機は、現在、運転中で、原子力規制庁によりますと、今回の地震と津波による影響はこれまでのところ確認されておらず、運転を継続中だということです」
(NHK2024年1月1日 20時32分)
石川・新潟・福井などの各原発 地震影響確認されず(20:15) | NHK | 各地の原発
ちなみにこのNHKの放送も、ルーピー氏のツイートの1時間前ですから読んでおかねばなりません。
にもかかわらず「火災が起きた」という悪質なデマをなんの裏取りもせずにツイートするのですから、さすがは日本一の大馬鹿者です。
ルーピー氏はこんな電力会社の説明など見もしないでツイートしたのでしょうが、何かの悪い冗談で一時は首相だった人の発言ですから、放置するわけにもいかないと見えて、政府も2日後(遅いよ)ルーピー氏のツイート完全否定しています。
「問題の投稿から2日が過ぎた4日夜、鳩山元首相はXに「東奥日報が『林芳正官房長官が志賀原発の変圧器で火災発生、消火済みと述べた』のでこの重大性を書いたところ、北陸電力が、作業員の誤認で調べたら火災はなかったと発表していた」と投稿。2日の投稿は、十分な事実確認をせずに発信したことを暗に認めた。一方で「火災がないに越したことはないが、作業員が何を火災と間違えたのか。では火もないのに消火済みとは?怪しさは消えず」とし、問題の投稿の削除や撤回の文言はない」
(中日スポーツ1月5日)
鳩山由紀夫元首相「志賀原発で火災が起きた」を誤りと認めず…あきれた声広がる「なぜ謝れない?」(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース
さすがに見かねた長男から、削除するように求められていますが、平然とそのまま曝してありますから、さぞかし自信がおありなのでしょう。
この人は、東日本大震災は地震兵器によるものだとか、2019年の北海道厚真町の地震は苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものだとか放言していました。
妄言癖はもう病膏肓の域に到達しています。
ルーピー氏が心密かに望むのは、ゲンパツが爆発して日本が住めなくなるということなのでしょう。
ところで、今回の能登半島地震の揺れの大きさを示す「最大加速度」は2828ガルでした。
すさまじい加速度で揺られたのです。
この強さは東日本大震災を上回ります。
「石川県能登地方で1日に発生したマグニチュード(M)7・6の地震について、揺れの強さの目安となる「最大加速度」が、2011年の東日本大震災に匹敵する2828ガル(ガルは加速度の単位)だったことが分かった。「大地震」の尺度の一つとなる1000ガル以上の観測点は能登半島各地の計7地点で確認され、広範囲で非常に強い揺れに襲われたことが浮き彫りとなった」
(読売1月4日)
能登半島地震の揺れ、東日本大震災に匹敵…「最大加速度」は2828ガル : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
福島第1と第2原発を襲った最大加速度は以下です。
宮野廣法政大学教授による 単位ガル
最大のものは福島第1の1、2号機で南西方向に550ガル、3号機で507ガル、5号機で548ガルです。
さらに震源域に近かった女川では636ガルでした。
そして福島第1原発は地震では破壊されませんでした。
志賀原発における震動が2828ガルだったかどうかは、原発の設置された地盤の状況で変化しますから一概に言えませんが、志賀町での計測ですから、そうはずれてはいないはずです。
「防災科学技術研究所(茨城県)のまとめによると、石川県志賀町の観測点で、東日本大震災の最大加速度(2933ガル)に近い2828ガルを記録。同県輪島市や珠洲市、穴水町など計7地点で1000ガル以上だった」
(読売前掲)
だとすると、志賀原発には福島第1を襲った地震の加速度よりはるかに大きな震動が来ていたわけです。
にもかかわらず、志賀原発は水漏れが一部生じただけだったのです。
ルーピー氏にとって気の毒なことに、今回改めてわかったのは原発の危険性ではなく、逆に強靱さだったのです。
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唯の誤報を深読みし過ぎたルーピーのデマに脊髄反射したのはパヨク放射脳だけでなく、愛国憂国を自称する酷使様もそうだったのには呆れました。
http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/53470019.html
物事を拗らせると行き着く先は右も左も同じですね。
投稿: | 2024年1月11日 (木) 04時17分
ははっ!
困った元総理大臣ですね。こんな人から「トラスト·ミー」なんて言われても、超大国の穏健な大統領ですら信じませんでしたから。
スゲエな2800ガルって!
福島の時と違い直下型だからでしょうけど、本体はビクともしない頑健さ。
変圧器の火災と当初報じられたのは何だったのかは確かに気になります。2006年中越地震の時に柏崎刈羽では実際に黒煙上げて燃えてましたからね。
13年前の福島では津波があと2メートルくらい低ければ何も起きませんでした。欠陥を言えば配電設備が海側の地下にあって、扉も水密化されていなくて水没したこと。それまでに普通にスクラムしてたんですから。
当時、ここのコメント欄で「鉄塔が倒壊していた!津波の前に既に電源が喪失していたんだ」と数ヶ月後まで延々とワイワイと騒いでいた方々は、当時から「多重防護」ということすら知らなかったようで。。
例えば旅客機の油圧系統がいくつもあったりするのと同じです。先日の羽田のA-350はすぐにコクピットの電源落ちて客室との連絡すら取れなくなったという電装系の問題がありますけど。あのカーボンボディならではの丈夫さとゆっくり燃えの方に注目しています。従来機なら衝突時か滑走路滑っている間に胴体がブチ折れ二次爆発起こして死者多数だったかと。これは一昨日あたりに辛坊治郎さんも指摘してました。
今回の津波は局地的に3から5メートル。志賀原発の海側の波止場は波を被ったみたいですが、全く問題ないですね。
燃料プールで数リットルの水が溢れたようですけど、あんだけ揺れればスラッシュも起こるでしょう。タライの水を揺らした時に起こるようなことで東日本大震災の時には家庭のお風呂がバッシャバシャの動画とかアップされてたのと原理が同じ。
対策するならプールのフチにアルミなりステンレスなりの薄い板を打ち付けるだけで応急処置可能。それ以上を想定するなら波動解析をシミュレーションしてプール内に適切な仕切りをとなりますが、下手にやるとそれが動いて燃料棒に接触する恐れもあるので···耐熱性の高い柔らかいプラ板とかでいいのでは?と。
今回の教訓としては北陸電力の情報の出し方が悪かったとです。当初は燃えたとか言ってたのを訂正したり漏れた絶縁油の量が後に数倍だったと変わったりすると、「何が本当なんだ?」という心理的な疑義が生じてしまいます。
すぐに「原子炉は正常で冷却中」を強調して、周辺機器は詳しく調査してから発表しますと言えば良かったです。
投稿: 山形 | 2024年1月11日 (木) 08時56分
志賀発電所の状況については、昨日の原子力規制委員会にて、詳細が報告されています。
https://www.nra.go.jp/disclosure/committee/kisei/010000883.html
主変圧器について、火災ではなかったと明記されています。
燃料プールからの溢水量は存外に多く、1,2号合計で500L程度(風呂桶2杯程度)になっていますが、プールの燃料の冷却に影響する量ではないですし、すでに回収されています
電源についても外部電源の予備系統で給電中で、非常用電源が待機しています
普通に読むと志賀発電所に差し迫った危機があるようには到底思えない内容になっています
想定していない断層が動いたということで志賀発電所の安全審査のやり直しになるとは思いますが
投稿: kio | 2024年1月11日 (木) 12時36分
北陸電力によるプレスリリース1月2日「志賀原子力発電所の影響について第3報」
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24010205.pdf
1月3日同第4報
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24010302.pdf
1月5日同第5報
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24010599.pdf
これらでは、それまでに出していた情報の何処がどう更新されたのかが比較できて、より正確な情報を得たい者にとって有用かつありがたい形で情報が提示されています。
こうしてくれているのだから、活用しなきゃもったいない。
鳩山由紀夫たんのいいところは、ナチュラルボーン金持ちなので金では転ばないところかと考えますが、承認欲求を刺激して役に立ってもらいたくても、トンチキ度が桁外れなので、反原発反自民側から中共ロシアまで、使い辛いなぁと思ってるんじゃないですかね。知らんけど。
投稿: 宜野湾より | 2024年1月11日 (木) 14時19分
原発の地震条件となる加速度は、解放基盤(ほぼ岩盤層)の加速度であり、震度の計算に用いる表層(震度計設置場所)の加速度とは異なります。数倍違うこともあります。
また、最大加速度は単なる目安であり、地震波の速度、周波数成分、建屋、機器の固有値を考慮しないと耐震性は評価できません。
投稿: 杉並の老人 | 2024年1月11日 (木) 14時31分