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2024年2月10日 (土)

やっぱりイランから現金が渡っていた

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あーあ、やっぱりね、という感じですが、イランからやはり現金がハマスに渡っていたようです。
いままでテロ組織に現金が渡っていたことは確実視されていても、その現物が押さえられていなかったのですが、その物的証拠が見つかりました。

「イスラエル軍は6日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスの地下トンネルで、イランからイスラム主義組織ハマスへ約1億5000万ドル(約222億5000万円)が送金されたとされる証書が見つかったと発表した。軍報道官は「イランが中東にテロを輸出している具体例だ」と述べ、イランとハマスのつながりを強調した。
証書には2020年までの7年間に、イランからハマスのガザ指導者ヤヒヤ・シンワル氏らに送金されたと記録されている。イスラエルは同盟国に証書を送り、裏付けを進めている。

近くの金庫からは2000万シェケル(約8億1000万円)の紙幣も見つかったという。報道官は「ハマスの指導者が隠れ、人質が拘束されていた場所だ」と指摘した」
(読売2月7日)

イスラエル軍、イランからハマスに222億円送金の証書発見と発表…「イランがテロ輸出」と強調 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

この金庫は「ハマスの指導者が隠れ、人質が拘束されていた場所」で見つかったそうで、この指導者名は明示せれていませんが、おそらくガザ地区の軍事責任者であり、いまもトンネルを逃げ回っているヤヒヤ・シンワル(下写真右)だと思われます。

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カイロでの停戦・人質解放交渉の現状:無理を言っているのはハマス 2024.2.5 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

ハマスの地下金庫を捜索していたイスラエル軍のプレスリリースです。

「さらに、諜報活動を受けて、兵士たちはハマスの金融インフラを標的にした襲撃を行い、テロ組織の金庫と、テロ目的に指定された300万シェケル以上が保管されている外貨両替所を突き止めた。兵士たちはまた、ハマスの諜報文書も発見した」
(IDFプレスリリース2月4日)
2024年2月4日 80万ドル以上のハマスのテロ資金がハーンユニスの空挺部隊によって発見された |イスラエル国防軍 (www.idf.il)

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IDF

またシンワル宛てのカネも封筒に入ってあったようです。下写真はアラビア文字で「シンワル」とあります。

「イランから送金された多額の資金に加え、イスラエル国防軍の兵士は、ハマス宛ての100シェケル紙幣が入った袋や、ハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル自身宛ての何万ドルもの現金が入った封筒を発見した」
イスラエル国防軍、イランからハマスに1億5000万ドル以上が送金されたことを明らかに - I24NEWS

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I24NEWS

ところでイランとハマスやヒズボラ、フーシ派などのテロリストとのつながりは公然の事実でしたが、現物の現金と証拠文書が発見されたのは初めてのことです。

ところで去年暮れの12月25日、イスラエル軍はシリアの首都ダマスカス郊外への空爆で、イラン革命防衛隊(IRGC)司令官のラジ・ムサビを殺害しました。
ムサビはコッズ部隊という海外テロ工作チームの最高指揮官でしたが、コッズ部隊とはこのような組織です。
中東問題における小泉悠氏に似た立場の黒井文太郎氏はこう説明しています。

「この部隊はもともと1980年代のイラン=イラク戦争時の革命防衛隊の特殊部隊を母体に、同戦争終結時の1988年に設立された。任務は海外での秘密工作で、具体的には海外でのテロ工作と、外国にイスラム革命を広げる「革命の輸出」である。後者の具体的な活動が、外国のイスラム主義者の人脈をリクルートし、組織化し、武器を与えて訓練し、武力闘争を指導することだった」
(黒井文太郎2023年11月7日)
ハマス・ヒズボラを支えるイランの危険な謀略機関「コッズ部隊」:黒井文太郎 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

ムサビはソレイマニの後任として、ハマスの武装化に力を注ぎました。

「ハマス指導部の最高幹部のひとりであるサレフ・アロウリ政治局次長が2020年5月、レバノン「マヤディーンTV」で次のように語っている。(表向き)関係が冷たくなった時期でさえ、イランは我々を支援してくれた」「私が初めてコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官に会ったのは2010年か11年。その後に何度か会い、私自身もイランを訪問した」
 同インタビューによれば、アロウリ政治局次長は最初のイラン訪問時にアリ・ハメネイ最高指導者と会見。ハメネイはその場でソレイマニ司令官にハマス支援を指示し、それ以降、コッズ部隊との関係が深まっていったという。
(黒井文太郎2023年12月15日『キーマンは「ハマス政治局次長」と「コッズ部隊パレスチナ支部長」 イスラエルが命を狙う6人の最重要「標的」とは』)
キーマンは「ハマス政治局次長」と「コッズ部隊パレスチナ支部長」 イスラエルが命を狙う6人の最重要「標的」とは:黒井文太郎 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)


ハマスは90年代まで、当時の資金源である湾岸諸国や在外パレスチナ人の寄付で成り立つ微温的組織でした。
よく中東屋たちはしたり顔で、「ハマスは福利厚生団体だ」などと間違った印象誘導をしていますが、それはこの時代のものです。
本当に不勉強な連中で、こんな人らが少し前まで外務省の中東政策を動かしていたのです。
彼らがやったことは「イランは伝統的親日国」という誤った理解による親イラン政策でした。

それはさておき、ハマスは政治部門をシリアに移すと、アサド政権と同盟関係にあったイランの影響下に入ります。
いや、「影響下」というより、指揮下というべきでしょう。

「イランがハマスの最大の支援国になった。現在ではハマスの唯一の後ろ盾がイランと言っていいほどで、とくにカッサム旅団への軍事支援はほぼすべてがコッズ部隊とヒズボラによるものになっている」
(黒井文太郎2023年11月7日)
ハマス・ヒズボラを支えるイランの危険な謀略機関「コッズ部隊」:黒井文太郎 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

イランの影響下に入ったハマスの構成員の中には、元々イラン国内のコッズ部隊が運営するテロリスト養成所やヒズボラのベッカー高原での訓練所などで訓練された者たちがおり、彼らは「カッサム旅団」と名乗って、ハマスの軍事部門を作るようになります。

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イッズッディーン・アル=カッサーム旅団の戦闘員
イッズッディーン・アル=カッサーム旅団 - Wikipedia

「旅団」と称していますが、師団規模以上の3万から4万の戦闘員を抱える強力な存在です。
彼らこそ、今回の10.7テロ襲撃の主犯です。

ただし、カッサム旅団は、ハマスの合法部門とは区別された秘密軍事部門で、構成員が誰であるかは知らされていません。

「ハマスは政党でガザの行政機構でもあるので、政治部門はオープンだ。幹部も組織メンバーも公開されており、幹部の人選もオープンに任命される。対してカッサム旅団では、イスラエルの攻撃を警戒して徹底的な秘密主義がとられている。海外で訓練中の戦闘員を除き、最高幹部含めて全員がパレスチナ国内に潜伏し、最高幹部クラス以外は氏名も秘匿されている」
(黒井前掲)

この組織形態は共産党の構造によく似ており、4、5人の「細胞」に属し、自分の指揮系統しか知らされていません。
ハマス型「民主集中制」です。
逆に言えば、頭をつぶされると身体まで動かなくなるために、こういう組織構造を知るイスラエル軍は上級指揮官を狙い撃ちにしています。

また内部での横の議論や交流は禁止されているために、小規模なテロや奇襲が得意です。
普段は学校の教員や自治政府の公務員のような顔をして過ごしているために、中東屋はころりとだまされています。
握手した相手が、カッサム旅団の戦闘員だったりするかもしれないのですが。
戦闘員は指令があり次第戦闘服に着替えて武器を持ち戦闘に参加します。
全員が覆面をしているのは、シャバに戻った時にわからなくするためです。
もっともガザ戦争では、戦闘服は着用せずに民間人の姿のまま銃撃戦に参加しているのが多く見られています。
こういうやり方が、民間人被害を大きくする原因となっています。

このようにイランはハマスに対して「影響を与えた」「つながりがあった」「関係を疑われている」などという生易しい関係ではなく、生みの親はイラン、育ての親もイランなのです。
今回、物的証拠が見つかったことで、さらにこの関係の解明が進むでしょう。

 

 

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コメント

 いやはや、いくら事実が二十年来イラクの資金がハマスへ流れていたとしても、この時期にこのようなあからさまで絵に描いたような証拠が出たのでは、イラクにとっては真っ青の重大問題です。
バイデンはイラクとの関係修復のため、一旦は韓国の60億ドル(9000億円)をカタール中央銀行に移しました。
ブリンケンは「この金員を確実に抑えている」と述べていますが、疑わしいですね。担保付融資にした可能性もあるし、だいいちカタールそのものが信用出来ません。https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/EGB22M6Q2RJPZK5VN3KLKRIUJM-2023-10-12/
共和党は、まだ証拠の段階ではないですが、この資金を使ったか緩めた事がイスラエルへのテロを誘発したと見ているようです。
とまれ、日本も30億ドルばかりイラン資産を押さえていて、日本の中東研究者たちの食言もどきの言説は、やがて来るべきイランへの制裁解除にベットしたものだったと考えます。

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