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2024年2月 5日 (月)

ロシアを支えているのは北朝鮮製兵器

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北朝鮮制の兵器が、ロシアやイエメンのフーシ派に渡っていることがわかりました。

「【ソウル聯合ニュース】英国の研究機関「紛争兵器研究所(CAR)」は24日までに公表した報告書で、ウクライナに着弾した弾道ミサイルを分析した結果、部品にハングルが記載されており、北朝鮮製と推定されると明らかにした。
ロシアが今月2日、ウクライナのハルキウに発射した弾道ミサイルの残骸を分析した。
研究所はハングル表記以外にもミサイル残骸のロケットモーターやジェット翼、ボルトの締め付け方などを北朝鮮の短距離弾道ミサイル「KN23」や「KN24」の写真と比較・分析し、類似点を見つけたとして、ハルキウに着弾したミサイルは北朝鮮製のKN23かKN24であると推定した」
(聯合 2024.01.24)
ウクライナ攻撃のロシアミサイルにハングル 「明白な北朝鮮製」 | 聯合ニュース (yna.co.kr)

このハルキウに着弾したロシアの弾道ミサイルの気圧計の部品には、ハングル文字が記されていました。

「CARが現地調査で発見した新たな事実です。「2月11日工場」は北朝鮮の咸興南道にある龍城機械連合企業所の工場名で、「112」が2月11日工場を指すと考えたのは日付の表示形式が日/月/年の順番になるイギリス的な発想だと思われますが、しかし北朝鮮の日付けの表示形式は年/月/日の順番です。「112」が2月11日工場を指すかどうかはCARも可能性があるという表現に止まっています」
(JSF1月21日)
ハルキウで発見された北朝鮮製KN-23弾道ミサイル(推定)の直径は110cm、イスカンデルMより太い(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース

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JSF

紛争兵器研究所(CAR)は、このミサイルの寸法がロシア製イスカンデルより15㎝大きい北朝鮮のKN-23と同じ寸法だということを指摘しています。
CARは「ウクライナで北朝鮮のミサイルが使用されたことを明白に示し、ロシアの北朝鮮製兵器の使用は大量破壊兵器の不拡散体制を阻害する代価を支払ってでもウクライナ戦争を続ける意図を示す」(聯合前掲)と述べています。
これを受けて、米政府は先月4日、ロシアが北朝鮮から提供を受けた弾道ミサイルをウクライナ攻撃に使用したと断定しました。

弾道ミサイルだけではなく、北は砲弾の供給もしているようです。

「AP通信は、北朝鮮がウクライナでの戦争を支援するため、コンテナ1000個分以上の軍装備品や武器弾薬をロシアに送ったと報じていた。米国政府は、北朝鮮が交換条件としてロシアの軍事技術を求めた可能性が高いとして、この支援を非難していた」
(ニューズウィーク12月25日)
北朝鮮供給の不良弾薬が発射前に爆発、ロシア軍兵士の自爆事故も|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

この背景には、ロシアがウクライナ侵略で窮地に追い込まれたことが背景にあります。
流れを見ておきましょう。

ウクライナ戦争当初の2022年5月~6月には、ロシア軍は1日1万2000発もの砲弾を撃ち込んできたのに対してウクライナ軍は1日1000発~2000発の砲弾を敵に撃ち込んでいたにすぎませんでした。
実に10倍近い砲撃回数の違いです。
大砲は戦場の女神という古い格言どおり、砲撃回数は戦場の優勢を決定づけていました。
そのためウクライナ軍は苦戦を強いられ、毎日100人~200人以上の戦死者が発生して東部戦線では後退に続く後退を強いられていました。

この問題の原因は、当時ウクライナ軍が使用していた旧ソ連規格(152mmや122mm)の砲弾不足、西側諸国による旧ソ連規格砲弾の供給限界、ロシア軍がかき集めてきた榴弾砲よりも射程の長い多連装ロケットシステムの存在があります。
火力投射量で劣ったウクライナ軍の地上部隊は手も足も出せないまま大砲の餌となり、毎日膨大な死傷者を出し続けたのです。

しかしウクライナ軍がNATO規格対応の榴弾砲へ移行し、榴弾砲と自走砲を合わせて400門以上に増強され、ロシア製多連装ロケットシステムよりも射程と命中精度で優れるHIMARSやMLRSが米国から到着し、行き渡るようになるとウクライナ軍も1日6000発も撃ち込めるようになり、不均衡だった両軍の火力投射量が急速に是正されました。
その結果、「1日あたりの戦死者数が30人まで減少した」とゼレンスキー大統領は述べています。

しかしロシア軍は2023年1月にはロシア軍は1日5万発体制を維持し続け、落ち込んでも2万発は撃っていました。
驚くべき物量ですが、この砲撃があるうちは、決して戦意が高いとはいえないロシア兵も活発に行動しています。

下図はロシアとウクライナ両軍の砲撃回数を見たグラフですが、赤線がロシア軍、青線がウクライナ軍です。

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10月19日を頂点として、以後ロシア軍砲撃回数が急降下していますが、それでも8月まではロシア軍が砲撃で撃ち勝っていたのがわかります。
ウクライナ軍兵士が「こちらが一発撃つと10発返ってきた」、と言っていたように、ウクライナは火砲で撃ち負けていたのです。
この重火力不足こそが、キーウでロシア軍を退けたのちの、ウクラナイナ軍が耐えた困難な半年の原因でした。

なんと陸軍大国を自他ともに認めていたロシアの砲弾の在庫が枯渇しかかっていたのです。
この状況に大いにいらだったのがプーチンでした。
彼はショイグの尻を蹴飛ばして、去年7月に北に砲弾をもらう手筈を整えさせます。

今までロシアは、多くの兵器技術を北朝鮮に供与してきました。
大物としては核兵器開発技術、イスカンデル短距離弾道ミサイル、MiG-29戦闘機、S-300・400防空ミサイルなどの技術供与をしたのはロシアです。
これらの軍事技術は、裏ルートを通じて供給されてきましたが、いまやそんな悠長なことはしていられない、直ちに北に砲弾を寄こせと掛け合ってこい、とプーチンはショイグに命じたようです。

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金正恩氏がロシア国防相と会談 戦略・戦術的協力めぐり意見交換と北朝鮮メディア 帰国の途に就く:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

「北朝鮮の朝鮮中央通信は26日、ロシアのショイグ国防相が率いる代表団が25日、平壌に到着したと報じた。空港では強純男(カンスンナム)国防相らが出迎え、歓迎式典が開かれたという。北朝鮮が「戦勝記念日」と位置づける朝鮮戦争の休戦協定締結から70年を迎える27日に合わせ、代表団も出席して軍事パレードが行われるとみられる」
(朝日7月26日)
ロシアのショイグ国防相が北朝鮮に到着 「戦勝」行事で異例の訪朝:朝日新聞デジタル (asahi.com)

戦争中の国防大臣が外国に出かけるのですから、もちろん一般的な儀礼外交ではありません。
これは西側に「ショイグのおねだり」と揶揄されるように、伏してでも砲弾を乞うことが目当でした。

そしてさらにそれを決定づけたのは、去年9月の正恩のロシア訪問の折にプーチンとの会談でした。
プーチン御大自らが、正恩を呼んでの大サービスを演じて見せます。

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金正恩氏、何を得た? 8泊9日「笑顔」のロシア訪問 日米韓は「新冷戦」を警戒:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

正恩が何を目的に行ったのが軍事技術の移転であることは、訪問先をみれば明瞭です。
プーチンとの会談は、ロケットが打ち上げられるボストーチヌイ宇宙基地で行われ(上写真)、正恩は「宇宙強国の現実と将来を具体的に深く知れてうれしい」と語ったそうです。
当然宇宙技術の移転も話し合われたでしょうから、それ以降の軍事偵察衛星の成功などをみるとさっそくその結果が現れています。
また、ロシアの最新鋭戦闘機や極超音速ミサイル、戦略爆撃機なども視察し、海軍基地ではフリゲート艦に乗り込んだそうです。
これらの大量破壊兵器を見せた上で、ロシアが改めて念押ししたのは、各種砲弾とロケット弾、歩兵戦闘車の供給であると推測されています。

北は北朝鮮は122ミリ砲弾と152ミリ砲弾、125ミリ戦車砲弾などを少なくとも数十万発、最大で100万発をロシアに提供したと見られています。
こうした不良品がどれくらいの割合を占めるかは その現実的結果は、すでにウクライナで出ています。
大量の砲弾を北から供給されたロシア軍は、今までのじり貧状態から蘇り、盛大に弾道ミサイルをウクライナの諸都市に撃ち込んでいます。

しかし失笑することには、北の砲弾は品質が劣悪で、次々に砲身内で暴発事故を起こしているようです。

「ウクライナ軍参謀本部の最新情報によれば、ロシア軍は、北朝鮮の低品質な弾薬を使わざるを得なくなっており、その結果、弾薬が銃や迫撃砲の中で破裂する事故が多発、装備の破損や兵士の負傷につながっているという。
ウクライナ軍参謀本部は、「弾薬の品質が悪いため、銃や迫撃砲の内部で破裂する事故がまれに発生しており、ロシア軍の兵器や人員に損失が出ている」と述べている」
(ニューズウィーク12月25日)
北朝鮮供給の不良弾薬が発射前に爆発、ロシア軍兵士の自爆事故も|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

ロシア軍事系サイトによれば、ロシア軍が北朝鮮製の同一の表示がある砲弾5発を無作為に抽出して点検を行ったところ、それらの砲弾には異なる種類の火薬(発射薬)が使われており、火薬の束の重さも一定ではなく、砲弾内部にあるはずの銅線がない砲弾も多く存在していたそうです。
さらには一部の砲弾は密封キャップをこじ開けた跡が見つかり、内部の銅線が盗まれていました。
このような劣悪な砲弾にすがっているのがロシア軍です。

また北がガザ戦争においても、ハマスやイエメンの親イランテロリスト集団フーシ派が使った兵器にもハングルの表記が確認され、北朝鮮が武器取引をしていると思われます。

 

 

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コメント

 ロシアは安保理決議に違反してまで北朝鮮と取引したわけで、その苦境の深刻さが顕著でした。それでも、その間の糊口をしのぎ、自国での生産体制を再構築しようとしている段階ですかね。

ハマスやフーシ派など新イランテロリストたちは、古川勝久氏らの国連北朝鮮制裁専門家パネルが塞ぎかけた取引の穴を、「国家でない」立場ゆえに引き継げたもので、今度は逆にイランやスーダンへの窓口にもなってるよう。ただ、こっちは北の在庫に関係なく、十数年前からの継続的なもの。

北朝鮮がロシアにやった大量の兵器の穴埋めをどうするのか? その影響がどう出るのか?そういった点も興味津々です。

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