UNRWA支援を停止するのはジェノサイド加担だって?
れいわ新撰組が、政府のUNRWA (ウンルワ)への支援一時停止についてこんなことを言っています。
「外務省は1月28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA/ウンルワ)への2023年度補正予算に盛り込んだ約52億円3500万ドル)の資金拠出を一時停止すると発表した。イスラエルにより侵攻を受けているパレスチナ・ガザ地区の「壊滅的人道状況」の中で、最大の人道支援機構への妨害であり、多くのガザ住民を飢え死にさせかねない暴挙である」
【声明】政府によるUNRWAへの資金拠出停止への抗議、及びれいわ新選組の寄附について(れいわ新選組 2024年2月3日) | れいわ新選組 (reiwa-shinsengumi.com)
あいかわらずコンスタントに愚かな政党です。
政府は、G7と協調してUNRWAへの資金拠出を一時停止しました。
その理由は、10月7日、イスラエルを奇襲襲撃し、キブツなどで1200人あまりのイスラエル人を殺害したテロ事件にUNRWA の職員の少なくとも12人が直接関与していたことが判明したからです。
また解放された人質の証言では、2人は、UNRWA学校教師の家で拉致され、UNRWA施設へ続くトンネルで移動させられていたと証言しています。
これらの学校にはトンネルが見つかっています。
このように拉致行為に関わった実行犯を大量に出せば、その国際機関が支援を打ち切られて当然ではありませんか。
国連は特定した9人を解雇、調査を進めていると言っていますが、ニューヨークタイムズはUNRWAの2割前後がハマスの構成員だとしています。
ニューヨーク・タイムズによると、奇襲に関与したとみられる職員は12人で(たぶんそんな数ではないでしょうが)、うち10人がハマスに所属していました。
奇襲当日、これらの「国連職員」は、女性の拉致にまで手を染めています。
弁解の余地なきテロ加担です。
米国は2024年1月26日、国連が適切に対応するまで資金拠出を停止すると発表。ドイツや英国、日本などが追随しました。
拠出金上位10カ国で、いまだ停止していないのはノルウェー、トルコ、サウジだけです。
ちなみに、拠出金は20位以下なくせに拠出停止を批判しているのは、中国、ロシア、イランです。
いやなんとも色分けがハッキリしすぎていますね。
ところで、このガザ戦争でいかんなく無能ぶりを発揮したグテーレス事務総長はこんなことを言っています。
「グテーレス国連事務総長は「ガザ市民200万人が、日々を生き延びるためにUNRWAの援助を必要としている」と指摘。国連は、資金難で2月末にも活動中断を余儀なくされる恐れがあると危惧している」
「日本もか」ガザで怒りと失望=UNRWAへの拠出金停止|ARAB NEWS
このグテーレスは、パレスチナ問題についてわかってしゃべっているのか、ということを言い続けてきました。
国連事務総長、イスラエルが二国家共存を拒否すれば世界の平和が脅かされると警告|ARAB NEWS
「グテーレス事務総長は、国連はパレスチナ人への暴力を非常に明確に非難するとともに懸念を抱いていると述べた。「二国間解決に次ぐプランBはないと信じるからだ。その点に関するイスラエルの次期政権の動きについて非常に懸念している」
「国際社会全体がイスラエル政府に対し、二国間解決以外の選択肢はないこと、また二国間解決を疑問視するような一方的な行動を取るべきではないことを明確に説明することが非常に重要だと考える」
(アラブニュース2022年2月12日)
国連事務総長、23年のウクライナ戦争終結を強く望む|ARAB NEWS
これはよくあるイスラエルとパレスチナ人を対立させる見方です。
グテーレスには大きな勘違いがあるようですが、10月7日のハマスのテロ以降も以前も、イスラエルはパレスチナ人やその代表組織である自治政府を敵としたことはありません。
一貫してイスラエルが戦ってきたのは、ハマスやヒズボラ、フーシ派などのテロリスト組織です。
グテーレスが言うように、仮にイスラエルとパレスチナが協議しても、ハマスは自治政府の決定にはまったく拘束されておらず、彼らに影響をおよぼす国は唯一イランだけです。
ヴァイッド・ベヘシュティが言うように、パレスチナ問題は解決しようと望むなら、イランという存在に突き当たるのです。
「ハマス、ヒズボラ、イスラム聖戦はタコの手先であり、無力化したいのであれば、その核心を叩かなければならない」
西側諸国がイランと直接対決する時が来た - オピニオン - エルサレム・ポスト (jpost.com)
ところがいまやハマスは、その生みの親のイランにさえ事前通告なしに10.7の虐殺を働いたのですから、もはや彼らをコントロールできる者は世界になきに等しい。
現在、中東が荒れている一つの原因は、イランの指示というより、むしろその統制力が弱まっていることにあるのかもしれません。
だからこのテロリスト集団に対しては、戦闘で追い詰めて、交渉の場に引きずり出すしかないのです。
そして国連がガザ戦争に動いたのは、襲撃から2カ月もたった12月でした。
この時になって、グテーレスは国連検証99条を楯にして、安保理に対し人道的な停戦を求めるよう要請しました。
なにを寝ぼけているのか、この男。
そして中露米の拒否権行使で安保理は麻痺。それを打開できずに、今度はイスラエルに矛先を転じます。
グテーレスは、ガザ戦争が終わらないのはイスラエルが二国間共存を拒否するからだと言ってのけます。
同じようなことをブリンケンも言っていますが、それは実際に秘密交渉を進めて「戦後」のフレームを構想する中でのことです。
なにもしないでキレイゴトをだけ言っているようなグテーレスとは次元が違います。
「国連事務総長は23日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が二国家共存を拒否すれば、紛争が永遠に続き、世界の平和を脅かし、世界中の過激派を勢いづかせることになるとイスラエルに対して警告した。
「パレスチナ人民が完全な独立国家を樹立する権利はすべての当事者から認められるべきで、いかなる当事者による二国家共存の拒否は断固として拒絶する」アントニオ・グテーレス国連事務総長は安保理閣僚級会合で、イスラエル・ハマス戦争に関して非常に厳しい言葉でこのように述べた」
(アラブニュース1月24日)
国連事務総長、イスラエルが二国家共存を拒否すれば世界の平和が脅かされると警告|ARAB NEWS 。
おいおい、ガザ戦争の一方の当事者であるハマスは、二国間共存どころかイスラエルをいっさい認めず、ユダヤ人は地中海に蹴落とすと叫んでいる集団なのですよ。
そして自治政府はハマスをいかなる形でもコントロールできていません。
ですから、「戦後」の枠組みを作り出す中から自治政府を「刷新」するしかガザ戦争を停戦させる方法はなく、イスラエルがいかん、ネタニヤフは極右だ、とだけ叫んでも無意味なのです。
そして今回はUNRWAに対する資金停止に対して「パレスチナ人の人道支援が途絶えれば、多くの犠牲が出てくる」という言い方をしています。そして支援金が途絶えた場合、2月末までに人道支援活動は停止に追い込まれてしまうと述べています。
これは事実に反しています。
ガザは中東屋が言うように飢餓線上にはありません。
鈴木一人氏はこうツイートしています。
さらに国際政治学者の篠田英朗氏もこうツイードしています。
こちらは拠出停止することは、なんと「ジェノサイド加担」だそうです。
イスラエルを「快楽殺人国家」とまで罵った人ですから、このくらいのことは言うでしょう。
それにしても中東業界の「権威」某氏といい、この篠田氏といい、どうしてこうも過激で短絡的な言葉遣いを繰り返すのか。
学者としての品性にかかわります。
これらの人々にかかると、「UNRWAがなくなると行政や教育を扱う仕組みがなくなる」とのことですが、そもそも教育や行政といった基本的な生活インフラを長年国連の一機関がしていることのおかしさになぜ気がつかないのでしょうか。
「唯一の正統な代表の自治政府」が、ガザの住民に対する責任を放棄してしまったことこそ問題にせねばならないはずです。
自治政府がまったく機能していないのは、アッバスの私利私欲にだけあるのではなく、この自治政府もまたハマスに全身をむしばまれているからです。
そしてハマスはより巨大なカネが世界から集まり、「国連」の服を着てしゃべれるUNRWAの甘い蜜にたかったのです。
中東屋がなくてはならないと言うUNRWAの学校のレポートがあります。
「UNRWA学校を以前取材で訪ねたとき、壁一面にパレスチナの地図が貼ってあった。イスラエルの記載はなく、拳と銃の絵柄があしらわれていた。「あなた方の目標はイスラエルとの2国家共存ではないのか」と尋ねると、職員はあわてて「これは単なるイラスト」と釈明した。
当時、パレスチナ自治政府はイスラエルと和平交渉を進めていた。そんな中でも「パレスチナの大義」の名のもとに、「反イスラエル闘争」の精神が脈々と次世代に伝えられていると実感した。UNRWA学校の教科書はユダヤ人差別や暴力闘争を教えていると米欧で何度も批判され、UNRWAは「国連方針に沿って見直している」と応じてきた」
(産経2月3日)
パレスチナ問題の矛盾をはらむガザ国連機関 「反イスラエル闘争」継承 学校地図に拳と銃 - 産経ニュース (sankei.com)
UNRWAの学校教育では、ハマスやヒズボラのテロは美化され、イスラエルを悪者にする憎悪に満ちた教育をカリキュラムとしています。
すなわち、米国やドイツ、日本からの支援金でガザでテロ組織ハマスの戦闘員予備軍を育成しているようなものです。
UNRWAは改善したといっているようですが、どのようにどこを直したのかわかっていません。
実際、10.7虐殺に関与したUNRWA職員12人のうち7人はUNRWAが運営する学校の教員で、5人は学校職員やソーシャルワーカーだったということです。
彼らは、10月7日当日に集合場所へ来るようにメッセージを受け取ったり、ロケット弾を運搬し、女性の拉致を実行しました
こういう「教育者」がなにを教えていたのか容易に想像がつきます。
「国連学校」は長年、テロの温床に堕していたのです。
また、ガザ住民全体が飢餓線上にあるということも事実に反します。
ガザ北部にはとうに物資が大量に搬入され、日常が戻ってきています。
ガザ市への人道支援の調整担当者のツイートです。
同じくコガットの1月22日のツイート。
XユーザーのCOGATさん: 「本日(1月21日)、合計260台の人道支援トラックが検査され、ガザに移送されました。これは戦争が始まって以来最多です。 ガザ地区に入ることができる人道援助の量に制限はありません。https://t.co/2KRqk0BUSm」 / バツ (twitter.com)
この人道支援のトラックが入っていることは、去年10月の時点でもUNRWAは認めています。
それから3カ月以上が経過し、ガザ北部には充分な食糧が搬入されています。
「支援物資を積んだトラックがガザ入りしたことについては「安堵している。住民の生活を救う始まりの一歩だ。物資が届けば、『国際社会がガザの状況を見てくれている』との希望を住民に与える」と効果を強調した」
(産経10月21日)
ガザ南部の食料不足「絶望的」 UNRWA保健局長、悲惨な人道状況語る - 産経ニュース (sankei.com)
現在、人道支援で問題なのは、ラファなどの南部の都市で、ここに北部からの難民が110万もなだれ込んでいます。
「ハンユニスでの激しい戦闘が始まってから、その住民12万人が、イスラエルが設置した回廊を通って、さらに南部、エジプトとの国境にラファへ避難したとみられる。国連によると、ラファには、戦前20万人が住んでいたが、そこへガザ市民半分の110万人以上がなだれ込んでいるという」
カイロでの停戦・人質解放交渉の現状:無理を言っているのはハマス 2024.2.5 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
支援物資の配分がUNRWAが仕切っているために、彼らは支援物資と燃料をガザ市民ではなく、ハマスに優先的に流しています。
英国の支援物資のトラックにハマス戦闘員が乗る写真も見つかっています。
そのために支援物資を受け取れない住民からはUNRWAへの怒りがわき起こり、暴動も起きています。
このようにUNRWAがなければ支援ができないのではなく、彼らこそガザ救援の阻害物なのです。
もはやUNRWA解体に酌量の余地はありません。
UNRWAを解体するかしないかではなく、どのように解体し、その事業をどこの機関が代替するかが問題なのです。
UNRWAの上部機関の国連は、第三者委員会を作ってハマスの膿を洗い出さねばなりません。
そして解体するか、刷新するのかが決まるまで、救援事業はもうひとつの難民救済機関であるUNHCRがやるしかしかないでしょう。
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「たった数人、悪事を働く者がいたからって何なのさ。どの組織にも変な奴はいる」みたいな矮小化を図る議論には辟易しますね。
投稿: ねこねこ | 2024年2月 7日 (水) 13時34分
最近そこら辺の中東学者の言うことが「だって全部イスラエルが悪い」に脳内で意訳されるんで困っています
投稿: しゃちく | 2024年2月 7日 (水) 14時11分
ハマスがレイプし、赤ん坊の喉をカキ切り、女性の局部にクギを打ち付けるなど、これらの蛮行にUNRWA職員が直接的な加担をしていた事実がWSJなんかに出ていました。
こうした行為は個人のいわゆる性的変態行為などではなく、ホロコーストにつながる究極の憎悪犯罪の結果です。
「一部の不届き者が~」とか、「支援金中止は集団的懲罰だ~」とか、そういう小さな問題ではなく、つまるところUNRWA全体が長年施して来た「ユダヤ人憎悪教育」のゆえです。
この問題は今回のテロの数年も前からスイス外相などが一貫して問題にして来ました。当時、スイス外相は「UNRWA自身が中東最大の問題の一部」と発言し物議をかもしましたが、今では賛同する向きも大きい。
また、その教育内容を実検すべくフランスのテレビ局が取材と教材の提供を求めていましたが、UNRWAはこれを拒否しています。
スイスの議論は数年も前から、「UNRWAの存在がパレスチナ人とイスラエルの分断を助長している」というものです。
現在ガザが飢餓になる懸念はなく、したがってこの戦闘が済み次第、現在も現地で活動している他団体がUNRWAに代わるべきです。
UNRWAによる、過激な民族憎悪教育が問題の根源の大きな一つなのですから。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年2月 7日 (水) 16時11分