日本政府がイラン革命45周年記念日に祝賀
なんと恥ずかしいことには、日本政府がイラン革命45周年記念に祝賀を送ったそうです。
イランは各国からの祝電の冒頭にわが国を紹介しています。
イラン側の発表。
「イラン・イスラム革命勝利記念日にちなんで、世界各国の指導者や当局者らがイランのライースィー大統領宛てにメッセージを送り、祝意を表明しました。
今から45年前の1979年2月1日、イラン・イスラム共和国を建国した偉人、ルーホッラー・ホメイニー師は、遠く離れた異国での15年間の亡命・国外追放を経て、国民の熱狂的な歓迎の中イランの土を踏みました 。
ホメイニー師のイラン到着・帰国から10日後の1979年2月11日、イラン・イスラム革命が勝利の栄冠に輝きました。このことにちなみ、毎年このシーズンにはイラン全国のほか、在外のイラン外交機関でも祝賀行事が開催されます。
今年のこのイベントに際して日本、韓国、シンガポール、クロアチア、中国、エチオピア、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスの当局者や指導者らがライースィー大統領に対し、イスラム革命勝利45周年を祝うメッセージを送信しました。
特に、中国の習近平国家主席はライースィー大統領への祝辞において、中国とイランの関係の大幅な発展および、この両国の積極的な連携に満足の意を表明するとともに、両国間交流と協力の新たな発展の実現への期待感を示し、「イランと中国の共同の努力により両国の包括的・戦略的パートナーシップの深化と両国の繁栄と至福がもたらされるよう希望する」としました。
各国首脳がイラン大統領に祝賀メッセージ、イスラム革命勝利記念日にちなみ - Pars Today
IRNA通信
わが国は中国と並んで格別の扱いです。さすがは「伝統的友好国」。ああ、恥ずかしい。
もちろんこんな厚遇を受けるのは、G7唯一の祝賀国だからです。
世界からその所業によって制裁措置を浴びているイランからすれば、自由主義陣営の一角を崩せてさぞかし気持ちがいいことでしょう。
逆に言えば、日本がやっていることは、自由主義陣営に分断を持ち込む背信行為そのものです。
最新の欧州連合(EU)の制裁措置についての公式宣言。
「欧州連合(EU)理事会は本日、イランがロシアのウクライナに対する侵略戦争を軍事的に支援していることを踏まえ、制限措置のための新たな枠組みを確立した。
この新体制は、EUからイランへの無人航空機(UAV)の組み立てや製造に使用される部品の輸出を禁止する。また、イランのUAV計画に責任を負う者、支援する者もしくは関与する者に対して科すことが可能になる、渡航制限や資産凍結措置についても規定している。
この新制度は、直近では2023年2月に採択された、過去に無人機に関連した個人および団体を対象とする3度にわたる制裁措置を補完するものである」
(2023年7月20日)
EU、ロシアに軍事支援を提供するイランに対し、新たな制限的措置を採択 | EEAS (europa.eu)
そしてその前段では女性の人権侵害について制裁を課しています。
「議長国スウェーデンは「閣僚たちは、弾圧を推進している者を対象とする、イランに対する新たな制裁パッケージを採択した。EUは、イラン当局による平和的なデモ参加者に対する残忍で不釣り合いな武力行使を強く非難する」とツイートした。
欧州議会はEUに対し、IRGCをテロ組織リストに追加するよう要請。ドイツのベーアボック外相はこの日の会合で「イラン政権、およびIRGCは連日、自国民を恐怖に陥れている」と非難した」
(ロイター2023年1月24日)
EU外相、対イラン追加制裁で合意 IRGC「テロ組織」指定は見送り | ロイター (reuters.com)
女性やLGBTの人権にことのほか熱心な岸田氏が、イランを「祝賀」してどうするんでしょうか。
このロイター電は革命防衛隊(IRGC)がテロ団体に指定されなかったことを驚きとして伝えています。
つまり、されて当然、されるべきであるというのが自由主義陣営共通の認識なのです。
この革命防衛隊、その中でももっとも凶悪なのがコッズ部隊であることは、先日に記事にしました。
コッズ部隊こそ、中東各地にまんべんなくテロリスト団体を扶植した組織です。
武器を与え、カネを配り、テロリスト養成キャンプで訓練して、母国に送り返したのはイランです。
ハマスやヒズボラ、フーシー派の生みの親はこの革命防衛隊ですから、イスラエルのテロに対して大きな責任を持っています。
このようなイランはトランプの核合意離脱を奇貨として、高濃縮ウランの増産に乗り出しています。
[ワシントン 26日 ロイター] - 米ホワイトハウスの国家安全保障会議の報道官は26日、イランによる高濃縮ウランの増産に関する国際原子力機関(IAEA)の報告書を米国は「非常に懸念している」と述べた。
IAEAは26日、加盟国への報告書でイランがウランの濃縮度を兵器級に近い60%まで高めるペースを再び加速させているとの見解を示した。
報道官は、イラクとシリアにおける最近のドローン(無人機)攻撃や紅海における親イラン武装組織フーシ派の商船への攻撃など、イランが後ろ盾となる勢力が危険で不安定な活動を続ける中、イランの核開発加速は今まで以上に懸念事項だと指摘した」
(ロイター2023年12月27日)
イランの高濃縮ウランに関するIAEA報告、米政府「非常に懸念」 | ロイター (reuters.com) 。
欧米社会が結束しているのは、こんなイランに核兵器を持たせないためですが、これまた核なき未来を提唱する岸田氏は欧米と連帯するどころか、核兵器づくりに奔走するイランを「祝賀」してしまっています。
やれやれです。
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あの品性下劣な大使館長期占拠事件で起こったイラン革命。それまでのシャー·パーレッビというアメリカ傀儡政権が良かったかどうかは知らんけど、少なくとも今よりは国民が過ごしやすい感じでしたけどね。米国(当時は超リベラルなカーター政権なんだけど)を本気で怒らせた事件でした。
で、あれから45年で日本は何を祝うのか?
いつまでもパーレッビ時代の「友情」とか言うんですかね。この45年で日本に何か良いことがありましたか?
あの革命が呼び水になってイラン·イラク戦争が延々と続き、停戦の頃には日本はバブル最盛期で不法入国イラン人が東京に溢れて犯罪続発。あの頃に代々木公園は万人レベルのイラン人が薬物やら変造テレカやら売り付けてくるし、女の子は絶対に1人では歩けませんでしたよ。NHKの眼の前です。
その後も日本がイランに外交でも交易でも助けられたことなんてありましたっけか?と。
おお、そういえば韓国も祝辞出してるのか。
投稿: 山形 | 2024年2月14日 (水) 07時55分
イラン革命からあと5年で50年ですか。パフレヴィー朝ペルシャ帝国は確かに欧米の石油メジャーに手綱を握られており、反政権派を弾圧していましたが、イスラム教の世俗化が進められ、都市は開放的な光景でした。
昨年問題になったヒジャブを巡るデモや革命後も続く反政権派への弾圧、中東の覇者になろうとなりふり構わない様子を見ると革命は正しかったのでしょうか?
リビアやアフガンみたいになっていないだけ遥かにマシと言えますがなんだかなぁ
投稿: 中華三振 | 2024年2月14日 (水) 08時18分
普段「女性の人権ガー」と喚いてるフェミ連中も、イラン(とイスラムテロ組織)の人権侵害についてはダンマリですね。
何故でしょうか(棒)?
投稿: | 2024年2月14日 (水) 10時11分
外務省のことですから、イランに祝賀を送ったことに深い意味は無くて、ただイラン様の機嫌を損なうと後々外交官としてのお仕事がやりにくくなって困る、というくらいのことだと思いますわ。これでイランとの交渉ごとでは、大使として格別の扱いをしてくれますわ、良かったね。
投稿: アホンダラ1号 | 2024年2月14日 (水) 21時46分
「最悪」にも耐える力を国と国民が持てない限り、日イ関係性の転換はできないのでは、と以前に書きました。
「ぶっちゃけスエズ運河が使えればそれでいい、後は勝手にやってくれてもいいから」的な立ち位置はけっこうあるだろうと考えます。それの良い悪いは今ここで論じませんが。
現在、紅海航路から喜望峰へ迂回する貨物船が多数で、遅延と追加費用はかなり発生しています。
「ものが無い」「値上げ&更なる値上げ不可避」「高過ぎて買えない」、そういう状況がもっともっとえげつなくなって、我々の多くが締め上げられ過ぎて限界超えの意思表示でもしないと変わらないかも知れませんが、難を無理くり一時的でも我慢や工夫で凌いでしまったりするのが良くも悪くも我々。その場凌ぎでない地力と覚悟とプランをしっかり持って絶やさないことを目指したいものです。
望む結果は早く手軽に得られないので、イラッとはしますが。
尚だからといって、論敵や事業者、学者専門家・政治家などの本人及び所属先に対して、電話やメール、YouTubeやSNS等でのデマ未確認情報罵詈雑言誹謗中傷を以て勝とうとする行いは断じて示唆も勧めもしない、全力で否定します念のため。(今なら例えば、オイシックス会長の非科学的な風評加害発言に対して、正当な論旨かつ落ち着いた物腰での批判や反論と解約宣言がパワーとなっているのは、ひとつの参考になります)
投稿: 宜野湾より | 2024年2月15日 (木) 00時51分