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大林ミカ氏がはしなくも大ちょんぼをしてくれたおかげで、どれだけ政府機関にこの人たちが浸透しているのかがバレました。
かなり前から政府の各部門で一斉に再エネ促進運動がなされています。
それも単なる太陽光や風力を導入しようというのではなく、社会全体が再エネ一色に染まるような経済・社会・金融の仕組みを作ってしまおうという動きが活発です。
一見、環境問題とは無関係に見える金融庁も、自然エネルギー財団から末吉竹二郎 副理事と大林ミカ事務局長を招いて「サスティナブルファイナンス有識者会議」の委員をやらしています。
「サステナブルファイナンス有識者会議」(第5回)議事録:金融庁 (fsa.go.jp)
この議事録を読むと、大林氏もさることながら末吉氏がの独り舞台といったあんばいです。
この人は三菱銀行の取締役まで努めた人物で、今はUNEP-FI(国連環境計画・金融イニシャチブ)と自然エネルギー財団副理事長の肩書をつかいわけてしゃべっています。
政府や財界には、塾の先生あがりの大林氏より、末吉氏の経歴と「国連」のピカピカの肩書のほうが効くでしょうな。
この末吉氏の言うことに耳を傾けてみましょう。
ESG情報は既に非財務情報ではない UNEP-FI特別顧問 末吉竹二郎氏インタビュー | EnergyShift (energy-shift.com)
まず末吉氏は今の時代を「戦後最大の変革期」であって、「破壊と創造の時代」だと言い切ります。
はて、創造はともかく「破壊」ですか。たいそう勇ましいことで、まるで革命家みたいな言い方で、元巨大銀行の幹部だったとは思えません。
「私は戦後最大の社会改革が始まる、そういった時代認識を持っております。そこで行われるのは、私がよく使う言葉で申し上げれば、破壊と創造です。20世紀は何といってもやっぱり経済第一でやってきました。その裏で環境が壊されました。その結果がSDGs、気候危機、コロナ危機ですよね。とすれば、経済と環境の関係を逆転させると。私はそれは環境本位制の経済にしなければいけないと思っております」
「サステナブルファイナンス有識者会議」
スゴイですね、「環境と経済の関係を逆転させる」のだそうで、経済原則で運営するのではなく「地球にやさしい」から経済を動かせというご託宣です。
「これはUNEP-FIから見ましたサステナブルファイナンスの歴史でありますけれども、やはり今の環境金融の一番の扉を開いたのは、2006年の責任投資原則ですよ。PRIでしたよね。ここで何が起きたのかといいますと、私に言わせれば、受託者責任の見直しをしたことが今の環境金融の道を開いたんだと思います」
「サステナブルファイナンス有識者会議」
さぁ、ここでキイワードで「責任投資制度」(PRI)という聞き慣れない言葉が出ました。
「PRI(責任投資原則)とは、機関投資家の投資に向けた意思決定プロセスや株式の保有方針の決定に、投資先企業の財務状況に加え、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance:企業統治)のESG要素を反映させるための考え方を示す原則です」
要するに、責任投資制度というのは、投資に対して環境、社会、ガバナンス(ESG)をコンプライアンスにしてしまおう、ということです。
いままでのように企業が環境問題に取り組んでいますよ、レジ袋なくしましたよ、なんてレベルではなく社会規範にしてしまって、違反すれば相応の社会的制裁を受けるという考え方です。
スッと読むといいことなんだからやったら、となりますが、これを考えた欧米人は努力義務なんて生易しいことを発想していません。
「地球にやさしい」ことをしない企業は非合法とされてしまうのです。
末吉氏はイリーガルなんて英語でぼやかしていますが、イリーガルとは非合法のことです。
「その結果、イリーガルがリーガルになり、時を経ることによって、もっと解釈が強くなって、今でいえば、あえて言えばESGを考慮しないことが受託者違反になるという具合の解釈までエスカレートしております。こういったことが私はこれからどんどんあちこちで起きるんじゃないかと思います」
「サステナブルファイナンス有識者会議」
そして欧米の巨大投資家はすでにこの責任投資制度で動いているとハッパをかけています。
なんでも900兆円動かすブラックロックがどーした、アマゾンが10万のEVを買って、それが三菱自動車の売った工場でできているとか、もう脱炭素いわなきゃ夜も日も明けない時代なんだ、とおっしゃりたいようです。
たとえば、デンマークのエネルギー会社のオーステッドが化石を全部やめて再エネに切り換えたら、企業価値がドーンと上がって、いまや日本の電力会社を全部あわせた時価総額より巨大に成長しました、なんて景気のいい話しをするわけです。
それだけエネルギー転換革命は巨大なんだと言いたいようです。
「さらに、金融を取り巻くビジネスに非常に大きな変化が始まっているように思います。少し象徴的に申し上げますけれども、オーステッドというのはついこの間までデンマークの化石燃料の国営エネルギー会社でした。
今、全部化石を捨てて再エネになっているんですけれども、この表を見て皆さんびっくりしませんか。日本の電力10社の時価総額が、かつてはオーステッドのはるか上にいたんですよ。でも、10社まとめても、今、オーステッド1社に及ばないです、時価総額が。こんなことが現実に起き始めているんですよ。これだけエネルギー転換のインパクトが非常に強いということですよね。こういったことは本当の目の前の話です」
「サステナブルファイナンス有識者会議」
例の日本は遅れている意識と欧米コンプレックスを巧みに刺激しながら、日本は「5年遅れている」、もう取り返しがつかないほど距離が開いてしまったと言いたいようです。
この末吉氏の後に大林氏が登場しますが、彼女は運動家だけあってスッキリと再エネに有利な規制緩和をしろ、火力などにはカーボンプライシングをしろ、と主張しています。
「大量の自然エネルギー導入のためには、コストを低下していくことが重要です。(略)
さらに、規制改革による環境の整備も必要です。例えば、荒廃農地等の土地規制の改革、立地手続の迅速化、または、住宅・建築物への自然エネルギー設備の導入義務化なども考える必要があります」
「サステナブルファイナンス有識者会議」
おいおいです。いままで太陽光でどれだけ環境被害が出ているのかわかって言っているなら確信犯です。
いまでも甘い審査で4割の導入自治体でトラブルが発生しているのに、さらに立地手続きを簡略化しろと言っているのですから呆れます。
「太陽光発電施設を巡る問題が各地が相次いでいる実態が浮き彫りになった。総務省行政評価局の調査では、敷地からの泥水流出や事業者による住民への事前説明が不十分な事例など、市町村の41・2%でトラブルが発生していた。太陽光など再生可能エネルギー発電を巡るトラブルがあった場合、経産省にオンライン通報できる仕組みがあるが、市町村の70・3%はその存在を知らないことも分かった」
太陽光発電トラブル、市町村で41% 総務省の調査「敷地から泥水」「許可内容と異なる工事」…7割が通報の仕組み知らず(1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト
そして再エネに手厚い補助金や電力料金に上乗せされる賦課金だけでゲップがでそうなのに、さらにカーボンプライシング制度を入れろと言っています。カーボンプライシングとは、排出権取引取引のことです。
「さらには、外部コストの内部化による市場環境の整備が必要と考えています。この右側のグラフでは、新規の発電設備では、日本でも自然エネルギーが最も安価な電源になっていくことは予測されていて、実際にそうなりつつありますが、既存の石炭と比較すれば、石炭がやはり安いままです。こうした現状をかえるためには、早期のカーボンプライシングの導入が必要です」
「サステナブルファイナンス有識者会議」
こんなことを末吉氏の言うように再エネ導入を責任投資制度として義務化したら、さぞかし日本の電気料金はさらに青天井となるでしょうね。
いまでも文句なく、再エネはこれだけ賦課金の竹馬をはかせてももっとも高い電気料金なのです。
洋上風力など、火力の倍以上です。
電気をつくるには、どんなコストがかかる?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
しかし大丈夫、中国から安い電力を買えばよいのですから。
大林氏は朱鎔基の写真を執務室に飾るほど中国を崇拝しています。こんな調子。
「大林ミカ氏:はい。国家戦略として、自然エネルギーを産業として投資して、世界でのリーダーシップをとるということが明確になっていると思います。
導入量も凄くて、昨年新しく導入された世界全体の発電設備のうち、8割が自然エネルギーだったのですけど、そのうち半分以上は中国で導入されていると。他の国が20年かけて導入する自然エネルギーの量を1年で導入するというのを、もう繰り返している。産業としても非常に有効で、競争力があるものを世界に提供している」
大林ミカ氏と偏向テレビ番組の不都合な真実 | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)
メイドインチャイナの電力は、再エネだぁ、しっかりスーパーグリッドで結合して、再エネを増やそうぜ、というオチでした。
日本はドイツの脱原発を模倣できません。
ドイツにあり、日本にない理由がかつては3つ、今は1つ減って2つあるからです。
ひとつめの理由は、ドイツは大きなヨーロッパ電力広域連携の送電網の中に位置しており、電力が余剰の時は旧東欧諸国に輸出し、不足した場合は輸入しています。
Integration of large scale wind in the grid - The Spanish Experience, REE 社,2008
このおかげで東欧はドイツの風車が回りすぎると、突如過剰な電力を流し込まれ、逆に不足すると突然の大量需要が舞い込むということになり、自国の電力需給すら不安定になったほどです。
よく、「脱原発をしても原発大国フランスに電気を売ってやったゾ」と見てきたようなことを言う人がいますが、それは正しくはありません。
脱原発議員連盟の河野太郎氏はこう述べています。
「ドイツは脱原発というが、隣のフランスから原子力の電力を輸入して脱原発している。電力料金も高くて困っている。」となぜか誇らしげに発言する議員がいます。
2015年にドイツはフランスに対して13.27TWhの電力を輸出し、3.84TWhの電力を輸入したことがわかります。差し引き9.43TWhの「輸出」超過です。ドイツはフランスの原子力の電力を使って脱原発をしているわけではないのです」
ドイツの電力輸出 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org)
しかし、これも一種の錯覚です。
山本隆三(常葉大学経営学部教授)による『電力自由化がもたらす天国と地獄』によれば実態はこうです。
電力自由化がもたらす天国と地獄 破綻する電力と儲かる電力の違いは何か? Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) (ismedia.jp)
ひとつは、原発に76%依存しているフランスが,原発の点検のために発電量を急激に落としてしまったことです。
「フランスでは、原子力発電所の蒸気発生器などの一部機器に炭素濃度が高い材料が使用されているため強度不足の懸念があるとして、原子力規制委員会が点検を命じた。2016年の第3四半期より臨時の点検作業が開始されている。いま、定期点検を含め合計58基(総出力6313万kW)中17基の原発が停止中だ」
(山本前掲)
その結果、フランスの発電量は大きく減少し、9月の発電量は1998年以来最低の266億kWhまで落ち込み、輸出大国フランスが、一気に輸入大国に転落したのです。
その結果が、ドイツに対して輸入超過になってまいました。
大場紀章(エネルギーアナリスト)氏による欧州電力網の中の収支はこのようになっています。
ENTOS-Eのデータによる対周辺国に対する電力の物理的な電力輸出入量
独仏の電力輸出入の問題|大場紀章 エネルギーアナリスト/ポスト石油戦略研究所代表|note
これを見ると、ドイツは純輸出量の51.8TWhのうち、0.7TWhはフランスから調達しているのが実態です。
当然のことながら、日本は電気を買えません。
欧州送電網の中にあるドイツと島国日本では置かれた地理的条件がまったく違うのです。
そもそも売った、買ったというのは、周辺国との収支トータルで見ねばなりませんが、このような複雑な電力需給収支をしていることも知らないで、「ドイツに学べ」はないもんです。
そしてもうひとつが、ロシアからのノルドストリームによる天然ガスですが、これが消えました。
EUの消費する天然ガスの25%はロシア・ガスプロムから供給を受けており、その最大の消費国はいうまでもなく、脱原発に走ったためにエネルギー基盤がもっとも脆弱となったドイツでした。
これがEUをして、ウクライナでロシアに強く出られなかった決定的な理由となったのは記憶に新しいところです。
「ロシアの天然ガスは欧州の調達量の4割を占め、各国の経済活動や市民生活を左右できる「武器」だ。もともとノルドストリーム2の計画に反対してきた米国は、ロシアの侵攻危機に伴って「ガス輸出はロシアの重要な資金源にもなっている」(米政府高官)と、制裁措置としてドイツに計画の停止を求めてきた。
そうなれば欧州などでのガスや電気のさらなる高騰は必至。対ロ制裁で米欧との協調を掲げるショルツ氏だが、15日の記者会見では計画停止について明言しなかった」
(東京2022年2月17日)
ロイター
このようにメルケルの脱原発政策という手品の種は日本にないふたつの要素、つまり電気を直接に外国から供給してもらえる広域電力網と、これも直接に地続きのロシアから供給される天然ガスによって支えられていたわけです。
そして三つ目の隠し玉が国産褐炭でした。
下図はドイツの電源比率です。13年を見ると、石炭に15.4%、石炭に19.6%、天然ガスに10.5%と言ったところで、原子力すら15.4%もあります。
その火力のうち石炭が42%を占めています。しかも石炭の火力の内訳は、質の悪い硫黄分が多い国産褐炭火力(発電出力22.4GW)で、石炭火力(同29.0GW)と同じくらいの比率です。
2018年にハニエル炭坑が閉山しましたが、これは環境問題とは関係なく、外国産の安い石炭が入ってきたためです。
「石炭は環境汚染の最大の原因として高まる批判にさらされているが、プロスペル・ハニエル閉山のきっかけは環境問題ではなく、安価な外国産の輸入だ。最盛期には約60万人が従事したドイツ石炭産業は、競争に敗れて衰退。アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の政府は2007年、国内の無煙炭鉱を18年末までに閉山すると決定した。11年もの長い準備期間には、早期退職制度を整え、労働者のデモを回避する効果があった。
ただ、ドイツ国内にはまだ露天掘りの褐炭鉱山が幾つもある。また、国内の火力発電所ではロシアや米国、オーストラリア、コロンビアなどから輸入された無煙炭が使われている」
(AFP2018年12月21日 )
ドイツ最後の無煙炭鉱、ついに閉山 奇跡の復興支えた歴史に幕 写真12枚 国際ニュース:AFPBB News
ちなみに日本の石炭依存度は16.8%(01年)で、しかも火力発電のCO2対策は世界最高の水準にあります。
それを知らずに日本の火力発電技術野輸出にストップをかけていたのが、河野氏と並ぶセクシー小泉です。
幸か不幸か、日本の炭坑はすべて閉山されてしまっています。
この辺のことをアピールしないで、「いまだ再生可能エネルギー1.6%にすぎないエコ後進国」、「進んだドイツ、遅れたニッポン」という妙に卑下した自己認識を持っているのがわが国です。
私に言わせれば、再生可能エネルギーが多いからといって別に環境大国ではないんですがね。
たとえば中国なんか硫黄分の多い低品質石炭と排ガスで金星のようなスモッグの底に沈んでいますが、世界有数の太陽光発電の国であるのは確かですから、ドイツ流に「再生可能エネルギー大国の中国はエコ大国だ」と宣伝して下さい(爆笑)。
※関連記事農と島のありんくりん: 2013年10月 (cocolog-nifty.com)
それはさておき、こんなに石炭に強依存してしまうのは、ドイツが国内の雇用政策として長年に渡って国内炭鉱を維持してきたためで、強みでもあり弱みでもあります。
※関連記事石炭と再生可能エネホルギーのネバーエンディングストーリーの悪夢: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
さて、2011年6月9日のメルケル首相演説は、「2022年までに全ての原子力を停止する」とした脱原発部分だけが抜き出して日本では報道されてしまいましたが、火力発電所の増設や送電網増強も述べています。
北海からドイツ工業地帯までの長い送電網など、美しい森林を伐採しつづけたので、環境派の抵抗にあっているというのにね。
メルケル演説の骨子はこんなかんじです。
(「ドイツ電力事情」国際環境経済研究所主任研究員 竹内純子氏による)
●2011年6月9日のメルケル首相演説
①供給不安をなくすために2020年までに少なくとも1000万kWの火力発電所を建設(できれば2000万)すること。
②再生可能エネルギーを2020年までに35%にまで増加させること。但し、その負担額は3.5セント/kWh以下に抑えること(*しかしこれが2013年には約5セントに上がることが発表され国民の不満が増大している)
③太陽光や風力発電などの変動電力増加に伴う不安防止のため、約800キロの送電網建設すること。
④2020年までに電力消費を10%削減して注目の再生可能エネルギーは、設備容量ベースで20%前後(※統計年によって違う)にする。
このようにメルケル首相は、火力発電の増設と送電網の増設、節電などをワンセットで述べています。
ただし、ご注意いただきたいのは「2020年までに再生可能エネルギーを35%にする」という中身です。
これはあくまで設備容量ベースなのです。これが他のエネルギー源と違う点です。
この「設備容量ベース」カウントは、再生可能エネルギーに対しての「美しい誤解」、悪く言えばトリックを呼ぶ原因になっているからです。このブログとおつきあいいただいた方には、もうお分かりだと思いますが、この設備容量ベースというのは、「条件さえよければ、これだけ発電できますよ」という理論的可能性の数字です。
再生可能エネルギー以外だと、故障とか定期点検で停止しているとかの特殊事情がなければ、設備容量ベース=発電量ですが、再生可能エネルギーではまったく違うのです。
風が吹かねばプロペラは回らず、曇りや雨だと太陽光発電はただの箱だからです。
ですから、再生可能エネルギーでは設備容量に稼働率をかけたものが実発電量となります。
ややっこしいですが、再エネが主力電源になるという者は、往々にしてそれを忘れて議論していますからご注意ください。
●再生可能エネルギーの稼働率の実数値
・太陽光発電平均稼働率=設備容量×10.4%
・風力発電 =設備容量×23.4%
だいたい平均して、再生可能エネルギーの稼働率は10~20%前後程度だと推測されます。
ですからよくメガソーラー発電所などと言っても、実は10分の1メガソーラーなのです。
ドイツのように長年に渡って莫大な国家財政を注ぎこんで再生可能エネルギーを育成しても、天候という現実の壁があるということは知っておいたほうがいいでしょう。
そして発電した場所と消費地が大変に離れているため、大規模な送電網を建設せねばなりませんでした。
「ドイツでは風力発電所は常に強い風が吹く北部に集中しているが、大規模な工場の多くは南部にある(南部に集中する原発は次々と運転を停止している)。北部の風力発電所から南部の工業地帯に電力を送るのは容易ではない。風が強い日には、風力発電所は大量の発電が可能になるが、電力はためておくことができない。供給過剰になれば送電線に過大な負荷がかかるため、電力系統の運用者は需給バランスを維持しようと風力発電所に送電線への接続を切断するよう要請する。こうなるとツアー客が眺めた巨大なブレードも無用の長物と化す。
一方で、電力の安定供給のためには莫大なコストをかけてバックアップ電源を稼動させなければならない。ドイツでは昨年、こうした「再給電」コストが14億ユーロにも達した」
(ニューズウィーク2018年10月27日)
ドイツでもグリーン電力の夢は頓挫していた | ニューズウィーク日本版 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
「現実の壁」は、単に天候と送電網だけではありませんでした。
現実に大々的に国家レベルで再生可能エネルギーを導入するとなるとバックアップの火力発電所が悲鳴を上げ、工場は瞬間停電に日々備えなくてはならなくなりました。
「なんだたかが瞬間」なのかと甘く見てはダメです。今のコンピータ制御の工場システムは、ミリ何秒単位の瞬間停電で製造工程がストップして、ひどい時はオシャカの山を築いてしまいます。
その原因は、再生可能エネルギーが慌ただしく変化する場合、バックアップ電源とのリレーがうまくいかずミリ秒(千分の1秒)単位の停電を引き起こしてしまうからです。
ドイツの「シュピーゲル」誌はこう述べています。
「ドイツ産業エネルギー企業 (VIK) の調査では、過去3年間にドイツの電力網の短い中断の回数は 29 %です」。
そのためにドイツから逃げ出す製造業がじりじりと増え始めました。
工場が外国に移転するというのは、とりもなおさず雇用がなくなるということですから大問題です。
ドイツ商工会議所のアンケートでは、60%の企業が瞬間停電や電圧変動などを恐れていると回答し、電力供給の不安定さからドイツ国外へ工場移転した企業がすでに9%、さらに移転計画中が6%ほどあるということです。
BMWの新工場もメキシコか東欧に作る予定のようですが、販路戦略との関わりも大きいといえども、このドイツ国内の頻繁に起きる瞬間停電に嫌気が差したのかもしれません。
こんな犠牲を払いながらドイツは脱原発=再生可能エネルギーという「理想」のために、火力発電所と送電網の大増設を始めたわけです。
そして何度も書いてきましたが、再エネの最大の問題はFIT(固定価格買い取り制度)による賦課金の多さです。
これがドイツの電気料金を押し上げているガンになっているのは衆知のことですが、河野氏はこう言っています。
「その内訳をみると発電や送配電のコストの合計は5.9ユーロセント/kWhだったものが7.1ユーロセント/kWhに上がっているだけで、あとは賦課金や税です」
(河野前掲)
おいおい河野さん、さりげなく「あとは」と言っていますが、この「あとは」のほうが大変なんでしょうが。
「ドイツの電気料金は、家庭用・産業用ともに、フランスの約2倍の水準。2015年で見ると、①ドイツの家庭用電気料金は、1kWh当たり0.28ユーロであるのに対し、フランスでは同0.15ユーロ、②ドイツの産業用電気料金は、1kWh当たり0.20ユーロであるのに対し、フランスでは同0.11ユーロ」
石川和雄"再エネ大国"ドイツと、『原子力大国』フランスの比較(その1) 〜 ドイツの電気料金は、フランスの2倍 | ハフポスト NEWS (huffingtonpost.j
もちろんこの原因は、再エネの賦課金の過重な負担にあります。
「ドイツの電気料金が高いことの大きな理由は、再エネ賦課金が相当高いことで概ね説明される。
ドイツの再エネ賦課金は、例えば0.0205ユーロ/kWh(2010年)から0.06354ユーロ/kWh(2016年)に上昇している。これは、1kWh当たりの小売価格の2割以上を占めていることになる」
(石川前掲)
ちなみに緑の党のハーベック大臣の原発ゼロの対策は、唯一再エネを全力で増設することだそうです。
「ハーベック氏は電力拡充のため、今後、全力で再エネを増やすという。
日射時間が短いドイツで頼りになるのは風力なので、風車には国土の2%を割き、設備容量を2〜3倍にする。また、ここ数年、風力に対する投資が急激に減っているため、その対策も取る。つまり、補助金をさらに増やし、住民の建設反対運動を抑えるために法律を改正し、また、風車の認可に乗り気でない自治体にはプレッシャーをかけるというから強権的だ」
緑の党のドイツ版「大躍進」政策 | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)
ハーベック氏には悪いが、つまり実効的対策とはならない上に、さらに再エネ賦課金の負担を増やして国民と企業を苦しめることでしょう。
観念のお化けのやることは、ほんとうにコワイ。
大林ミカ氏がタスクフォース委員を辞任したようです。
「再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォースに中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入った資料が提出された問題で、資料を提出した公益財団法人「自然エネルギー財団」の大林ミカ事業局長が27日、タスクフォースの民間構成員を辞任したと発表した。都内で記者団に明らかにした」
(産経3月27日)
中国企業ロゴ入り資料作成、自然エネルギー財団の大林ミカ氏が内閣府タスクフォース構成員を辞任 - 産経ニュース (sankei.com)
まぁ、トカゲのシッポ切りでしょうな。
トカゲの頭である河野氏や孫氏を傷つけないために自爆してみせたのです。
さて昨日、内閣府規制緩和TFに中国国営企業「国家電網公司」(ステートグリッド)のロゴが入っていたことの問題点は、つまるところふたつです。
ひとつは、こういうことを許してしまった政府のセキュリティ・クリアランス(適格性審査)の甘さの問題です。
いや、甘さというより、日本政府にはそもそもこれがないのです。
そしてもうひとつは、中国の目的がなにかという点です。
この中国電網のロゴが入った資料は自然エネルギー財団という孫正義氏が代表をつとめる組織ですが、ここの事務局長の大林ミカ氏が会議に持ち込んだものでした。
彼女が持ち込んだ資料の9割にこの中国企業のロゴが発見されており、事実上彼女の資料は中国の作成したものだったようです。
つまり自然エネルギー財団は、自前の研究の蓄積を持たない、中国の代弁者だった可能性が強まりました。
大林氏をセキュリティ・クリアランスしてみましょう。
この人は職歴や履歴が闇に包まれている謎の人物です。
わかっているのは大林氏は高校を卒業した後、塾講師などをしながら反原発団体である原子力資料情報室に属し、社民党と関わっていたようです。
いまでも福島党首の応援団だそうです。
福島みずほのどきどき日記 今日も色々な方にお会いしました (fc2.com)
ここまでの段階の経歴では彼女は反原発運動家でしかありませんので、欧米のセキュリティクリアランスでは政策の機微に触れるような審議会に呼ばれるはずがありません。
日本でも社民党系活動家では中立性に問題がありすぎて国の審議会に呼ばれることはありえません。
逆に有識者会議が大林氏を呼んだなら、その政府の意図を知りたいほどです。
有識者会議は、官僚がすべてをお膳立てして何からなにまで仕組んでから人選を決めるものです。
ですから大林氏が呼ばれたこと自体が、勘ぐれば政府の一部にすでに自然エネルギー財団と似た考えがあるということを物語っています。
たぶんそれは大林氏を突っ込んだ河野太郎氏でしょう。
それはさておき大林氏は、再生可能エネルギー推進の財団である自然エネルギー財団の事務局長に収まってから陽の当たる坂道を登り始めます。
いわば経歴ロンダリングがなされたのです。
このへんで河野太郎氏の目に止まったようで、河野氏は大林氏を同志と見て、様々な省庁横断の審議会の常連に押し込みます。
わずか十数年で反原発運動家が、国家のエネルギー政策にタッチし、その機密情報に接する立場になったというわけです。
なんかサクセスストリー見ているようですね。
大林氏が関わっている審議会は以下です。
いずれの審議会でも「中国電網」のロゴ入り資料を配布しています。
ところで自然エネルギー財団とはなんのために作られた団体でしょうか。
私が調べた限りでは、孫正義氏がオーナーのようなものですが、そのほんとうの設立目的は中国と共にスーパーグリッドを作ることです。
これは別に秘密でもなんでもなく、2016年には自然エネ財団が堂々と中国と共にアジアスーパーグリッドをつくるぞ、と孫氏にぶちあげさせています。
自然エネルギー財団
「2016年3月、中国国家電網(SGCC)のよびかけにより、自然エネルギーの活用のための世界的な送電ネットワークの実現をめざす国際的非営利団体、"Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization (GEIDCO)" が設立され、財団は理事会メンバーとして参加しました。
"Global Energy Interconnection"は、ASG構想の世界版であり、国際的な自然エネルギーの活用を促進するものです。GEIDCOには、中国、韓国、ブラジル、ロシアなどの電力会社、大学・研究機関、送電分野の世界的企業などが参加しています。
GEIDCOの会長には、中国国家電網会長の劉振亜(Liu Zhenya)氏が就任し、副会長には、自然エネルギー財団設立者・会長の孫正義氏(ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役社長)が、元米国エネルギー庁長官のスティーブン・チュー氏とともに就任しました」
(自然エネルギー財団『アジアスーパーグリッドとは』)
アジアスーパーグリッド(ASG)とは | アジア国際送電網 | 自然エネルギー財団 (renewable-ei.org)
この推進団体はGEIDCO(グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構 )と名付けられ、会長には中国電網会長の劉振亜、そして副会長には他ならぬ孫氏が就任しています。
なお、今回の辞任劇で、このGEIDCOも「誤解を呼ぶ」とのことで脱退しています。
こういう泡を食ったやり方はかえって疑惑を深めるのですがね。
2016年9月9日に開催された5周年シンポでは、中国電網の会長の劉振亜会長、韓国電力公社のチョ・ファンイク社長、ロシア電力会社ロスセチのオレグ・ブダルギン氏などが居並びました。
いうまでもなく主催者の孫氏は登壇して得意の熱弁を振るったのでしょうが、気の毒なことに他の面子はそれぞれの国において主力の電力供給者であるのに対して、孫氏はしょせんショボい再エネ会社社長にすぎなかったことです。
孫氏の持つ世界的大富豪というキラキライメージだけで大きな顔ができただけで、その発電事業家としての実体がお粗末なものだということは、彼自身身に沁みてわかっているはずです。
孫氏にこのアジアスーパーグリッド(ASG)構想を吹き込んだのは、間違いなく中国電網だったはずです。
前掲の自然エネルギー財団のASG構想の発起人は中国国家電網公司だと明記されており、すでに中国はモンゴル、ロシアとは限定的ながら送電網を結合しているようです。
それをさらに東南アジア、インド、韓国、日本に延伸したいということのようです。
ですから、中国にとっての日本の代理人は孫正義氏であり、さらに彼がオーナーの自然エネルギー財団であり、財団を尖兵にして国家のエネルギー政策に食い込み、なんとしてでもASGに接続させること、これが中国の意図です。
自然エネルギー財団
「アジア各地に豊富に存在する太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を、各国が相互に活用できるようにするため、各国の送電網を結んでつくりだす国際的な送電網で、中国、モンゴル、ロシアなどの間での限定的な連携を東アジア全体に広げようとするものです」
(前掲)
このASGがモデルにしているのは、ヨーロッパ送電網です。
ヨーロッパは地域全体で国を超えた電力需給をしており、その中で得意方面をいかしているのだと思えばいいでしょう。
スペインは風力であり、ノルウェーやスウェーデンは水力、そしてフランスは原子力という具合です。
いまさらいうまでもありませんが、メルケルが原発ゼロにできたのは、ひとつにはプーチンからノルドストリームで原油・天然ガスを供給してもらえたこと、そしてもうひとつは燐国フランスは原発大国であり、ドイツは系統調整の一環として燐国から原子力の電気を融通してもらったというだけの話です。
熊谷徹『
このような裏付けがあってドイツは初めて「脱原発」を叫ぶ事ができたのですが、このようなことが日本に当てはまるでしょうか。
まったくあてはまりません。
大林氏は今回の辞任のインタビューでこう言っています。
「日本は島国だから他と電線がつながっていないが、欧州では国同士が相互に自然エネルギーの電気を送りあい、相互依存しながら、それを1つの経済の発展の基盤として自然エネルギーを拡大していくということがある。日本が島国だからできないというが、例えば欧州でも英国が島国だし、他にもたくさんの島を抱えた国々がある。例えば英国は欧州連合(EU)を脱退したが、他の国と国際送電網を今も構築、強化していくことで自然エネルギーを促進している。アイルランドも島国だが、英国やフランス、オランダとつながりながら自然エネルギーを拡大している」
(産経前掲)
なにを言っているのか。ヨーロッパといまのアジアをベタ平面に並べて、一般化するんじゃありませんよ。
常識的に考えてみればわかりますが、このヨーロッパ送電網はEUという国家間連合の枠内で連結され、さらにNATOという軍事同盟がこれを支えています。
決済はユーロという国際通貨で行われており、意志決定はヨーロッパ委員会が行います。
つまりEUという「ひとつの国」の内部での送電網の結合にすぎないために、安全保障上のトラブルは起きようがありません。
唯一の不協和音は、プーチンが押してメルケルが乗ったノルドストリームでした。
これにより、安全保障上の脅威からエネルギーをもらう、という絶対にしてはならない失敗をEUはするはめになってしまいました。
エネルギーは戦略物資の最たるものだということを忘れたためです。
孫氏がやりたいASGはまったく違って、価値観も国家体制も違う全体主義の国との送電網結合です。
こんな中国やロシアと送電網結合したならば、わが国は彼らの支配下に入ることになります。
それはノルドストリームが、どのような変化をドイツにもたらしたのかをみればわかるはずです。
今回の事件で、中国と再エネ業界の危険な関係があぶり出されました。
こういうことをした河野氏にも政府は事情聴取し、規制改革担当大臣を解任するべきです。
当人は「チェックミスだ」という苦しい言い訳をしていますが、大林氏を入れたことに対する説明にはなっていません。
こんな中国の影が見え隠れする人物に規制改革なんぞやられたらたまったもんじゃありませんからね。
日々自民党をぶっ壊すことのみ熱中している岸田さん、裏金がどうたらなどということより、外国の干渉を誘致した罪のほうがよほど大問題ではありませんか。
さもありなん、という事実がはからずも浮かび上がってきました。
内閣府の規制改革推進室の「再エネタスクフォース」(TF)において配布された資料に中国国営企業のロゴが入っていたと大騒ぎです。
「内閣府は25日、再生エネルギー分野の規制改革を議論する会議の資料に中国企業のロゴが入っていたと発表した。中国の電力会社「国家電網公司」の名前やロゴで、会議に出席した民間メンバーが22日と2023年12月の会合で提出した資料で見つかった。
内閣府の規制改革推進室が担当する「再生可能エネルギータスクフォース」に公益財団法人「自然エネルギー財団」の事業局長である大林ミカ氏が出した資料で判明した。外部からの指摘で23日に明らかになった。
大林氏は16〜19年にこの中国企業が財団主催の会合などで登壇した際の資料を引用した。その後、自身のパワーポイントに中国企業のロゴが残ったままの設定となっていた。23年12月の内閣府会議の資料を作る際にもロゴ入りのスライドを用いたため反映された。日本の再生エネ政策に中国の影響が及んでいるのではと疑う指摘が出ていた。内閣府の担当者は「大林氏自身もロゴが含まれていることを認識しておらず、意図したものではない」と語った。
経済産業省と金融庁の会議資料の一部にも同様のロゴが入っていた」
(日経3月24日)
内閣府会議の資料に中国企業のロゴ 出席者が提出 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
この中国企業は「国家電網公司」といい、中国国営の送電網を支配している超巨大国営企業です。
「国家電網公司」は、フォーチューン世界企業堂々2位というモンスター電力企業です。
「世界最大の電力会社であり、太陽光発電や風力発電といった新エネルギーの設備容量も世界一である[2]。2018年のフォーチュンの世界企業500社売上高番付で2位になっている[3]。AIなど先端技術へのR&D投資に旺盛な企業でもあり[4][5]、2017年時点で特許取得件数はファーウェイを超えて中国で1位である」
国家電網 - Wikipedia
この中国企業はパワーポイントで使った資料に企業ロゴを入れていたのですが、そのまま使用してしまったためにロゴが残り続けました。
内閣府TFに持ち込んだのは、大橋ミカ氏が事務局長をしている自然エネルギー財団です。
18枚中17枚で下画像右隅にある「国家電網公司」のロゴが確認されていますから、この団体はほとんど全部の資料を中国からもらって内閣府の会議に持ち込んだことになります。
これで「研究所」と名乗っているのですから、まったくたいした強心臓です。
ちなみにこの自然エネルギー財団は名前は立派ですが、また、同財団の役員一覧で見ると、「設立者・会長」は ソフトバンクグループの孫正義氏です。
孫氏は、カン政権末期にFIT(全量固定価格買い取り制度)を突っ込んだ張本人でした。
自身もSBエナジーという風力発電の会社を立ち上げて、風力発電業界の一角を担っています。
このFITの買い取り価格は、太陽光発電は42円/kWhという世界一の高額w買い取り価格した。
そして補助金として、12年度から1kWhあたり3.5万円加算されて、実質48円kWhという驚きの価格となります。
こんなFITはメルケルの脱原発先進国ドイツでやっていたからそのままデッドコピーしただけで、日本に導入した頃には家元のドイツですら財政的理由から足抜けを模索していたといった代物でした。
そんな制度を孫氏は、カン首相を焚きつけて導入させたのです。
太陽光発電、孫氏に乗った知事と首相の皮算用 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
FITの全量」という意味は、電力供給の義務がないというオソロシイことを意味します。
いままでの電力供給体制は、年間の需給見通しに従って、しっかりとした発電量をキープしてきました。それが電力会社の義務だったからです。
電気は生ものですから、作りすきても、足りなくても困ります。リアルタイムで必要な消費電力量に合わせて発電所を止めたり、動かしたりし、送電網を日夜保守し続けていたわけです。
このような厳しい送電義務が課されてこその地域独占制度であり、総括原価方式だったわけですが、FITはこういう送電義務をはずして出来たらできただけ全部世界一高い価格で買う、というムチャクチャな制度です。
このような孫氏がトップに君臨し、あとのメンバーは金融関係、ミュージシャン、外国人、ジャーナリスト、公認会計士などがいるようですが、かんじんのエネルギーや電力関係の専門家が加わっていません。
もちろん原子力の専門家は、事務局長として加わっている反原発の大林氏だけです。
自然エネルギー財団とは、なんのことはない孫氏のビジネス野望の達成のために作られたような団体で、このような団体が政府のタスクフォースに入って、政策決定に関与していることに恐怖を覚えます。
これでは政府が率先して利益相反しているようなものです。
利益相反とは、個人や組織において、従業員と会社、組織と取引先など、二者以上の利害が対立する状況を作ってしまうことを意味します。
この場合、SBエナジーという再エネ企業の代表の孫氏が代表を努める自然エネ財団を規制緩和TFに招くことで、一方の行為が他方の利益を害することになりかねないため、適切に職務を遂行できなくなります。
つまり初めから彼らに有利に審議を運びたいために作られた人事なのです。
この中国電網は、単に日本の再エネ業界に触手を伸ばすだけではなく、アジアスーパーグリットというアジア全域をカバーする国際送電網を建設することを日本に働きかけています。
この日本側受皿が自然エネルギー財団です。
アジアスーパーグリッド(ASG)とは | アジア国際送電網 | 自然エネルギー財団 (renewable-ei.org)
「アジアスーパーグリッド(ASG)」とは、アジア各地に豊富に存在する太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を、各国が相互に活用できるようにするため、各国の送電網を結んでつくりだす国際的な送電網のことです。(略)
2011年9月12日に開催された自然エネルギー財団 設立イベントで孫正義会長が、「アジアスーパーグリッド構想」を発表しました」
アジアスーパーグリッド(ASG)とは | アジア国際送電網 | 自然エネルギー財団 (renewable-ei.org)
これはヨーロッパにおけるノルドストリームのようなものです。
いままで何度か見てきたように、EUはこのプーチンの罠にまっまと頭まで使った結果、一時はロシアの従属国のように成り下がっていました。
おなじように、こんなスーパーグリッドを作ったら最後、日本は中国に電力供給を依存するようになります。
スーパーグリッドの中で唯一電力が売るほどあるのは中国だけだからです。
日本が気に食わなければ、中国は電力供給を絞れば日本は恐慌をきたすのですから。
この資料を持ち込んだ大林ミカ氏は、このような経歴の持ち主です。
COP25からCOP26へ、非国家アクターは気候危機対策をリードするか | EnergyShift (energy-shift.com)
なかなか香ばしい経歴で、反原発派の拠点の一つである原子力資料情報室に所属していたことからバリバリの反原発派一直線の人だとわかります。
再エネのイデオローグである飯田哲也氏と環境エネルギー政策研究所を立ち上げて、反原発派でも再エネ方面のプロパーです。
そして孫系義氏を戴いて、いまや中国と共に国際送電網を作るというのが、この人たちの野望のようです。
大林氏のような中立的識者ではなく、完全に一方の側、つまり反原発・再エネ推進・中国との連携を掲げた人物が政府の推進会議にいるということ自体が驚きです。
ハッキリ言って、この自然エネルギー財団系の人たちは、中国のエージェントといってしまってかまわないでしょう。
セキュリティクリアランス制度がないと、与党の大物が推せば国家方針の策定の場に外国の息がかかった人物が多数関われるのです。
大林氏を推した大物政治家は河野太郎氏です。
「河野太郎氏は外務省でも外相就任5か後の2018年1月“気候変動に関する有識者会合”設置。“国内の9名の有識者で構成され、国際的な再生可能エネルギーの動向や気候変動問題に関する課題を議題として取り扱います”と外務省HP。だが9人の内4人が話題の反原発&親中の『自然エネルギー財団』の大林ミカ氏、末吉竹二郎氏、加藤茂夫氏、高橋洋氏で構成。つまり同団体のバックは河野氏。国民が知らない間に中国の侵略はこうして進む」
Xユーザーの門田隆将さん
中国にとって、日本に望ましいエネルギー 源は再エネです。
しかも原発がゼロであれば、いうことなしでしょう。
原発のような自国で賄える国産電源を排除し、つねに不安定で天候に支配される再エネを中心にすれば、日本のエネルギーは不安定で外国からの化石燃料に頼るしかなくなります。
さらに国際送電網で安い電力が中国から供給されるようになれば、たとえば台湾有事において日本が中国を非難し、台湾を支援するようなまねをすれば、直ちに電力供給をカットするゾと恫喝をかけることができます。
実際、ウクライナ侵攻前のドイツは、プーチンの操り人形でした。
メルケルがやったのは、再エネ推進・原発ゼロ・そしてノルドストリームの三点セットであったことをお忘れなく。
さて、プーチンは「選挙」で勝利しました。
あれを「選挙」と言うならば、ですが。
「ロシアで行われた大統領選挙で、現職のウラジーミル・プーチン大統領の圧勝が確実になった。ロシア中央選挙管理委員会の17日の発表によると、開票率約50%の時点でプーチン氏の得票率は87.3%となっている」
(CNN3月24日)
ロシア大統領選、プーチン氏の圧勝確実 30年間の支配固め - CNN.co.jp
はい、「得票率87.3%」という時点でアウトですね。
こんな馬鹿げた高得票率など、まともな対立候補がいるフツーの選挙ではありえません。
したがってCNNはこう続けています。
「対立候補はほとんどが死亡、投獄、亡命、または出馬を阻まれている。22年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、反体制派は実質的に非合法化され、プーチン支配に対抗できる勢力は存在しない」
(CNN前掲)
選挙直前にナワリヌイ氏が暗殺されましたが、今回の立候補者のプーチン以外の候補者はダミーにすぎません。
全部プーチンの取り巻きどもです。
「現職のプーチン氏以外の候補は、民族主義指導者のレオニード・スルツキー氏、国会副議長のウラジスラフ・ダヴァンコフ氏、共産党員のニコライ・ハリトーノフ氏。これら3氏は、所属する政党がいずれも政府の政策を広く支持しており、真の挑戦者ではないとみられている」
(BBC2月9日)
プーチン氏に対抗姿勢の候補、登録を認められず ロシア大統領選 - BBCニュース
獄中からナワリヌイが応援していたボリス・ナデジディン元下院議員は、中央選管が候補者登録を認めないと決めてしまいました。
彼だけがウクライナ戦争に反対していましたが、選挙にすら出られないありさまです。
ウクライナ戦争まではなんとか反プーチン勢力はいたことはいたのです。
しかし反プーチンデモをするたびに数百人規模で大量逮捕し、顔写真を撮られ、AIで特定され、職場に通知されて解雇されるのがあたりまえになってきました。
「ナワリヌイの乱」は、プーチン・ロシアを崩壊させるのか:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)
かつてはプーチンを支えていたオリガルヒ(新興財閥)も次々に暗殺されていきます。
「オリガルヒ(新興財閥)の一人ボリス・ベレゾフスキー氏は、プーチン氏を政治的に支援していたが決裂。13年に、亡命先のロンドン郊外の自宅で首をつった状態で見つかった。
15年には、野党指導者のボリス・ネムツォフ氏がモスクワ中心部で射殺された。エリツィン政権時代の第1副首相で、プーチン大統領の最大の政敵と呼ばれる人物だった」
(朝日2023年8月24日)
お茶に放射性物質、不審死…プーチン政権、刃向かえば次々消される? [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
そして投票所には警察や軍隊が張りつき、投票を監視しました。
それでも投票箱にインクを落したりする抵抗はそこここで起きています。
ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ (novayagazeta.eu)
「投票への動員が挙げられる。独立系露語メディア「メドゥーザ」によると、与党「統一ロシア」党員や公務員、国営企業従業員らは、自身の投票に加えて一定数の知人も投票させるよう党や職場から指示された。実際、投票所では多くの有権者が自身の投票を証明するためとみられる写真や動画を撮影していた」
(産経3月18日)
弾圧、ばらまき、投票動員…プーチン氏「歴史的勝利」の裏に数々の作為 ロシア大統領選 - 産経ニュース (sankei.com) 。
一方、ロシア経済は皮肉なことに軍需景気で異様な活況を呈しています。
このテーマは別に記事にしようと思っていますが、集中的な政府の軍事産業への投資がカンフル剤となっているようです。
「ロシア経済は、欧米の制裁に対しての強さを持ち、2023年のGDP成長率は3.5%で、前年のマイナス1.2%から回復した。成長の主な原動力は軍事産業と政府による投資だった。しかし、企業での労働力不足とインフレ率の上昇が深刻化しており、2024年の成長率は1.5%にとどまるとしている」
(ジェトロビジネス短信2024年2月8日)
WIIW冬季経済予測、中・東欧の経済は成長軌道に回復(西バルカン、中・東欧、ドイツ、ロシア、ウクライナ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)
この見せかけの好況に支えられて、プーチンは派手なばらまき政策をしました。
プーチンは、年次教書演説で子育て世帯への経済支援や貧困対策の拡充、公務員の所得増、インフラ整備などを幅広く約束し、国営ロシア通信によると、発表された金額の総計は17兆ルーブル(約27兆円)というとほうもない額です。
かくして以後6年間、プーチンが77歳になる2030年まで、プーチンは独裁者スターリン以来、最も長く政権の座にとどまり続けることになりました。
ま、ロシアという国がいまのままあればの話しですがね。
欧州理事会のシャルル・ミシェル議長が選挙期日よりも前の3月15日の時点で、こんな「祝電」をツイートしていました。
ウラジーミル・プーチン大統領が本日から始まる選挙で地滑り的勝利を収めたことを祝福したい。
反対はない。
自由がない。
選択の余地はない。
ロシアが深刻な大規模テロに見舞われました。
「ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールが22日夜、複数の銃撃犯に攻撃された。ロシア捜査委員会は23日午後、死者が少なくとも133人に達したと発表した。
捜査委員会は通信アプリ「テレグラム」で、首都モスクワ北西近郊クラスノゴルスク市にあるコンサートホールの現場を調べている救急当局が、次々と遺体を発見していると明らかにした。
事件当時、場内には最大6200人がいたとされる。
モスクワ州のアンドレイ・ヴォロビョフ州知事は、被害者の数はまだ「相当増える」かもしれないと話している。ロシア当局によると、140人以上が負傷し、107人が病院で手当てを受けている。そのうち子供1人を含む16人は「きわめて重体」で、44人は重体だという。ロシア捜査委員会によると、ほとんどの人の死因は、銃で撃たれたことか、火事による煙などを吸い込んだことだという。
ロシア連邦保安庁(FSB)はウラジーミル・プーチン大統領に、「クロクス・シティー・ホール」襲撃に直接関与する4人を含む11人を拘束したと報告した。
武装勢力「イスラム国(IS)」が、攻撃は自分たちによるものだと主張している。23日にはソーシャルメディア「テレグラム」上のチャンネル「アマク」でISは、襲撃に関与したと主張する4人の覆面男性の画像を掲載した」
(BBC2024年3月23日)
ロシア・モスクワ近郊のコンサートホールで銃撃 少なくとも133人死亡 - BBCニュース
モスクワの市民コンサートホールをISが襲撃・60人以上死亡:シナゴーグ襲撃阻止の2週間後 2024.3.23 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
殺害されたロシアの市民に弔意を表します。
一般人に対する無差別テロは、いかなる理由、いかなる立場であろうとも強く非難されるべきです。
タス通信などによると、テロ現場はモスクワ市の北西クラスノゴルスクの「クロッカス・シティ・ホール」で、完売した音楽公演のチケットで客席はほぼ満杯でした。
そこに迷彩服を着たテロリストグループがホールに乱入し、無差別に発砲し、大混乱となった所に、さらに放火しました。
そのためホールは焼け、現在わかっているだけで133人が死亡し、おそらくさらに増えるはずです。
テロリストグループが白い車で現場から逃走したと報じられています。
このテロリストの銃乱射の様子はスマホでも撮影されていました。
テロリストグループはISだと名乗り、「キリスト教徒に打撃を与えた」と宣言しています。
ちなみに日本のメディアが安全だといっていたラマダンの真っ最中で、だから彼らはこの時期を狙ったのです。
武装集団がイスラム国が主張する攻撃で数十人のロシア人コンサート参加者を殺害 (rferl.org)
「プーチン大統領は23日午後、国民にテレビ演説で、実行犯4人は全員逮捕したと述べた。
大統領は、3月24日を全国的な追悼の日にすると発表。襲撃は「野蛮なテロ行為」で、事件によって「我々が分断することはない」と強調した。
プーチン氏はさらに、襲撃犯がウクライナへ逃げようとしていたとして、国境のウクライナ側で襲撃犯を越境させようとする者たちがいたとも述べた。
これに先立ちウクライナは、一切の関与を否定。襲撃犯がウクライナへ逃げようとしていたというロシア政府の主張を「ばかげている」と一蹴している」
(BBC前掲)
ゼレンスキーは直ちに否定し、ウクライナはテロという手段を使ったことがないと反論しました。
米国も、かねがねISの一分派が攻撃を企んでいることをロシアに警告してきたことを明らかにしました。
「(CNN) モスクワ郊外のコンサート会場を襲った武装グループの銃乱射などで多数の死傷者が出た事件で、プーチン大統領が在モスクワ米大使館が事前にテロ攻撃の潜在的な発生を警告していた声明に触れ、「挑発行為」と軽視していたことが24日までにわかった。
米大使館の警告は今月7日に出されていたが、プーチン氏は19日の連邦保安局(FSB)での演説で、「あからさまな威嚇同様の行動」と断じていた。
「我々の社会を脅し、不安定にする意図を抱いたような行動」とし、「あなたちはこのことを十分知っているだろうし、この段階では詳しくは立ち入らない」と述べていた。
襲撃事件は22日に起きていた。
米大使館は7日の警告で、「今後48時間は多人数が集まる場は避けるべき」と促し、「過激主義者はモスクワで多人数が集合場所を狙った差し迫った計画を持っている」と続けていた」
(CNN3月24日)
モスクワ銃乱射、プーチン氏が米の事前警告を「挑発」と軽視 - CNN.co.jp
【解説】 アフガニスタンのIS系組織「IS-K」とは? - BBCニュース
このテロを認める宣言をしたのはISの一分派は、「IS-K」(Islamic State-Khorasan)と呼ばれる過激一派です。
この「K」は、イラン、トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、アフガニスタンの一部地域を含む古い名称「ホラサン Khorasan」を意味しています。
日本ではISが壊滅したかのような誤解がありますが、それは中東地域だけのことで、彼らは世界に散らばって分派を作っていまなお健在です。
アフガン東部ナンガルハール州を根拠地にして、2015年に設立されたスンニ派系テロ団体ですが、タリバンとは対立しており、常々IS-Kは「タリバンはジハードをやる気がない」として非難を続けています。
数々のテロをやっており、世界のジハード主義者の格好の受け皿になっているようです。
兵力は500~1500人で、メーンの攻撃対象は米国ですが、中国とも対立関係にあってテロ事件を引き起こしています。
いままで彼らの主なテロ対象は、アフガン国内のシーア派モスクでした。
このテロで、IS-Kは、「中国の要請に応じてウイグル人をアフガンから追放したシーア派とタリバン政権を標的にした」と声明を出しています。
ロシアはかつてみずからのテリトリーだと思っていた中央アジアに中国が触手を伸ばすことを嫌って、米国に代わって中国がイスラムテロ組織から攻撃対象になることを内心歓迎していたようです。
2021年1月1日付けロシア・プラウダは「自国に代わって中国がテロリストと戦ってくれている。ロシアは中国に死にゆく機会を提供した」と皮肉に笑って見ていましたが、とうとうみずからの上に降ってきたことになります。
近年IS-Kは、ロシアのイスラム教徒弾圧やチェチェンに対するロシアを攻撃していました。
特にイスラム系住民が分離独立を求めるチェチェン共和国では、ロシアは特殊部隊を投入し熾烈な弾圧を続けていますが、統治する軍閥の首領カディロフはプーチンの手下で、イスラム系独立派を殺戮し、私兵をウクライナへ投入しています。
IS-Kは強くこれに反発しています。
こういった中で今回のテロが起きたと思われますが、続報があれば補足していきます。
帰って参りました。もうヘロヘロ、身体はゴリゴリとこわばっております。
いやなんともシビアな旅で、母の納骨をしに広島の奥の三次にまで出かけたのですが、なんとも遠い。
当地から広島まで6時間、さらにそこから芸備線に乗り換えて2時間40分、締めて9時間弱の日程ですぜ。
おまけに三次に着く前から沿線は雪。初めは残雪かと思ったのですが、しんしんと降り積もっているのですな、これが。
私が寺に着く頃にはかなりの降りとなり、私、寺の本堂の軒下で遺骨を抱いて1時間あまりお坊様と石工さんを待つはめになってしまいました。
しかもお墓があるのが、住職もいない破れ寺。
住職代理のお坊様が到着する頃には、もうパトラッシュ、ボク眠いや、状態になりかかっておりました。
ウッスラと私を美しく包む白雪(うそ)。
その後、お坊様のそれは丁寧にして長ったらしいありがたいお経を聞き、またもやパトラッシュ状態に。
しかし乗り切りましたですよ、はい。
以下略。思い出すだに気が滅入る。
とまれ、帰ってまいりました。
今日も休載しようかと思ったのですが、リハビリがてらにいきますか。
北朝鮮応援席に潜入、サポーターは十数年前の日朝戦赤Tシャツ引っ張り出し…物不足から涙ぐましい努力 サッカーW杯アジア予選(1/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト
さて、北朝鮮に言わせるとなんでも日本で劇症性溶血性連鎖球菌感染症が増加しているそうで、危険なのでWカップ予選をやーめた、と一方的に宣言して没収試合となってしまいました。さすがはわれらが正恩の国のすることはやることなすことすべからく横紙破りです。
長らく北を見ているとまた持病のコミュ障かよと驚きませんが、知らない人がみればなんのことらでしょう。
「日本サッカー協会(JFA)は22日、FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会アジア2次予選北朝鮮戦の2戦目(26日)を待つ日本代表を解散すると発表した。アジア・サッカー連盟(AFC)から、国際サッカー連盟(FIFA)と協議の末に4日後の試合を「当初の予定通り平壌もしくは中立地で開催されないことを決定」になった旨の通達を受けたといい、代表期間中の途中解散を決めた。
今後の「アウェー北朝鮮戦」の取り扱いは、FIFAの担当委員会に付託され、さらなる決定が下される。別日への延期も可能性は残されているが、W杯2次予選の開催期限は6月。既にミャンマー戦2試合があるため、没収試合になることが予想される。(略)
試合を巡っては、北朝鮮協会からアジア・サッカー連盟(AFC)に対し、自国開催(金日成競技場)を返上するとの文書が届いたと、前日21日の試合後、日本協会の田嶋幸三会長(66)が明らかにしていた。日本で感染者数が増えている「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」が、致死率30%超の「悪性伝染病」と同国内では伝えられるなど、防疫上の警戒を強めたとみられる」
(日刊スポーツ3月22日)
【日本代表】前代未聞の解散!26日北朝鮮戦中止!FIFAが没収判断なら不戦勝で最終予選進出(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース
理由は北は劇症性溶血性連鎖球菌感染症が日本で増加し、開催するのはアブナイからだとしています。
北に不衛生だと言われたらお終いですが、へぇーそんなもんがうちの国で流行っていたんだぁ(棒)、教えてくれてありがとうと思ったほどです。
だって溶血性連鎖球菌感染症なんて、たしかに増加する傾向にはありますが、それで日本選手団を北に渡航禁止にするほどのもんじゃありません。
それも経緯はドタキャンで、北朝鮮協会からアジア・サッカー連盟(AFC)に対し、自国開催(金日成競技場)を返上するとの文書が届いたのが前日21日の試合後で、試合当日のハーフタイムに北朝鮮の団長から日本協会に日本開催を打診されたのだそうです。
おいおい、ホーム&アウエイ方式は常識で、むしろ北にとって有利な条件ではないかと思うのですが、北は「悪性伝染病」を日本選手団が持ち込むことを嫌がったということのようです。
日本は北の入国許可に制裁として制限を加えていますから、こんな直前に入国手続きが完了できるわきゃありません。
第三国という手もあるにはあったでしょうが、こんな直前ではそんなもんを引き受けてくれる国なんてありません。
で、試合放棄、没収試合という結果とあいなったわけです。
いかにも自分の国の都合だけで世間を渡ってきたこの国らしい。
ま、こちらとしてはあんな統制のとれた狂気に支配されたスタジアムでやりたかねぇや、ありがとうってなもんですが。
本音は、ホームで負けたくなかったんでしょうがね。
いちおう、溶血性連鎖球菌感染症 について見ておきましょう。
数字上の感染は増えちゃいるんですが、流行などしていません。
東京メディカルクリニックによれば
溶連菌感染症の症状と潜伏期間,大人も感染注意,健診会 東京メディカルクリニック (c-takinogawa.jp)
症状は要するに風邪かインフルエンザです。
検査も簡単で、すぐに判定結果が出ます。
また治療法も確立しており、ペニシリン系抗生物質でほぼ確実に治癒します。
「A群β溶連菌(ベータようれんきん)(溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)という細菌になります。 抗生物質が無い昔は伝染病として恐れられましたが、現在では治療法が確立されています」
今回、北はこの溶血性なんじゃらが、劇症だということを警戒しているようです。
なんても劇症となると、「人食いバクテリア」というおっとろしいニックネームも昔はあったようです。
「溶連菌の中に劇症型というものがあり、日本では1992年にはじめて報告され、現在までに100人以上の患者が確認され、約30%が死亡するという重い病気です。この疾患は元気な人に突然発症し、急激に進行します。数十時間で足などが腐り、腎不全、ショック状態になります。30-70歳代の大人に多いのですが、小児でもみられます。滅多にない病気ではありますが、今程医療が進んだ世の中でも健康な人が感染症で死ぬという怖い病気があるものだということを感じます」
溶連菌感染症 – 土浦協同病院なめがた地域医療センター (ndgh.jp)
というわけで、「悪性伝染病」だと韓国や北に騒がれるとイヤーな気分にさせられますが、コロナなどと較べるべくもない扱いやすい感染症にすぎません。
すくなくとも医療インフラが整備されている国では脅威とするような感染症ではありません。
まぁ、言ってはなんですが、医療インフラなどないに等しいあの国では「人食いバクテリア」のままなんでしょうが。
先日の米国艦船寄港に対して全港湾沖縄地本が今どき珍しい「政治スト」を打ち、石垣島の島民生活に打撃を与えました。
もうすこしこれについて考えてみます。
労組の争議権は、当然のことながら憲法28条で認められたいわゆる労働三権のうち「団体行動権」といわれるものです。
第二十八条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
ただし、政治目的でストを打つとなるとこの憲法の団体行動権の埒外となります。
これは常識的に考えればわかることですが、団体行動権の本来の趣旨は、雇用者と立場として弱い被雇用者が、対等に交渉するにはストを構えて交渉に持ち込むしかない場合があるからです。
といっても、実際の現場ではストなんぞやると自分の仕事が増えるわ、取引先には迷惑をかけて謝らねばならなくなくわで、そうそうできるものではありません。
それも雇用や労働条件の改善といった、直接の雇用者が解決できる問題ならいざ知らず、米国艦船の寄港反対なんてことを雇用者にぶつけたところで、そんなことオレに言うなよ、筋違いもはなはだしい、としか答えようがないでしょう。
市や県に言っても無駄。これは日本国と米国との間の国家間同盟に基づいた寄港だからです。
安全保障は国の専管事項ですから、市や県に意見をいう権限はありません。
ところがこと沖縄だけでは、なにか沖縄県が言うことができると錯覚してしまうような「甘やかされた」関係が擬似的に成立してしまっていました。
この勘違いが労組にまで感染して、労組が寄港反対、港の機能を止めてやると息巻くわけですから、たまったもんじゃありません。
現に石垣島に向かっていた貨物船3隻のうち2隻は寄港できなくなり引き返したそうです。
沖縄の港湾労働者スト、初日で解除 県民生活へ懸念の声も…安堵 | 沖縄タイムス+プラス (okinawatimes.co.jp)
これで迷惑を被るのは石垣島民だけです。
そりゃそうでしょう。先島に行けばわかりますが、海が荒れれば船が来ないために物価が上がります。
商店では新しい値札を定価の上からペタペタ貼るわけです。
長期化すれば、島民は生活することさえ困難になります。
海が荒れたなら我慢のしようもありますが、労組の政治ストが原因ならば、はっきりとこれは反社会的行為だからやめろと言うべきです。
考えなくてもわかることですが、生活インフラを担う企業の労組がオレはアンポ反対だとか、米国艦船寄港阻止、なんて恣意的な理由でインフラを麻痺することが自由自在にできるなら、恐ろしいことになります。
彼らの政治目的の完遂のために全島民の生活を人質にとること可能になるからです。
労組とその背後にいるサヨク政党は、ちいさな島の運命を握るオールマイティの支配者となりえるのです。
政治ストには法的に決着がついています。
最高裁判決がいくつかでていますが、有名なものとしては「三菱重工長崎造船所事件 最高裁平成4年9月25日第二小法廷判決」があります。
これは原子力船に対して行った労組のストについて、労組の上告を棄却した判決です。
上告棄却
使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない政治目的のために争議行為を行うことは、憲法28条の保障とは無関係なものであると解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和43年(あ)第2780号同48年4月25日大法廷判決・刑集27巻4号547頁)とするところであり、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違憲はない。
三菱重工長崎造船所事件 最高裁平成4年9月25日第二小法廷判決(政治スト)-パラリーガル見聞録 (katsumiya.net)
最高裁は、政治目的のストは憲法28条の埒外であって違法だと述べています。
つまりやっちゃいけないストなのです。
石垣市議会は、この違法ストに解除要求を決議しました。
明日から金曜日まで法事出席のためにお休みさせて下さい。
再開は土曜からです。
まーだ、こんな昭和に流行った違法ストをやっているんですか、呆れてものがいえない。
全港湾沖縄地本という労組が、米国艦船の入港を実力で妨害しました。
「石垣市の中山義隆市長は15日、米艦船の石垣寄港に抗議し、全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が石垣港で強行した全面ストライキについて、県労働委員会から「労働関係調整法に規定されている争議行為に当たらない」との見解が示された、と発表した。その上で「政治的な闘争を背景にした住民生活を盾に取るストライキ(争議行為)は、今後、厳に慎んでほしい」と、全港湾に同様のストの自粛を求めた。
市は今回のストに関し、労働関係調整法が規定する事前通知の手続きを踏んでおらず、適法とは言えないとして、県労働委員会に適切な対処を求めていた。これに対し県労働委員会からは、今回のストが「法に規定されている争議行為に当たらず、一連の手続きも不要」と連絡があったという。この見解は厚生労働省も同一としている。
中山市長は15日発表したコメントで、「正当な争議行為に当たるかは最終的に司法の判断」とした上で、正当な争議行為に当たらない場合、全港湾の行為は、憲法が保障する表現の自由の問題になると指摘。公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を受けるとした。ストの影響について「貨物船の荷役作業が止まり、欠品する店舗が出るなど島々の物流が混乱した」と指摘。「大変残念」と述べた。
米艦船「ラファエル・ペラルタ」の寄港に関しては、適正かつ必要な手続きを行い、港湾利用に関する安全を確認したとしている」
(八重山日報3月16日)
全港湾スト「争議に当たらず」 労働委見解、石垣市が自粛要求(八重山日報) - Yahoo!ニュース
港湾労働者はストライキ実施 石垣港に米海軍ラファエル・ペラルタが寄港 抗議が上がる中、乗組員上陸(RBC琉球放送) - Yahoo!ニュース
県労働委員会の「法に規定されている争議行為に当たらず、一連の手続きも不要 」という言い草はヘンですね。
労組のストが争議行為でないとすればなんなんでしょうか。
ただの政治趣味?
労働関係調整法には争議行為が定めてあります。
061 争議行為 (osaka.lg.jp)
1 争議行為とは
争議行為とは、一般的に労働者の主張、要求を使用者に認めさせるための集団的な圧力のことをいい、「同盟罷業(ストライキ)、怠業(サボタージュ)、作業所閉鎖(ロックアウト)その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するもの」と規定されている。
【労働関係調整法第7 条】
今回の全港湾の石垣港の「貨物船の荷役作業が止まり、欠品する店舗が出るなど島々の物流が混乱」(八重山日報前掲)が生じました。
つまり、労組は石垣島の生活と経済に意図的打撃を与えたわけですが、労組の目的は米国艦船の寄港阻止でした。
これは最高裁判決で違法とされている政治ストにあたりますから、中山市長が言うように違法性が高いとみなされて当然です。
(2)争議行為の正当性
(ア)政治スト
政治ストとは、国または地方公共団体の機関を直接の名宛人として労働者の特定の政治的主張の示威または貫徹を目的として行うストライキと定義するならば、団体交渉とは無縁の争議行為として正当性をもたない。政治ストが憲法第28 条の保護を受ける行動でないことは、最高裁判例において一貫して判示されている。
【東京中央郵便局事件 最大判 昭41.10.26】、
【三菱重工業長崎造船所事件 最二小判 平4.9.25】
違法性のあるストライキは反社会的行為です。
全港湾は中国が台湾侵攻をした場合に自衛艦が与那国などからの避難民を載せて石垣島や本島の港に寄港しようとすると、「戦争協力反対」を叫んで政治ストを打つでしょう。
その場合、避難計画は大きく乱れて取り残される島民もでることが予想されます。
この人たちは「平和」を唱えて、中国の戦争を応援しているのです。
このようなことを許し、前例としてしまった沖縄県と厚労省の判断の責任は重大です。
※今週20日水曜日から22日金曜日まで、法事のための小旅行で休載いたします。
よろしくご理解ください。
さて、トランプ第2期の国内政策はかなりハッキリ予測できるのですが、難問は外交政策です。
あ、もちろんバイデンになったら、いまのままで可もなく不可もなくですから、岸田氏とは相性がいいでしょう。
もしトランプになったら世界一の猛獣使いだった安倍氏を失ったことを岸田氏は痛切に悔やむことでしょうね。
まぁ、岸田氏は安倍派を完全壊滅させてしまったのですから、なにをいまさらですが。
それはさておき、トランプ外交を予測可能なところから考えていきます。
もっとも分かりやすいのは対中政策と中東政策です。
中国に対しては、バイデン政権は意外にも宥和政策に陥らずに踏みとどまった、ああよかったねーというべきですが、経済制裁に関しては中途半端なままです。
トランプは中国製半導体規制を一気に強化するでしょう。
バイデンは半導体関連でエンティティリスト(EAR)に掲載した中国企業はありますが、しかしなぜか金融制裁であるSDNリストには掲載していません。
少し説明します。EARとは、米国の国家安全保障や外交政策に反する活動に関与していると考えられる個人、法人及び団体等の規制対象のリストのことをいいます。
「米国製の製品、部品、技術、ソフトウェアが、米国から輸出された後に、第三国に再輸出される場合、仕向地、使用者、輸出貨物・提供技術の種類、米国製品や技術の全体の輸出に対する比率等により米国法の規制を受けることを指します。
つまり、いったん米国から輸出されたものが、その後、輸出先から第三国あるいは第三国の特定の使用者向けに再輸出される場合、米国からの直接輸出が規制されていれば、再輸出においても同等の規制を受けることです」
米国再輸出規制入門! | 安全保障貿易情報センター(CISTEC)
米国の対中半導体規制は、軍事用はもちろんのこと、民生用のスパコン、先端半導体などにも規制の網がかかります。
半導体供給網の中で最も重要部分、特に高度な研究開発が必要な分野は米国が握っており、米国には、先端半導体の設計大手のほか、半導体製造ソフトウエアや装置製造大手が多数存在しています。
中国は民生品から米国の高度な半導体技術を盗み、軍事転用してきました。
そこでそうはさせじとするのがこのEARで、このリストに載せられるとこの会社へのEAR対象品目の輸出・再輸出が禁止されるので、米国の企業、機関、個人からの米国からの輸入が不可能になります。
また当該企業は、EAR対象品目のすべてを輸出・再輸出することが禁止されます。
そのうえ、さらに米国以外からも米国製品が輸入できないため、米国製品を使った製品を作ることもできなくなります。
つまり、違反した品目だけではなく、全てのEAR対象品目になりますので、米国製技術も取り扱えないということになります。
要するに、米国市場から完全に締め出されます。
EARとSDNリストは両輪で、SDNは脅威と認められた企業、個人への金融制裁です。
「SDNリストには米国の安全保障や外交政策、経済政策に脅威を及ぼすと認められた企業、組織、個人が数万件以上登録されている。米国内の個人および企業はリスト掲載者との取引が禁じられており、違反した場合は制裁対象となる。
金融制裁には、リスト掲載者の株式やリスト掲載者が企業支配権を持つ法人への投資の禁止、満期が90日を超える新規債務(債券、為替手形など、あらゆる証券を含む)の禁止などが含まれる」
SDNリスト - Wikipedia
テロリストや全体主義国家の要人、企業が網羅されていて、このSDNリストに載せられると、米国内での経済活動が事実上不可能になります。
トランプはSMICなど中国半導体メーカーのSDNリスト掲載をしようとし、TIKTOCに関してはさらに厳しい規制を求めてきた経緯があります。
バイデンは、共和党が強い議会の圧力によって、結局重い腰をあげざるをえませんでしたが、その時は政権末期でした。
トランプの2期めがあるなら、EARはSDNを駆使して、さらに厳しい規制をかけることは間違いありません。
軍事的にも、対中国シフトに集中したいという気分はバイデン以上に強まるでしょう。
と、ここまではいいのですが、問題はウクライナ支援問題です。
ウクライナ支援はそこそこに、という米国の本音が露出します。
共和党は米国人の本音を代表する党なのです。
するとここが悩ましいところですが、トランプは平気で「ウクライナにはビタ一文ださん」なんてバカ丸出しのことを喚くので評価を著しく下げています。
コメントでも手厳しい意見を頂いておりますが、長谷川幸洋さんまで影響を受けたのか似たことを言い始めています。
「いま米国が、なぜウクライナ支援を渋っているかと言えば、「もう十分支援した」「これ以上は欧州に任せよ」「米国は中国との対決に備えなければならない」という理由があり、加えて、「米国自身が南部国境で不法移民の脅威にさらされている」からだ」
(長谷川幸洋ZAKZAK2月17日)
【ニュースの核心】巨額支援なら〝増税〟懸念 ウクライナ復興会議、飛び交う「6兆円支援」も 自国防衛手薄の本末転倒 米は日本をATM扱いか(2/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト
長谷川氏は、日本のウクライナ復興支援する増税をまねくと反対しています。おいおいです。
長谷川さん、あまりに近視眼じゃありませんか。
たしかに共和党はウクライナ支援が盛り込まれた予算案に抵抗し続けているために滞っています。
「米国のPOLITICOは12日「まもなくバイデン政権が3億ドル相当の武器をウクライナに送ると発表する」「このパッケージにはクラスター弾を内包した短射程のATACMSが多数含まれる」「155mm砲弾やHIMARS向けの追加弾薬も含まれている」と報じており、このパッケージを送るための資金について国防総省の関係者は「ウクライナ向けの契約で節約された資金を使用した」と述べているため「会計ミスの発覚で返還された資金」を使用したという意味だろう」
米国がウクライナ支援を発表予定、短射程のATACMSや155mm砲弾を供給 (grandfleet.info)
トランプはこのウクライナ支援に反対していることについて、中国の脅威にキチンと対処することを上げていますが、バカですか、あんた。
ウクライナが陥落したら、ユーラシア大陸全体の地勢図が変化します。
冷戦終結でやっとユーラシア大陸の東の辺境に押し込んだはずのロシアが、東ヨーロッパ、バルト諸国、コーカサス、中央アジアを含む大きなロシア勢力圏持った巨大軍事国家として蘇ります。
そして中欧、スカンジナビア半島、さらには東アジアにまで重圧をかけることでしょう。
それだけではなく、ウクライナ戦争によって生まれたロシア-中国-イラン-北朝鮮との「新悪の中軸」で一大ブロックを作るはずです。
そうなったらわが国は中国だけを脅威としてみるだけでは済まず、「新悪の中軸」全体を敵に回さねばなくなります。
わが国の力量に余ります。
元来、トランプは個人としてロシアをそれほど敵視していませんでした。
トランプは、インテリタイプのオバマのような青瓢タイプと、女教師型のメルケルなどは大嫌い。
自分の頭で考えて自由に思考する安倍氏や、一見そう見えるプーチンとは性が合ったのです。
対中重視シフトを敷くためには、ロシアを中立的立場にとどめておきたいということのようですが、もうとっくに手を握っているというのにね。
気分としては、かねてからプーチンと息が合うようですが、いいかげんにしなさい。
共和党も元来あった大きな政府反対、小さい財政論がぶり返して、巨額のウクライナ支援には否定的です。
そのして共和党の欠陥である内向きな視野が、ウクライナ問題を単なる欧州の問題と考えているから始末に負えません。
これは明文化された戦略というよりむしろ「気分」で、NATOに対する姿勢と同じで、カネを出すなら武器は売る、NATOは自分らの防衛努力を怠っていやがって、ふざけんな、カネさえ出せばビジネスだからいくらだって売ってやるぜ、それをウクライナに送ればいいだろうというリクツになります。
まったく困った連中で、こういう風景を見せられるとバイデンのほうがましに見えてきます。
トランプと共和党の猛省を促します。
たぶん、トランプが政権につけば得意のディールを持ち出すでしょう。
ここを割譲すれば少しはプーチンも妥協してくれるはずだ、とゼレンスキーにささやくのでしょうが、ウクライナは聞く耳を持たないはずです。
トランプは個別の国家間交渉を重視し、従来の同盟を軽蔑しています。
機能不全となった国連などは見向きもしないはずです。
個別交渉なら自分の商売人としてのディールの能力が活かされるからであり、大国が圧倒的に有利だからです。
かつての北朝鮮との首脳交渉もそうでしたが、ロシアに対してもおなじように臨むでしょう。
プーチンをディールに誘い込むことは充分考えられます。
とまれ、危ういトランプ劇場をまた見せられるかもしれません。
トランプの扱いに馴れたポンペオが閣内に入ればよいのですが。
今週、トランプのことをつらつらと考え続けています。
この男は第1印象は最悪ですが、それなりに時間をかけて考えると味があるというか、案外いい奴じゃないかと思えてくるから不思議なもんです。
悪字ながら味がある、というやつでしょうか。
しかもエグイまでにパワフルだから、絵に描いたようなヒールです。
その点、昔はハンサムだったが、盛りはとっくに過ぎて今は気弱な老人然としたバイデンとは対照的です。
いまのところ1ポイントでバイデン有利と報じられていますが、それは登録者だけで、登録外となるとトランプのようです。
「[ワシントン 14日 ロイター] - 11月の米大統領選に関するロイター/イプソスの最新世論調査によると、バイデン大統領が支持率でトランプ前大統領をわずか1%ポイントリードしている。
調査は13日までの1週間に全米の成人を対象に実施した。
登録有権者の39%は、今日大統領選が行われれば、バイデン氏に投票すると回答。トランプ氏に投票するとの回答は38%だった。支持率の差は世論調査の誤差の範囲である1.8%ポイントを下回っている。
多くの有権者は態度未定。11%は「他の候補に投票する」、5%は「投票しない」、7%は「分からない」「回答拒否」と答えた」
(ロイター3月14日)
米大統領選、バイデン氏がトランプ氏を1ポイントリード=世論調査 | ロイター (reuters.com) 。
ま、どうころぶかわかんないということですね。
本選でトランプが勝てば、議会上院はすでに50に接近しており、本選で勝てば、副大統領(上院議長)の1票を加えると過半数に達します。
下院はすでに押さえていますから、上下院共に共和党が征するかもしれません。
つまり議会とのネジレがない強力な力を持ち得る大統領になることが可能です。
反トランプのメディアは口を揃えて独裁者の誕生だと極端なことを言いたがりますが、いやなに第1期政権の続きを再開するだけのことです。
それはもう見たでしょうに、なぜ大騒ぎするのか。
ただし一期と違うのは、共和党エスタブリッシュメントの小姑たちの介入から自由なことです。
かつては新米大統領だったせいもあって、国務長官に彼が望む者を任命できたのはポンペオまで待たねばなりませんでした。
これだけは確かなことは、民主党利権の巣窟であるSDGsやEV、再エネなどには徹底した戦略転換が図られることだけは間違いありません。
ところでバイデン政権は、2035年までに100%脱炭素とし、原子力も削減する計画を立てていました。
「米国では2023年の1年間に、太陽光、風力、蓄電池を主体に事業用の設備を大幅に追加する計画だ。
過去10~15年のあいだに、自然エネルギーが飛躍的に成長して、火力と原子力による電力は大きく減少した。2035年までに電力を100%カーボンフリーで供給する意欲的な目標に向けて、自然エネルギーと蓄電池を最優先に拡大する方針である。
一方で原子力の重要度は高くない。経済性と環境面の理由からだ。これまでの実績をもとに、米国エネルギー省は2035年の電力のうち80%以上が自然エネルギーになると予測している」
(自然エネルギー財団2023年3月28日)
米国が2035年に電力を100%脱炭素へ、自然エネルギーに注力 | 連載コラム | 自然エネルギー財団 (renewable-ei.org)
この脱炭素計画は完全に放棄され、石油をはじめとした化石燃料への規制も解かれるでしょう。
というか、そもそも自分の国の地下から豊富に採掘できる原油やシェールガス採掘に制限をかけて、中国製風車やチャイナソーラーを使えというほうが無理があるのです。
米国の原油生産量(シェールオイルを含む)はこの10年で2倍弱まで増えています。
その背景には、米国のシェールオイル主要地区の原油生産量が急増したことがあります。
米国はサウジアラビアとロシアを凌ぐ世界一の原油生産国となっていました。
トウシル 楽天証券の投資情報メディア (rakuten-sec.net)
ところが上図の好調だった米国産原油とシェールガスは、バイデン政権の登場と共に襲ったコロナによる経済停滞で一期に冷え込みます。
楽天証券
「2021年1月に発足したバイデン新政権の気候変動対策の強化がある。バイデン大統領は就任後、温室効果ガス排出削減を目指す大統領令に署名し、政府保有地における新規のシェールオイル開発を規制するなどした。生産企業には長期的には新規油田が不良資産となる懸念が高まっており、大手から中堅・中小に至るまで開発投資を抑制している」
米シェール生産、過去最高へ。データが語る原油市場の舞台裏 |す投資情報メディア (rakuten-sec.net)
バイデン政権の圧力によって金融機関や投資家も、新規油田開発への新規投資を嫌い、コストカットと株主還元に充てるようにエネルギー企業に仕向けたために、新規のシェールガス掘削は頭打ちになりました。
また、エクソンモービルなど大手米国石油メジャーは、株主総会で環境活動家たちが「物言う株主」と称して大暴れしたために、環境活動家系取締役3人の選任を余儀なくされるなど、原油生産企業を悪玉視するような社会風潮が拡がりました。
ウクライナ戦争は、この米国原油・シェールガス生産の復活のきっかけを与えました。
ロシア産原油・天然ガスの輸出制限に窮したヨーロッパ諸国が、米国産に手をのばしたからです。
そしてバイデンによってもたらされた国内ガソリン価格の上昇に歯止めをかけるには、さすがのバイデンも背に腹をかえられず国内原油・シェールガスを復活させるしか道がなかったという政権の都合もありました。
これで一気に去年初めには、米国内原油・シェールガス業界は復活の芽が出ました。
「米エネルギー情報局(EIA)によると、米国では先月、週間の原油生産量が日量1320万バレルに達していた。これはトランプ前大統領時代の2020年前半、新型コロナウイルス危機で生産量と価格が激減する前に記録した1310万バレルをわずかに上回る。
こうした生産量の増加が、原油・ガソリン価格の上昇に歯止めを掛けている。
米国の生産をけん引するのは、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地のシェールオイル掘削業者だ。生産量は膨大で、海外へ輸出される分もある。S&Pによると、米国の原油や石油精製品、液化天然ガス(LNG)の輸出量は、サウジアラビアやロシアの生産量と同程度に上るという」
(CNN2023年12月20日)
米国の原油生産量、過去最高水準に 10~12月期 - CNN.co.jp
このような風がトランプを待っています。
米国民は脱炭素の名で行われたグリーンニューディール政策が、いかに非人間的で非合理的なシロモノか身をもって知ったのです。
この脱炭素に最後のとどめを刺すのがトランプです。
メルケルとトランプは在職中犬猿の仲でした。
まずはこの一枚の写真からご覧ください。
これは2018年のG7の事前会合で撮られたもので、メルケルのインスタグラムにアップされていました。
素知らぬ顔で視線をはずすトランプと、机を叩かんばかりに詰め寄るメルケル、間にはさまれてウーンとうなっているのが安倍氏です。
G7首脳会談の1枚 この写真には誰と誰が - BBCニュース
同じシーンをカナダのトルドー首相もアップしていますが、こちらは笑っています。
BBC
メルケルが、こういう米国に談判といった写真をアップしたのは、ここで議題になっていた米国のアルミニウム関税だけではなく、メルケル先生が教師が不良生徒のトランプをみんなの前で叱っているのだ、というボディランゲージでした。
メルケルは常に米国は欧州の利害を無視して経済的にも軍事的にもわがまま放題を言う、と考えていたはずです。
ところでトランプは、最近でもこんなことを吹いています。
「トランプ前米大統領が10日、国防費のコミットメントを満たさない北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対しては、ロシアが好きなように侵攻するのに任せると在任中に欧州の首脳に語ったとするエピソードを明らかにし、波紋が内外に広がっている」
(ブルームバーク2024年2月12日 )
トランプ氏のNATO発言、内外に波紋-同盟への影響巡り新たな議論 - Bloomberg
またウクライナに関しては、オルバン・ハンガリー首相を相手にこんなことまで言い散らしています。
「ドナルド・トランプは、もし彼が再びアメリカ大統領に選出されたら、ロシアの侵略に対するウクライナの戦いに資金を提供しないだろう、とハンガリーのオルバン首相に言った。
「彼はウクライナとロシアの戦争に一銭も与えないだろう。それが戦争が終わる理由だ」と、保守派の首相はフロリダでトランプ氏と会談した後、語った。
前アメリカ大統領は、当選すれば「24時間以内に」戦争を終わらせると約束したが、詳細は明らかにしなかった」
(BBC3月8日)
トランプはウクライナに一銭も与えない-ハンガリーのオルバン首相-BBCニュース
オルバンは極右とも称される政治家で、ヨーロッパの極右らしくプーチンに親しみをもっているようです。
またオルバンは「ウクライナが自力で立ち続けられないのは明らかだ」とし、「米国が金を出さなければ、欧州だけでこの戦争を経済的に支えることはできない」(BBC前掲)とも言っています。
このオルバン発言自体、NATOやEUの方針とはまったく違うので、問題視されるでしょうが、しょせん小者です。
これらの外信記事を読むと、ヒドイと感じるのは、トランプ発言の脈絡を欠落させて報じているからです。
あくまでもトランプは、すぐにNATOをおん出るとか、ウクライナにはびた一文出さんと言っているわけではなく「ヨーロッパが自分で防衛する気がないのだったら」というのが大前提です。
この部分を抜かしてトランプ発言を読むと訳がわからなくなります。
ウクライナ戦争前まで、NATO各国の防衛努力は大変にお粗末でした。
下図は2021年と2023年を比較したものですが、ドイツなどわずか1.46%という緊張感のなさです。
主なNATO加盟国の対GDP比国防費 - NATO、国防費が急増 加盟国半数が24年にGDP2%超 - 写真・画像(2/3)|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)
ちなみに日本は0.93%で、安保三文書でようやくNATO並を目指すことになったばかりです。
トランプが怒り、メルケルがそれを米国の不当な圧力と感じたのは、このようなヨーロッパ、特にその中心国であるドイツの政治姿勢のゆがみがあったからです。
先日も記事にしましたが、ドイツのビジネスモデルは4ツあります。
日本のGDPが世界第4位に、だから?: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
①安いロシア産原油・天然ガスの無限の供給。
②ユーロによる通貨安。
③EU圏の無関税。
④対中輸出。
これらすべてが絶賛崩壊中です。
具体的に見てみましょう。
①ショルツ首相は、ロシアとドイツ間のロシア産天然ガス輸送パイプライン建設計画ノルド・ストリーム2の承認を停止し、ロシアへのエネルギー強依存体制を変えようとしています。
これはかねがねトランプのロシアのエネルギー依存は欧州の安全にとって危険だ、という警告を無視してメルケルが突っ走ったからです。
②トランプがしつこくNATOを罵っているのは、加盟国がみずからが定めた国防費に対し対GDP比2%を実現していなかったからです。
あまりに防衛努力を怠ってきたために、ウクライナ支援を開始したらすぐに自国の砲弾の備蓄がなくなりかけるという体たらくに陥りました。
やっと増産体制を整えつつありますが、遅い。
ウクライナがロシアに負けたら次はバルト三国、そしてポーランドだということにやっと思い致したわけです。
ウクライナが敗北した場合、NATOの防衛費は2%どころかその倍、3倍になるでしょう。
そしてメルケルは、対中姿勢が大甘で、中国の脅威などアジアだけのこと、ドイツは儲けなくちゃ損々とばかりに構えていました。
ですから、中国にせっせと12回も通いつめ習近平と抱擁し、フォルクスワーゲンを売ることに国の将来を賭けていたのです。
結果、いまや中国は世界支配の野望を隠そうともしなくなり、ヨーロッパのEV市場を制圧してしまいました。
中国と一蓮托生のドイツ: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
さぁこのように見てくると、理性的に語り、論理的に見えたメルケルと、突発的で脈絡なく激しい言葉を使うトランプのどちらが正しかったのかお分かりでしょう。
ガザで「ラマダン停戦」が始まりました。
ラマダン月は約1カ月間続き、3月10日の日没と共に始まり、終わるのは4月8日です。
【イスタンブール時事】中東イスラム諸国の多くで11日、イスラム暦のラマダン(断食月)が始まった。
イスラム教徒にとって預言者ムハンマドが神の啓示を受けた最も神聖な月で、信仰心が高まる。パレスチナ自治区ガザではイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止が実現せず、軍事作戦を続けるイスラエルや同国を支持する米国への反発から、中東各地で緊張が増す恐れがある」
(時事3月11日)
ラマダン入り、ガザ戦闘やまず 信仰心高揚で緊張激化の恐れ(時事通信) - Yahoo!ニュース
いま、「停戦」と書きましたが、正確ではありません。
正式の停戦は成立しておらず、ハマス側がラマダンなので戦闘ができないだろうと甘く思っているだけのことです。
イスラエル側の状況は、一言でいえば膠着状況です。
ハマスとの戦闘はイスラエルが想像した以上に厳しく、かつ世界的孤立に苦しめられています。
イスラエルにとっても経験するもっとも厳しい戦いになりました。
現在、イスラエルは人口密集地であるラファの手前で軍を停止させています。
ラファ攻撃に対して、バイデンはネタニヤフにこう警告しています。
「土曜日にMSNBCが公開した痛烈なインタビューで、バイデンは、ガザでの民間人の死に対するアメリカの深い懸念を強調し、ガザ南部のラファで計画されているIDFの作戦を「越えてはならない一線」と呼んだ」
(イスラエルタイムス3月10日)
「彼は間違っている」:首相はバイデン批判を率直に拒否し、ほとんどのイスラエル人が彼の政策を支持すると述べる |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)
ネタニヤフはこれに激しく反発しています。
「ベンヤミン・ネタニヤフ首相は日曜日、前日のジョー・バイデン米大統領からの痛烈な個人的批判に対して、公の場で直接反応し、インタビューで、ハマスに対する戦争の扱いで「イスラエルを助けるよりもイスラエルを傷つけている」と主張したのは「間違っている」と述べた」
(イスラエルタイムス前掲)
このネタニヤフの強気には訳があります。
日頃、ネタニヤフの支持率は低下の一途を辿っており、やめろデモも盛んです。
人質家族もこれ以上の戦闘の深追いは生命を危うくするとして反対しています。
にもかかわらず、世論の多くはラファへの攻撃に賛成なのです。
「イスラエルの民主主義研究所による世論調査では、75%がラファへの攻撃に賛同するとの結果が出ている。右派と自覚する人はこれよりも大きい数字であるが、左派と自覚する人々でも45%がラファへの攻撃を支持していることがわかった。
現在、汚職問題にハマスの侵攻を可能にしてしまったとして、ネタニヤフ首相個人の支持率はかなり下がっている。また人質家族たちは、強行路線を続ける現政権に反発し、政府に総選挙を求めるデモが激しく行われており、国民もこれに同情はしているのだが、結局のところ、ハマスを排斥する必要性を理解する国民は、少なくとも半数以上にのぼるということである」
緊張の中ラマダン始まる:ガザのパレスチナ人もラマダン入り 2024.3.11 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
いかにハマスの大規模無差別テロがイスラエル国民を、左右の区別なく怒らせているかわかります。
このあたりに関して、外国はイスラエルを見誤っています。
このような緊迫した状況下で1カ月の「ラマダン停戦」となるのですから、どうなるのか誰も読めません。
ガザだけではなく、イスラエル国内にもイスラムの聖地があります。
たとえば、エルサレム旧市街のアルアクサ・モスクには、10万人規模の巡礼者が国内外から押し寄せます。
アルアサク・モスクとは有名な黄金色のドームを持つモスクです。
アルジャジーラ
「ラマダン期間中、アルアクサモスクには、イスラム教の巡礼が、イスラエル国内だけでなく、西岸地区、ガザ地区、ヨルダンや中東諸国から10万人規模でやってくる。
警察を管轄する極右政治家ベングビル氏は、ガザは言うまでもなく、西岸地区からパレスチナ人の神殿の丘への入場を禁止。イスラエル国内のアラブ系市民の入場も制限すると述べ、批判が殺到した。
イスラエル首相府報道官は、敵はイスラム教徒ではなく、過激なイデオロギーだと強調。エルサレムでの礼拝に来るイスラム教徒の礼拝の自由は守ると火消しに慌てたような声明を出した。
しかし、実際のところ、ここ数年、イスラエルは状況に応じて、特に危険になる可能性が高い、40歳以下男性の入場を許可しないなどの対策をとっている。ハラム・アッシャリフにまで到達できるのは、1万5000人から2万人程度で、多くは、旧市街の門の外で足止めとされ、道路上で、イスラエル治安部隊が見守る中、モスク方面に向かって祈る形になっている」
オリーブ山通信 (mtolive.net)
治安部隊が十重二十重に取り囲んだ中での巡礼となりますので、衝突は必至です。
一方ハマス側は、ラマダンを殉教の月と捉えています。
ラマダンの期間中にジハードを行えば、非常に高い楽園に行けるとされているようです。
ジハードとは、「聖戦」とも訳されますが、イスラム教を世界の隅々まで拡げるための戦いのことです。
「しかもジハードで殉教した人は、単に楽園に入れるだけではなく、楽園のなかで100段階高い場所に入れてもらえると信じられています。(略)ラマダンは最も神聖な月で、ラマダン中に善行をすると最大700倍のポイントをゲットできる。イスラム教で最善の行為とされているのは神の道におけるジハードである。
ここから導き出されるのは当然、ラマダン中にジハードやることこそが最善だ、という結論です。
だからこそ、イスラム過激派はラマダン月に異教徒に対する攻撃を激化させるのです」
(飯山陽note)
ちなみに、2年前のラマダン時期にハマスが出した声明文では「ラマダンはジハードと殉教の月だ」と書かれているそうです。
今回が例外なはずがなく、同様の命令をハマスは戦闘員に下しているはずです。
ですから、この1ヶ月間は「ラマダン停戦」ところか、逆に極めて危険な時期に突入したことになります。
トランプが大統領になることを悪夢だと思っている人が、日本には確実にひとりいます。
岸田文雄氏です。
いまや人気浮揚の絶好のチャンスと考えていたはずの国賓待遇での訪米は、11月の大統領選で「もしトラ」となったと考えるとイヤーな感じとなってきました。
「ホワイトハウスは25日、岸田文雄首相が4月10日に国賓待遇で訪米すると発表した。ジャンピエール大統領報道官は声明で、「不朽の日米同盟の強さと、日本に対する米国の揺るぎない責務、国際場裏で増す日本の指導的役割を強調する訪問となる」と述べた」
(時事1月26日)
岸田首相、4月10日訪米 国賓待遇、「不朽の同盟」誇示―米発表:時事ドットコム (jiji.com)
日米同盟のカッコたる絆をみせつけること自体は悪くはないのですが、しかしあまりにタイミングが悪い。
ホワイトハウスの主が代わる可能性が極めて高い前夜に行くという行為自体が、岸田氏が痛くない腹を探られるかもしれません。
つまり日本政府はバイデンの再選を全力で応援しておりますよ、というシグナルです。
今、特に米国に行く理由はありません。
両国間の外交的懸案が皆無だからで、鉄鋼輸出摩擦がどうのと言うメディアもいますが、わざわざ首相が行くこっちゃありません。
ハドソン研の村野将氏はこう述べています。
「ここ数年、アメリカの外交・安全保障政策において、対日政策はほとんどなくなっています。アメリカ側は「日本と一緒に何をするか」、また日本側も「アメリカと一緒に何をするべきか」という議論になっている。そういう意味で言うと、トランプ政権になった場合、対中政策はより鮮明になるでしょう。軍事やお金の面など、「限られたリソースをいかにインド太平洋地域、つまり中国対処に集中させるのか」という論点になり、そのなかで「ウクライナ戦争の問題をどう扱うか」が議論になるという感じです」
なぜバイデン陣営は「トランプ氏が共和党候補になった方が戦いやすい」と見るのか 米大統領選スーパーチューズデーの開票進む(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース
村野氏が言うように、かつてのように米国が日本に何を望むのかをこちらが忖度する段階ではなく、粛々と共同で中国に対峙するという段階に至っているからです。
かつて前世紀の末、クリントン政権は日本バッシングに励みました、そしてオバマになると公然と日本の頭越しに中国に接近する始末です。
オバマ時代に、中国は南シナ海に軍事進出し彼らの内海化を完成させます。
これがガラリと代わったのはトランプ時代でした。
トランプは日本にNATOに対してと同じように応分の負担増を求めていましたが、安倍氏は臆することなくクアッド構想を彼に示して同志的な関係にまで日米関係を持ち上げました。
当時、アベガーの人たちは、「2017年11月に初来日した際、トランプ氏は『非常に重要なのは、日本が膨大な武器を追加で買うことだ』と述べ、具体的にF35などを例に挙げて、武器購入を迫っていた」という言い方をして、まるでトランプが装備品を買えと迫って安倍氏がタイコ持ちをやったかのように言っていました。
まったくの勘違いです。既に2011年末にF-35の導入が決まったとき、導入計画は決まっていたのです。
中期防衛力整備計画(現行は2014年度から2019年度)に「近代化改修に適さない戦闘機(F-15)について、能力の高い戦闘機に代替するための検討を行い、必要な措置を講ずる」と書き込まれいます。
つまり、トランプ政権が登場するはるか以前に日本の導入計画の方向性は決まっていたのです
日本は日米同盟を強化しつつ、米国に言われるまでもなく自主防衛力を強化し、クアッド戦略構想を共有することで、日米はほぼ対等の同盟関係に進化しつつあるのです。
よく「日本の対米従属」という言い方を左右の反米の皆さんは言いたがるのですが、今はそんな卑屈な関係ではありません。
ですから、トランプになろうとなるまいと、バイデンのままだろうと、米国の対日政策に大きな変化があるはずがありません。
むしろ民主党政権のほうが、ヤレ貿易摩擦がどーした、環境問題がどーした、人権問題がどーしたとかしましいこと、たまりません。
米国大使までもが日本にLGBT法の制定の圧力をかけるくらいで、先日はとうとう少数民族差別なんてことまで岸田氏は口にする始末です。
そして岸田氏はこのバイデンの圧力にグニャグニャになり、日本に存在しないLGBT差別についての法まで無理やり作ってしまいました。
他国の圧力で、内政に属することを決めるなんて、軽佻浮薄の極みです。
そんな民主党左派におもねった岸田氏をトランプがどう見ているか、考えるまでもなくわかるでしょう。
バイデンを取り巻く状況は悲惨です。
アフガン撤退の無残な失敗は米国民の心を大きく傷つけましたし、なにより生活が圧迫されています。
2022年8月のアメリカの大都市部の最新の物価はこうなっています。
なお当時の円ドル相場ですので、今はさらに上がって表示されるはずです
・マクドナルドのマックミールセット(コンボミール)10ドル(1359円)
・牛乳(1リットル)1.21ドル(164円)
・白パン(500グラム、1ローフ)3.99ドル(542円)
・米(1キロ)7.20ドル(978円)
・卵(12個入り)4.03ドル(548円)
・ローカルチーズ(1キロ)17.13ドル(2328円)
・鶏肉(モモフィレ肉、1キロ)16.44ドル(2234円)
・牛ひき肉(1キロ)20.25ドル(2752円)
インフレが進行するアメリカ・主要都市の物価はどうなっている? (j-seeds.jp)
このインフレの原因は、バイデンが人気とりでやったコロナの経済対策として、札束を配りまくったからです。
バイデン政権は、トランプ政権下の2回のコロナ経済対策の給付金(1人当たり1200ドル、600ドル)に上乗せして、2021年3月に民主党のみで成立させた米国救済計画法に基づき、追加給付金を1人当たり1400ドルも支給しています。
大統領選挙戦で、バイデンがもっとも力を入れてしゃべったことは、オレに入れてくれたらカネ配ります、でした。
バイデンの思惑どおり米国救済計画法は国民に大受けしたのですが、経済状況を見ないあまりに過剰な給付でした。
リベラルは洋の東西をとわず、このようなバラ撒きが大好きです。
デフレ時にはそれなりに押し上げ効果が見込めるのですが、インフレリスクが高い時にこれをするとほんとうのインフレに突入してしまいます。
米国の場合、バイデン政権からもらったカネを個人消費に回してしまったために過剰な個人消費が生じました。
さらにコロナで働けないためもあって、国民は労働を忌避し始めます。
結果がどうなったのかといえば、需要が急増したにもかかわらず働き手がいない→働き手を募集するには労賃を上げねばならない→価格に転化する→コストプッシュ・インフレの発生という現象が生まれました。
FRBが何度も利上げして消し止めようとしたのが、このインフレでした。
名付けて「バイデン・インフレ」と呼ばれています。
特に止まらないガソリン高は、元々ガソリンが湯水のように使えると思っていた米国民に強い不満をもたらしました。
下図は原油価格のベンチマーク(指標)価格である2021年のWTI先物相場ですが、10月20日の時点で1バレルあたり82ドルを超え、こちらも同じく14年10月以来となりの高騰です。
このまま推移すれば、バレル100ドルという庶民には手の届かない価格に達する勢いです。
このガソリン価格の高騰に、2022年2月以降のウクライナ侵攻がかぶって100ドルを超える高値になりました。
国内要因はバイデンが進めたグリーンニューディールにあります。
バイデンはリベラルが大好きな極端なCO2削減政策を実施しました。
グリーンニューディールと自称していますが、これによって化石エネルギー源への投資が禁止されてしまいました。
炭鉱はおろか、テキサスの油田、そして米国が世界に誇ったはずのシェールガスまでもが投資が止まり、今や世界有数の産油国でありながら米国はガソリン高に苦しむはめになっています。
下図はシェールガス掘削井戸の数ですが、バイデンが政権をとる直後から下り坂を転げ落ちるように激減しているのがわかります。
このガソリン高が、コロナ後の人手不足による労働力市場の高騰と相まって、米国経済に思わぬ打撃を与えています。
特に物流を握る運輸関連の被害は深刻で、ニュージャージー州では、伝統的に民主党支持層だったトラックドライバーたちが民主党の州上院議長を追い詰める騒ぎに発展するなどの騒動にまで発展しています。
このガソリン高は自動車産業をも窮地にたたせており、自動車産業関連の労働者の動きにも連鎖していく可能性があります。
そしてお定まりのEVへの過剰な補助金です。
「電気自動車(EV)には陰に陽に様々な補助金が付けられている。それを合計すると幾らになるか。米国で試算が公表されたので紹介しよう。2021年に販売されたEVを10年使うと、その間に支給される実質的な補助金は約50000ドル(図中の48698ドル)に上る。為替レートを1ドル150円とすると、約750万円だ。
このようなグリーンニューディール政策のツケは、エネルギーコストの上昇による経済への打撃、生活費の負担の増加、そしてそれを救済するための各種失業手当などの増大だったわけです。
当然のこととして政府は財政危機となります。
常に起きている連邦政府の見苦しい予算不成立によるデフォールト危機は、共和党がこの赤字製造装置と化したグリーンニューディールに強い不満をもっているからです。
バイデンもこのグリーンニューディールを止めればいいことはよくわかっているはずですが、それをしようとすると与党民主党左派が激怒します。
トランプが政権を奪還したら、まずやるのはグリーンニューディールの完全停止です。
ガソリン高は世界的な過少投資によるものですが、米国はなにせ自分の足元を掘れば石油が湧いてくる土地なのですから、解決は簡単です。
グリーンニューディール政策を放棄し、炭鉱や石油産業、あるいはシェールガスに集中的投資を呼び込む政策に転じるでしょう。
もちろんEVなどという色物に対する補助金は打ち切られます。
各種補助金の竹馬に乗ることでやっと一人前の顔が出来たEVの息の根が止められることは必至です。
ニセモノのEV黄金期はこれで終わります。
「もしトラ」についてもう少し考えてみます。
というのは、日本メディアは既にヒステリーを起こしているようだからです。
こんな調子です。
「トランプ氏は、前回大統領選の敗北を認めていない。支持者による連邦議会議事堂占拠事件など、計4件で刑事訴追されているが、「バイデン政権による政治弾圧だ」と主張し、大統領に復帰した場合は報復すると公言している。
選挙結果の尊重や、権力の平和的な移行、法の支配は、民主政治の根幹である。だが、トランプ氏はこれらの理念を否定するような言動をとり、自らに反対する勢力は全て敵だとみなしている」
(読売社説3月7日)
社説:トランプ氏圧勝 米国の民主主義は廃れたのか : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
読売ですらこの調子ですから、朝日、毎日、東京あたりだとどうなることやら。
バランスを取っているのは、トランプ嫌いの黒瀬氏とトランプびいきの古森氏がいる産経くらいです。
東京はトランプが政府を解体して自分の息がかかっている者だけで独裁政府を作るぞ、と言っています。
おいおいオーバーな。できっこないだろう、そんなこと。
「陰謀論者が多用する「闇の政府(ディープステート)」という用語を連発し「解体する」と繰り返し主張。政策実現の障壁とみなした連邦職員を大量に排除し、自身に忠実な職員と入れ替える。司法省への影響力を強め、バイデン氏とその家族、トランプ氏に批判的な政府高官への捜査を指示する考えを示している」
(東京3月7日)
日本にも脅威…「もしトラ」におののく世界 トランプ氏返り咲きなら「より劇的に、根底から変わる」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
【緯度経度】「トランプ恐怖症」の危険 古森義久 - 産経ニュース (sankei.com)
CNNやNYTの恐怖が、太平洋を渡って日本にまで感染してしまったようです。
前回の大統領選では、NYTが社内会議で「絶対にトランプを当選させない」と言っていたことは暴露されましたし、彼ら米国メディアは揃って民主党支持です。
FOXくらいかな、共和党寄りは。
彼ら米国メディアは、口を揃えてトランプが政権をとれば、非民主的独裁政権を作って国民を弾圧するというご託宣を述べています。
では、なぜこんなにトランプを恐れるのでしょうか。
それはバイデンのやったことが余りに不人気だからです。
「移民問題や物価高を巡る国民の不満が、トランプ人気を支えているのは間違いない。政策上の問題があるとしても、全てを現政権の失敗と決めつけて有権者の怒りを 煽り、支持拡大を図るトランプ氏の手法は公正さを欠いている」
(読売前掲)
そうでしょうか。トランプを押し上げている大衆マグマは、貧富の差が拡大し、そこに物価高が襲ったから発生したのです。
移民問題で得をしているはずのヒスパニック系すらも、バイデンの偽善的なグリーンニューディールには飽き飽きしています。
ヒスパニックは米国に来ても職がないのに、さらに彼らの仕事を奪う形で次の不法移民が入ってくるのですからたまりません。
従来は民主党の支持基盤だったはずの西海岸のヒスパニックは雪崩をうってトランプ支持に回ろうとしています。
よくトランプの人種差別政策と呼ばれる移民抑止政策も、このように考えれば治安問題だけ強調されますが、実は安価な使い捨て労働者である移民を抑制することで国内労働需要を堅調にするためだと分かります。
トランプの登場は、宮家邦彦氏に言わせれば「徐々に理想主義に向かってきた米国政治への反発から生まれた暗黒面の登場」だそうです。
まるでトランプがダースベーダーみたいな言い方ですね。
では、この「暗黒面」の実体とはなんなのでしょうか?
「暗黒面」とは、トランプがよからぬ企みをもって分断しようとしていることではなく、むしろ米国が分厚い中間層によって支えられてきた社会から、貧富の差の激しい社会へと変貌しつつあることにトランプが力を入れて是正したから、エスタブリッシュメントからは余計なことをしやがって、と見えるだけのことです。
トランプが米国を分断したのではなく、逆にすでに充分に深まっていた分断をトランプが転落する階層の側に立って戦ったからこのように批判されたのです。
たとえば常に激戦区のミシガン州はラストベルト(錆びた地帯)と言われたほど長い凋落が続いて、製造業の空洞化による賃金低下、雇用率の減少などに悩まされてきました。
結果、そこで働く労働者は中間階級から転落していきましたが、全米自動車労組に代表されるような民主党系労組は、労働分配率にのみこだわるだけで、安易にレイオフを受け入れていってしまい、有効な救済策を持ちませんでした。
その結果、中間層から転落する国民が大量に発生する反面、イーロン・マスクの個人資産が13兆円を超えたというような、典型的貧富の格差現象が起きているのが米国なのです。
下図は一国の所得上位0.1%層の占める割合ですが、米国は実に9.3%を占めています。
ちなみに日本は3.1%で、中間層が圧倒的多数を占めているのがわかります。
よく日本のことを格差社会だなんて日本メディアは言いたがりますが、世界でも格差が少ない国のひとつです。
グラフの声を聞く:米国の債務比率と所得格差は表裏一体=市岡繁男 .
また所得格差による平均寿命の低下現象も存在します。
人口1人あたりのGDPが低い経済が振るわない地域の平均寿命は76歳以下です。
下図をみるとレッドステート(共和党多数州)が経済に活気がなく、したがって平均寿命も短いのは、いかにトランプに寄せる期待が大きかったかを表しています。
図録▽米国における寿命・所得の大きな地域格差(日本との比較)
このような所得格差の頂点に位置する新興IT大富豪や、ソロスのような金融投資家、そして大財閥、ハリウッドスター、大メディアの知的エリートなどといったひと握りの人々は、こぞって民主党候補バイデンを応援しています。
民主党の実態は、民主党左派が思い描くような「ワーカーズクラスのための党」ではなく、富裕層の党なのです。
また民主党こそ人種間の対立を激化させました。
バイデンが進めたアファーマティブ・アクション(人種積極的是正政策)によって、黒人のハーバートなどの大学進学は増えたようですが、一般の黒人階層は、白人労働者と同じく賃下げと失業に悩まされて続けてきました。
結局この積極的是正政策によって黒人エリートだけが富裕層になっていき、人種内にも貧富が生まれたのです。
そしてバイデン政権時に起きたBLM運動は、決定的に黒人層と白人との対立を煽りました。
それを許容し、煽ったのは民主党系の知事たちです。
白人にせよ、黒人にせよ、国民が望んでいるのはまともに働ける環境、働く機会の均等、所得格差の少ない社会であって、なにかを社会から恵んでもらって生き延びることではないのです。
働かないで暮らせる社会、これほんとうに望ましい社会だとは思いません。
トランプが掲げた徳目は伝統尊重でしたが、それを破壊したのは民主党でした。
一方トランプは、この貧富の格差は産業の空洞化によって生まれており、それはグローバル企業が中国に製造拠点を移してしまったためだと断じました。
トランプは法人税減税を図り、米国企業に母国への帰還を呼びかけました。
これに対してリベラル左翼は、「大企業ばかりを優遇する」と批判しましたが、その減税効果は企業の活性化を生み、更にそこで働く中間層までもが潤いました。
彼らが底堅く消費を支えた結果、空前の消費プームが起きて、米国は更に内需が活発化するという好循環に入りました。
また、トランプはさまざまな規制を緩和しようとしました。
たとえばエネルギー政策に強い規制をかけていた地球温暖化対策からの離脱は、原子力と化石燃料の再認識をもたらしました。
これはやくたいもないグリーンニューディール政策を掲げて、非効率的な再エネ促進に走り、中国ばかりを儲けさせてしまった民主党時代とは大きく異なります。
外交政策については長くなるので別稿にしますが、このように見てくると、トランプが第1期でやったことは評価されこそすれ、妥当かつ穏健な保守の政策だったと思います。
トランプ天性のアジテーターなので、その言葉の端々を切り取ってはわからなくなります。
私は議事堂襲撃事件のように、支持者を動員し大統領選に圧力をかけるが如きトランプの手法を強く批判しました。
正直、もっと安定した保守系政治家のペンスやポンペオのようなタイプに共和党候補がなることを望んでいましたが、トランプに代わる者は現れないのですから仕方がない。
ならば、ポンペオのように彼の脇を固めて、奇矯なことをさせないチームトランプをまた作るしかありません。
「米大統領選挙の民主、共和両党の候補者指名争いは5日、15州と1米領の選挙が集中する「スーパーチューズデー」を迎え、各州で投票が行われた。東部の州から順次、投票が締め切られ、開票が進められた。共和党ではドナルド・トランプ前大統領がほとんどの州で大勝し、ただ一人の対抗馬だったニッキー・ヘイリー元国連大使は6日午前、選挙活動の中断を発表した。
民主党は現職のジョー・バイデン大統領が候補者指名を獲得することが確実視されており、この日も各州で勝利した」
(BBC2024年3月6日)
【米大統領選2024】 スーパーチューズデー、共和党はトランプ氏が大勝 - BBCニュース
「アメリカの元国連大使のニッキー・ヘイリー氏は6日午前、今年11月の大統領選に向けた野党・共和党の候補者指名争いから撤退すると発表した。これまでの予備選や党員集会で、ヘイリー氏は2勝しかできなかった。
記者会見でヘイリー氏は、「選挙活動を中断する時がきた」と述べた。
これにより、共和党ではドナルド・トランプ前大統領が唯一の候補者となった。15州と1米領の選挙が集中した5日の「スーパーチューズデー」でも、ヘイリー氏は、トランプ氏への支持は表明しなかった。それでも、祝いの言葉を送り、「幸運を祈る」と述べた。
ヘイリー氏は演説の中で、「アメリカ人の声を聞いてほしかった」から予備選に残っていたのであり、「私はそれをやり遂げた」と主張。「後悔はしていない」と述べた」
(BBC3月7日)
【米大統領選2024】 ヘイリー氏が撤退表明、トランプ前大統領支持は明言せず 共和党指名争い - BBCニュース
彼女の撤退の弁の中に、トランプとの政策の違いが短く語られています。
「また、経済や社会主義の脅威、国際紛争など、選挙期間中にしばしば取り上げていた政策課題を再度、強調した。
「アメリカの債務は、最終的には我々の経済を押しつぶすだろう」
「アメリカの後退のせいで、世界は火の海だ。ウクライナ、イスラエル、台湾で同盟関係にある者たちに寄り添うのは、道徳的に必要なことだ」ヘイリー氏はさらに、「トランプ氏を支持しなかった党内外の人々の票を獲得できるか」は本人次第だと述べた」
(BBC3月7日)
この同盟重視の外交方針はトランプと著しく違っており、むしろ(いい意味で)民主党寄りです。
民主党はヘイリーが共和党候補となった場合、民主党保守系支持者をごっそりと持っていかれる可能性があったので、胸をなで下ろしているでしょう。
逆にワシントンDCでヘイリーが一矢むくいたように、共和党穏健派はトランプに入れるくらいなら、とは思うかもしれません。
かといって、バイデンになど一票を投じたくないので、これらの人はどうするのでしょうか。
「実際のところ、「そんなに盛り上がっていない」というのが現状です。民主・共和両党から何人も候補者が残り、接戦になっていれば盛り上がると思いますが、今回はスーパーチューズデー前から共和党はトランプ氏の大幅リードで、民主党は現職のバイデン大統領でほぼ決まりです。ですので、それほど盛り上がっていない印象です」
(飯田浩司のOK! Cozy up3月6日)
なぜバイデン陣営は「トランプ氏が共和党候補になった方が戦いやすい」と見るのか 米大統領選スーパーチューズデーの開票進む(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース
なお、スーパーチューズデーの直前に、連邦最高裁が、トランプに立候補資格がないとしたコロラド州最高裁の判決を覆して、立候補資格を認めました。
理由は、コロラド州には連邦の大統領の立候補資格をウンヌンする権限はない、という消極的理由です。
判断が注目されていた連邦議会襲撃事件の関与については、判断を避けました。
「アメリカの連邦最高裁判所は4日、ドナルド・トランプ前大統領には大統領選挙への立候補資格がないとしたコロラド州の判断を覆した。同州の最高裁は、国家に対する反乱に関与した者は官職に就けないとする合衆国憲法修正条項を理由に、トランプ氏は同州予備選挙に立候補できないとしていた。
連邦最高裁の判断は判事9人全員の一致によるもの。コロラド州だけに関するものだが、他州での同様の訴訟についてもトランプ氏の立候補が認められる見通し」
(BBC2024年3月5日)
米連邦最高裁、トランプ氏の立候補認める コロラド州の判断を覆す - BBCニュース
これまた実につまらん。
トランプ時代に送り込んでいた保守系判事のなせる業だという人もいますが、それ以上にここまで候補者が煮詰まってしまっては、いまさらお前には立候補資格がないとはいえなかったのでしょうね。
私はやや期待していたのですが、政治は政治の力学で動くということです。
ただしコロラド州最高裁判決の、トランプを「暴動に関与した者」という認定には異議をはさみませんでしたので、この判断は今後も地雷として残ることになります。
「元連邦検事のマイケル・マコーリフは本誌に対して、「連邦最高裁は今回の判断の中で、『暴動や反乱に関与した者』の定義や、コロラド州の裁判所がトランプを『暴動や反乱に関与した者』と事実認定したことについては異論をはさまなかった」と述べた。「これらの事実認定は存在しているが、連邦最高裁は今回、コロラド州という一州に合衆国憲法修正第14条第3項に基づいて資格はく奪を行う権限はない、という点のみについて判断を下した」
(ニューズウィーク3月5日)
「潔白とは言ってない」──トランプ出馬を認めた米最高裁判断のウラを読む|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
とまれ、能力不足が明らかになったバイデンと、なにをしでかすかわからないトランプのバトルはまだ続きます。
pcが不調です。
回復したら午後にでも投稿しますが、どうなりますことか。
ブログ主
EV騒ぎは終わりました。勝負あり。
あのアップルがEV製造計画を放棄しました。
「アップルの内部関係者が米ブルームバーグに語ったところによると、ジェフ・ウィリアムズCOOとプロジェクト責任者であるケビン・リンチ氏が2月27日、社内会議でプロジェクトの終了を認めたという。
このプロジェクトに携わっていた2000人以上の従業員はAI(人工知能)部門に異動となる。しかし、デザイナーやハードウェア・エンジニアなど数百人の「余剰人員」が発生すると見られる。
アップルは現時点で公式声明を発表していない」
(オートカー3月1日)
「EVやめます…」 米アップル、自動車開発中止か AI部門に2000人異動? 山あり谷ありプロジェクトに終止符(AUTOCAR JAPAN) - Yahoo!ニュース
アップルの万能意識は病膏肓です。
彼らは自身が起こしたIT技術革命がどこまでも続くと思っていました。
アップル、10年がかりで進めてきたEV開発計画から撤退|会社四季報オンライン (toyokeizai.net)
「自動車産業の中心地デトロイトの有力者たちは、この仕事はタフで利益が出にくいかもしれない、と米アップルに警告した。だが、生きた化石のような彼らの見解には誰も耳を傾けたがらなかった。
アップルは逆に、ソフトウエアとハードウエアを切れ目なく融合させ、時代錯誤の連中を置き去りにする自動車の新時代が到来しつつあるという、シリコンバレーのお祭り騒ぎに乗った。
結局、アップルにとって独自の自動車を製造することは、独自のテレビをつくるのと同じくらい難しかったということだろうか。テレビ開発の夢は何年も前についえたが、今週になって同社幹部は、電気自動車(EV)を発売する計画も中止すると開発担当チームに伝えた。
(ウォールストリートジャーナル2024年3月1日)
アップル、甘くなかった自動車開発 - WSJ
アップルは、iPodを皮切りにして、iPhoneで携帯市場を制圧し、さらにそれをタブレットに落としたiPad、最近ではアップストアなどで音楽をダウンロードして聞くものに変えてしまいました。
私の世代では信じがたいことですが、昨今の若者はCDなど買わず、ばら売りされている楽曲をDLすることで楽しんでいます。
こんな時代に重厚長大産業など一蹴されるのは時間の問題だと見られていました。
重厚長大の代名詞は自動車産業です。
鉄を加工し、様々なフォルムを作り出し、その心臓部に100年以上人類が試行錯誤の末に錬磨してきた内燃機関を搭載する、このコンセプトはアップルから見ればかびの生えた前世紀的アナクロの塊に見えたはずです。
アップルはかねてから自動車とコンピュータ技術の高次の融合を考えていました。
ただし、アップルが自動車産業から要求されるのは自動運転技術や搭載する携帯ソフトなどに留まっていました。
彼らは思うままにじぶんの「車」を設計し、一から自動車を作りたいと欲しました。
しかしその自前の車を作るには、内燃機関という巨大な壁にぶつかったはずです。
その彼らに福音が訪れました。EVの登場です。
アップルの競合社であるグーグルも似たことを考えていましたが、グーグルはもっといじましく、自動運転ソフトの提供で終わっていたことを考えると、さすがはアップルと言ってやるべきでしょう。
「アップルは携帯電話に行ったことを自動車にも行い、そして言うまでもなく勝利するとみられていた。その上、アップルはiPhoneで達成した高い利益率のおかげで当時2000億ドル(現在のレートで約30兆円)近い手元資金があった。
長年アップルを担当するアナリストのジーン・マンスター氏は、自動車事業への参入によってアップルの増収ペースに火が付く可能性があると予想したこともあった。仮に同社が自動車市場で10%のシェアを獲得すれば、増収率は60%に達するかもしれないとの見方を示した」
(WSJ前掲)
30兆円にものぼろうという手持ち資金と、行き場をなくしたかにさえみえるIT技術、そしてなによりも今までなしえてきたアップル革命の数々が、EV革命を成功に導く担保だったはずでした。
アップルEVに参入のニュースを聞いた世界の人々はその成功をみじんも疑っていませんでした。
「アップルの最高経営責任者(CEO)に就任してわずか数年だったティム・クック氏は、独自の自動車を製造するという野心的な極秘計画(名称「プロジェクト・タイタン」)にゴーサインを出した。2015年に同プロジェクトが明らかになると、動揺と懐疑の入り交じった反応が起きた」
(WSJ前掲)
そしてそのコンセプトカーのイメージは旧来の自動車という概念を変えるものでしたが、たちまち現実の壁に遭遇し、大幅な修正をよぎなくされます。
オートカーが作った想像図
「タイタン」と呼ばれるEV開発プロジェクトは2014年に始まったが、これまで何度も挫折と遅延に見舞われてきた。最も顕著なのは昨年、レベル5の完全自動運転機能の導入を諦め、一般的なレベル2の運転支援システムを検討したことだ。
EVは当初、完全な自動運転シャトルになる予定だったが、その後オーソドックスなデザインに変更され、ステアリングホイールやペダルなどが装備されるようになったという」
(オートカー前掲)
プロジェクト・タイタンを知ったゼネラル・モーターズ(GM)の元CEOダン・アカーソンは、自動車産業がただ「車」を作ればいいというものではなく、膨大な下請けと代理店、そして中古車市場のパイ皮のように分厚い層によって支えられていると指摘してこう言っています。
「アカーソンは自動車の製造・販売はいかにハードルが高いかを多くの人が過小評価していると主張。アップルの投資家はこの向こう見ずな企てを再考すべきだとの考えを示した」
(WSJ前掲)
2015年当時、操業まもないテスラはこの自動車産業の複雑さに頭をぶつけ、いまでももがいています。
そりゃそうです。自動車購入は5年後前後に中古で売ることを前提にして考えられています。
オートローンも保険もそれが前提ですが、ではまっさらの未経験者が中古車市場という価格があってないようなマーケットをどう作ったらよいのでしょうか。
まずまちがいなく、テスラの5年落ちなど無価値です。
ましてや海のものとも山のものともわからないアップルのEVなど中古車市場ではゴミ扱いされるはずです。
テスラが米国企業でありながら中国で製造開始したのは、中国政府がテスラをパクってやる気まんまんだったこともさることながら、マスクにとっては余りに雑音が多く、いつまで山師扱いする母国に愛想が尽きたからだったのでしょう。
その結果、EV技術は中国の手に渡り、多くのエピゴーネンを生み出し、いまや彼らが世界市場を制覇しようとしています。
いまやヨーロッパ市場ではヨーロッパ製の車を駆逐せんばかりです。
マスクも罪作りなことをしたもんです。
ちなみにテスラはアップルに身売りをしようとしていたことがバレたようです。
「ただし、アップルの成功は多くの人が考えるほど必然的なものではなかった。
メディアに漏れ出す情報からは、アップル内部に広がる異例の不透明感がうかがえた。スケジュールを守れない事例が続出し、プロジェクトリーダーは次々と退社、任務も変わり続けた。プロジェクト・タイタンの野望は次第に縮小し、説得力を失った」
(WSJ前掲)
米国大手自動車産業はEVを捨てて、トヨタが世界標準を作ったハイブリッドにシフトしました。
このアップルの「タイタニック号の惨事」を受けて、EVを捨ててハイブリッドへの流れは決定的になりました。
どうぞ中国は今後も懲りることなく、EVを作り続けて滞貨の山を作って下さい。
御本尊のテスラさえ中国市場で滞貨を作っているそうです。
「 米電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O), opens new tabの株価が4日の取引で、7%超下落した。2月の中国販売台数が減少したことが嫌気された。
競争激化に直面しているほか、2月は春節(旧正月)休暇も影響した。
中国乗用車協会(CPCA)のデータによると、テスラの中国製EVの2月販売台数は前年同月比19%減の6万0365台で、2022年12月以来の低水準だった。同社の世界販売見通しに影を落とす数字となった」
(ロイター3月4日)
米テスラ、2月中国販売台数が前年比19%減 株価下落 | ロイター (reuters.com)
中国のお家芸の過剰生産の波にテスラも呑み込まれたようです。
たしか太陽光パネルでもやらかしましたっけね、今度はEVのようです。
結局勝ったのは、日本のトヨタでした。
それにしてもこんなことは今さら始まったわけでもなかろうに、つい最近までトヨタEVから脱落、日本終わった、田舎の終着駅ニッポン、中国一人勝ち、と歓喜の声を上げていた日本のメディアとは一体なんだったのでしょうか。
やっぱり思ったとおりでした。
先日とりあげた与正の「岸田さ~ん、北にいらっしゃ~い♡」というウィンクにマンマとひっかかった馬鹿が出ました。
「衛藤氏が当初、採択しようとした決議案は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が能登半島地震を見舞うメッセージを「閣下」との尊称を付けて首相宛てに送ったことや、金氏の妹、金与正(ヨジョン)党副部長が首相の「訪朝の日が来るかもしれない」とした談話を発表したことに言及。それらを踏まえて「北朝鮮のこの新しい動きに我々は真摯に対応すべきだ」として、首相の早期訪朝を求める内容だった」
(産経2月27日)
日朝国交正常化議連 首相訪朝決議案を国民・玉木氏らが批判 大幅修文へ(産経新聞) - Yahoo!ニュース
この日朝議連の決議文なるものが出てきていますが、なかなかのものですよ。
岸田総理大臣訪朝要請決議(案)
拉致問題の完全解決に向け懸命の取り組み、ご尽力をされておられる全ての方々に、衷心より敬意を表します。岸田総理は「金正恩国務委員長と直接向き合い、懸案の諸問題解決に取り組む」と断言している。この発言に対して、北朝鮮から次の3点の意思表明があった。
(一)北朝鮮の外務次官が「日本が関係改善の活路を模索しようとするなら、両国が会えない理由は無い」と談話を発表した。
(二)金正恩国務委員長から岸田総理に尊称閣下の宛名で、能登半島震災に対して御見舞いのメッセージが届いた。
(三)金正恩国務委員長の妹、金与正朝鮮労働党副部長から「岸田総理の訪朝の日が来るかも知れない」とメッセージが公表された。
北朝鮮のこの新しい動きに我々は真摯に対応すべきである。
岸田総理は「総理直轄のハイレベルの協議」で北朝鮮と交渉し、諸問題の解決をすると国会で表明している。我々、議員連盟一同は、茲に岸田総理の早期の訪朝要請する。
二〇二四年二月二十七日
日朝国交正常化推進議員連盟
会長 衛藤征士郎
会長代行 額賀福志郎
他役員一同
ね、まったく北の誘いをそのまま鵜吞みにしていますでしょう。ボツになってよかった。
おそらく衛藤が中心となって作ったものでしょうが、ひどいものです。
一読してわかるように、この決議文からは日本政府が一貫して日朝間最大の懸案だった拉致問題が完全に抜け落ちています。
これは与正がこう言ったからです。
「解決済みの拉致問題を障害物としなければ」と条件をつけた上で、「肯定的なものとして、評価されないはずがない」との見解を明らかにした。
(朝日2024年2月15日)
金与正氏、「岸田首相が訪朝する日も」 拉致問題は議題にしない条件:朝日新聞デジタル (asahi.com)
北が訪朝したいなら拉致問題を口にするな、と言ったからそれにおめおめと従ったわけです。
もうこの時点で、仮に岸田氏が訪朝したとしてもその結果ははっきりと見えています。
あらかじめ負けている地点に立って発想し、「動きに真摯に対応すべき」というなら、北の要求である制裁解除と日韓基本条約の北への適用と賠償ということこそが議題となるはずです。
そしてその議題には、議連の共産党が言うように「植民地支配に対する心からの謝罪」も含まれるはずです。
「共産党の笠井亮衆院議員も「(平成14年の)日朝平壌宣言、拉致、核・ミサイル(などの諸懸案の包括的解決)、(不幸な)過去の清算をきちっと書き込む必要がある」と不備を指摘した」
(産経前掲)
共産党の言い分どおりに「過去の清算」なることをすると、どうなるのでしょうか。
日韓基本条約の北への支払いだけでは済まず、ゾロゾロと元慰安婦が湧いて出てきます。
慰安婦問題は現代日本が背負った巨大な重荷です。このことによるわが国の受けた汚名は、想像以上に世界に拡散し、定着しています。
欧米の文献で「女性の人権」「戦時性暴力」 「セックススレーブ」、あるいはただの「奴隷制」を引いても、日本軍による「軍性奴隷制度」が必ず史実として登場します。
それは国連人権理事会が日本政府に勧告してきたヘイトスピーチ禁止条項などや、同じく慰安婦報告最終報告書をみれば分るはずです。
それはあらゆるところに現れていて、わが国は未だ女性の人権擁護や少数民族差別が残存する人権の遅れた国として国際的に認識されています。
日韓が慰安婦問題を「解決」するためにどれだけの無駄な時間が費やされ、本来北に対して同盟関係を作らねばならないはずの韓国との激しい摩擦を引き起したことか。
それをもう一回、北を相手に繰り返すことになります。
忘れているようですが、クワラスラミ報告には北の元慰安婦の証言も採録されており、逃げた女性が鍋で煮られたなどという奇想天外なことを言っています。
とうぜん怪しげな元慰安婦はワラワラと出現することでしょう。
しかも、これらに岸田氏は「真摯に対応」しそうだからこわい。
岸田氏は、去る2月4日の「共生社会と人権」に関するシンポジウムのビデオメッセージでこう言っています。
共生社会と人権に関するシンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ-令和6年2月5日 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
「残念ながら、我が国においては、雇用や入居などの場面やインターネット上において、外国人、障害のある人、アイヌの人々、性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません。
マイノリティの方々に対して不当な差別的取扱いを行ったり、不当な差別的言動を行ったりすることは、当然、許されるものではありません。
また、近年、外国にルーツを有する人々が、特定の民族や国籍等に属していることを理由として不当な差別的言動を受ける事案や、偏見等により放火や名誉毀損等の犯罪被害にまで遭う事案が発生しており、「次は自分が被害に遭うのではないか。」と、日々、恐怖を感じながら生活することを余儀なくされている方々もおられます」
令和6年2月5日 共生社会と人権に関するシンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ | 総理の指示・談話など | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)
この言辞が朝鮮総連や民団、あるいは在日クルド人の発言だとしても、なんの疑いもしないでしょう。
岸田氏はLGBTの時と同じように、わが国には「不当な民族差別がある国だ」と言っているようなもので、またもや火のない所に火を着けたわけです。
保守派閥を解体した結果生まれたアナーキーな党内事情でひとり天下を満喫しているような岸田氏が、北に乗り込み正恩と握手して日朝国交回復というパンドラの箱を開けたりでもしたらと思うとぞっとします。
もちろんこの北製のパンドラの箱には、希望などは入っていませんから念のため。
ナワリヌイの葬儀が行われました。
「ロシア北極圏の刑務所で急死したと2月16日に発表された野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)の葬儀が1日、モスクワ南部で執り行われた。葬儀の行われた教会や墓地には、ナワリヌイ氏を追悼するために数千人の市民が集まった。多くの人が花を持ち、ナワリヌイ氏の名前や反政府のメッセージを連呼した。
教会や墓地周辺には朝からフェンスが設けられ、警察官も多数出動した。
人権団体によると、同日夜までにロシア各地でナワリヌイ氏の追悼に参加した人が90人以上逮捕されたという。
ロシアのテレビ局は、ナワリヌイ氏やその葬儀についてほとんど報じていない。そのため葬儀の様子は、ナワリヌイ氏が立ち上げた「反汚職基金」が、ナワリヌイ氏のユーチューブチャンネルからリアルタイムで実況した。
葬儀は現地時間午後2時に、モスクワ南東部マリイノ地区にある教会で始まった。マリイノは、ナワリヌイ氏がかつて住んでいた地域。
教会に霊柩車(れいきゅうしゃ)が到着すると、集まった人々は拍手で出迎えた。
(BBC 2024年3月1日)
ナワリヌイ氏の葬儀、モスクワで執り行われる 数千人が集まり行進 - BBCニュース
BBC
ナワリヌイの葬儀の情報が一切禁止される中、彼の遺したチームは教会での追悼式をユーチューブでライブ中継し、数十万人のロシア国民がその画像を追ったといいます。
当局は、ユーチューブの動画に妨害をかけ、たびたび中継はダウンしましたが、最後まで続けられました。
この葬儀参列は、FSBなどの監視の中で行われ、参加すること自体が身ばれによる不利益や拘束を被る可能性が高かったのですが、その葬列は長く続きました。
ロイター
なお、葬儀にはモスクワ駐在の欧米各国の大使たちの姿が見られました。
日本大使の参列はなかったようです。
一方、葬儀の日、プーチンはこんな演説をしました。
「ロシアのプーチン大統領は、日本時間の29日夜、内政や外交の基本方針を示す年次教書演説で、3年目に入ったウクライナへの軍事侵攻について「ロシア軍が主導権を握っている。さらに多くの領土を解放している」と述べ、ロシア軍が攻勢を強め戦果を得ていると強調しました。
また、ロシアの核戦力を誇示するなど、ウクライナへの支援を続ける欧米側を強くけん制しました。
ロシアのプーチン大統領は、日本時間の29日夜6時すぎからモスクワ中心部のクレムリン近くで、2時間以上にわたって年次教書演説を行いました」
(NHK2024年2月29日)
プーチン大統領 年次教書演説 “ロシア軍が攻勢”戦果を強調 | NHK | プーチン大統領
核兵器を誇示し、ウクライナ侵略を完遂するとのことです。
拍手はまばらで、さすがのロシア国民もしらけきって見ていたようです。
ところで、プーチンは赴任5年目の1989年11月、目の前で一国が崩壊する姿を目撃しています。
当時、この男はKGB工作員として東ドイツに赴任し、西ドイツの過激派のハンドラーをしていたといわれています。
東ドイツ秘密警察のシュタージやKGBの予想を裏切って、11月9日、東西分断の象徴であったベルリンの壁は民衆によって叩き壊され、東西ドイツは一気に統合を目指します。
東西ドイツの再統合とは、東ドイツの崩壊を意味します。
ソ連圏随一の優等生として安定していたはずの東ドイツでは、全国に民主化デモの波がわき起こり、壁崩壊から1カ月後の12月にはプーチンが住んでいたドレスデンも民主化デモに洗われます。
12月5日、プーチンの事務所があったシュタージの建物は真っ先にデモの標的となり、市民はシュタージが作った市民の監視記録を奪おうとして押し寄せました。
民衆は怒りの声を上げながら、シュタージの建物を占拠しましたが、その時のデモのシュプレッヒコールは、「我々が人民だ!我々が人民だ!自由を手に入れろ!」だったそうです。
「我々が人民だ、自由を手に入れろ」、この市民の声は一生プーチンの耳から離れないはずです。
そしてれから1年後の1990年10月、東西ドイツが統一し、東ドイツは崩壊しました。
そしてプーチンが祖国に逃げ帰った後を追うように、ソ連もまた1年後の1991年12月、多くの衛星国を独立させ、崩壊します。
独立を得た国のひとつにウクライナがありました。
これがプーチンの原体験です。
プーチンがもっとも恐れるものは米国ではなく、民衆の民主化への希求なのです。
「ウィーンコン発フィデンシャル」の長谷川良氏はこう述べています。
「そして今回、プーチン政権の強権の犠牲となったナワリヌイ氏の追悼式に2キロ余りの列ができた。これを“ナワリヌイ・ライン”と呼びたい。追悼式に参加した人々からは「ロシアに自由を」「愛は恐怖より強い」といった声が飛び出していた。ナワリヌイ・ラインを見て、クレムリンの主人プーチン大統領はどのように感じただろうか。
「一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる」(「ヨハネによる福音書第12章24節)というイエスの言葉を思い出す。ナワリヌイ氏の犠牲が近い将来、ロシアで豊かな実を結び、ロシア国民が独裁政権から解放されることを願う」
ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog)
ナワリヌイはこのプーチンが恐れる民衆をまとめる「一粒の麦」でした。
それがゆえにプーチンはナワリヌイを殺したのです。
私もナワリヌイの葬列に手を合わせて祈りましょう。
ロシアが一日も早くプーチンという名の悪霊の手から自由を取り返しますように。
自動車販売の中心地である米国では、EV化に暗雲が立ち込めています。
いままでバイデンのグリーンエコノミー政策に乗って熱気に包まれていたはずのEV市場が冷め始めています。
ひと頃はEV生産を4倍にすると強気だったフォードはその計画を取りやめました。
EV工場から従業員を通常のガソリン車の工場に移動しています。
「デトロイト郊外のフォード工場でピックアップトラックの検査を担当しているマシュー・シュルテさんは、突然の変化に「少し驚いた」と話す。「現実が見えてきた」
ほんの1年前まで、自動車メーカーは電気自動車(EV)需要の高まりに対応するのに苦労していた。ところが、数カ月の間に状況は一変し、多くの自動車メーカーが全速力で推し進めてきたEVシフトにブレーキがかかった」
(ウォールストリートジャーナル2024年2月21日)
EV革命頓挫、6カ月で何が起こったのか - WSJ
「全米の自動車ディーラーによると、航続距離や信頼性、価格をめぐる懸念が立ちふさがり、電気自動車(EV)を売り込むのが難しくなりつつある。
自動車ディーラーのポール・ラロシェル氏は、米フォード・モーターが電動ピックアップトラックを発売すると聞いた時、自身のビジネスの見通しに胸を躍らせた。
「100万台作っても売れると思った」。米東部バージニア州やメリーランド州、首都ワシントンで十数ブランドの車を販売するシーヒー・オート・ストアーズでバイスプレジデントを務めるラロシェル氏はこう語る。
現実はそれほど甘くなかった。同社の保管場所には6~12カ月供給分に相当するEV在庫がある、とラロシェル氏はこぼす。これに対し、ガソリン車は1カ月分だ」
(WSJ2023年12月14日 )
EV購入を依然ためらう消費者も 米ディーラーが実感 - WSJ
米国消費者の消費選択は冷厳です。「一部の有力な米自動車販売店は、米ゼネラル・モーターズ(GM)にハイブリッド車の導入を迫っている。電気のみで走る完全な電気自動車(EV)に乗り換えるつもりがまだない顧客を失うリスクを懸念しているからだ。
最近、GMの諮問委員会の委員を務める複数の販売店は会議を重ねる中で、GMのラインアップにハイブリッド車を加えるよう同社幹部に強く要請してきた。議論に関与した関係者らが明らかにした。GMは近年、完全なEVに重点を置き、ハイブリッド車をほぼ見送ってきた。ハイブリッド車は、内燃機関であるエンジンに小型バッテリーと電動モーターを組み合わせ、優れた燃費を実現する」
(WSJ2024年1月30日)
GMにハイブリッド導入迫る米ディーラー 顧客失う恐れ - WSJ
「走行距離と充電時間は、ともに寒さの悪影響を受けてしまう。先ごろ米国を襲った大寒波ほど厳しい場合は特にだ。この寒波では、数日にわたって米国人口の70パーセント以上が氷点下の気温に見舞われ、非常事態宣言が発令された州もあった。
寒さから悪影響を受けるのは、EVを動かすリチウムイオンバッテリーがとても温度に敏感だからだ。同じタイプのバッテリーが使われる携帯電話やパソコンも同様である。
さらに極度に低い気温では、搭載されているコンピューターがバッテリーの使用を制限することがある。EVで最も高額なコンポーネントであるバッテリーを守るためだ。
テスラ「モデルS」のオーナーズマニュアルには、次のような注意書きがある。「寒冷地では、バッテリーの温度が低すぎるため、バッテリーに蓄積されたエネルギーの一部が利用できない可能性があります」
寒さから影響を受ける可能性があると、推定航続可能距離の表示の隣に雪のマークが現れる。一般的に寒冷地におけるEVの走行距離は、温暖な場所と比較して約20パーセント短くなる」
なぜ電気自動車は、寒いと性能が落ちてしまうのか? | WIRED.jp
「テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)ですら、同社の2024年の納車台数の伸びが「著しく低下する」との見通しを示している。 フォードのジム・ファーリーCEOは2月上旬の決算説明会で、「これは昨年後半の6カ月間に起きた劇的な変化であり、自動車業界の勝者と敗者が急速に選別されるだろう」と述べた」
(WSJ2024年2月21日)
一方、フォードは、F150ライトニングの注文が膨らんでいることに自信を得て、店頭価格を当初の水準から2万ドルも引き上げました。
結果は、大量に売れ残ったのです。
フォードは、昨年、EVで47億ドルという多額の損失を計上し、さらに今年はさらに損失が拡大し、50億~55億ドルにまで達すると見ています。
売り上げが下がってた時に値上げするのですから、赤字が積み上がってもあたりまえです。
一方、EVの流行が引き潮だと見たテスラは、昨年1月中旬に一部モデルの価格を20%余り引き下げてまで売ろうとしました。
その結果、新車のみならず中古車販売業者にまで影響が出て、抱えていたテスラの小型車「モデル3」とSUV「モデルY」の在庫は、その価値が数千ドルも急落し、もはや高値でテスラの高級モデルを買う者は激減しました。
「マスク氏はその翌日、金利が上昇し経済状況も厳しさを増していることから、テスラ車を購入できる人はそれほど多くないと述べた。同氏は7-9月期(第3四半期)の決算説明会で、値頃感が薄れていることが需要を抑えていると述べた」
(WSJ2024年2月21日)
完全にマスクの戦略ミスです。
マスクはEVの供給過剰に恐怖して値引きという悪手を選んでしまったのです。
本来は、EVの欠陥の技術的解決と生産縮小で対処すべきだったのです。
「バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジョン・マーフィー氏は「EVの需要が供給を上回っているのに値下げする理由が分からない」と述べた。
マスク氏は需要に問題はないと強調した。同氏はアナリスト会見で、(値下げは)より手頃な価格にして訴求力を拡大することが狙いだと語った」
(WSJ2024年2月21日)
「BEVやFCEV(燃料電池車)はインフラとセットです。
ただ全世界では10億人の方が電気の通っていないところに住まれています。トヨタの場合、そうした地域にもクルマを供給しておりますので、BEV 1本の選択肢では、すべての方に移動を提供できません。
だから、いろんな選択肢を持とうとしております。
そして、トヨタにあって他の会社にないのがHEV(ハイブリッド車)です。HEVを日本で20~30年前に導入したおかげで、日本が唯一、先進国の中でCO2を23%も下げている国となりました。
ただ、メディア中心にどなたも説明をしてくれません。「トヨタはBEVで遅れている」としか言われません。
大事なことは、BEVにする、FCEVにするということではありません。敵はCO2です。なので、CO2を今すぐでも減らすことをみんなで考えようということです。
そして、どの地域や国、所得層の方からも、移動の自由を奪ってはいけないとトヨタは考えております」
(トヨタイムズ2024.01.23)
「決断と責任を取るのが私の仕事」 豊田章男がリーダー200名に伝えたこと (toyotatimes.jp)
人類の10億は電気のない場所で暮らしているのに、インフラとワンセットでしか使えないEVしか選択肢がなかったらどうするのか、という豊田氏の提起はまったく正しい。
WSJも、いきなりのEV革命は危険だった、段階を踏んでハイブリッドに移行すべきだとしたトヨタの言い分は正しいと評価しています。
そして中国製EVにまたあらたな問題が浮上しました。
「アメリカのバイデン政権は2月29日、インターネットの常時接続でドライバーなどの個人情報などが盗み出される懸念があるとして、中国製の電気自動車のリスクについて調査を始めると発表した。
調査の対象となるのは、インターネットに常時接続して遠隔操作もできる「コネクテッドカー」で、中国製の電気自動車がほぼ含まれる。
バイデン大統領は声明で、「ドライバーや同乗者の大量の機密データを収集し、カメラやセンサーを定期的に使用してアメリカのインフラに関する詳細な情報を記録し、遠隔操作で操縦したり無効にしたりすることができる」と指摘した」
(FNN2024年3月1日)
なんと今度はバックドアつき自動車だそうです。やれやれ。
ニッポン人の7割は自国が衰退していて未来はないと思っておるぞよ、という声がメディアから聞こえます。
ほんと、メディアは民草にペシミズムを配給するのが仕事だと思っているようで、こんな調子です。
「世論調査会社イプソスは2月28日、「ポピュリズムに関するグローバル調査2024」の結果を発表した。調査は2023年11〜12月に、日本を含む世界28か国2万630人を対象に実施した。
そのなかで「自国は衰退している」と思うかと質問。すると日本人の68%が「そう思う」と答え、世界各国と比較すると28か国中5番目に高い割合であることがわかった。
2016年からの経年変化を見ると世界各国平均ではほぼ変わっていない。にもかかわらず、日本人の場合は1.7倍にまで増加したのだ」
日本人の68%「自国は衰退」|ニフティニュース (nifty.com)
貧困と社会的不平等、そして経済の没落、そして朝日にいわせると、いまやわが国は世界の誰もがふりむきもしない「田舎の終着駅」になってしまったそうです。
この日本人のペシミズムの原因は、34年間も続いた経済のデフレ冷血症がもたらしたことは明らかですが、昨今はこれにEVが加わっています。
EV革命が起きたぞよ、EV後進国のニッポン自動車産業は壊滅だぁ、トヨタこけて日本経済全滅だぁ、とメディアはなぜかひどく嬉しそう。
「現在、ICE(内燃機関)自動車からEVへのシフトが世界で急速に進んでいる。そんな状況でも、反EV勢も多い自動車大国の日本は世界に差を付けられる「お寒い」状況が続く。基幹産業である自動車製造が衰退すれば、現在500万人以上とされる自動車関連産業の就業者は路頭に迷い、日本経済の壊滅も懸念されるだろう」
(Seizo Trend 2023年11月30日)
EVシフトで先進国“最低”のお寒い「日本」、世界との差は“ヤバい”が明るい兆しも? Seizo Trendキーパーソンインタビュー|Seizo Trend (sbbit.jp)
「ドイツ連邦参議院を通過。ドイツの規制はEUやUNECEの規制に影響を与える 2017/9/24の選挙を前にメルケル首相は雑誌SUPERilluのインタビューに答え、ガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を指示。具体的な時期として2040年を示唆」
各国のガソリン車禁止・ディーゼル車販売禁止の状況 - EVsmartブログ
「3月25日、EU(欧州連合)の行政府である欧州委員会とドイツ政府が、水素とCO2で作る合成燃料「e‐Fuel(イーフューエル)」の利用に限り、2035年以降も内燃機関の新車販売を認めることで合意しました」
週プレ2023年5月2日)
EUが「2035年までにエンジン車の全面販売禁止」を撤回したワケ - クルマ - ニュース|週プレNEWS (shueisha.co.jp)
「欧米、中国、日本を含む主要14カ国のハイブリッド車(HV)の販売台数が2023年、前の年から30%増えて電気自動車(EV)などの伸び(28%)を上回った。トヨタ自動車のHV販売台数も過去最高を更新した。品ぞろえの豊富さや使い勝手の良さが支持されたもようで、拡大を続けてきたEVの成長ペースが踊り場を迎えている」
(日経2024年2月19日)
ハイブリッド車世界販売3割増でEV逆転 23年、トヨタは過去最高 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
日経
「【フランクフルト=深尾幸生】ノルウェーの2020年の新車販売(乗用車)で電気自動車(EV)が初めて全体の半分を上回った。ノルウェー道路交通情報評議会(OFV)が5日発表した同年のEV販売台数は19年比27%増の7万6804台で、シェアは54%と12ポイント上昇した。単月では過半に達していたが通年で超えるのは初めてだ」
(日経2021年1月6日)
ノルウェー、EVシェア通年でも過半に 20年54%: 日本経済新聞 (nikkei.com)
販売車の半分がEVで、プラグを差して充電するプラグインハイブリッド車(PHV)のシェア20%を加えると7割以上がEVです。
EU全体でもEV化が進んでいます。
「欧州においては官民一体でのEVシフトは急激に進んでいる。先月2021年11月のドイツのEV(純電気自動車:BEV、プラグインハイブリッド車:PHEV)のシェアは34%を超えてガソリン車を超えた。これは北欧などの小国を除くと初めてのことだと思う。またその他英国やフランスのEVのシェアも20%を大きく超えてきている」
(黒木照弘2021年12月28日)
欧州、特にドイツにおける電気自動車の急激な普及 | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)
ちなみにわが国は、ハイブリッド車が37%であるに対して、EV普及率はわずか0.4~1.2%でまったく低調で、いま日本で電気自動車は意識高い系しか乗りません。
脱炭素を言うならハイブリッドで充分で、まだろくな急速充電インフラもないEVなど買う必要がないからです。
EVは実は大変なカネ喰い虫です。だってそうでしょう、急速充電施設を全国に張りめぐらすだけで気が遠くなるような数が必要です。
EVはこの充電施設がないかぎりただの鉄の箱となってしまいますし、航続距離が短いので今のガソリンスタンド以上に全国津々浦々に作らないと、EVは普及しません。
この無理を押して普及させようというのですから、国策としての優遇策を取りました。
「だがこの背景を探ると、その強引さが目立つ。石油には重い税を掛ける一方で、電気自動車は税の減免を受けている。EVは駐車料金や高速料金も割引されており、バスレーンの利用などの優遇措置も手厚い」
(キャノングローバル研究所・杉山大志氏『「EV先進国」ノルウェーを支えているのは"北海油田"という矛盾』20022年2月22日)
「EV先進国」ノルウェーを支えているのは"北海油田"という矛盾 | キヤノングローバル戦略研究所 (cigs.canon)
EVは取得減税、駐車料金は割引、高速道路を走ってもタダ同然、バスレーンも走りたい放題ですか、スゴイね。 ここまでしても、ノルウェイという人口500万人ていどの小国ですら肝心要の急速充電装置が足りないのです。
不足が特に露になるのが、人口が多い都市部です。
「人口が多いノルウェー南部では、EVシフトの悲惨な現実が浮き彫りになっています。ノルウェーの高速道路には多い所で20基以上の急速充電設備が設置されていますが、それでもお盆や正月は、交通量が増えて大規模な充電渋滞が起こります。
充電設備の数はおおよそ日本の20倍ほど設置されていますが、これだけ整備されても一切のストレスなくBEVを使うには不足する様子。充電渋滞は同じくEV先進国である中国でも問題になっています」
「EVシフトは綺麗事ばかり」電気自動車先進国の「悲惨な現状」とは | MOBY [モビー] (car-moby.jp)
「中国EVの欧州急進出により欧州自動車企業は地元でシェアを奪われるリスクが高まっている。中国市場で高成長を謳歌してきたVWなどの欧州自動車メーカーは、今や攻守所を変えて、守る側に立たされつつあるのである。
2023年上期の中国自動車輸出台数は214万台(前年比76%増)のとなり、日本を抜き世界一となった。けん引役は、EVおよび民主主義国が禁輸している対ロシア向け輸出である。中国車のロシアでのシェアは2021年9%から22年37%、23年にはシェア50%を超え100万台に迫ると見られている」
(武者リサーチ 2023年10月3日)
窮地か?ドイツ企業の対中戦略検討とEU | 武者リサーチ (musha.co.jp)
「中国EVメーカーからは今年、世界中に商品の波が押し寄せました。CAAMによると、中国は9月に昨年同月の倍となる5万台のNEVを輸出し、通年ではNEVの輸出台数が38万9,000台に達して昨年比で3ケタ台の成長率を見せました。
゛中国税関総局の最新データによると、中国は8月に11万2,000台のNEVを輸出し、8月までで輸出量の多かった国トップ3はベルギー、英国、タイでした。今のペースで行くと、中国は2022年に50万台以上のNEVを輸出することになります。また中国は9月までに昨年同期比で55.5%増の合計212万台の自動車を輸出しており、世界2位の自動車輸出量を誇るドイツを抜いて日本の下に着きました」
(EVsmartブログ 2022年11月1日)
中国勢のEV競争は新しいフェーズへ〜世界市場進出への急展開 - EVsmartブログ
「中国のCATL、Gotion、EVE、CALB、BYDなどのバッテリー大手は中国の外で生産を拡大しており、Gotionはミシガンでのプロジェクトに23億6,000万ドル(約3544億1,064万円)の投資をすることを最近発表し、CATLもメキシコで生産設備の投資をすることになっています」
EVsmartブログ
[上海/ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は、欧州の電気自動車(EV)メーカーを保護するため関税措置を課すべきか調査する一環で、数週間内に中国の自動車メーカーに対する査察を実施する。関係者3人が明らかにした。
査察対象は比亜迪(BYD)と吉利汽車、上海汽車工業集団(SAIC)米テスラやフランスのルノー、ドイツのBMWなど、非中国ブランドのEVを現地生産している会社は対象外となる。
欧州委の調査は昨年10月に始まり、1年1カ月続く予定。価格が安い中国製EVが国から不当な補助金支援を受けていないかどうか判断する。中国はこの調査を保護主義的だと主張しており、EUとの緊張が高まっている。
欧州委は査察を実施することを認めた。通商担当スポークスマンは「中国とEUのメーカーを代表サンプルに選定した。既に質問票に回答している」と説明し、1─2月に検証を実施すると述べた。
欧州委、中国EVメーカーを査察へ 補助金の有無調査=関係筋 | ロイター (reuters.com)
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