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2024年3月13日 (水)

ラマダン「停戦」だって?

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ガザで「ラマダン停戦」が始まりました。
ラマダン月は約1カ月間続き、3月10日の日没と共に始まり、終わるのは4月8日です。

【イスタンブール時事】中東イスラム諸国の多くで11日、イスラム暦のラマダン(断食月)が始まった。
イスラム教徒にとって預言者ムハンマドが神の啓示を受けた最も神聖な月で、信仰心が高まる。パレスチナ自治区ガザではイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止が実現せず、軍事作戦を続けるイスラエルや同国を支持する米国への反発から、中東各地で緊張が増す恐れがある」
(時事3月11日)
ラマダン入り、ガザ戦闘やまず 信仰心高揚で緊張激化の恐れ(時事通信) - Yahoo!ニュース

いま、「停戦」と書きましたが、正確ではありません。
正式の停戦は成立しておらず、ハマス側がラマダンなので戦闘ができないだろうと甘く思っているだけのことです。

イスラエル側の状況は、一言でいえば膠着状況です。
ハマスとの戦闘はイスラエルが想像した以上に厳しく、かつ世界的孤立に苦しめられています。
イスラエルにとっても経験するもっとも厳しい戦いになりました。
現在、イスラエルは人口密集地であるラファの手前で軍を停止させています。
ラファ攻撃に対して、バイデンはネタニヤフにこう警告しています。

「土曜日にMSNBCが公開した痛烈なインタビューで、バイデンは、ガザでの民間人の死に対するアメリカの深い懸念を強調し、ガザ南部のラファで計画されているIDFの作戦を「越えてはならない一線」と呼んだ」
(イスラエルタイムス3月10日)
「彼は間違っている」:首相はバイデン批判を率直に拒否し、ほとんどのイスラエル人が彼の政策を支持すると述べる |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

ネタニヤフはこれに激しく反発しています。

「ベンヤミン・ネタニヤフ首相は日曜日、前日のジョー・バイデン米大統領からの痛烈な個人的批判に対して、公の場で直接反応し、インタビューで、ハマスに対する戦争の扱いで「イスラエルを助けるよりもイスラエルを傷つけている」と主張したのは「間違っている」と述べた」
(イスラエルタイムス前掲)

このネタニヤフの強気には訳があります。
日頃、ネタニヤフの支持率は低下の一途を辿っており、やめろデモも盛んです。
人質家族もこれ以上の戦闘の深追いは生命を危うくするとして反対しています。
にもかかわらず、世論の多くはラファへの攻撃に賛成なのです。

「イスラエルの民主主義研究所による世論調査では、75%がラファへの攻撃に賛同するとの結果が出ている。右派と自覚する人はこれよりも大きい数字であるが、左派と自覚する人々でも45%がラファへの攻撃を支持していることがわかった。
現在、汚職問題にハマスの侵攻を可能にしてしまったとして、ネタニヤフ首相個人の支持率はかなり下がっている。また人質家族たちは、強行路線を続ける現政権に反発し、政府に総選挙を求めるデモが激しく行われており、国民もこれに同情はしているのだが、結局のところ、ハマスを排斥する必要性を理解する国民は、少なくとも半数以上にのぼるということである」
緊張の中ラマダン始まる:ガザのパレスチナ人もラマダン入り 2024.3.11 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

いかにハマスの大規模無差別テロがイスラエル国民を、左右の区別なく怒らせているかわかります。
このあたりに関して、外国はイスラエルを見誤っています。

このような緊迫した状況下で1カ月の「ラマダン停戦」となるのですから、どうなるのか誰も読めません。
ガザだけではなく、イスラエル国内にもイスラムの聖地があります。
たとえば、エルサレム旧市街のアルアクサ・モスクには、10万人規模の巡礼者が国内外から押し寄せます。
アルアサク・モスクとは有名な黄金色のドームを持つモスクです。

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アルジャジーラ

「ラマダン期間中、アルアクサモスクには、イスラム教の巡礼が、イスラエル国内だけでなく、西岸地区、ガザ地区、ヨルダンや中東諸国から10万人規模でやってくる。
警察を管轄する極右政治家ベングビル氏は、ガザは言うまでもなく、西岸地区からパレスチナ人の神殿の丘への入場を禁止。イスラエル国内のアラブ系市民の入場も制限すると述べ、批判が殺到した。
イスラエル首相府報道官は、敵はイスラム教徒ではなく、過激なイデオロギーだと強調。エルサレムでの礼拝に来るイスラム教徒の礼拝の自由は守ると火消しに慌てたような声明を出した。
しかし、実際のところ、ここ数年、イスラエルは状況に応じて、特に危険になる可能性が高い、40歳以下男性の入場を許可しないなどの対策をとっている。ハラム・アッシャリフにまで到達できるのは、1万5000人から2万人程度で、多くは、旧市街の門の外で足止めとされ、道路上で、イスラエル治安部隊が見守る中、モスク方面に向かって祈る形になっている」
オリーブ山通信 (mtolive.net)

治安部隊が十重二十重に取り囲んだ中での巡礼となりますので、衝突は必至です。

一方ハマス側は、ラマダンを殉教の月と捉えています。
ラマダンの期間中にジハードを行えば、非常に高い楽園に行けるとされているようです。
ジハードとは、「聖戦」とも訳されますが、イスラム教を世界の隅々まで拡げるための戦いのことです。

「しかもジハードで殉教した人は、単に楽園に入れるだけではなく、楽園のなかで100段階高い場所に入れてもらえると信じられています。(略)ラマダンは最も神聖な月で、ラマダン中に善行をすると最大700倍のポイントをゲットできる。イスラム教で最善の行為とされているのは神の道におけるジハードである。
ここから導き出されるのは当然、ラマダン中にジハードやることこそが最善だ、という結論です。
だからこそ、イスラム過激派はラマダン月に異教徒に対する攻撃を激化させるのです」
(飯山陽note)

ちなみに、2年前のラマダン時期にハマスが出した声明文では「ラマダンはジハードと殉教の月だ」と書かれているそうです。
今回が例外なはずがなく、同様の命令をハマスは戦闘員に下しているはずです。
ですから、この1ヶ月間は「ラマダン停戦」ところか、逆に極めて危険な時期に突入したことになります。

 

 

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コメント

何故か世界中の政治家やメディアで「ラマダン入りするから停戦を!」みたいな言辞がやたらと多くて、何言ってんだ?と。

去年の10月7日のハマス侵攻はユダヤ教の聖なる日で、軍人も含めて休みを取る者が多いのを狙って仕掛けてきましたからね。なんで一方ばかりを取り上げて言うのか?と。

もちろん、ネタニヤフよもうヤメロ!とは思いますけど。

ハマスも流石に飲まず食わずで戦闘は大変だよなぁと思ったら、ちゃっかり「兵士は免除」と決まってるんですね。しかもこの期間に死んだら善行ポイント(笑っちゃいますが)700倍!?とか聞いたら、戦闘員は寧ろボーナスゲームとして積極的に動いてしまいますね。

代わりに市民は死亡スピード700倍かも知れませんが。パチスチナ人はとにかく肉の壁。

 ハマスの騙しの手口はバリエーションがあり、ますます手が込んで来ていますね。
日本の中東学会ではジハードの意味を、「戦闘行為を指すものではなく、日常的に神の道にまい進する努力を言う」とか何とか解説されてます。
バイデンも選挙を控えて、支持者である左方面への配慮をしなきゃ立ち行かない。犠牲者が出なけりゃいいですが。

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