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2024年3月 9日 (土)

トランプはそんなにクレージーか

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「もしトラ」についてもう少し考えてみます。
というのは、日本メディアは既にヒステリーを起こしているようだからです。
こんな調子です。

「トランプ氏は、前回大統領選の敗北を認めていない。支持者による連邦議会議事堂占拠事件など、計4件で刑事訴追されているが、「バイデン政権による政治弾圧だ」と主張し、大統領に復帰した場合は報復すると公言している。
選挙結果の尊重や、権力の平和的な移行、法の支配は、民主政治の根幹である。だが、トランプ氏はこれらの理念を否定するような言動をとり、自らに反対する勢力は全て敵だとみなしている」
(読売社説3月7日)
社説:トランプ氏圧勝 米国の民主主義は廃れたのか : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

読売ですらこの調子ですから、朝日、毎日、東京あたりだとどうなることやら。
バランスを取っているのは、トランプ嫌いの黒瀬氏とトランプびいきの古森氏がいる産経くらいです。

東京はトランプが政府を解体して自分の息がかかっている者だけで独裁政府を作るぞ、と言っています。
おいおいオーバーな。できっこないだろう、そんなこと。

「陰謀論者が多用する「闇の政府(ディープステート)」という用語を連発し「解体する」と繰り返し主張。政策実現の障壁とみなした連邦職員を大量に排除し、自身に忠実な職員と入れ替える。司法省への影響力を強め、バイデン氏とその家族、トランプ氏に批判的な政府高官への捜査を指示する考えを示している」
(東京3月7日)
日本にも脅威…「もしトラ」におののく世界 トランプ氏返り咲きなら「より劇的に、根底から変わる」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

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【緯度経度】「トランプ恐怖症」の危険 古森義久 - 産経ニュース (sankei.com)

CNNやNYTの恐怖が、太平洋を渡って日本にまで感染してしまったようです。
前回の大統領選では、NYTが社内会議で「絶対にトランプを当選させない」と言っていたことは暴露されましたし、彼ら米国メディアは揃って民主党支持です。
FOXくらいかな、共和党寄りは。
彼ら米国メディアは、口を揃えてトランプが政権をとれば、非民主的独裁政権を作って国民を弾圧するというご託宣を述べています。

では、なぜこんなにトランプを恐れるのでしょうか。
それはバイデンのやったことが余りに不人気だからです。

「移民問題や物価高を巡る国民の不満が、トランプ人気を支えているのは間違いない。政策上の問題があるとしても、全てを現政権の失敗と決めつけて有権者の怒りを 煽り、支持拡大を図るトランプ氏の手法は公正さを欠いている」
(読売前掲)

そうでしょうか。トランプを押し上げている大衆マグマは、貧富の差が拡大し、そこに物価高が襲ったから発生したのです。
移民問題で得をしているはずのヒスパニック系すらも、バイデンの偽善的なグリーンニューディールには飽き飽きしています。
ヒスパニックは米国に来ても職がないのに、さらに彼らの仕事を奪う形で次の不法移民が入ってくるのですからたまりません。
従来は民主党の支持基盤だったはずの西海岸のヒスパニックは雪崩をうってトランプ支持に回ろうとしています。
よくトランプの人種差別政策と呼ばれる移民抑止政策も、このように考えれば治安問題だけ強調されますが、実は安価な使い捨て労働者である移民を抑制することで国内労働需要を堅調にするためだと分かります。

トランプの登場は、宮家邦彦氏に言わせれば「徐々に理想主義に向かってきた米国政治への反発から生まれた暗黒面の登場」だそうです。
まるでトランプがダースベーダーみたいな言い方ですね。
では、この「暗黒面」の実体とはなんなのでしょうか?
「暗黒面」とは、トランプがよからぬ企みをもって分断しようとしていることではなく、むしろ米国が分厚い中間層によって支えられてきた社会から、貧富の差の激しい社会へと変貌しつつあることにトランプが力を入れて是正したから、エスタブリッシュメントからは余計なことをしやがって、と見えるだけのことです。
トランプが米国を分断したのではなく、逆にすでに充分に深まっていた分断をトランプが転落する階層の側に立って戦ったからこのように批判されたのです。

たとえば常に激戦区のミシガン州はラストベルト(錆びた地帯)と言われたほど長い凋落が続いて、製造業の空洞化による賃金低下、雇用率の減少などに悩まされてきました。
結果、そこで働く労働者は中間階級から転落していきましたが、全米自動車労組に代表されるような民主党系労組は、労働分配率にのみこだわるだけで、安易にレイオフを受け入れていってしまい、有効な救済策を持ちませんでした。

その結果、中間層から転落する国民が大量に発生する反面、イーロン・マスクの個人資産が13兆円を超えたというような、典型的貧富の格差現象が起きているのが米国なのです。
下図は一国の所得上位0.1%層の占める割合ですが、米国は実に9.3%を占めています。
ちなみに日本は3.1%で、中間層が圧倒的多数を占めているのがわかります。
よく日本のことを格差社会だなんて日本メディアは言いたがりますが、世界でも格差が少ない国のひとつです。

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グラフの声を聞く:米国の債務比率と所得格差は表裏一体=市岡繁男 .

また所得格差による平均寿命の低下現象も存在します。
人口1人あたりのGDPが低い経済が振るわない地域の平均寿命は76歳以下です。
下図をみるとレッドステート(共和党多数州)が経済に活気がなく、したがって平均寿命も短いのは、いかにトランプに寄せる期待が大きかったかを表しています。

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図録▽米国における寿命・所得の大きな地域格差(日本との比較)

このような所得格差の頂点に位置する新興IT大富豪や、ソロスのような金融投資家、そして大財閥、ハリウッドスター、大メディアの知的エリートなどといったひと握りの人々は、こぞって民主党候補バイデンを応援しています。
民主党の実態は、民主党左派が思い描くような「ワーカーズクラスのための党」ではなく、富裕層の党なのです。

また民主党こそ人種間の対立を激化させました。
バイデンが進めたアファーマティブ・アクション(人種積極的是正政策)によって、黒人のハーバートなどの大学進学は増えたようですが、一般の黒人階層は、白人労働者と同じく賃下げと失業に悩まされて続けてきました。

結局この積極的是正政策によって黒人エリートだけが富裕層になっていき、人種内にも貧富が生まれたのです。
そしてバイデン政権時に起きたBLM運動は、決定的に黒人層と白人との対立を煽りました。

それを許容し、煽ったのは民主党系の知事たちです。

白人にせよ、黒人にせよ、国民が望んでいるのはまともに働ける環境、働く機会の均等、所得格差の少ない社会であって、なにかを社会から恵んでもらって生き延びることではないのです。
働かないで暮らせる社会、これほんとうに望ましい社会だとは思いません。
トランプが掲げた徳目は伝統尊重でしたが、それを破壊したのは民主党でした。

一方トランプは、この貧富の格差は産業の空洞化によって生まれており、それはグローバル企業が中国に製造拠点を移してしまったためだと断じました。
トランプは法人税減税を図り、米国企業に母国への帰還を呼びかけました。
これに対してリベラル左翼は、「大企業ばかりを優遇する」と批判しましたが、その減税効果は企業の活性化を生み、更にそこで働く中間層までもが潤いました。
彼らが底堅く消費を支えた結果、空前の消費プームが起きて、米国は更に内需が活発化するという好循環に入りました。

また、トランプはさまざまな規制を緩和しようとしました。
たとえばエネルギー政策に強い規制をかけていた地球温暖化対策からの離脱は、原子力と化石燃料の再認識をもたらしました。
これはやくたいもないグリーンニューディール政策を掲げて、非効率的な再エネ促進に走り、中国ばかりを儲けさせてしまった民主党時代とは大きく異なります。

外交政策については長くなるので別稿にしますが、このように見てくると、トランプが第1期でやったことは評価されこそすれ、妥当かつ穏健な保守の政策だったと思います。
トランプ天性のアジテーターなので、その言葉の端々を切り取ってはわからなくなります。

私は議事堂襲撃事件のように、支持者を動員し大統領選に圧力をかけるが如きトランプの手法を強く批判しました。
正直、もっと安定した保守系政治家のペンスやポンペオのようなタイプに共和党候補がなることを望んでいましたが、トランプに代わる者は現れないのですから仕方がない。
ならば、ポンペオのように彼の脇を固めて、奇矯なことをさせないチームトランプをまた作るしかありません。

 

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コメント

トランプは内政に関しては賛否両論あってもそこまで悪いものではないと思います。正直なところ、トランプが国内で好き放題やる分には日本含めた外国にはあまり影響はないですからね。
ただし、ディープステートや反ワクチンを言いだしたり、ロシアとプーチンを褒めているのは立憲民主党の原口のようで最悪です。反中国の姿勢は買っていたんですけどね

実情としてはこのままトランプが再当選という流れが確定でしょう。ならばカウンター側の我が国にはあの安倍さんがいない!
岸田どころか誰もマトモにヤツをいなしながらやり会える政治家がいない!
となるとあちらでペンスやポンペオのような、ちょっとはマシなのが固めてくれればいいんですが···暴走機関車になった商人トランプをどうして抑えられるか?と。

ドナルド·トランプはかつてエロAVどころかWWEにも参戦してましたけど、グレーシー柔術は無理!
クレイジーか?んなもん知らんですけど、とてつもない煽動家の商売人だというのは確かです。

 大統領になった場合のトランプが内政を正常化に導くのは疑いないと思います。ところが、これまでの国際政治枠組みや、国際ルールが米国や米国民にとっての利益に最大限に貢献して来た事実を見ていない気がします。失敗すれば、米国は持続的に大きな損失を被る事になるでしょう。
世にいうトランプ支持者というのは残念ながら目先の利益しか見ておらず、そういう民主主義的欠点を良く理解しているのがプーチンや習近平です。ここでオルバンを招いた馬鹿々々しさは、そのままトランプの不明を現わしてますね。
どうやらトランプはプーチンや習近平の侮蔑の対象となっている事を理解せずにいるようです。
共和党のエースたちはトランプの一期目に足かせを付ける事に成功していて、今回もそうなると高をくくっているかも知れません。たとえそうでも、相当な混乱が再び必要でしょう。

クレイジーというか、それこそプーチンではないですが「何するか分かんないからあんまり関わりたくない」という感じですね。

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