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2024年3月 2日 (土)

座礁した米国EV革命

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自動車販売の中心地である米国では、EV化に暗雲が立ち込めています。
いままでバイデンのグリーンエコノミー政策に乗って熱気に包まれていたはずのEV市場が冷め始めています。
ひと頃はEV生産を4倍にすると強気だったフォードはその計画を取りやめました。
EV工場から従業員を通常のガソリン車の工場に移動しています。

「デトロイト郊外のフォード工場でピックアップトラックの検査を担当しているマシュー・シュルテさんは、突然の変化に「少し驚いた」と話す。「現実が見えてきた」
ほんの1年前まで、自動車メーカーは電気自動車(EV)需要の高まりに対応するのに苦労していた。ところが、数カ月の間に状況は一変し、多くの自動車メーカーが全速力で推し進めてきたEVシフトにブレーキがかかった」
(ウォールストリートジャーナル2024年2月21日)
EV革命頓挫、6カ月で何が起こったのか - WSJ

なぜでしょうか。理由は簡単、要はEVなんて売れないからです。

「全米の自動車ディーラーによると、航続距離や信頼性、価格をめぐる懸念が立ちふさがり、電気自動車(EV)を売り込むのが難しくなりつつある。
自動車ディーラーのポール・ラロシェル氏は、米フォード・モーターが電動ピックアップトラックを発売すると聞いた時、自身のビジネスの見通しに胸を躍らせた。
「100万台作っても売れると思った」。米東部バージニア州やメリーランド州、首都ワシントンで十数ブランドの車を販売するシーヒー・オート・ストアーズでバイスプレジデントを務めるラロシェル氏はこう語る。
 現実はそれほど甘くなかった。同社の保管場所には6~12カ月供給分に相当するEV在庫がある、とラロシェル氏はこぼす。これに対し、ガソリン車は1カ月分だ」
(WSJ2023年12月14日 )
EV購入を依然ためらう消費者も 米ディーラーが実感 - WSJ

100万台売れるどころか、滞貨の山を作っただけだったというわけです。
米国のディーラーは、メーカーのEVシフトを拒否し、ハイブリッドに転換するように要請しています。

「一部の有力な米自動車販売店は、米ゼネラル・モーターズ(GM)にハイブリッド車の導入を迫っている。電気のみで走る完全な電気自動車(EV)に乗り換えるつもりがまだない顧客を失うリスクを懸念しているからだ。
 最近、GMの諮問委員会の委員を務める複数の販売店は会議を重ねる中で、GMのラインアップにハイブリッド車を加えるよう同社幹部に強く要請してきた。議論に関与した関係者らが明らかにした。GMは近年、完全なEVに重点を置き、ハイブリッド車をほぼ見送ってきた。ハイブリッド車は、内燃機関であるエンジンに小型バッテリーと電動モーターを組み合わせ、優れた燃費を実現する」
(WSJ2024年1月30日)
GMにハイブリッド導入迫る米ディーラー 顧客失う恐れ - WSJ

米国消費者の消費選択は冷厳です。
米国消費者はこんな不便でハンパな性能の自動車は買わないということです。
そんなに脱炭素したいなら、ハイブリッドのほうがはるかに完成されているし安いじゃないか、なぜわざわざ不便で性能的にもガソリン車に及ばず、航続距離が短いようなハンチクなモノを買わねばならないのか、ということです。
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CNN
EVは、特に氷点下前後で致命的に無様な姿をさらしました。
通常の内燃自動車ではありえないことばかりなために、多くのEVユーザーがヒドイ目に合いました。
なんせ最悪、バッテリーが低温では起動しないのですから、ただの鉄の箱です。
それも氷点下の気象だと、ドライバーの生命にかかわります。
「走行距離と充電時間は、ともに寒さの悪影響を受けてしまう。先ごろ米国を襲った大寒波ほど厳しい場合は特にだ。この寒波では、数日にわたって米国人口の70パーセント以上が氷点下の気温に見舞われ、非常事態宣言が発令された州もあった。
寒さから悪影響を受けるのは、EVを動かすリチウムイオンバッテリーがとても温度に敏感だからだ。同じタイプのバッテリーが使われる携帯電話やパソコンも同様である。
さらに極度に低い気温では、搭載されているコンピューターがバッテリーの使用を制限することがある。EVで最も高額なコンポーネントであるバッテリーを守るためだ。
テスラ「モデルS」のオーナーズマニュアルには、次のような注意書きがある。「寒冷地では、バッテリーの温度が低すぎるため、バッテリーに蓄積されたエネルギーの一部が利用できない可能性があります」
寒さから影響を受ける可能性があると、推定航続可能距離の表示の隣に雪のマークが現れる。一般的に寒冷地におけるEVの走行距離は、温暖な場所と比較して約20パーセント短くなる」
なぜ電気自動車は、寒いと性能が落ちてしまうのか? | WIRED.jp
かのEVの元祖テスラのイーロン・マスクすら見通しは暗いと正直に言い始めました。

「テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)ですら、同社の2024年の納車台数の伸びが「著しく低下する」との見通しを示している。 フォードのジム・ファーリーCEOは2月上旬の決算説明会で、「これは昨年後半の6カ月間に起きた劇的な変化であり、自動車業界の勝者と敗者が急速に選別されるだろう」と述べた」
(WSJ2024年2月21日)

一方、フォードは、F150ライトニングの注文が膨らんでいることに自信を得て、店頭価格を当初の水準から2万ドルも引き上げました。
結果は、大量に売れ残ったのです。
フォードは、昨年、EVで47億ドルという多額の損失を計上し、さらに今年はさらに損失が拡大し、50億~55億ドルにまで達すると見ています。
売り上げが下がってた時に値上げするのですから、赤字が積み上がってもあたりまえです。

一方、EVの流行が引き潮だと見たテスラは、昨年1月中旬に一部モデルの価格を20%余り引き下げてまで売ろうとしました。
その結果、新車のみならず中古車販売業者にまで影響が出て、抱えていたテスラの小型車「モデル3」とSUV「モデルY」の在庫は、その価値が数千ドルも急落し、もはや高値でテスラの高級モデルを買う者は激減しました。

「マスク氏はその翌日、金利が上昇し経済状況も厳しさを増していることから、テスラ車を購入できる人はそれほど多くないと述べた。同氏は7-9月期(第3四半期)の決算説明会で、値頃感が薄れていることが需要を抑えていると述べた」
(WSJ2024年2月21日) 

完全にマスクの戦略ミスです。
マスクはEVの供給過剰に恐怖して値引きという悪手を選んでしまったのです。
本来は、EVの欠陥の技術的解決と生産縮小で対処すべきだったのです。

「バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ジョン・マーフィー氏は「EVの需要が供給を上回っているのに値下げする理由が分からない」と述べた。
マスク氏は需要に問題はないと強調した。同氏はアナリスト会見で、(値下げは)より手頃な価格にして訴求力を拡大することが狙いだと語った」
(WSJ2024年2月21日) 

テスラが値引きするなら比亜迪(BYD)はさらに値引きで対応するでしょし、それに容易に耐えるのはいうまでもなく輸出補助金をもらっている中国勢のほうです。
そしてそう遠からずEV市場は中国勢に支配されます。
そして中国は、市場を寡占支配した後におもむろに値上げするのですが、その時には対抗する米国EVはほぼ一掃されているという仕掛けです。
このように中国製EVは世界支配を早めていますが、唯一抵抗できる国があります。
他ならぬ日本です。
豊田章男会長はこう述べています。
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トヨタイムズ

「BEVやFCEV(燃料電池車)はインフラとセットです。
ただ全世界では10億人の方が電気の通っていないところに住まれています。トヨタの場合、そうした地域にもクルマを供給しておりますので、BEV 1本の選択肢では、すべての方に移動を提供できません
だから、いろんな選択肢を持とうとしております。
そして、トヨタにあって他の会社にないのがHEV(ハイブリッド車)です。HEVを日本で20~30年前に導入したおかげで、日本が唯一、先進国の中でCO2を23%も下げている国となりました。
ただ、メディア中心にどなたも説明をしてくれません。「トヨタはBEVで遅れている」としか言われません。
大事なことは、BEVにする、FCEVにするということではありません。敵はCO2です。なので、CO2を今すぐでも減らすことをみんなで考えようということです。
そして、どの地域や国、所得層の方からも、移動の自由を奪ってはいけないとトヨタは考えております」
(トヨタイムズ2024.01.23)
「決断と責任を取るのが私の仕事」 豊田章男がリーダー200名に伝えたこと (toyotatimes.jp) 

人類の10億は電気のない場所で暮らしているのに、インフラとワンセットでしか使えないEVしか選択肢がなかったらどうするのか、という豊田氏の提起はまったく正しい。
WSJも、いきなりのEV革命は危険だった、段階を踏んでハイブリッドに移行すべきだとしたトヨタの言い分は正しいと評価しています。

そして中国製EVにまたあらたな問題が浮上しました。

「アメリカのバイデン政権は2月29日、インターネットの常時接続でドライバーなどの個人情報などが盗み出される懸念があるとして、中国製の電気自動車のリスクについて調査を始めると発表した。
調査の対象となるのは、インターネットに常時接続して遠隔操作もできる「コネクテッドカー」で、中国製の電気自動車がほぼ含まれる。
バイデン大統領は声明で、「ドライバーや同乗者の大量の機密データを収集し、カメラやセンサーを定期的に使用してアメリカのインフラに関する詳細な情報を記録し、遠隔操作で操縦したり無効にしたりすることができる」と指摘した」
(FNN2024年3月1日)

 なんと今度はバックドアつき自動車だそうです。やれやれ。

 

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コメント

 自動車にまでバックドア。この調子ではメイドインシナチスには非工業製品にまでバックドアが付いてるのでは?

うーん、タイミング良くというか長いこと研究開発していたアップルもEV計画解散だとか。
一昨日時点だとどっかの外国人記者が「EV化の流れに取り残されたトヨタ」的な出鱈目記事を書いてましたけどね。何処から見たら(金貰ったの?)そんなコラムが書けるのかと。。
EVだと冷暖房でも電気バカ食いします。暖かい時は電欠しても死なずに済みますが、真冬はヤバい!その点HVなら必要に応じてエンジンが点火して発電してくれます。
昨年乗ったプリウス式システムよりも遥かに単純で古典的なシリーズHVは暖房はデフロスターだけ時々つけたり消したり。あとはシートヒーターだけで快適で安心でした。

山形さんも書かれてますが、アップルが巨額を注ぎ込みながらAIに注力とかで匙を投げたんですね。某政治系ユーチューバーの話では、「もしトラ」が「ほぼトラ」に移りゆくなか先行きを見越したのでは、なんて事でしたが、まんざらない話でもないかも知れませんね。

しかしアップルが作る自動車を見たかった気もします。願わくばスティーブ・ジョブズが存命で、基調講演か何かでお披露目、なんて想像するだけでワクワクします。

先のユーチューバーですが自動車にも造詣が深いようで、昨今の日本人モータージャーナリストのEV礼賛日本衰退発言にも苦言を呈しておりました。私なんぞは7年落ちの軽自動車でその上MTときてますから特別天然記念物のような存在です(笑)。


ご存知の方も多いかと思いますが、昨年11月のアメリカのコンシュマーレポートによる故障の少ない自動車メーカーランキング

調査対象 エンジン、トランスミッション、車載電子機器、EVバッテリー、EV充電など20項目
過去12か月以内報告のもの

ベストテン
1.レクサス(トヨタ)
2.トヨタ
3.ミニ
4.アキュラ(ホンダ)
5.ホンダ
6.スバル
7.マツダ
8.ポルシェ
9.BMW
10.キア(韓国)

ものづくりニッポンは健在か!
トヨタ凄い。驚いたのはヒュンダイ系列のキア、故障が少ないんですね。ヒュンダイも11位。
因みにインフィニティが13位でテスラが14位、日産は17位でした。

記事にありましたハイブリッド転換の件
以下のデータをみてもうなずけます。

過去3年間の平均問題発生率
ガソリン車との比較です。

ハイブリッド車 ガソリン車より26%少ない。
電気自動車 ガソリン車より79%多い。
PHEV車 ガソリン車より146%多い。

脱炭素という難題はクリア出来ないのが現状で、雪の少ない東京でも冬場の電気自動車は充電や航続距離など能力が低下します。
欧州の動きをみて日本政府も電気自動車一本化に絞るのを止めるといいのですが、そのまま進むのでしょう。

私はまだまだガソリン車がいいですけどね。

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