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2024年3月16日 (土)

トランプ外交、最大の不可解ウクライナ支援

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さて、トランプ第2期の国内政策はかなりハッキリ予測できるのですが、難問は外交政策です。
あ、もちろんバイデンになったら、いまのままで可もなく不可もなくですから、岸田氏とは相性がいいでしょう。
もしトランプになったら世界一の猛獣使いだった安倍氏を失ったことを岸田氏は痛切に悔やむことでしょうね。
まぁ、岸田氏は安倍派を完全壊滅させてしまったのですから、なにをいまさらですが。

それはさておき、トランプ外交を予測可能なところから考えていきます。
もっとも分かりやすいのは対中政策と中東政策です。

中国に対しては、バイデン政権は意外にも宥和政策に陥らずに踏みとどまった、ああよかったねーというべきですが、経済制裁に関しては中途半端なままです。
トランプは中国製半導体規制を一気に強化するでしょう。
バイデンは半導体関連でエンティティリスト(EAR)に掲載した中国企業はありますが、しかしなぜか金融制裁であるSDNリストには掲載していません。
少し説明します。EARとは、米国の国家安全保障や外交政策に反する活動に関与していると考えられる個人、法人及び団体等の規制対象のリストのことをいいます。

「米国製の製品、部品、技術、ソフトウェアが、米国から輸出された後に、第三国に再輸出される場合、仕向地、使用者、輸出貨物・提供技術の種類、米国製品や技術の全体の輸出に対する比率等により米国法の規制を受けることを指します。
つまり、いったん米国から輸出されたものが、その後、輸出先から第三国あるいは第三国の特定の使用者向けに再輸出される場合、米国からの直接輸出が規制されていれば、再輸出においても同等の規制を受けることです」
米国再輸出規制入門! | 安全保障貿易情報センター(CISTEC) 

米国の対中半導体規制は、軍事用はもちろんのこと、民生用のスパコン、先端半導体などにも規制の網がかかります。
半導体供給網の中で最も重要部分、特に高度な研究開発が必要な分野は米国が握っており、米国には、先端半導体の設計大手のほか、半導体製造ソフトウエアや装置製造大手が多数存在しています。

中国は民生品から米国の高度な半導体技術を盗み、軍事転用してきました。
そこでそうはさせじとするのがこのEARで、このリストに載せられるとこの会社へのEAR対象品目の輸出・再輸出が禁止されるので、米国の企業、機関、個人からの米国からの輸入が不可能になります。
また当該企業は、EAR対象品目のすべてを輸出・再輸出することが禁止されます。
そのうえ、さらに米国以外からも米国製品が輸入できないため、米国製品を使った製品を作ることもできなくなります。
つまり、違反した品目だけではなく、全てのEAR対象品目になりますので、米国製技術も取り扱えないということになります。
要するに、米国市場から完全に締め出されます。

EARとSDNリストは両輪で、SDNは脅威と認められた企業、個人への金融制裁です。

「SDNリストには米国の安全保障や外交政策、経済政策に脅威を及ぼすと認められた企業、組織、個人が数万件以上登録されている。米国内の個人および企業はリスト掲載者との取引が禁じられており、違反した場合は制裁対象となる。
金融制裁には、リスト掲載者の株式やリスト掲載者が企業支配権を持つ法人への投資の禁止、満期が90日を超える新規債務(債券、為替手形など、あらゆる証券を含む)の禁止などが含まれる」
SDNリスト - Wikipedia

 テロリストや全体主義国家の要人、企業が網羅されていて、このSDNリストに載せられると、米国内での経済活動が事実上不可能になります。
トランプはSMICなど中国半導体メーカーのSDNリスト掲載をしようとし、TIKTOCに関してはさらに厳しい規制を求めてきた経緯があります。

バイデンは、共和党が強い議会の圧力によって、結局重い腰をあげざるをえませんでしたが、その時は政権末期でした。
トランプの2期めがあるなら、EARはSDNを駆使して、さらに厳しい規制をかけることは間違いありません。
軍事的にも、対中国シフトに集中したいという気分はバイデン以上に強まるでしょう。

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共和党の指名候補争いを独走するトランプを後押しする不安定なラテンアメリカ 再び増加し始めた中米経由で米国に押し寄せる移民、ロシアや中国からも(1/5) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

と、ここまではいいのですが、問題はウクライナ支援問題です。
ウクライナ支援はそこそこに、という米国の本音が露出します。
共和党は米国人の本音を代表する党なのです。

するとここが悩ましいところですが、トランプは平気で「ウクライナにはビタ一文ださん」なんてバカ丸出しのことを喚くので評価を著しく下げています。
コメントでも手厳しい意見を頂いておりますが、長谷川幸洋さんまで影響を受けたのか似たことを言い始めています。

「いま米国が、なぜウクライナ支援を渋っているかと言えば、「もう十分支援した」「これ以上は欧州に任せよ」「米国は中国との対決に備えなければならない」という理由があり、加えて、「米国自身が南部国境で不法移民の脅威にさらされている」からだ」
(長谷川幸洋ZAKZAK2月17日)

【ニュースの核心】巨額支援なら〝増税〟懸念 ウクライナ復興会議、飛び交う「6兆円支援」も 自国防衛手薄の本末転倒 米は日本をATM扱いか(2/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

長谷川氏は、日本のウクライナ復興支援する増税をまねくと反対しています。おいおいです。
長谷川さん、あまりに近視眼じゃありませんか。
たしかに共和党はウクライナ支援が盛り込まれた予算案に抵抗し続けているために滞っています。

「米国のPOLITICOは12日「まもなくバイデン政権が3億ドル相当の武器をウクライナに送ると発表する」「このパッケージにはクラスター弾を内包した短射程のATACMSが多数含まれる」「155mm砲弾やHIMARS向けの追加弾薬も含まれている」と報じており、このパッケージを送るための資金について国防総省の関係者は「ウクライナ向けの契約で節約された資金を使用した」と述べているため「会計ミスの発覚で返還された資金」を使用したという意味だろう」
米国がウクライナ支援を発表予定、短射程のATACMSや155mm砲弾を供給 (grandfleet.info)

トランプはこのウクライナ支援に反対していることについて、中国の脅威にキチンと対処することを上げていますが、バカですか、あんた。
ウクライナが陥落したら、ユーラシア大陸全体の地勢図が変化します。
冷戦終結でやっとユーラシア大陸の東の辺境に押し込んだはずのロシアが、東ヨーロッパ、バルト諸国、コーカサス、中央アジアを含む大きなロシア勢力圏持った巨大軍事国家として蘇ります。
そして中欧、スカンジナビア半島、さらには東アジアにまで重圧をかけることでしょう。
それだけではなく、ウクライナ戦争によって生まれたロシア-中国-イラン-北朝鮮との「新悪の中軸」で一大ブロックを作るはずです。
そうなったらわが国は中国だけを脅威としてみるだけでは済まず、「新悪の中軸」全体を敵に回さねばなくなります。
わが国の力量に余ります。

元来、トランプは個人としてロシアをそれほど敵視していませんでした。
トランプは、インテリタイプのオバマのような青瓢タイプと、女教師型のメルケルなどは大嫌い。

自分の頭で考えて自由に思考する安倍氏や、一見そう見えるプーチンとは性が合ったのです。

対中重視シフトを敷くためには、ロシアを中立的立場にとどめておきたいということのようですが、もうとっくに手を握っているというのにね。
気分としては、かねてからプーチンと息が合うようですが、いいかげんにしなさい。
共和党も元来あった大きな政府反対、小さい財政論がぶり返して、巨額のウクライナ支援には否定的です。
そのして共和党の欠陥である内向きな視野が、ウクライナ問題を単なる欧州の問題と考えているから始末に負えません。

これは明文化された戦略というよりむしろ「気分」で、NATOに対する姿勢と同じで、カネを出すなら武器は売る、NATOは自分らの防衛努力を怠っていやがって、ふざけんな、カネさえ出せばビジネスだからいくらだって売ってやるぜ、それをウクライナに送ればいいだろうというリクツになります。
まったく困った連中で、こういう風景を見せられるとバイデンのほうがましに見えてきます。
トランプと共和党の猛省を促します。

たぶん、トランプが政権につけば得意のディールを持ち出すでしょう。
ここを割譲すれば少しはプーチンも妥協してくれるはずだ、とゼレンスキーにささやくのでしょうが、ウクライナは聞く耳を持たないはずです。

トランプは個別の国家間交渉を重視し、従来の同盟を軽蔑しています。
機能不全となった国連などは見向きもしないはずです。
個別交渉なら自分の商売人としてのディールの能力が活かされるからであり、大国が圧倒的に有利だからです。
かつての北朝鮮との首脳交渉もそうでしたが、ロシアに対してもおなじように臨むでしょう。
プーチンをディールに誘い込むことは充分考えられます。

とまれ、危ういトランプ劇場をまた見せられるかもしれません。
トランプの扱いに馴れたポンペオが閣内に入ればよいのですが。

 

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コメント

 そうですね。
ポンペオはウクライナ支援に前向きで、「バイデンのウクライナ支援は不十分で、支援自体の供与速度も遅すぎる」と非難しています。
また、「支援は米国にとっての利益であって、ロシアが勝利した場合は遥かに膨大な予算措置が必要」と言っています。
また、トランプ当選時の支援打ち切りへの懸念について、「トランプ政権(一次)で支援を必要としている友人を見放した事はない」と答えています。
ポンぺオは退任後二回も台湾におもむき、ウクライナでゼレンスキーとも会談しています。この一月には訪日し、木原防衛相とも会談しています。国務長官をやる気まんまんです。

なお、下院で止まっていたウクライナ支援600億ドルは、今月中にも実行される見通しです。ウクライナ支援を大統領選の争点にしたいメディアの思惑は外れると思います。

 長谷川幸洋さんは「欧米の支援疲れ」という事を常々言っていて、日本においても「支援が膨大になれば財務省に増税のキッカケを与える」という観点から論を発しています。
飯山氏もこれまでの日本政府の支援を否定こそしていませんが、長い動画を見ても一兆3000億円の中身まで理解していないように思います。
うち、8000億円は世銀おけるウクライナへの信用供与であって「真水」ではありません。すると日本の支援の実質はまだまだ少ないし、これから先の見通しまで考えての事でしょう。
日本保守党は綱領も良く期待できそうですが、減税と組んで緊縮方向にカジを取りそうなところが残念です。

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