岸田氏にとってのリアル悪夢「もしトラ」
トランプが大統領になることを悪夢だと思っている人が、日本には確実にひとりいます。
岸田文雄氏です。
いまや人気浮揚の絶好のチャンスと考えていたはずの国賓待遇での訪米は、11月の大統領選で「もしトラ」となったと考えるとイヤーな感じとなってきました。
「ホワイトハウスは25日、岸田文雄首相が4月10日に国賓待遇で訪米すると発表した。ジャンピエール大統領報道官は声明で、「不朽の日米同盟の強さと、日本に対する米国の揺るぎない責務、国際場裏で増す日本の指導的役割を強調する訪問となる」と述べた」
(時事1月26日)
岸田首相、4月10日訪米 国賓待遇、「不朽の同盟」誇示―米発表:時事ドットコム (jiji.com)
日米同盟のカッコたる絆をみせつけること自体は悪くはないのですが、しかしあまりにタイミングが悪い。
ホワイトハウスの主が代わる可能性が極めて高い前夜に行くという行為自体が、岸田氏が痛くない腹を探られるかもしれません。
つまり日本政府はバイデンの再選を全力で応援しておりますよ、というシグナルです。
今、特に米国に行く理由はありません。
両国間の外交的懸案が皆無だからで、鉄鋼輸出摩擦がどうのと言うメディアもいますが、わざわざ首相が行くこっちゃありません。
ハドソン研の村野将氏はこう述べています。
「ここ数年、アメリカの外交・安全保障政策において、対日政策はほとんどなくなっています。アメリカ側は「日本と一緒に何をするか」、また日本側も「アメリカと一緒に何をするべきか」という議論になっている。そういう意味で言うと、トランプ政権になった場合、対中政策はより鮮明になるでしょう。軍事やお金の面など、「限られたリソースをいかにインド太平洋地域、つまり中国対処に集中させるのか」という論点になり、そのなかで「ウクライナ戦争の問題をどう扱うか」が議論になるという感じです」
なぜバイデン陣営は「トランプ氏が共和党候補になった方が戦いやすい」と見るのか 米大統領選スーパーチューズデーの開票進む(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース
村野氏が言うように、かつてのように米国が日本に何を望むのかをこちらが忖度する段階ではなく、粛々と共同で中国に対峙するという段階に至っているからです。
かつて前世紀の末、クリントン政権は日本バッシングに励みました、そしてオバマになると公然と日本の頭越しに中国に接近する始末です。
オバマ時代に、中国は南シナ海に軍事進出し彼らの内海化を完成させます。
これがガラリと代わったのはトランプ時代でした。
トランプは日本にNATOに対してと同じように応分の負担増を求めていましたが、安倍氏は臆することなくクアッド構想を彼に示して同志的な関係にまで日米関係を持ち上げました。
当時、アベガーの人たちは、「2017年11月に初来日した際、トランプ氏は『非常に重要なのは、日本が膨大な武器を追加で買うことだ』と述べ、具体的にF35などを例に挙げて、武器購入を迫っていた」という言い方をして、まるでトランプが装備品を買えと迫って安倍氏がタイコ持ちをやったかのように言っていました。
まったくの勘違いです。既に2011年末にF-35の導入が決まったとき、導入計画は決まっていたのです。
中期防衛力整備計画(現行は2014年度から2019年度)に「近代化改修に適さない戦闘機(F-15)について、能力の高い戦闘機に代替するための検討を行い、必要な措置を講ずる」と書き込まれいます。
つまり、トランプ政権が登場するはるか以前に日本の導入計画の方向性は決まっていたのです
日本は日米同盟を強化しつつ、米国に言われるまでもなく自主防衛力を強化し、クアッド戦略構想を共有することで、日米はほぼ対等の同盟関係に進化しつつあるのです。
よく「日本の対米従属」という言い方を左右の反米の皆さんは言いたがるのですが、今はそんな卑屈な関係ではありません。
ですから、トランプになろうとなるまいと、バイデンのままだろうと、米国の対日政策に大きな変化があるはずがありません。
むしろ民主党政権のほうが、ヤレ貿易摩擦がどーした、環境問題がどーした、人権問題がどーしたとかしましいこと、たまりません。
米国大使までもが日本にLGBT法の制定の圧力をかけるくらいで、先日はとうとう少数民族差別なんてことまで岸田氏は口にする始末です。
そして岸田氏はこのバイデンの圧力にグニャグニャになり、日本に存在しないLGBT差別についての法まで無理やり作ってしまいました。
他国の圧力で、内政に属することを決めるなんて、軽佻浮薄の極みです。
そんな民主党左派におもねった岸田氏をトランプがどう見ているか、考えるまでもなくわかるでしょう。
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訪米するにしても、非常にタイミングが悪いですね。
バイデン側の利益に沿った訪米を日本側が受け入れたとトランプ側に思わせたとしたら、トランプが大統領になった場合、必ず報復を受ける事になります。9月以降、岸田の次の総理が大変です。
こうした事で思い出すのは、バイデンに招かれた訪米を断ったゼレンスキー婦人の所作です。
ウクライナ支援を止めているのは共和党で、民主党ではありません。
キーマンの共和党に背中を向ける事はしない、緻密で必死な外交判断にゆるゆるの日本外交との違いを見せつけられた気がします。
まさにトランプいう所の「同盟の上に胡坐をかいている」、そういう日本外交の状態でしょう。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年3月12日 (火) 20時16分