モスクワで大規模テロ
ロシアが深刻な大規模テロに見舞われました。
「ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールが22日夜、複数の銃撃犯に攻撃された。ロシア捜査委員会は23日午後、死者が少なくとも133人に達したと発表した。
捜査委員会は通信アプリ「テレグラム」で、首都モスクワ北西近郊クラスノゴルスク市にあるコンサートホールの現場を調べている救急当局が、次々と遺体を発見していると明らかにした。
事件当時、場内には最大6200人がいたとされる。
モスクワ州のアンドレイ・ヴォロビョフ州知事は、被害者の数はまだ「相当増える」かもしれないと話している。ロシア当局によると、140人以上が負傷し、107人が病院で手当てを受けている。そのうち子供1人を含む16人は「きわめて重体」で、44人は重体だという。ロシア捜査委員会によると、ほとんどの人の死因は、銃で撃たれたことか、火事による煙などを吸い込んだことだという。
ロシア連邦保安庁(FSB)はウラジーミル・プーチン大統領に、「クロクス・シティー・ホール」襲撃に直接関与する4人を含む11人を拘束したと報告した。
武装勢力「イスラム国(IS)」が、攻撃は自分たちによるものだと主張している。23日にはソーシャルメディア「テレグラム」上のチャンネル「アマク」でISは、襲撃に関与したと主張する4人の覆面男性の画像を掲載した」
(BBC2024年3月23日)
ロシア・モスクワ近郊のコンサートホールで銃撃 少なくとも133人死亡 - BBCニュース
モスクワの市民コンサートホールをISが襲撃・60人以上死亡:シナゴーグ襲撃阻止の2週間後 2024.3.23 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
殺害されたロシアの市民に弔意を表します。
一般人に対する無差別テロは、いかなる理由、いかなる立場であろうとも強く非難されるべきです。
タス通信などによると、テロ現場はモスクワ市の北西クラスノゴルスクの「クロッカス・シティ・ホール」で、完売した音楽公演のチケットで客席はほぼ満杯でした。
そこに迷彩服を着たテロリストグループがホールに乱入し、無差別に発砲し、大混乱となった所に、さらに放火しました。
そのためホールは焼け、現在わかっているだけで133人が死亡し、おそらくさらに増えるはずです。
テロリストグループが白い車で現場から逃走したと報じられています。
このテロリストの銃乱射の様子はスマホでも撮影されていました。
テロリストグループはISだと名乗り、「キリスト教徒に打撃を与えた」と宣言しています。
ちなみに日本のメディアが安全だといっていたラマダンの真っ最中で、だから彼らはこの時期を狙ったのです。
武装集団がイスラム国が主張する攻撃で数十人のロシア人コンサート参加者を殺害 (rferl.org)
モスクワでテロをやらせてしまった失態をウクライナに転化する、いつものこの男らしいやり方です。
ウクライナを連日ミサイル攻撃し標的にしているのは自分ではありませんか。
あれは「戦争」とはよびません。ただの人殺しテロです。
「プーチン大統領は23日午後、国民にテレビ演説で、実行犯4人は全員逮捕したと述べた。
大統領は、3月24日を全国的な追悼の日にすると発表。襲撃は「野蛮なテロ行為」で、事件によって「我々が分断することはない」と強調した。
プーチン氏はさらに、襲撃犯がウクライナへ逃げようとしていたとして、国境のウクライナ側で襲撃犯を越境させようとする者たちがいたとも述べた。
これに先立ちウクライナは、一切の関与を否定。襲撃犯がウクライナへ逃げようとしていたというロシア政府の主張を「ばかげている」と一蹴している」
(BBC前掲)
ゼレンスキーは直ちに否定し、ウクライナはテロという手段を使ったことがないと反論しました。
米国も、かねがねISの一分派が攻撃を企んでいることをロシアに警告してきたことを明らかにしました。
「(CNN) モスクワ郊外のコンサート会場を襲った武装グループの銃乱射などで多数の死傷者が出た事件で、プーチン大統領が在モスクワ米大使館が事前にテロ攻撃の潜在的な発生を警告していた声明に触れ、「挑発行為」と軽視していたことが24日までにわかった。
米大使館の警告は今月7日に出されていたが、プーチン氏は19日の連邦保安局(FSB)での演説で、「あからさまな威嚇同様の行動」と断じていた。
「我々の社会を脅し、不安定にする意図を抱いたような行動」とし、「あなたちはこのことを十分知っているだろうし、この段階では詳しくは立ち入らない」と述べていた。
襲撃事件は22日に起きていた。
米大使館は7日の警告で、「今後48時間は多人数が集まる場は避けるべき」と促し、「過激主義者はモスクワで多人数が集合場所を狙った差し迫った計画を持っている」と続けていた」
(CNN3月24日)
モスクワ銃乱射、プーチン氏が米の事前警告を「挑発」と軽視 - CNN.co.jp
【解説】 アフガニスタンのIS系組織「IS-K」とは? - BBCニュース
このテロを認める宣言をしたのはISの一分派は、「IS-K」(Islamic State-Khorasan)と呼ばれる過激一派です。
この「K」は、イラン、トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、アフガニスタンの一部地域を含む古い名称「ホラサン Khorasan」を意味しています。
日本ではISが壊滅したかのような誤解がありますが、それは中東地域だけのことで、彼らは世界に散らばって分派を作っていまなお健在です。
アフガン東部ナンガルハール州を根拠地にして、2015年に設立されたスンニ派系テロ団体ですが、タリバンとは対立しており、常々IS-Kは「タリバンはジハードをやる気がない」として非難を続けています。
数々のテロをやっており、世界のジハード主義者の格好の受け皿になっているようです。
兵力は500~1500人で、メーンの攻撃対象は米国ですが、中国とも対立関係にあってテロ事件を引き起こしています。
いままで彼らの主なテロ対象は、アフガン国内のシーア派モスクでした。
このテロで、IS-Kは、「中国の要請に応じてウイグル人をアフガンから追放したシーア派とタリバン政権を標的にした」と声明を出しています。
ロシアはかつてみずからのテリトリーだと思っていた中央アジアに中国が触手を伸ばすことを嫌って、米国に代わって中国がイスラムテロ組織から攻撃対象になることを内心歓迎していたようです。
2021年1月1日付けロシア・プラウダは「自国に代わって中国がテロリストと戦ってくれている。ロシアは中国に死にゆく機会を提供した」と皮肉に笑って見ていましたが、とうとうみずからの上に降ってきたことになります。
近年IS-Kは、ロシアのイスラム教徒弾圧やチェチェンに対するロシアを攻撃していました。
特にイスラム系住民が分離独立を求めるチェチェン共和国では、ロシアは特殊部隊を投入し熾烈な弾圧を続けていますが、統治する軍閥の首領カディロフはプーチンの手下で、イスラム系独立派を殺戮し、私兵をウクライナへ投入しています。
IS-Kは強くこれに反発しています。
こういった中で今回のテロが起きたと思われますが、続報があれば補足していきます。
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米国に比べればテロに対する警戒態勢が格段にゆるい点があって、かような惨劇を許したプーチンの責任は重大でしょう。
また、捕らえられた4人の逃走経路もハッキリしていて、捕まった場所はロシアとベラルーシの国境近く。恒常的なウソつきプーチンの言うウクライナなど関係なく、ベラルーシへ逃げ込もうとしていたのが事実です。
面白いのはロシア国内の陰謀論で、SNSでは相当数がプーチンの偽旗作戦(自作自演)だとしている事です。
チェチェン紛争の時、戦意高揚や正当性の確保のためプーチンやFSBが自国民の高層アパートを爆破したとする「リャザン事件」をほうふつとさせるようです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年3月25日 (月) 16時37分
>ウクライナ各地では24日にかけて大規模な攻撃があり、エネルギー関連施設などが被害を受けました。ロシアのプーチン大統領はモスクワ郊外で起きたテロ事件についてウクライナ側の協力の可能性も示唆していて、事件をきっかけに双方の応酬がさらに激しくなる可能性もあります。
NHKのニュースですが、この書き方だとプーチンの言い分にも一理あって、もしかしたら本当にウクライナが仕組んだことだから報復されても仕方ないのかも…、みたいに感じさせる文章じゃないですか。本当にアホで下卑たテレビ局です。
投稿: ねこねこ | 2024年3月25日 (月) 23時11分