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2024年4月

2024年4月24日 (水)

消滅しつつある沖縄への「同情と共感」という資産

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沖縄は他県にない「資産」を多く持っています。
それは美しい海、篤い人情など、触れることができるもの以外にも存在します。
それが、本土人の沖縄への憧憬と共感なのです。
そしてこの共感には、沖縄戦に対する本土人の慙愧の気持ちと、後に本土から切り離して異民族支配に置き去りしてしまったこと、そして復帰後も過重な基地を押しつけたことに対する沖縄への深い同情があります。

よく沖縄反基地派が言う本土の冷淡非情というのは当たっていないと思います。
実は、年間約3000億円、累積11兆円にも達する振興予算は、むしろこの「同情と共感」を原資にしています。
もちろん基地と基地負担がらみなのは、言うも愚かであたりまえです。
しかし、それだけでは割り切れない、半分しか言っていないのです。 
少なくとも、復帰から相当期間は、本土の沖縄に対する贖罪意識でした。
だからこそ、復帰以降、社会資本の投資にしても、生活関連の補助にしても、全国最高度のものが惜しげもなく投下されました。  

 

Photo_6(写真 現在の石川ドーム。振興予算をつぎ込まれて作られた。沖縄県の社会インフラの整備状況は全国有数である) 

 

Photo_7(写真 かつての石川闘牛場。私はこっちのほうが好きだ。闘牛はハマります)

 そして日本一の貧困県だといいながら、町並みの調和を乱す都庁並に巨大な県庁。どどーん。

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沖縄県庁|導入事例|音声認識の株式会社アドバンスト・メディア (advanced-media.co.jp)

すいません。那覇市庁舎を上げていましたので差し替えます。

振興予算は気がついてみれば、累積11兆。一国の国家予算に匹敵する額が既に投入されています。 一国へのODAといい勝負です。
しかし、それにもかかわらず、沖縄県民に豊かになったという気持ちが湧かず、感謝の言葉も聞かれないのも事実です。
感謝どころか むしろ、沖縄を自ら植民地と呼び、先住民が異民族支配にあえいでいるという「沖縄独立論」すら登場するありさまです。
県知事の演説など、歴史の恨み節全開です。
まるで、本土政府がいくら謝罪しても千年たっても許さない、と言っているようにすら聞こえます。 

さて、今やこの年間3000億円を越える、膨大な振興予算は仕切り直しの時期に来ています。
今までのように、本土の贖罪意識に乗った基地との見返りで、青天井で支払われていた時期は終わりつつあります。 
基地を材料とすれば無限の如く金が湧きだすような時代は、今や終了しつつあったのです。

 

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(図 沖縄タイムスによる

上図をみれば、振興予算が06年から11年にかけて右肩下がりになっていくトレンドに気がつかれるでしょう。
12年からまた増加し、再び3000億円を超えたのは、仲井真前知事が移設容認をした見返りでした。

 

Photo_2(写真 左翼に転向したばかりの翁長氏。右隣が稲嶺名護市長。まだ赤ゼッケンとシュプレッヒコールが似合わない。それもそのはず、かつてはデモをかけられる立場だった)

つまり、振興予算は負担軽減政策で進むはずだった普天間基地の除去、北部訓練場の返還などで、いっそう進む基地縮小に合わせて減額の方向にあったのです。
3000億円に乗せたのは、移設承認の御祝儀がわりでした。
本土政府には、今後もこんな馬鹿げた振興予算を垂れ流す気はないという時代の変わり目に現れたのが、かの翁長氏でした。
翁長氏の登場とは、基地関連の振興予算の減少に危機感をもった利権政治家の焦りから始まっているのです。
翁長氏がやっているのは見かけは左翼的な「独立」論ですが、一皮むけば、振興予算利権の永久化にすぎません。
もし、彼が本気で「琉球独立」をしたいのなら、今のギリシャ以上の厳しい歳出削減が要求されるはずです。

ならば、身の丈の経済に合わない振興予算の竹馬を捨てねばなりません。
島の貧しさから突き抜けて、ひとり豊かになった公務員の賃金や雇用数の削減は避けて通れないはずです。
しかし、翁長氏がそれに手をつける気がないのは明らかです。なぜなら、翁長陣営とは、公務員労組である官公労と沖教組こそが、支持母体だからです。 
そしてもうひとつの振興予算の支出先は、公共事業でした。他県と比較しても異様に大きな割合を占めています。 
今までも振興予算は実感の乏しい金と言われてきました。その理由は、大部分が公共投資という形で社会インフラ整備に投入されてきたからです。

それは沖縄の土木業者と、そこから派生した観光業者のみに恩恵を与えていたことは事実です。
念のために言っておきますが、私は土建業か悪いなどという立場にはたちません。 
土建業は沖縄の基幹産業中の基幹であって、土建業資本から観光業やスーパーなどのサービス産業が生れてきています。 
多くの地場ホテルはルーツを土建業に置いています。
それらの抱える雇用者は、裾野まで含めると膨大なものがあります。否定できるはずがありません。 

しかし一方で、なんのために社会インフラを作っていくのか、というグランドデザインがないところでの公共投資は、いたずらにハコモノを増やしただけだったという批判があります。
また、出せば出すほど、伝統的な沖縄の暮らしや環境を破壊しているという面も多く見られるようになってきています。 
それは、振興予算の受け手である沖縄自身が何をしたいのか、どんな沖縄を作りたいのかさっぱり見えてこないからです。  

たとえば、北部に金融特区を作ろうとして、名護にのみ認められている金融・情報特区を利用した「きんゆうIT国際未来都市・名護」という構想がありました。  
これもあえなく頓挫しています。このプロジェクト委員だった小西龍治九大大学院教授はこう述べています。


「金融特区に過大な期待を寄せるのではなく、沖縄が自分で考えていかないと沖縄は変われない。他人が現状を変えてくれるものではない」

そしてこう小西氏は続けます。


「沖縄の精神構造をむしばみつづける利権構造に思いが至ったとき、悔しいですが『かなわない』と思ったのです。
『なぜ立ち上がらないのだ。なぜ身を売ることを続けて、薄情卑劣な政府にすがってばかりいるのだ』というやり場のない怒りがありました」

私は小西氏と違って本土政府は「薄情卑劣」どころか、基地と贖罪意識が故に、腰が引けて腫れ物にさわるように沖縄に接していると思っていますが、この小西氏のワジワジとする気分は理解できます。
ワジワジとは、沖縄弁で「ジリジリする」ってニュアンスでしょうか。
かつての若き日の私も、沖縄の自立を助けようと沖縄に農業者として飛び込んだ経験があります。

翁長氏がこの公共事業の分野でしたのは、自分の派閥の金秀と「かりゆしグループ」に利権を配分するだけでした。
つまり、翁長氏には県民の鼻面に「民族自決」というニンジンをぶら下げてナショナリズムをくすぐるだけで、かんじんの「沖縄をどうしたいのか」というグランドデザインが欠落しています。
本土政府もグランドデザインがありませんが、それに牙をむく翁長「沖縄権力」の側にもないのです。
こういう相互の「大きな絵」がないところでの争いは、反対運動の戦術の過激さを増すだけとなります。

先日、デニー知事は自衛隊訓練場の建設に反対しました。
コロナ対応で医療崩壊すれば自衛隊に泣きつき、豚コレラで県畜産が大打撃を受ければこれまた自衛隊に出動してもらい、日常的に不発弾撤去や離島急患の移送などで自衛隊がなくてはならない存在であるのに、協力はしたくない、どの口で言えるのかと思います。

そして言葉だけはエスカレートして「独立」などということを平気で言う。
自分で自分を言葉で煽っています。
こんな過激さが増せば増すほど、沖縄県外の国民の沖縄を見る目は冷やかになり、今まで沖縄の見えない資産であった「共感と同情」を葬り去っていくことでしょう。

 

 

 

 

2024年4月23日 (火)

海自ヘリ墜落

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いたましい事故が起きました。
海自ヘリが2期接触事故を起こし、共に墜落しました。
乗員に生存者は見つかっていません。
現時点で1名死亡、7人行方不明ですが、一刻も早く発見されんことを祈ります。

「木原稔防衛相は21日午前、伊豆諸島の東方海域で訓練中の海上自衛隊SH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落したとみられる事故に関し、救助した搭乗員1人の死亡を確認したと発表した。現場海域でフライトレコーダー(飛行記録装置)が2つ見つかり、発見場所が近接していることから、2機は衝突した可能性が高いと説明した。防衛省で記者団に明らかにした。
木原氏は、搭乗員1人の死亡が確認されたことについて「とても残念でならない」と述べた。墜落した海自ヘリと同型機の訓練を当面見合わせる考えも示した」
(産経4月21日)
海自ヘリ墜落 フライトレコーダー発見、2機衝突の可能性 1人死亡確認 - 産経ニュース (sankei.com)

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哨戒機「SH-60K」|航空機(回転翼)|装備品|海上自衛隊 〔JMSDF〕 オフィシャルサイト (mod.go.jp)

事故状況の詳細は不明ですが、3機で訓練中に起きた2機の衝突事件なので、状況は宮古島における陸自ヘリ墜落事故よりわかっています。
フライトレコーダーは回収されていますが、機体は5500メートルの深海に没したようですので、引き上げはそうとうに困難でしょう。

酒井海上幕僚長はこのような記者会見をしています。

「酒井海上幕僚長は伊豆諸島沖でヘリ2機が墜落した事故について、一緒に訓練を行っていた別機の搭乗員から当時の状況についての確認作業を行っていると明らかにしました。
海上自衛隊 酒井海上幕僚長 「事故当時、ヘリコプター3機が潜水艦を捜索探知し攻撃する訓練を海上自衛隊の潜水艦に対して実施をしておりました。そのヘリコプター3機のうち2機が、恐らく空中において衝突したのであろうということが最も蓋然(がいぜん)性が高いというふうに考えております」  酒井海幕長は、訓練に参加していた別のヘリが「墜落した2機の状況を客観的に見られるような立場にあった」として、「この搭乗員から当時の状況について確認作業を行っている」と説明しました。
そのうえで、「機器の異常は確認されていない」としています」
(メーテレ4月21日)
海自ヘリ2機墜落 3機で対潜訓練中に事故 酒井海幕長 別機の搭乗員から確認進める- 名古屋テレビ【メ~テレ】 (nagoyatv.com) 

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時事

回収されたフライトレコーダーは、フライトデータレコーダ (FDR)とコックピットボイスレコーダ(CVR)のふたつの装置によって成り立っており、コックピットボイスレコーダは操縦席でのあらゆる音声を録音記録しており、フライトデータレコーダは、航空機の飛行についての色々な情報を記録されています。
おそらく徹底した解析がなされているはずです。

さて、この事故が起きたのは夜間のおそらくは低空での対潜戦の訓練でした。

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海自ヘリ墜落、2機はなぜ異常接近したのか 難度の高い「対潜戦」 3年前にも接触事故 - 産経ニュース (sankei.com)

容易に想像がつくように、この夜間低空での対潜戦訓練はもっとも難度が高いものです。
墜落した2機の機長は経験豊富な三佐があたっていました。

「元海自哨戒ヘリ操縦士の小原凡司・笹川平和財団上席フェローによると、対潜訓練では、ソナーをつり下げるためのホバリング(停止飛行)の際、ホバリング高度と飛行高度の差が生じ、複数機が同高度になるタイミングが生じるという。
小原さんは「互いの機体が見えない夜間は特にリスクがある」と指摘する。ただ、衝突防止灯などをもとに常に互いの機体の位置を確認するはずで、接触するほど近づくことは通常、考えにくいという。
特に機長は厳しい訓練や検定を受けており経験は豊富という。小原さんは「不測の事態があった可能性もあり、現段階では原因の推測が困難だ。両機のフライトレコーダーのデータが究明に向けたポイントになるだろう」と話した」
(朝日4月21日)
 「お家芸」の対潜訓練、同じ高度になる瞬間も 海自ヘリ墜落事故(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

原因については現時点ではなんとも言えませんが、行方不明の隊員の皆様の発見を心からお祈りします。

 

 

2024年4月22日 (月)

仲村氏、国連の「先住民族」勧告に反論

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仲村覚氏が、「国連」を使ったプロパガンダ工作に対していい仕事をしています。

「2008年から6度にわたり、国連が日本政府に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認め、権利を守るよう」勧告していることを撤回させようと、国連があるスイス・ジュネーブを訪れ、スピーチやサイドイベントを行った日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長らは18日、県庁で報告を行った。
 仲村氏らは3月20日、国連人権理事会でスピーチした。仲村氏は「県議会や沖縄社会で先住民族と宣言されたことは一度もないし、議論されたこともない。国連は特定のグループによって意図的に操作された分離主義的な報告に基づいて勧告を出すべきではない」と発言した。スピーチ後には「沖縄の先住民族勧告問題」というテーマでサイドイベントも開いた」
(八重山日報4月21日)
「誤った発信撤回を」 仲村氏、国連での活動報告 沖縄先住民族(八重山日報) - Yahoo!ニュース 

このような沖縄の中からの地道な反論がないと、沖縄民族先住民説が国際認識になりかねません。
それにしても、県内で一度として自分ら県民が「先住民族」かどうかなどと議論されたことがあったでしょうか。
仲村氏が言うように県議会でも選挙でもなかったはずです。
にもかかわらず一握りの人間が県民の代表ヅラして、国連の場を使って「沖縄人は先住民族だ。差別されている」と叫ぶ、それをろくに調べもしないで「国連」が是正を政府に勧告する、たまったもんじゃありません。

さて、日本には奇妙な種族が住んでいます。
国連大好き族とでも呼んだらいいのか、とまれ何につけ自分たちの政治主張を、国連という世界学級委員会に持ち出す手合いです。 
なぜかって? 
国内では相手にされないので、「国連」ブランドに世界一弱いわが国の特性を利用して、「下がれぇ!頭が高い。この国連の印籠が見えぬか!」とやるためです。 


慰安婦問題は日本をとことん苦しめましたが、その発端を作ったのは朝日新聞でした。
朝日がやったのは吉田証言と植村記事であって、「性奴隷」というおぞましい言葉を作り出し、それを国際社会に定着させたのは、日弁連の戸塚悦朗氏という人物でした。 
戸塚氏は「世界が性奴隷だと認識するようになった」功労者と言うわけてす。 
戸塚氏のやり口は、慰安婦問題を当時国際問題と化していたボスニア・ヘルツゴビナ紛争における集団レイプや、民族浄化とまったく同質の犯罪だ、と訴えたことです。 

もちろん欧米は、日本の慰安婦制度なんてこれっぽっちも知りませんから、「そうか、かつての日本軍は韓国女性を20万人強制連行してレイプした挙げ句、全員虐殺したのか」と信じることになります。
今や火元の朝日すら恥ずかしくて言えなくなったような、まじりっけ無しの純粋デマです。 

しかし、この戸塚氏の思惑どおり国連で取り上げられ、現代奴隷制作業部会(スゴイ名前)などで審議された結果できたのが、これまた100%デタラメなクマラスワミ報告書でした。
※関連記事
クマラスワミ報告書その1 国連の名の下に行われた人民裁判: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

クマラスワミ報告書その2 捏造された慰安婦証言 : 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

戸塚氏はこう得意気に述べています


「数多くの国連人権会議に参加して、この問題(慰安婦)を提起し続けた。現代奴隷制作業部会、差別防止少数者保護小委員会(人権小委員会)、人権委員会(人権理事会)には毎年参加した。そのほか、ウィーン世界人権会議(93年)とその準備会、北京世界女性会議(95年)とその準備会など参加した関係国際会議を数えるだけでも気が遠くなるほどの数になった」
(『日本が知らない戦争責任』)

はい、出て参りました、国連人権会議。
国内では朝日毎日東京や赤旗くらいしか相手にしてもらえなくても、国連を使えば虎の威を借りるナントカになれる、そう左翼業界の皆さんは沸き立ったわけです。
韓国にはイガンジルという、じぶんの家の問題を表に飛び出して味方を募るやり方があると聞きましたが、これがまさにそうです。

続々と有名無名の戸塚フォロワーズが誕生し、 彼らはこの国連利用に活路を見いだしました。
その一番弟子が、「オール沖縄」の運動家である糸数慶子氏と、知念ウシ氏です。

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共同

彼女たちは琉装を着て国連に登場しました。こういう時にこんな似合わない格好すんなよと思いますが、仕掛けは充分です。
これが国連先住民族世界会議とやらでは受けるということを計算し尽くしています。
ここで糸数氏は、3つのことを言っています。


①日本政府は琉球民族を先住民族だと認めよ。
②先住民族は自己決定権を有する。
③米軍基地が74%あるのが「明らかな差別」の証拠だ。

糸数氏はこの後、2014年10月10日、参院で「先住民族の権利と沖縄の現状に関する質問主意書」を提出し、まったく同じ内容を質問しています。
糸数けいこ公式サイト|国政報告|質問主意書・答弁書|2014/10/10

 

Photo

出典不明

そしてとうとう2015年9月2日、国連人権理事会に真打ちが登場します。翁長氏です。
ついに国連人権理事会で「民族自決権」を主張し始めた翁長氏と、それをブロックした我那覇真子氏: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

翁長氏は選挙公約には一行もなく、県議会に図ったわけでもない「民族自決」を、糸数氏とまったく同じ文脈で演説しました。
公人としては犯罪的行為です。

翁長知事の国連での口頭説明(訳) - 沖縄県


「日本の沖縄県の知事、翁長雄志です。
私は、沖縄の自己決定権がないがしろにされている辺野古の現状を、世界の方々にお伝えするために参りました。
沖縄県内の米軍基地は、第2次大戦後、米軍に強制的に接収され、建設されたものです。私たちが自ら進んで提供した土地は全くありません。
沖縄の面積は日本の国土のわずか0・6%ですが、在日米軍専用施設の73・8%が沖縄に集中しています。
戦後70年間、沖縄の米軍基地は、事件、事故、環境問題の温床となってきました。
私たちの自己決定権や人権が顧みられることはありませんでした。
自国民の自由、平等、人権、民主主義も保証できない国が、どうして世界の国々とこうした価値観を共有できると言えるのでしょうか。
日本政府は、昨年、沖縄で行われた全ての選挙で示された民意を無視して、今まさに辺野古の美しい海を埋め立て、新基地建設を進めようとしています。
私は、考えられうる限りのあらゆる合法的な手段を使って、辺野古新基地建設を阻止する決意です。
今日はこのようにお話しする場を与えて頂き、まことにありがとうございました。 」

この発言はきわめて重要ですので、太字部分を理事会で発言した英文ママで表記しておきます。
゛Henoko where Okinawans’ right to self-determination is being neglected.゛をあえて直訳します。
「沖縄人の自主決定権が拒否されているところの辺野古」となります。

まちがいなく、翁長氏は糸数氏とまったく同質同文脈の、「基地が74%集中する」ということを「構造的沖縄差別」ととらえ、「琉球民族の自主決定権」問題として辺野古問題を語り始めたことがお分かりいただけたと思います。
このセルフ・デターミネーション(self-determination )という概念は、沖縄県訳がぼやかそうとしているように単なる「県民の自己決定権」のことではありません。
県内ならそれで通じるでしょうが、国連の「先住民世界会議」なる場所で発言すれば、それ相応の意味をもちます。

国際法上の権利用語で、セルフ・デターミネーションとは、そのものズバリ民族の分離・独立の権利を意味します。 
このような重大な言葉を、知念ウシ氏のような分離主義運動家が口にするのは勝手ですが、公人であり、しかも政府との係争事案をかかえている知事が、こともあろうに国連の場で口にした以上、もう後戻りはできません。

すなわち、辺野古問題は既に国と県との基地問題の交渉ではなく、今や<琉球民族vs日本政府>の独立闘争に転換したと、翁長知事は国際社会に発信したのです。
かくして翁長氏は、本来、国の安全保障上の問題として争われるべき移転問題を、禁断の<民族紛争>にすり替えてしまったわけです。

これらの分離主義プロパガンダは、中国との緊張がまだ可視化できないのどかな時代のものでした。
世界が戦争の現実性に怯えているこの時期に、こんなサヨクの観念ゴッコをする時間的余裕はないのです。

 

 

2024年4月21日 (日)

日曜写真館 うすうすと天に毒あり朝桜

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この静寂(しじま)破るものなく朝ざくら 高澤良一

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なほ続く川のつめたさ朝ざくら 高澤良一 

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一枝より風呼び入るる朝桜 大岳水一路

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新しき道生まれおり朝桜 寺井谷子

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人にまだ触れざる風や朝桜 星野高士

 

 

 

2024年4月20日 (土)

イスラエル小規模報復始める

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イスラエルがイランに対して報復攻撃をしたという情報がありますが、詳細は不明です。

「金曜日の早朝、イランの都市イスファハンの近くで爆発音が聞こえ、イスラエルは数日前にイランによるイスラエル攻撃に対する報復攻撃を開始し、国際社会の圧力を無視して攻撃を開始したと報じられている。
イスラエル当局から攻撃の公式な確認はなかった。イランの国営メディアは、防空システムが作動したとだけ報じ、テヘランの南約315キロ(196マイル)にある都市の軍事施設への攻撃の主張を軽視し、事件は通常通りのことだと説明した。
ミサイルや空爆ではなく、無人機で行われたと報じられている攻撃の明らかに限定的な性質と、公式の承認の欠如は、イラン政権に、イスラエルを二度目に攻撃するという好戦的な脅しから身をよじるために必要な戦略的否認能力を与える可能性が高く、イスラエルとイランの双方が戦争の瀬戸際から身を引こうとしているかもしれないという初期の兆候を提供するだろう」
(イスラエルタイムス4月18日)
イラン空軍基地がイスラエルの「限定的」報復攻撃で攻撃されたと報じられる |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

このイスファファンにはウラン濃縮装置があります。

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イスラエルタイムス

「イスファハンの施設は、中国が供給する3基の小型研究用原子炉を稼働させているほか、イランの民生用核計画のための燃料生産やその他の活動も行っている。
イスファハーンの空軍基地は、1979年のイスラム革命前に購入したイラン製のアメリカ製F-14トムキャットの本拠地だ」
(イスラエルタイムス前掲)

例の映画『トップガン・マーベリック』の攻撃目標のモデルとなったのはこのイスファファン核施設で、F-14の基地もそばにあります。
現実には、イスラエルはドローンを使用しており、事前に米国に通告しています。
線立ってのイランのミサイル攻撃から数日間、イスラエルは逡巡しているように見えました。
しかし実は水面下で米国との駆け引きがあったとの説もあります。

「こうした中、ネタニヤフ首相が、戦時内閣で合意に至っていた、イランへ即時大規模反撃を、バイデン大統領との電話会談の直後に、中止していたことが報じられた。
その後、アメリカは、イランへの大規模攻撃を弱めて、限定的とするなら、ガザのラファへの攻撃を黙認することに合意したとの情報が出ている。
しかし、ガザのハマスとイランは、無関係ではない。イランがいるからこそハマスがいる。
ラファへ突入してハマスを倒しても、イランを倒さなければ、また同じことになってしまう。イランを諦めて、ハマスを倒すという交換条件は、成り立つようで成り立たないのである。
とはいえ、打倒イランを優先すれば、人質を見捨てるということにつながりかねず、かつ、最大の同盟国アメリカをも失うことになる」
アメリカが大規模イラン攻撃中止と引き換えにラファ攻撃容認か:恐るべし水面下の交渉 2024.4.18 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

したたかなイスラエルらしい交渉ぶりで、今回の小規模攻撃はこの裏交渉がありえることを示唆しています。

ところでイランは核関連施設への攻撃を恐れ、ナタンズのウラン濃縮関連施設を地下深く設置しています。

「ナタンズの核施設であるが、これは数万基の遠心分離機の運用を可能とするウラン濃縮施設である。天然ウランを濃縮し濃縮ウランとすることによって、原子力発電に使用する核燃料とすることができる。
そして更に濃縮度を高め、核ミサイルの弾頭に使用する高濃縮ウランを生産することも、施設を高度化することによって実現できる。イランはその核開発をあくまで平和利用のためのものであると主張してきた。
しかし、実際には核兵器の保有を目指しているのではないかとイスラエルや米国、欧州諸国に疑われてきたし、最近では国際原子力機関(IAEA)事務局長もまたその可能性を捨てきれないと発言している」
イラン核施設への三度目の破壊工作― 繰り返されるサイバー攻撃とエスカレーションの懸念 ― | 記事一覧 | 国際情報ネットワークIINA 笹川平和財団 (spf.org)

イスラエルはこのナタンズの核施設を、2007年から複数回のサイバー攻撃、2020年、2022年の2回の爆破を仕掛けています。
その他、2012年にはイランの核科学者、モスタファ・アフマディ・ロシャンが、テヘランで車に取り付けられた爆弾で殺害され、イラン核計画の中心的人物であった核物理学者モフセン・ファクリザデが同じように暗殺されています。
イスラエルは無言ですが、モサドの犯行だろうというのが多くの意見ですが、殺された核物理学者が反体制派だったことからイランの自作自演だという説もあるようです。

このイランの核開発を外交交渉で解決する道はもはや無理だと思われます。
イランは完成寸前まで持ち込んでおり、遠からずイランは核兵器を保有し、彼らの中東の眷属であるヒブボラやハマス、フーシ派に手渡すでしょう。
そうなった場合、彼らはイスラエル国内の任意の場所で核爆発を引き起こすことが可能となります。

イスラエルは、山の地下にあるナタンズ核施設を攻撃するためのGBU-72 バンカーバスター(地中貫通爆弾)を入手しています。

「GBU-72は地中深くの地下壕司令部などを攻撃するための地中貫通爆弾(いわゆるバンカーバスター)で、爆弾の重量としては5000ポンド(約2268kg)、爆撃機と戦闘機双方ともに搭載可能となっている。GBU-72プログラムマネージャーのジェームス・カリトン氏はGBU-72の威力について、「(湾岸戦争などで活躍した)GBU-28よりも致死性(威力)が向上する」と予測している」
米空軍、新型地中貫通爆弾「GBU-72」を投下試験 – 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社 (jwing.net)

これがたんなる始まりにすぎないのか、これで終了にするのかまったく予測がつきません。

 

 

2024年4月19日 (金)

イランのミサイルと原油を支える中国

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イスラエルは19日から過越の期間に入ります。
イスラエルは国内的にイラン攻撃に反対の世論が強く、7割が反対しているというヘブライ大学の調査もあるほどです。

「火曜日に発表された世論調査によると、イスラエル国民の4分の3近くが、イランに対する大規模なミサイル攻撃がイスラエルの同盟国との安全保障同盟に害を及ぼすのであれば、イランに対する報復攻撃に反対している。
ヘブライ大学の調査では、国民の半数以上が、イスラエルは同盟国の軍事的・政治的要求に「前向きに反応する」と考えていることも判明した」
(イスラエルタイムス4月16日)
世論調査:イスラエル人の74%が、安全保障同盟を損なうイランへの反撃に反対 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

イスラエル軍のハレヴィ参謀長が過越しを平穏に過ごしてもらおう、とこの期間の攻撃は手控えるような発言をしており、この期間を使ってなっとくできる妥協案を提出させるつもりのようです。
それを受けて、国際社会はイスラエルにイラン攻撃をさせないために奔走しており、攻撃の代替としてさらに強力な経済制裁を課すという案も浮上しています。

「アメリカ合州国とヨーロッパの同盟国は火曜日、イランの前例のない週末の爆撃を受けて、イスラエルに自制を迫る努力を倍増させ、テヘランの石油販売能力と攻撃ドローン製造能力に厳しい制裁を課すと約束した。
西側諸国は、イスラエルの報復が地域をより広範な戦争に陥れ、エルサレムに対する国際的な支持をさらに損なう恐れがある。イスラエルの高官は、米国や他の同盟国の立場を考慮に入れると約束しながら、対応することを誓った」
(イスラエルタイムス4月16日)
米国と欧州、イラン制裁を強化、イスラエルは報復の恐れを捨てるよう迫る |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

内容的にはどうやら石油の禁輸をさらに強めることや、ドローンの電子部品が入らないように規制を強化するといった内容のようです。

「財務省の高官は記者団に対し、国務省は中国、G7パートナー、その他の主要なグローバルサプライヤーの支援を得て、イランが石油を輸出し続け、イスラエルを攻撃するために使用し、ロシアに販売している無人機に必要なマイクロエレクトロニクスを入手する能力を損なうために取り組んでいると語った」
(イスラエルタイムス前掲)

「米政府が18日に発表した追加制裁は、イスラエルへの攻撃で使用された自爆型無人機「シャヘド」の製造に関わったり、精鋭軍事組織「革命防衛隊」を支援したりした16個人・10団体が対象となった。米国内の資産を凍結し、米国人との取引を禁じる。バイデン米大統領は声明で、「イランへの経済的圧力を強化するため、我々は一丸となって行動する」と強調した。英政府も、無人機の製造に関わる企業など7個人・6団体を制裁対象に指定した」
(読売4月19日)
米英両政府がイランへの追加制裁発表、バイデン氏「我々は一丸となって行動する」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

うーんどうでしょうかね。これでイスラエルが満足するかどうか。
それにしても「精鋭軍事組織」って何なの、読売さん。
イスラエルが望んでいるコッズ部隊に対するテロリスト指定はできないとEUは言っているようで、これでイスラエルが納得するとは思えません。

さて、前回のイスラエル攻撃の主力となったイラン製ドローンですが、大量の中国製品が使われています。
おととい田中浩一郎慶大教授の弁を紹介しましたが、彼はこんなことも言っていました。

「米国や先進7カ国(G7)のイスラエル擁護は過剰だ。イランは(自衛権を定めた)国連憲章に基づき、軍事施設のみ攻撃した。イランだけ非難し、ガザ攻撃を非難しないのは「法の秩序」を訴える側として説得力が揺らぐ。中国などに付け入る隙を与えかねず、日本にとっても困った事態なのは確かだ」
(産経4月15日)
イラン報復 事態発展すれば、米英介入も 田中浩一郎・慶応大教授 - 産経ニュース (sankei.com)

この人は国際政治の上辺だけしかみていないようです。
だから、イランは中露の防壁だから大事にしろ、というようなバランスを欠いた考え方をいまだ信奉しています。
このような中東屋は、外務省アラビア語スクールを通じて日本政府に多大な影響力を持っているから始末におえません。

「中国に付け入る隙を与える」もなにも、とっく中国はイランと準軍事同盟を結んでおり、大量の原油を買い、電子部品を供給しています。

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絶望のガザ:万が一「イランに飛び火」なら原油高騰も 小山堅 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)

「ケプラー研究所によれば、イランから中国への原油輸出量は昨年11月に日量150万バレルに達している。
中国はコロナ禍の後、自国の石油精製能力を増大させており、月によっては1200万バレル以上の原油を輸入しているが、イラン産原油はその約10%を占めていることになる」
(ロイター2024年1月4日)
イラン・中国商工会議所代表、「中国向けイラン産原油輸出停止は誤り」 - Pars Today

中国は2012年以来制裁対象となっているイラン原油を、マレーシア産原油、あるいはオマーン原油と偽って輸入し続けていると言われています。
つまりイランの制裁逃れに手を貸しているわけです。

「中国が海上で船から船に積み荷を移し替える「瀬取り」や第三国を経由した迂回輸入でイラン産原油を確保している疑いが浮上している。
トランプ米政権が5月にイラン産原油の全面禁輸を発動して以降、中国の輸入は公式統計上は激減したが、非公式ルートで一部取引が続いている可能性がある。米制裁に反対する中国がイランを側面支援しているとの見方もある」
(日経2019年7月3日)

原油だけにとどまらず、大量破壊兵器の電子部品の最大の供給元は中国です。
イランは原油だけで食っている国で、製造業、特に電子工業が存在しません。
これを供給しているのが中国です。

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doda(デューダ)「転職のホントが知りたい」支援実績篇 [15秒] (youtube.com)

中国製電子部品を使ってイランは弾道ミサイルやドローンを作り、14日未明に大量のミサイルとドローンによってイスラエルを攻撃しました。 つまりなんのことはない、中国はとっくに中東紛争に介入しているのです。

「台湾政府の 「国家ドローンチーム」の責任者である)羅正方によれば、公開情報で、イランの今回発射したのは、イランがロシアに輸出されたのと同じシャヘドシリーズのドローン兵器で、2023年6月、西側国家はこのドローン機の残骸の中から中国製の電圧変換機を発見しています。それだけでなく、羅によれば、シャヘド・ドローンに使われているエンジンは、ドイツのリンバッハの中国製コピーだといいます。
台湾政府の "国家ドローンチーム "の隊長でもある羅正方は、「イランは長い間ドローンを開発し、完全なスペクトラムを持っているが、独自のサプライチェーンは大量生産をサポートするには十分ではない」と説明しています。
ウクライナやガザ地区の戦場で回収されたドローンの残骸から、イラン製ドローンの多くが、プロペラからカーボンファイバーやラテックス・インジェクションボディ、それに必要な工具機械に至るまで、中国から直接、間接的に供給されていることが確認されているのです」
(福島香織 中国趣聞NO.991 :イランのドローン攻撃の背後に中国あり)

このようにイランは、中国がなければ原油という食いぷちも稼げない、弾道ミサイルもドローンも作れない国なのです。
そんな国相手になにを期待しているのやら。

 

 

2024年4月18日 (木)

イスラエルのザヘディ爆撃は国際法違反なのか

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今回の事の発端となったシリアのイラン領事館爆撃で殺害されたのは、コッズ部隊の上級司令官モハマド・レザ・ザヘディ准将と、その副官のモハマド・ハディ・ハジ=ラヒミ准将です。
この両名はここからイスラエルに対する攻撃を指揮していました。

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ニューズウィーク

「米シンクタンク「中東問題研究所」の対テロ専門家であるチャールズ・リスターは、「ザヘディはとてつもなく大きな権力を持つ人物だった」と指摘し、「彼は何年も前から、革命防衛隊とコッズ部隊がシリアとレバノンで行うあらゆる活動を指揮してきた」と説明した。これらの活動には、今や世界で最も重武装の非国家勢力と考えられているヒズボラへの武器の密輸も含まれる。
第二の違いは、攻撃が行われた場所だ。今回の空爆は、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館に隣接する領事部の建物を標的とし、空爆によって建物は全壊した。当局者やアナリストによれば、この建物はイラン革命防衛隊のシリア国内の司令センターとして使われていた」
(ニューズウィーク4月2日)
イラン公館空爆で革命防衛隊の最強司令官が死亡、イスラエルの仕業ならヒズボラとの全面戦争に発展も|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

このイスラエルのザヘディ暗殺に対して、国際法違反だというのがおおむね日本の識者のみなさんの意見です。
第三国の領事館を爆撃し、イラン要人を殺害したのですから、外形的には確かにそのように見えます。
ここからイランも国際法違反なら、それを引き起こしたのがイスラエルの国際法違反なのだから、ドッチもドッチだという見方が生まれています。
しかし私はどうも腑に落ちないのです。

4年前に似た事件がひとつあるので、それを参考に考えてみます。
かつて2020年1月3日、コッズ部隊の最高指揮官だったソレイマニを、米国はドローンで殺害しました。
その前日の12月27日には、イラク北部のK-1空軍基地がロケット弾で攻撃され、米民間人(通訳)1人が死亡しました。

実行したのは、イランの支配下にあるヒズボラでした。

米軍はこの時ヒズボラ施設を空爆して報復していますが、さらにトランプは元日にポンペオの持論だったソレイマニ司令官殺害を決断し、ドローンによる空爆作戦が1月3日に実施されました。
そしてソレイマニを殺害した地点はイラクのバクダットでした。
場所が公館ではないということだけが違うだけで、たいへんよく今回の事件と似ています。

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米軍の空爆で殺害、ソレイマニ司令官とはどんな人物か - CNN.co.jp

ソレイマニが中東各地でのテロを指揮していたからですが、ではこれが戦時国際法ではどのように判断されるのかでしょうか。
静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之氏はこう述べています。

正戦論の倫理的基準は、戦ってもよい(始めてもよい)戦争の条件と、戦い方の条件に区別される。戦ってもよい戦争の条件は、次の5つがもっとも重視されている。
1)正当な目的があること。
2)紛争を平和的に解決する合理的な努力が尽くされ、戦争が最後の手段となったこと。
3)正当な権力が戦争を許可すること。
4)戦争の目的に比べて、戦争がもたらすと予測される損害が上回らないこと。
5)目的が達成可能であること。

次に「戦い方の条件」はこのようなものとして定義されています。

1)戦闘員と非戦闘員を区別し、非戦闘員は攻撃目標にしないこと。
2)攻撃目標の軍事的価値に比べて、巻き添えとなる非戦闘員と非軍事物の損害を、不釣り合いに大きくしないこと。

ソニイマニは殺害された時も、イラクで大規模なテロ襲撃を準備しており、最新兵器をイラクに移送する準備をしていたようです。
したがって西氏はこう結論づけています。

「端的にいえば、ソレイマニ司令官はイラクで米軍や米関連施設への攻撃を指揮していた戦闘員なので、米軍の待ち伏せ攻撃は暗殺ではない」
(西恭之)

このようにソレイマニ爆撃は戦時国際法の要件である自衛権の行使であり、かつ「正当な目的」があったと判断されたために、米国と一定の距離を持っているヨーロッパ諸国も即座に支持を表明しました。

ところで今回の空爆で死亡したコッズ部隊指揮官ザハディは、ソレイマニの後任者で、多くのテロに関わっています。
ガザのハマス、シリアのヒズボラ、イラクのイスラム抵抗運動、イエメンのフーシ派、これら中東のテロリスト団体はすべてイランから資金援助をもらい、武器を与えられてイスラエルや米国を攻撃し続けてきました。

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出典不明

ソレイマニやザヘディは、一般的な軍人でもないし、ましてや政府要人一般でもありません。
彼らは正規軍ですらなく、イランという宗教原理主義国家でハメイニ師だけに仕える親衛隊、いわば「私兵」です。

ですから、このイスラエルのイラン領事部爆撃は一般的な外交使節爆撃の範疇で理解すべきではなく、テロリスト指揮官の抹殺を意図した「正戦」という概念が成立するのではないでしょうか。

 

2024年4月17日 (水)

イスラエルの難しい決断

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イスラエル戦時内閣は報復をすることには一致したようですが、いつどのようにするかは持ち越しました。
イラン国連代表部は14日の攻撃について、「報復は終結したと見なしていいが、イスラエルが再び過ちを犯せばより厳しい対応を取る」と発表しました。
一方、国際社会はイスラエルに自制を求め、NYTやTimes of Israelは自制すべきだとして、「攻撃の被害が軽微だったことを受けてネタニヤフ首相は報復攻撃を中止した」と報じています。
しかし、イスラエルが300発以上のミサイル攻撃を受けて沈黙して引き下がることなど考えられません。
仮にそうしてしまったら、どんどん撃って下さい、とイランにお願いするようなものですから。
自衛権が成立する状況を放置するほど、イスラエルは甘ちゃん国家ではありません。

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「イランに報復」で一致 イスラエル戦時内閣、時期や規模では結論出ず 米政府高官“米軍の反撃参加は想定なし”|FNNプライムオンライン

しかし、だからといって無制限な報復が許されているわけではありません。
イスラエルメディアのN12はこう述べています。

「(戦時内閣の)協議では、テーブルに載せる必要がある2つの公理が生じます。第1は、地域を戦争に発展させないような対応をすることです。2つ目は、アメリカが納得できるような対応をすることです。これは必ずしも完全な調整ではなく、彼らが設定したルールに準拠する対応です」
N12 - 政治・安全保障指導部は「明確に対応するために... (mako.co.il)

たとえば、この完封に終わった迎撃戦闘がイスラエルだけでなし遂げたわけではありません。
ウォールストリートジャーナルは、イスラエルに頭を冷やしてみろ、と言っています。

「それを成し遂げたのは、イスラエルの高度な防空システムと、米国をはじめとする西側諸国およびアラブのパートナー諸国による支援のおかげだった。米英ヨルダンの戦闘機は、無人機の撃墜で特に重要な役割を果たした。イランの無人機とミサイルのほとんどは、イスラエル領空に到達する前に破壊された。
イスラエルとその支援国が、全面戦争の状況下でこれを再現できるかどうかについては疑問が残る。週末のイランによる攻撃は事前に分かっており、奇襲攻撃とは対極をなす。また、イスラエルが外部の助けなしに自国を防衛する能力も未知数だ」
(ウォールストリートジャーナル4月15日)
イスラエルのイラン攻撃撃退、米・アラブ諸国の支援あってこそ - WSJ

米英仏サウジヨルダンなどの支援国連合が、各地から発射されたドローンやミサイルをイスラエル領外で落してくれていたのです。
イスラエル独自の迎撃システムは確かに世界で有数の優秀さを誇っていますが、同じような攻撃が波状で行われた場合、今回のような完封は難しいでしょう。

イランは膨大な数のUAV(ドローン)やミサイルを保有しているといわれています。
今回使ったのは比較的旧式で更新予定になっていたものだとする説もあるほどで、おそらく10億から13億ドル使ったイスラエルよりはるかに安価な攻撃となったはずです。
ですから、イランには前回のような攻撃をなんどとなく繰り返す力は残っており、逆にイスラエルはこれを抑止して未然に防ぐ力は残っていないのです。

「イスラエルは今回、イランにあれだけの攻撃を許してしまったということは、イランへの抑止力がもはや効かなくなっていたことを表している。このまま何もしないでおくと、弱みととらえられ、イランはさらに思い上がってくることになる。
実際、イラン傀儡のハマスが、強気になり始めており、ヒズボラやフーシ派のイスラエル攻撃も続いている。国内のテロも増える傾向にある。
中東では、防衛能力があるだけでは十分ではない。より強力な攻撃能力を思い知らせて、相手に抑止させるしかないのである」
イスラエルはイランの核施設を攻撃するか:IAEA(国際原子力機関)が懸念表明 2024.4.16 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

またイスラエルが過剰な反撃をしたと見られた場合、このイスラエル支援5カ国連合は協力を拒むでしょう。
米国ですら攻撃への支援は拒否するといっているくらいですから、ヨルダンなどは真っ先に脱落するはずです。

「だがイスラエルが対応を検討する際には、ヨルダン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)といったアラブのパートナー諸国の利害も考慮しなければならない。
ガザにおけるイスラエルの軍事作戦で何万人ものパレスチナ人が殺害されたことに対する民衆の怒りをよそに、ヨルダンなどパートナー諸国は、13日にイスラエルがイランのミサイルと無人機を撃墜するのを支援した。
「中東地域のパートナー諸国はこの半年間、米国にイスラエルを抑制するよう対応を求める中、イスラエルとの間で、そして米国との間で、非常に大きな緊張関係にあったが、行動を起こした」
(WSJ前掲)

このような難しい判断をイスラエルは迫られています。
仮に報復するなら、ピンポイントで一切の市民の被害を出さないような、かつ国際世論がなるほどと納得できる目標でなくてはなりません。
実はそのような条件を満たす目標がひとつあります。
それはイランの核施設です。

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イラン核施設で異常発生、原子力長官は「テロ」と断定 | ロイター (reuters.com)

イランは核合意から米国が離脱したことを奇貨として、再び核武装の道を辿っています。
国際原子力機関(IAEA)は2021年1月に、イランが同国中部のフォルドゥのウラン濃縮関連活動で濃縮度を20%に上げると通達してきたことを明らかにしました。
イランは核合意当初、濃縮度「3・67%」を守ってきましたが、19年になってそれを破って「4・5%」に引き上げ、そして今回は「20%」です。
核問題の専門家によれば、「濃縮度4・5%」と「濃縮度20%」では大きな違いがあります。
「濃縮度20%」を超えると核兵器用の「濃縮度90%」まで技術的に容易になるといわれています。
つまりイランは核兵器開発の道に完全復帰したということです。

「[ドバイ/ウィーン/ワシントン 4日 ロイター] - イラン政府報道官は4日、中部フォルドゥの地下施設でのウラン濃縮活動について、濃縮度を20%に引き上げる作業を再開したと述べた」
(ロイター2021年1月5日)

肝心のイランが核開発に戻ると宣告してしまった以上、もう核合意の枠組みそのものが完全消滅して地上には存在しないのです。
田中浩一郎慶大教授がこんなのどかなことを仰せです。

「核施設が標的にされた場合、イランに核拡散防止条約(NPT)から脱退する口実を与えてしまう。イランが核兵器開発に乗り出せばサウジアラビアも同様の道を歩む恐れがあり、緊張が高まるだろう」
(産経4月15日)
イラン報復 事態発展すれば、米英介入も 田中浩一郎・慶応大教授 - 産経ニュース (sankei.com)

なにを寝ぼけているのでしょうか。もうとうにイランは核濃縮を再開しています。
これは核合意廃棄以外なにものでもありません。

IAEAも攻撃を予測してこう述べています。

「国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、イランは「安全保障上の配慮」を理由に日曜日に核施設を閉鎖し、月曜日に再開したが、「状況が完全に落ち着くまで」IAEAの査察官を遠ざけたと述べた。
グロッシ事務局長はニューヨークで記者団に「明日から再開する」と述べた。「検査活動に影響はありませんでした」

イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性について問われると、グロッシ事務局長は「我々は常にこの可能性を懸念している」と述べた。彼は「極端な自制」を求めた」
(イスラエルポスト2024年4月16日)
IAEAのラファエル・グロッシ事務局長、イスラエルのイラン攻撃を懸念 - エルサレム・ポスト紙 (jpost.com)

仮にイスラエルがシリアやレバノンのヒズボラなどの拠点を攻撃するに止めれば、とりあえずのエスカレーションはストップし、国際世論はほっとするでしょうが、イランの核兵器開発は止まらないということになります。

 

2024年4月16日 (火)

イラン、イスラエルをミサイル攻撃

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イランがイスラエルに直接攻撃を行いました。

「イランは現地時間14日未明、イスラエルに向けてドローンやミサイルを発射した。シリア・ダマスカスのイラン公館が4月1日に攻撃されたことへの反撃が、近く起きると予想されていた。イランが自国内からイスラエルを直接攻撃するのは、今回が初めて。イスラエルとイランの直接対決から中東全域を巻き込む地域戦争に拡大する危険が、広く懸念されている。
イスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官は日本時間9時過ぎの時点で、イランがイスラエルに発射したドローンやミサイルは200以上だとテレビ放送された声明で明らかにした。
ハガリ少将によると、イランは殺人ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルをイスラエルに撃ち込んだ。イスラエルの防空システムと地域の同盟諸国がミサイルやドローンの「大多数」をイスラエル領の外で撃墜したという。
イランとイスラエルの間の距離は、約1800キロ。イランによるドローンやミサイル発射の情報を得て、イスラエル、レバノン、イラクは領空を封鎖。シリアとヨルダンは防空システムを警戒態勢にした」
(BBC4月14日)
イラン、イスラエルにドローンやミサイル発射 米軍が一部撃墜 - BBCニュース

第三国の領事部を爆撃し、コッズ部隊司令官を殺害したことに対する報復だそうです。
これらのイランの攻撃がなされたのはイラン国内からではなく、イエメンのフーシー、レバノンのヒズボラからだったようで、逆に彼らがイランの支配下にあることをはしなくも暴露しました。
彼らを指揮しているのがイランのコッズ部隊ですから、イスラエルがなぜこれを狙ったのかみずから宣伝したようなものです。

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イランのライシ大統領は、「シオニスト国家に対する作戦は高い精度で実行され、我々はミサイルとドローンの威力を十分に示した」と宣言しましたが、すべて領外で撃墜されています。
 イランは撃ちも撃ったり、無人機(UAV)は約170機、巡航ミサイルは30発以上、弾道ミサイルは120発ぶっ放したようですが、99.9%撃墜されました。(発射数については諸説あります)
ドローンは低速なため、イランから発射した場合到達に数時間かかるので、簡単に察知され170機のうち、70機は米軍が撃墜し、巡航ミサイル30発も、飛行時間が1時間なためにこれも警戒看視網に引っ掛かり、イスラエル、米英仏、ヨルダンが、全部撃墜しました。
虎の子の弾道ミサイルは飛行時間が10分から12分程度なのですが、これもアロー2、アロー3によってすべて大気圏外で撃墜の憂き目に合っています。

イランはウクライナ戦争の影の主役で、いままでドローンや弾道ミサイルを400発ロシアに提供してきました。(ウクライナ側は否定しています)

[ドバイ 21日 ロイター] - イランがロシアに大量の強力な地対地弾道ミサイルを供与し、両国間の軍事協力を深めているもよう。関係筋6人が、ロイターに対し明らかにした。
イラン筋によると、イランは「ゾルファガール」を含む約400発のミサイルを供与する計画。専門家によると、これらは300─700キロの射程距離にある目標の攻撃が可能という。
ミサイル供与は昨年末、両国の軍・治安当局者間で合意。今年1月初旬から供与が始まり、輸送は今後数週間にわたり行われる見通しという。
別の関係筋も、ロシアが最近、イランから大量のミサイルを受け取ったと確認した」
(ロイター2024年2月22日)
イラン、ロシアに弾道ミサイル約400発供与 軍事協力深化へ=関係筋 | ロイター (reuters.com)

ウクライナ戦争でイランが学んだことは、高度な西側の迎撃システムを持つ国に対して高価な弾道ミサイルをいくら撃ってもことごとく落されてしまうという戦訓だったようです。
そこでイランが考えたのが、安いドローンを大量に使った飽和攻撃です。
飽和攻撃というのは旧ソ連が考え出した戦法で、少数のミサイルでダメなら百発撃てば一発は当たるだろう、というなんかヤケクソのような戦法でした。
しかし現実にこれをやられると、さすがにヤバイというところから、イージスシステムが開発されたのです。
今、ロシアやイランがやっているのは、ドローンを大量に発射して、防空システムがそれに手をとられている間に、弾道ミサイルを撃つという戦法です。

「イランは今回、イスラエルの高度な防衛システムに安価なドローンを大量にぶつけることで機能不全に陥らせた上で、自国の巡航ミサイルが標的に到達しやすくなるよう、攻撃を組み立てたようだと、BBC番組「ニューズナイト」のジョー・インウッド国際担当編集委員は説明する。
イギリスの防衛コンサルタント会社「シビライン」のアナリスト、ジャスティン・クランプ氏は、これはほかでも実施されている戦術だと解説した。
「イランはウクライナで学んだことを参考にしているようだ。ウクライナでも同じように、相手の防空システムを圧倒するため、巡航ミサイルや弾道ミサイルとドローンが組み合わせて使われている」
(BBC前掲)
しかし、やってみたらイスラエルには通用しなかったようです。
イスラエル自信も高い迎撃能力を持っていますが、そのうえ今回は米国、英国だけではなく、サウジ、ヨルダンまでがイランのミサイル迎撃に協力しています。
イランは「これで終わりだ」という言い方をしていて、イスラエルのイラン本土攻撃を牽制しています。
まぁ、これだけ派手に撃っておいてよー言うよとは思いますが、当然のことながら、イスラエルは反撃をすることを宣言しています。
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イランの攻撃ドローン、米企業など十数社の部品使用 CNN EXCLUSIVE - CNN.co.jp
関係国はどう考えているのか、AFPがまとめていますので要約します。
イランのイスラエル攻撃、各国非難 シリアは「報復は当然」(AFP=時事) - Yahoo!ニュース
・国連「中東の複数の前線で大規模な軍事衝突を引き起こすような行動は回避するように」
・EU「イランに対し、攻撃を「直ちに停止」するよう求めるとともに、「さらなるエスカレーションを控え、中東地域の安定回復に努めなければならない」
・G7「イスラエルおよび同国国民への全面的な連帯と支持」を表明し、「イスラエルの安全保障に対するわれわれの責務を再確認した」
・米国「イランと代理勢力からの脅威に対処するイスラエルの安全保障に、われわれは鉄壁の支援を行う」
・エジプト「最大限の自制」を求めるとともに、「すべての紛争当事者に直接働き掛け、事態の収束を図る」
・カタール「緊張を緩和し、危機的状況を回避するための緊急行動を取る」
・サウジ全当事者に「最大限の自制と、中東地域と地域住民を戦争の危険から守る」よう要請。
・シリア「イランの対応は自衛のための当然の権利だ」
・ロシア「中東地域の危険なエスカレーションを極めて懸念している」
・中国「ガザ紛争の余波」
・日本「中東情勢を一段と悪化させるものだ。中東の平和と安定は日本にとって重要、事態の沈静化を強く働きかける」
ほぼすべての国がイランを批判し、イスラエルに自制を求めています。
例外は、イランに拠点を提供しているシリアくらいなものです。
そこでかんじんなイスラエルですが、気をよくしています。
というのは、ガザ侵攻によってあまりに過剰な市民の犠牲が出たために、いまや国際社会から同情の目で見られることがなくなり、逆にジェノサイドとすら非難されていたからです。
しかも今月初めには西側のNGOスタッフ7人をガザで誤爆で殺してしまうということもあって、このまつでは米国も含めて国際社会のイスラエルへの非難は最高潮になっていたからです。
皮肉にも、イスラエルに対するイランの攻撃は、このイスラエルの孤立を救いました。

今回のイランのミサイル攻撃に対して米国は非難の態度から一転し、イスラエルの防衛に、「鉄壁のごとくにコミットしている」と宣言し、米国中欧軍最高司令官をイスラエルに派遣までして、防衛に協力しました。
そのうえに米英だけではなく、サウジとヨルダンもイランのドローンを撃墜しています。

このことに気をよくした戦時内閣は、この好機をどのように活かすか思案の真っ最中のようです。
たとえば、強硬派はイラン領内の核施設を攻撃することも示唆しています。
戦時内閣のガンツはこう述べています。

「「イスラエル対イランとはすなわち、世界対イランだ。それが今の結果だ。この戦略的成果を我々はてこにして、イスラエルの安全保障のために活用しなくてはならない」。
ガンツ氏の言葉は、イランの標的をまた攻撃する可能性を排除していない。あるいは、イラン国内に初めて公然と攻撃する可能性も、排除していない(イスラエルはすでにイランの核開発計画を、サイバー攻撃や当局者・科学者の暗殺などを通じて、繰り返し攻撃している)」
(BBC4月15日)
イスラエルとイラン、全面戦争をアメリカや西側は防げるのか=BBC国際編集長 - BBCニュース


バイデンはイスラエルに対する防衛は「鉄壁だ」としながらも、イランの反撃については否定的で、ネタニヤフ首相に対しては、「米国はイスラエルのイランに対する反撃に加わらない」と内々に伝えたと複数のメディアが報じています。
共和党はバイデンと歩調を合わせてイスラエルに自制をもとめるトーンのようです。
「共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務は、バイデン政権は「イランに十分なコストを課して、侵略とテロ行為をやめさせる国際的な努力を主導すべきだ」と述べ、共和党のトム・コットン上院議員も、「米国はイスラエルを全面的に支援すべきだ」と述べたが、どちらも直接的な報復は求めていない。
マイク・ジョンソン下院議長(共和党)は、「適切な対応を主張するためにホワイトハウスと協力する」と述べたが、その対応の詳細については明らかにしなかった。
トランプ前大統領は、ペンシルベニア州シュネックスビルで開かれた集会で、今回の攻撃は「我々がホワイトハウスにいれば起きなかった」と聴衆に語り、10月のハマスによる攻撃とロシアのウクライナ侵攻の際と同じ主張を繰り返したが、報復攻撃には言及しなかった」

(フォーブス4月15日)
米共和党の一部議員が「対イラン報復」を要求するも、大半は不支持(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

ただしジョン・ボルトン前国家安全保障顧問だけは、14日のCNNで、イスラエルに対し、イランの石油精製所や防衛拠点、潜在的な核開発プログラムを標的にするよう呼びかけています。
映画「トップガン・ェーベリック」を地で行くややこわい正論です。
たぶん同じことをイスラエルは考えているはずです。
長くなるので別稿にしますが、イスラエルがイランの間近に迫ったといわれる核兵器の完成を看過するはずがありません。
イスラエルがやるなら今をおいてない、と決断してもなんの不思議もありません。

今後のシナリオとしては、サウジ、ヨルダンがイスラエル防衛に回ったことは大きく、イランは最後までヨルダンの動向を気にしていたようですが、結局イスラエル側に押しやってしまいました。
これでユダヤvsイスラムという構図づくりには失敗した上に、イスラエルに自衛権発動の理由を与えてしまいました。

これでは仮にイスラエルが核施設を攻撃したとしても、第5次中東戦争にまで拡大することはありえません。

いずれにしてもイスラエル次第です。

2024年4月15日 (月)

日米共同宣言にあるGXとは

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先だっての日米会談について、私はよく練り上げられたものという評価をしていますが、ひとつ引っかかっています。
それは共同声明にあいも変わらず、こういう部分があるからです。

「イノベーション、経済安全保障及び気候変動対策の主導
(略)
日米両国は、気候危機が我々の時代の存亡に関わる挑戦であることを認識し、世界的な対応のリーダーとなる意図を有する。クリーン・エネルギーへの移行の加速化という共通の目標に向け、我々は、補完的かつ革新的なクリーン・エネルギー・サプライチェーンを促進し、産業競争力を向上させるため、この 10 年間のエネルギー移行の進展を加速させることを目指した日本のグリーン・トランスフォーメーション(GX)推進戦略及び米国のインフレ削減法を含め、それぞれの国内施策を実施し、それらの相乗効果と影響を最大化する方法に関する、新たなハイレベル対話を立ち上げる」
100652148.pdf (mofa.go.jp)

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日米首脳、笑顔でツーショット バイデン氏がXに投稿:時事ドットコム (jiji.com)

まぁ、ここまではいかにもバイデンと岸田氏が好きそうなグリーンニューディールかい、と思いますが、これを単なるバイデンに対するおもねりととるか、それとももっと別な含みがあるのでしょうか。
というのは、この宣言中に出てくるグリーン・トランスフォーメーション(グリーン化への転換計画・GX)について、日本はすでに2年前の22年からGX会議なるもの開催しているのです。
GX 実現に向けた基本方針(案)~今後 10 年を見据えたロードマップ~

議長は岸田首相、構成員は林芳正外相、鈴木俊一財相、西村明宏環境相、副議長には松野博一官房長官に加え、GX実行推進担当大臣(前任者は萩生田光一前経産相、現在は西村康稔経産相)と有識者たちです。
いまや政治家の大部分は粛清されて政治生命を剥奪されてしまいましたが、主流は安倍派の積極財政派でした。
先立っての岸田氏による安倍派粛清劇は、緊縮財政・増税派と積極財政・リフレ派との戦いでもあったのですが、前者の一方的勝利に終わりました。

それはさておき、このGX会議で真正面から論じられたエネルギー源が原子力です。
もちろんお約束の再エネはダラダラと述べられていますが、一昔前ならありえなかった原子力の位置づけ変更がさりげなく差し込まれています。

「3) 原子力の活用
原子力は、出力が安定的であり自律性が高いという特徴を有しており、安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向け、脱炭素のベースロード電源としての重要な役割を担う。このため、2030 年度電源構成に占める原子力比率 20~22%の確実な達成に向けて、安全最優先で再稼働を進める」
siryou1.pdf (cas.go.jp) 

GX会議の基本方針では、ウクライナ戦争移行の状況を踏まえて、エネルギー対策に非現実的ではいられないという危機感から、2030年頃までに再び原子力をベース電源の2割にまで引き上げようとしています。
反原発派メディアが見たら目を剥くことでしょう。
なぜなら、福島事故前の水準に原子力を戻そうという意味ですから。

総合エネルギー統計これによると、2010年における原子力の発電量は2882億kWhでしたが、11年に前年比約3分の1の1018億kWhに激減し、12年には159億kWhと、前年比でさらに6分の1に激減しました。13年は93億kWhで、14年にはついに統計上ゼロとなってしまいました。
集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)|資源エネルギー庁 (meti.go.jp) 

それに連れて化石燃料依存度は急上昇しています。

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1.1.2 東京電力福島第一原子力発電所事故及びその前後から顕在化してきた課題 │ 「平成25年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2014)HTML版 │ 資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

原発停止による燃料調達コスト上昇は3.6兆円にも達しました。
カン政権の思いつき的原子力停止は、東日本大震災からの立ち直りに打撃を与えたのみならず、今に至るも日本のエネルギー供給に計り知れない損害を与えたのです。

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資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

その後、電力会社の安全対策工事の完成に伴って、徐々に原発の再稼働が進みましたが、2021年にようやく708億kWhにいまで回復しても、それでも福島事故以前の2010年と比べて発電量は4分の1の水準にとどまっています。

世の中的には、太陽光だの、風力、地熱、バイオマスだのといった再エネの発電量がさぞかし急増しているに違いない、といったことを考える方は多いはずですが、現実には化石燃料への依存度が、原発操業停止以降、逆に非常に高まっている現象を引き起こしました。
日本が環境団体から化石賞をとるとメディアは大喜びで報じていますが、再エネを増やせば、そのバックアップ電源で自動的に化石燃料による発電も増えるのです。

一方、日本は国際公約として「2030年にCO2を5割削減する」という宣言をしてしまっています。
菅氏らしからぬ軽率というべきか、環境問題を小泉ジュニアにやらせた彼らしいというべきか。

いずれにしても菅氏のオーバーランですが、これに合わせて現行の「第6次エネルギー基本計画」でも、削減目標に合わせて無理やりに化石燃料を低く押さえて、「2030年に13年比でCO2(二酸化炭素)を46%削減する」という無謀な数値目標を立ててしまいました。
ベース電源の3割あった原子力が回復しないままに、化石燃料を低く抑えてしまった結果はわかりきっています。
日本のエネルギーは薄氷の上を歩くことになったのです。
電源予備率は常に黄色信号が灯り、日本企業は燃料購入の長期契約が30年にかかるようなものを締結できず、油田・ガス田への事業参加と権益確保もできなくなっています。

再エネと原発停止、CO2削減の三つの要素は、環境原理主義者の脳内では同じ「グリーン」で括られるようですが、現実には相反して両立しないものです。
再エネを増やそうとすると化石燃料に依存するしかなく、化石燃料を増やそうとすればCO2が増えてしまう、ときが現実です。
このもつれた糸を解く唯一の手段は、原子力を適正な規模で、安全を確認しながら稼働させることしか残されていませんが、原子力がタブー視されたままではどうしようもありません。

日米共同声明に戻りますが、ここには原子力は書かれずに、いかにもリベラル好みの洋上風力発電だけが登場します。

「本日、日本が米国のFloating Offshore Wind Shot の最初の国際的な協力者として加わることを発表する。我々は、クリーンエネルギー・エネルギーセキュリティ・イニシアティブ(CEESI)を通じて、各国の事情を考慮しながら、Wind Shot に沿った世界的な野心に向けて協働
する意図を有し、技術コストを削減、脱炭素化を加速し、沿岸地域社会への便益をもたらす革新的なブレークスルーを追求していく。アカデミアとの連携を通じて浮体式洋上風力発電のコスト削減と量産化を目指す、日本が新たに立ち上げた産業プラットフォーム「浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)」を米国は歓迎する」
(日米共同声明前掲)

洋上風力発電ねぇ。とんでもないカネ食い虫で、遠浅の海が少なく、厳しい海に囲まれた日本に一番不向きなヤツですな。
冒頭の問いに戻ると、私は米国の洋上発電への参加に姿を借りた原子力の再定義に向けた伏線ととりたいと思います。
意地悪くとればいくらでも言えるのですが、11月の大統領選でトランプが大統領になったら空手形に終わりますしね。
ま、その時には岸田さんもいないと思いますけど。

 

2024年4月14日 (日)

日曜写真館 朝桜咲きあふれしは風となる

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どこからも離れて一樹朝桜 角光雄

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思はざる一歩がつよし朝桜 林翔 和紙

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鳥よりも人よく遊ぶ花の山  素抱

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在りながらひらきて枝の朝ざくら 岡井省二

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朝ざくら寺より出づる濯ぎ泡 中拓夫

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しんとして露をこぼすや朝桜 正岡子規

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花咲くと鳥もすっかりその気になり  燕音

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花散らす風の無理強ひしたりけり  素抱

 

今回は17ミリの広角を多用しました。奥行きがグっと伸びるので驚きました。
風景には向いていますね。ま、自己満足っすけど。

 

 

2024年4月13日 (土)

日米共同声明、岸田氏GJ

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岸田氏は訪米において日米共同声明と議会演説をしました。
いい仕事をしました。日頃はボロカスに言っていますが、評価すべきは評価します。

いつも朝から酔っぱらっているような京大大学院の某センセなどは、例によって盟主様に従属がぁなどと喚いておられましたが、あんた日本が独力で中国の軍事的脅威にたちむかうつもりなの。
こういう右の反米主義者は安易に自立といいたがりますが、できるものならやってみなさい。
確実に国を滅ぼしますから。

さて今回の訪米の意義は、お土産交換会にあったのではなく、日米共同声明に集約されています。

日経が要約を出してくれました。
日米首脳共同声明の要旨 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
本文は外務省がアップしています。
100652148.pdf (mofa.go.jp)

日米首脳共同声明の要旨は次の通り。
【日米同盟】
一、自衛隊と在日米軍の連携強化に向け指揮・統制枠組みの見直しで一致。

一、情報収集、警戒監視能力の強化を確認。
一、ミサイルなど防衛装備品の共同開発・生産を促進する定期協議や、戦闘機操縦士の育成とジェット練習機共同開発に向けた作業部会を設置。
一、米軍艦船や航空機の大規模補修に日本企業が従事できる仕組みを整備。
一、東・南シナ海での中国による一方的な現状変更の試みを名指しで批判。
一、沖縄県・尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の適用対象だと明記。
一、米国と英国、オーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の第2の柱である先進能力分野で日本との協力を検討。
一、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化。

今回の日米会談はこの日米同盟強化について費やされています。
具体的には、最初の項目にある「連携強化に向けた指揮・統制枠組みの見直し」をするという部分ですが、これは東シナ海、さらには南シナ海において日米の洋上戦力を今以上に一体化していくという意味です。
チームワークで戦い、瞬時にミサイルが飛び交う海戦では、いままでのやり方では通用しない、瞬時の情報共有と一体化した指揮命令系統が必須です。

さらにかみ砕いて言えば、そのチームワークの核心はズバリ空母です。
空母は常に打撃群として運用され、駆逐艦や潜水艦と共にパッケージとして運用されますが、この空母パッケージに海自の護衛艦も加わって一体運用することが念頭にあります。

言い換えれば、日米は中国との対決の場が、海上にあると考えているわけです。
この米空母打撃群に海自を加え、さらには英海軍の空母打撃群とマッチングすることで抑止力を強めていくことが必要です。
英海軍はAUKUSの枠組みで加わりますが、そのめどは2025年とされています。
ちなみに、日本のヘリ空母2隻が軽空母化を完成させるのは、2027年頃だとされています。


この英国の日米同盟への関わりが改めて確認されたことが大きな成果です。
2017年から日本は英国と日・英物品役務相互提供協定(日英ACSA・アクサ)を締結しています。
英国と日本の防衛協力の強化 - GOV.UK (www.gov.uk)
このACSAは、日英が共同訓練する場合に迅速かつ円滑に可能にする協定で、準軍事同盟国を対象にしています。

日本はすでに米国、オーストラリア、英国、カナダ、フランス、ドイツ、インドとの間でACSAを締結しています。

また去年には旗幟防衛相、林外相がフィリピンを訪問し、2+2会談を実現させました。
フィリピンとのACSAの締結はすでに首脳間では確認されており、締結は時間の問題です。

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時事

「マルコス氏と交渉入りで合意した自衛隊と比軍の「円滑化協定(RAA)」は、締結されればオーストラリアと英国に続いて3例目。日本の準同盟国と位置付けられる英豪、安保協力が緒に就いたインド、韓国に加え、フィリピンも柱に据える形で多面的な中国への抑止力としたい考えだ」
(時事2023年11月03日)
日比、「準同盟」へ一歩=対中国で共同歩調 - 特集、解説記事 - 時事エクイティ (jiji.com)

フィリピンは見逃されがちですが、台湾を中心に据えるとその地勢的重要性がわかります。
フィリピン付近に日本列島を置いてみると、いかにルソン島と台湾が近いかわかるでしょう。

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フィリピン共和国とニッポンの地図/国土面積(距離など)をサクッと比較してみた | 関空からフィリピンへ ー そしてあの街へ ー (kix2philippines.com)

上の地図をみれば、台湾有事がフィリピン有事にも連動するのは明らかで、台湾を中心として東と西で日比が連携することの重要性がお分かりになると思います。
今、日本がしようとしているのは、日比準軍事同盟化によって南シナ海の安定にも米英と共に連携していくということです。

「米国は昨年4月、フィリピン内で使用できる軍事拠点を従来の5カ所から9カ所に増やした。新たに増えた4カ所のうち、3カ所はルソン島北部に位置し、残る1カ所は、南シナ海に面した西部パラワン州の最南端の離島にある。
 米空軍中国軍の弾道ミサイル攻撃に対抗し、拠点の分散化などを目指す戦略概念「機敏な戦力展開(ACE)」を推進している。昨年後半から南シナ海の海空域で、フィリピン軍と共同パトロールも始めた。拠点を増やすのは、南シナ海と台湾をにらんだ動きだと言える」
(朝日2024年4月12日)
欲しいバシー海峡の情報、日米がフィリピンとの防衛協力を急ぐ理由は:朝日新聞デジタル (asahi.com)

このような十重二十重に織られたディフェンスラインを、日米は構築しようとしているのです。

 

 

 

2024年4月12日 (金)

精神不安定なこの国、ユン 大統領、大負け

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やれやれユン・ソンニョル(尹錫悦) 大統領、大負けしてしまいました。
苦戦は事前から予想されていましたが、ナンボなんでも負けすぎです。

「【ソウル聯合ニュース】韓国総選挙(定数300)は10日、午後6時に投票が締め切られた。地上波3社(KBS、SBS、MBC)が発表した合同出口調査の結果によると、革新系最大野党「共に民主党」をはじめとする野党が200議席前後を確保し、圧勝する見通しとなった。保守系与党「国民の力」は、比例向け系列ミニ政党「国民の未来」と合わせても100議席前後にとどまるものとみられる」
(聯合4月10日)
韓国総選挙 野党「圧勝」の見通し=地上波3社出口調査 | 聯合ニュース (yna.co.kr) 

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韓国総選挙、与党敗北108議席 野党は過半数獲得 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

●確定議席数
・国民の力(与党) ・・・・・108議席

・共に民主党(前政権党) ・・175議席
・祖国革新党                ・・12議席
・改革新党                ・・・3議席
・新しい未来              ・・1議席
・進歩党              ・・・・1議席

いままでも選挙前の現有議席は、前の左翼政権与党の共に民主党が156議席、ユン大統領の支持母体国民の力が114議席ですから、さらに政府と議会のネジレがひどくなったことになります。
ネジレは今に始まったことではありませんし、考えようによっては、かろうじて野党に200議席を許さず、これまたかろうじて与党が100議席割れをせずに、首の皮一枚でつながってよかったねぇともいえます。
200議席を超えれば、議会とは一定の距離がある大統領制でも弾劾決議を通されてしまう可能性すらありましたからね。
いちおう大統領は、議会の法案に対して拒否権を発動する余地は残しました。

ムン政権の法相で、子供たちを裏口入学させた、オリンピックで乗馬の選手に仕立てたということで辞任に追い込まれたチョ・グク(曺国)が、祖国革新党という政党をデッチ上げて12議席を獲得しているのですから、韓国国民のモラルハザードに対しての鈍感さには呆れます。
チョが狙ったのは、彼らが国会に議席を持つことになれば、国会議員の不逮捕特権を利用して検察捜査や裁判出席を回避することでした。
いままでも共に民主党の党首であるイ・ジェミョンに対して、都市開発や北朝鮮へ巨額の金が渡った疑惑などに関連し、背任や外為法違反などの疑いで検察が逮捕状を請求していました。
しかしイ側は不逮捕特権を使って、検察+司法部vs国会という対立に持ち込もうとした経緯があります。
つまり当選すれば、いくら汚職をしようと私的利益を貪ろうと裁かれることはないと韓国政治家は思っているわけです。
このイ・ジェミンとチョ・グクは、共に次の大統領選に出馬するかもしれません。おお、いやだ。

ちなみにチョ・グクの選挙公約はユン大統領にあと3年は長すぎる」というもので、大統領弾劾を旗印にしていました。
これが一定の支持を得たのですから、アジャパーです。

負けた理由は、いまの2年間以上に渡る不況ですが、構造的な問題なので簡単に解決できません。
経済不況の原因の大部分は、ムン・ジェイン時代にやった愚かな経済政策にあるからです。
ユン大統領としては国際関係を良好にすることで、なんとか打開したかったのでしょうが、これもかなり厳しくなりました。
今後考えられるのは、ユン政権が進める日米韓三カ国連携、さらには韓国の太平洋-アジア地域の安定への寄与の速度にブレーキがかかることです。

そしてこれだけは確かなことですが、次期大統領はまたムンジェイン時代をさらに左に反日に振り切った者がなることでしょう。
ああ、たまらん。

 

 

 

2024年4月11日 (木)

岸田さん、なにしに米国に

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ひさしぶりに昨日は好天に恵まれ、いやまったく恵まれたというのがこの数週間の実感でした。
桜の開花は遅れに遅れ、やっと咲いたかと思えば今度は連日の雨また雨。
写真ファン殺すにゃ刃物はいらぬ、1週間雨ならいい、ってなもんです。
昨日の晴天で、桜を撮らない奴はカメラ捨てなさい。
一日で百枚以上撮ってしまいました。写真館3回は堅いな。

さて岸田氏が訪米しているようです。
しているようとは失礼な言い方で恐縮ですが、地上波でもほとんど報じられていないので、お気の毒なことです。
誰も、この9月の総裁選で岸田氏が当選することなんかありえなと考えているので、もうレームダック扱いです。

ユーは何しに米国に、といえば、こういうことのようです。

[ワシントン 9日 ロイター] - 訪米中の岸田文雄首相は9日、ワシントンで行われた米商工会議所主催のビジネス円卓会議で、次世代半導体の分野で日米が協力する機会が増えるという考えを示した。
岸田首相は日米首脳会談を10日に控える中、トヨタ自動車やソニーグループなど日本企業8社が出資して設立したRapidus(ラピダス)が次世代半導体の研究開発で米企業と提携していると指摘。「日本と米国の間でこうした協力の機会が今後も増えるだろう」と語った。
ラピダスは米IBMなど提携し、最先端半導体の製造を目指している。
こうした中、米マイクロソフトは9日、日本で生成人工知能(AI)のインフラ基盤を強化するため、2年間で29億ドルの投資を行うと明らかにした。
岸田首相はまた、2024年は日本経済がデフレから完全に脱却する年になることを期待していると述べた。中国については触れなかったものの、日米については、両国の経済の弾力性を強化し、世界経済の成長を共に推進することがますます重要になっているとう認識を示した」
(ロイター4月9日)
次世代半導体巡る日米協力拡大に期待、岸田首相 日米首脳会談控え | ロイター (reuters.com)
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ロイター
岸田氏の訪米は大きくふたつの意味があるでしょう。
ひとつめは、ロイター記事には書かれていませんが、昨日ふれたJAUKUS(ジョーカス)の細部を詰めるためです。

9日にはバイデンと英国、豪州国防相の会談で、AUKUS(オーカス)の「第2の柱」である極超音速兵器や対潜水艦戦能力、人工知能(AI)などの共同開発で「日本との協力を検討している」と指名されたばかりです。
これはAUKUS最初のパートナー国となったわけで、アングロサクソンではない国としてはもちろん最初です。


後になると、ああそうだったのねと思うことがままありますが、セキュリティクリアランス法や、閣議決定で次期戦闘機の輸出が可能となったことなど、やはりAUKUS参加への下準備だったようです。
「[東京 26日 ロイター] - 政府は26日、英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出を解禁する方針を閣議決定した。防衛装備移転三原則の運用指針の一部改正も国家安全保障会議(NSC)9大臣会合で決定した」
(ロイター3月26日)
政府、次期戦闘機の輸出解禁を閣議決定 | ロイター (reuters.com)
様々なものが共同開発の候補に上がっていますが、おもしろいのは原潜です。
オージーは新規の潜水艦の獲得に失敗し続けており、わが国の潜水艦もその候補になったことがあります。
フランス製に決まりかけたところでまた振り出しに戻り、結局、米国が原潜技術を提供するということで落ち着きました。
仮に、将来的に日本が原潜を必要した場合、AUKUSの技術的枠組みは大きいと思われます。
ただし保有は政治的に大変に難しいでしょうが。
安全保障はさておき、もうひとつの訪米の目的は、半導体産業の日米共同の取り組みについてです。
実は、今、日本は自由主義陣営の半導体産業の牽引車になろうとしています。
かつて世界の半導体産業の牽引車だった日本は、見る影もなく落ちぶれ、技術者は頭脳流出し、技術は陳腐化し、需要そのもののも製造業の不振でない、企業家はやる気がない、というないない尽くしでした。
これが反転したのは去年でした。
今、日本の半導体産業に、世界からの投資が集まっています。
そのきっかけは、世界最大手の台湾企業TSMCによる熊本工場の始動でした。
2月に第1工場が完成したのに続いて、もっとも技術水準が高い6ナノメートルの先端半導体を生産する第2工場の建設も決まりました。
この6ナノのこそが、中国が喉から手がでるほど欲しがっている半導体の先端技術なのです。
しかし米国の半導体輸出規制で対中輸出が止まりました。
これを日本で生産するというのですから、ある意味日米台が中国の喉頸を押さえたようなものです。
第3工場の建設も決まり、これまでに決定した投資総額は3兆4000億円、別枠で日本政府は1兆2000億円という思い切った投資を約束しています。

「さらには北海道千歳では先端半導体の国産化を目指すラビダスの工場建設が始まり、キオクシア・ウェスタンデジタル(北上・四日市)、マイクロンテクノロジー(広島)、サムスン(横浜)等、すでに4兆円の政府補助が決められている。この投資規模と迅速さは、米国、中国、韓国、ドイツなど各国政府が進めている半導体産業支援の中でも先頭を走っている。国の支援を追い風に、半導体メーカーだけでなく、装置メーカー、材料メーカーなど関連各社が投資を拡大し産業連鎖の好循環が起きつつある」
(武者リサーチ3月18日)
日本半導体産業復活をけん引する「天の時、地の利、人の和」 | 武者リサーチ (musha.co.jp)

そして訪米に合わせように、マイクロソフトまで日本に2年間で29億ドルの投資をしてAIのインフラを作ると発表しました。

「[東京 9日 ロイター] - 米マイクロソフトは9日、日本で生成人工知能(AI)のインフラ基盤を強化するため、2年間で29億ドルの投資を行うと明らかにした。
投資規模はマイクロソフトが日本で事業を始めてから46年間で最大。東京に「マイクロソフト・リサーチ・アジア(MSRA)」の拠点を設立するほか、300万人のAI人材を育成する」
(ロイター4月9日)
マイクロソフト、日本でAIインフラ強化 2年間で29億ドル投資 | ロイター (reuters.com)
岸田氏の訪米は、引退の花道だと揶揄されてきましたが、このような大きなウェーブが到来しているさなかの訪米となりました。
まだ運が残っていたんだね、岸田さん。
ただし、日米首脳共に任期があとどれだけあるのかまったく見えない中での日米会談ですので、やや艶消しとなります。
韓国のユン大統領とも面談するようですが、与党の大敗で、せっかくの日米韓の連携がまたグズグズになりそうです。

2024年4月10日 (水)

JAUKUS(ジョーカス)始動

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去年11月の麻生氏キャンベラ発言というのがあります。

「【キャンベラ時事】自民党の麻生太郎副総裁は13日夜、オーストラリアの首都キャンベラで講演した。中国による台湾の武力侵攻の可能性に強い懸念を示した上で、「東京、キャンベラ、ワシントンは声を一つにして、武力によるいかなる現状変更も容認できないと発信しなければならない」と述べ、日米豪3カ国の結束の必要性を訴えた。
 麻生氏はシンクタンク「豪国際問題研究所」の安全保障問題の会合で講演。この中で、中国本土に近い台湾の離島、金門島がまず標的となる可能性に言及。「台湾が中国本土の一部になれば、米太平洋艦隊の役割は消えてしまう」と語った。さらに「中国の長期的な目標は(伊豆・小笠原諸島からマリアナ諸島群などを結ぶ)第2列島線を押さえることだ」と指摘。「中国への対抗は長いマラソンになる」との認識を示した」
(時事2023年11月13日)
中国の台湾侵攻容認せず 麻生氏「日米豪は声を一つに」:時事ドットコム (jiji.com)

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時事

この発言が、JAUKUS(ジョーカス)を作る発端になりました。

「麻生氏は個人的な見解と断った上で、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に日本を加え、「JAUKUS(ジョーカス)」とすることを提案。安保分野で「日本は貢献できる」と述べた」
(時事前掲)
中国の台湾侵攻容認せず 麻生氏「日米豪は声を一つに」:時事ドットコム (jiji.com)

麻生氏はこの3カ月前に台湾で「戦う覚悟」というなかなか渋いとを言っています。
中国は例によって過敏に反応し、「日本は再び戦前の巨大軍事国家を目指しつつある」と書き立てたようで、かえって麻生氏に「抑止力が働いたと思った」と喜ばしています。
一方日本メディアは「戦う覚悟」という言葉を、竹槍持って撃ちてしやまんというふうに報じて反感を煽っておりましたっけね。

この一連の麻生氏の発言は、安倍氏の「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を先取りした、2006年麻生外相時の「自由と繁栄の弧」がベースです。
つまりFOIPは安倍氏と麻生氏との共作が世界を動かしたともいえます。
盟友を失った麻生氏は、ひとり孤軍奮闘してFOIPを恒久的枠組みとすべく肉付けしている、といえるかもしれません。

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000430631.pdf (mofa.go.jp)

さて、この麻生氏のJAUKUS(ジョーカス)構想は、豪国際問題研究所での講演で提唱されたものです。
欧米の指導者はよくこのような安全保障の研究所での講演を戦略の提唱の場に使いますから、麻生氏もなかなかやります。
同時に、政府はセキュリティ・クリアランス法案をとうとうモノにしました。

「経済安全保障上、重要な情報へのアクセスを国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設に向けた法案をめぐり、衆議院の内閣委員会で自民・公明両党と立憲民主党などが修正案を提出し、採決の結果、賛成多数で可決されました。
セキュリティークリアランス制度は、漏えいすると日本の安全保障に支障を来すおそれがあるものを「重要経済安保情報」に指定し、これらの情報へのアクセスを民間企業の従業員も含め、国が信頼性を確認した人に限定するものです」
(NHK4月5日)
セキュリティークリアランス制度の修正法案 衆院内閣委で可決 | NHK | 経済安全保障

いままで日本が再三AUKUSへどうだlという声かけをされながら実現に至らなかったのは、憲法9条がらみもさることながら現実にはセキュリティーが甘いために、外国との情報共有ができなかったためです。
外国からすれば、日本に情報提供したら最後ダダ漏れ、あっと言う間に北京が知っていたでは安全保障協力なんぞできるわけがありませんからね。
高市氏の奮闘でセキュリティクリアランス法が可決し、これで晴れて日本は諸外国と対等で同盟を組むことができるようになりました。
このような麻生氏の発言と高市氏のセキュリティクリアランス法は連動して動いており、AUKUSへの参加を目指したものでした。

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ロイター

「[ロンドン/ワシントン 8日 ロイター] - 米国、英国、オーストラリアは3カ国の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を通して日本と先端防衛技術分野で協力することを検討している。3カ国が8日、声明で明かにした。
関係筋は、岸田文雄首相が10日にワシントンでバイデン米大統領と会談する際、この件も取り上げられるとしている。
3カ国は声明で「日本の強みと、3カ国それぞれとの緊密な2国間防衛パートナーシップを認識し、先進技術を巡り日本と協力することを検討している」と表明した。
声明は英政府が発表。英国のシャップス国防相は、AUKUSのパートナーである米国とオーストラリアのほか、日本を含む他の国との今後の協力について年内に協議を開始すると明らかにした」
(ロイター4月9日)
米英豪「AUKUS」、日本との協力を検討 先端防衛技術で | ロイター (reuters.com)

このAUKAS同盟ができれば、ある意味でNATO以上に強力な軍事同盟となるでしょう。
NATOはブリュセルの本部で、外相会議を開催しました。
同時に4日にはNATO創設75周年の祝賀会が挙行されて、いまやNATOはフィンランド、スウェーデンの北欧2カ国を加えて、32カ国体制という壮大な規模になりました。
まことにプーチン氏の尽力の賜物です。ウクライナ侵略がなければ、いまだヨーロッパは太平楽な眠りに浸っていたことでしょう。
ですからストルテンベルグ事務総長が祝賀スピーチで「我々は歴史上最も強力で最も成功した同盟である」と述べているのもわからないではありません。

しかし傍目八目で眺めれば、NATOはやっと軍事同盟になれたというのが実情で、つい最近まで盟主を気取るドイツはロシアと蜜月をむさぼっていましたし、フランスはド・ゴール主義丸出しで反米が国是のようなありさまでした。
そして両国とも中国にはベタベタに甘い対応で、中国を慢心させていました。

フランスなんぞは、NATOプラス構想の下でアジア事務所を東京に作ろうという計画を、ひとり反対して潰していただきました。
これは単に中国におもねっただけではなく、アングロサクソン同盟に近い日本をNATOに近づけると、米英の力が強くなりすぎるという思惑があったためだといわれています。
また東欧諸国も一枚岩ではなくハンガリーは親露的態度を撮り続け、ウクライナ支援の足を引っ張っています。
トルコに至っては、NATOにいることのほうが不思議です。

このような揃わない足並みは、NATO第5条の自動参戦条項のメダル裏側とでもいうべきもので、一国への攻撃は全体への攻撃と見なして反撃するというと聞こえがいいのですが、裏返せば一カ国でも反対すればなにも決まらないことにつながります。
それはフィンランドとスウエーデンの加盟に、トルコが国内問題を理由に拒否したために加盟まで迂遠な道のりであっことを思い出せばわかるでしょう。

それに対して、英米豪の参加国共同体であるAUKUSは、非常にすっきりとした軍事同盟です。
英国と英連邦国+米国といういわばアングロサクソン同盟であり、中国の脅威に対しての認識のズレはありません。
唯一の不安は、政権交代によるブレですが、豪では2022年政権交代があり、対中強硬派であった与党・保守連合(自由党と国民党)から、対中融和色が強い労働党に政権が変わりましたが、温度差はあるもののAUKUSには賛同しています。

おそらく今年中に協議が始まり、遠からず加入の手続きに入るのでしょうが、これでNATOに並ぶアジアの安全保障アーキテクチャ(構造物)が完成します。
こんな重大な時期に必要なのは政治の安定です。
与党をぶッ壊している暇はないのです。

 

 

 

2024年4月 9日 (火)

脱炭素なのか、脱原発なのか、再エネ100%なのかをはっきりさせなさい

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立憲はかねてから「自然エネルギー立国」を唱えてきました。

「立憲民主党の枝野幸男代表は23日、日本外国特派員協会で記者会見し、自身が唱える「自然エネルギー立国」の実現により脱原発を達成したいと意欲を示した。「原子力を発電に使わないという方向を、できるだけ早く実現する。自然エネルギー分野を成長させて、国内(需要)の100%に近づける」と述べた。
 自然エネルギーはコストや安定供給といった課題を抱えるが「供給量や価格は、時間の問題で解決できる」と断言。技術を発展させ、世界に売り込む考えも示した。使用済み核燃料の処分や廃炉、立地地域の雇用など脱原発の課題を挙げ「正面から向き合い、解決へ努力したい」と強調した」
(秋田魁新法

いつまで同じこと言ってんでしょうか。原発ゼロと再生可能エネルギーのワンセットです。
福島事故後の数年間ならまだしも、いまでもこんなことが争点になっていると思う神経が理解できません。
もう論じ尽くしたテーマなので延びきったラーメンのように食欲がでません。

論点はいくつかあります。
枝野氏は再生可能エネルギー(再エネ)という表現が一般化する前の「自然エネルギー」に表現を替えましたが、言っていることは一緒です。
というかゼンゼン進化しないね、このヒトたち。
いやいっそう定向進化しちゃって、なんだって「国内(電力需要の)100%にする」ですって(笑)。ぶ、はは。100%無理。
いまでも風力、太陽光、地熱など合わせても8%に満たないのに、どこをどうしたら100%になるんだつうの。
北海沿岸の風力発電から長距離送電網を作って、森林伐採しまくってまで「自然エネルギー」を増やしたメルケルのドイツですら、せいぜい2割台です。

Fig11

2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合(速報) | ISEP 環境 ...isep.or.jp

脱原発に熱心で、民主党政権時代にはグリーンニューディールなんて言っていた米国も、早々と壁にぶち当たって、いまや原子力を増やそうとしています。

「クリントン政権の発足当初は、核不拡散を最優先課題とし、エネルギーについては原子力を重視せず「再生エネルギーを重視」するものであり、前ブッシュ政権時代と比べて原子力開発予算は劇的に削減され、重要プロジェクトは次々と中止に追い込まれた。
逆に、政権の2期目では、原子力に対する政権の取り組みが徐々に変わり、地球温暖化防止、輸入石油への依存などの現実から、「原子力をエネルギー源選択のオプションとして残す」方向へと政策は変わってきた。
また既存の原子力発電所定期検査のサイクルの長期化、出力増加等により発電量を増大させるとともに「原子力2010」計画により新規原子力発電所建設を目指し、補助金、規制改革など民間の取組を支援している。
国内の石油、ガス価格高騰、大規模停電等の問題解析のため、2001年5月「国家エネルギー政策」を発表し、これを受けて上下両院で包括エネルギー法案の審議が開始された。審議は難航したが、2005円4月下院を通過した。同6月上院を通過し、上下両院協議会に入り、合意を得た後、8月8日に大統領が署名し成立した」
主要国のエネルギー政策目標 (01-09-01-01) - ATOMICA -

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今どき世界ひろしといえど、原発ゼロにして再エネを100%に近づける、なんてイっちゃったことを言っているのは立憲くらいです。
そもそも「自然エネルギー」で唯一モノになるのは水力くらいでしたが、脱ダムやっちゃったのは民主党政権でしたっけね。

「自然エネルギー立国」なんて、イメージだけでしゃべっているからこうなるのです。
本来、政策化するためにはテーマを切り分けて、目的をはっきりとさせねばなりません。
地球気象変動を止めたい、そのために地球温暖化ガスの二酸化炭素を削減するか、その温暖化ガスの原因となる化石燃料を削減するために再エネを増やしていくのか、はたまた放射能ゼロ、別の言い方で原発ゼロなのか、です。
このヒトたちの脳味噌の中ではきっと、地球温暖化阻止→火力発電削減→原発ゼロ→再エネなんて公式が並んでいるのでしょうね。

実はこれらの事柄は、なにも考えないとスッと矛盾なく繋がるようですが、実は矛盾しあっている要件です。
というのは、地球温暖化の主な原因が二酸化炭素かどうかはとりあえず置くとして(私は懐疑論者ですが)、現実にCO2削減をしようと思うと、もっとも手っとり早いのが、原子力を増やすことだからです。

原子力はなんせ二酸化炭酸ガスや硫黄酸化物をまったく排出しない「クリーン」なエネルギーだからで、ただCO2削減が目的ならば、化石燃料発電(火力)をさっさと止めて、原子力に一本化するのが近道です。
ただし、3.11の福島事故のように事故が起きた場合、その規模と影響の時間尺の長さは巨大で、他のエネルギー源のそれとは比較になりません。

また原発が未完成な技術体系なことは確かです。
いま新世代原発の登場によって福島事故のような全電源停止状況でも炉心冷却可能なタイプが生まれてきてはいますが、むしろハード以外の耐用年数制限の問題、高濃度廃棄物の最終処分のあり方、核廃棄物と原発稼働数との関係(総枠規制)、あるいは核リサイクル施設の存続といった未解決な問題が山積しています。
これらの諸問題は、いくら新世代原発がステーションブラックアウトであっても炉心冷却出来るようになったととしてもつきまとう問題です。
ですから、原発は「今なくては困るが、そこそこに」というのが私の考えです。
私はその意味で、少なくともGE型のような旧世代原発から段階的に削減していくしかないと考えています。

しかし福島事故以前は約3割のベース電源であったために、直ちに「原発ゼロ」といっただけではなんの問題解決にもなりません。
しっかりとその3割のエネルギーの穴を埋める代替エネルギーがなくてはなりません。
それをまったく考えずにやったのが民主党政権で、それをまたぞろ性懲りもなく押し入れから取り出したのが立憲です。
小泉元環境大臣のパパは有名な反原発運動家ですが(総理大臣だったって噂がありますが、ほんとかしら。ウソでしょう)、翁はこう言っています。

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「今こそ原発をゼロにするという方針を政府・自民党が出せば一気に雰囲気は盛り上がる。そうすると、官民共同で世界に例のない、原発に依存しない、自然を資源にした循環型社会をつくる夢に向かって、この国は結束できる 」
(ハフィントンポスト 2013年10月2日) 

まるでマックのセットメニューです。
ところが、実はここれら微妙に絡んではいるものの、相互に矛盾していて、本来なんの関係もないそれぞれ別途に検証せねばならないテーマなのです。  

さて再エネは、もっとも古典的なエネルギー源として古くからありました。
中世にはほぼ今の原型を完成させていますが、産業革命で大部分はすたれつつも、地域にしぶとくしがみついて生き抜いてきました。  
それが改めて再注目されたのは、1979年のスリーマイル島事故以後の脱原発運動の盛り上がりからです。 
この中で再エネ(当時の言い方では「市民エネルギー」)は、その言葉のニュアンスどおり市民が、「裏庭で自分の家のエネルギーくらいは作ってみせる。その分原発はいらないんだ」というはなはだ牧歌的なものでした。  

自然エネルギーのイデオローグであった飯田哲也氏の初期の本には、1986年のチェルノブイリ原発事故以後のスウェーデンで、同じような地域で市民が知恵と金を出し合って風車を建てていくエネルギー・デモクラシーの様子が描かれています。  
世界中で市民が日曜大工で怪しげな「エネルギー発生装置」を作ったり、市民ファンドで風車を回していたのです。 

このような牧歌的な再エネは、今では「神代の時代」の昔語りにすぎません。
なぜなら、今や脱原発運動は、裏庭どころか再生可能エネルギーを社会全体の代替エネルギーと位置づけてしまったからです。  
この本来は、地域の生活や生産に密着した「裏庭エネルギー」だったものが、一躍世界上位の工業国家の代替エネルギーなどという身分不相応の位置を与えられれば、そりゃ失敗して当然です。

発電規模のケタが違う再エネを「飛躍」させようとすれば、必ず別の矛盾を引き起こします。 
それは反原発運動の意識の延長で国家規模の、しかも世界で屈指の工業技術国の代替エネルギーを再エネに据えてしまったドイツの経験が物語っています。  
ドイツではいくら優遇策であるFIT(全量・固定価格買い上げ制度)に厖大な金をつぎ込んでも再エネは07年時点で最大で16%にしか伸びませんでした。 (下図参照) 

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熊谷徹氏による

ちなみにその内訳は、風力発電が4割、バイオマスが3割、水力が2割、太陽光が1割未満です。  
驚かされるのは、太陽光は再エネの代表選手のように思われているものの、実は全エネルギー源の0.2~0.4%(2010年現在)にすぎないことです。
 一方、ドイツは原発を暫時停止(完全停止していません)することによって、低品質の硫黄酸化物の多い国内石炭火力発電が49%にも増えてしまいました。 
ですから、皮肉なことには脱原発政策によって化石燃料シフトが起きてしまったのです。 これによってドイツの炭酸ガス排出量は一挙に増えていきます。 

実はわが国もまったく一緒でした。わが国はある意味ドイツより過激な「全原発停止検査」ということを初めてしまったからです。
なんの法的根拠もなく、ただのカン氏の「お願い」で、全原発ストップですから呆れたもんです。
結果がこれです。火力発電一色となりまなした。
皮肉にも原発ゼロにすると火力発電が増えてしまい、したがって炭酸ガス排出量が増加するというトレードオフの関係がはっきりしてしまったのです。

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2013年度のエネルギー源別の発電電力量の割合http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id035081.html

2018年度の実績値 → 2030年度の計画値
原子力 6% → 20-22%
石炭 31% → 26%
LNG 38% → 27%
石油 7% →  3%
再エネ 17% → 22-24%(*再エネは水力を含む)
出所:
・ 2018年度エネルギー需給実績(速報値)
・ 第5次エネルギー基本計画(2018年7月発表)

化石燃料を主体とした発電を続ける限り、わが国は二酸化炭素を削減することは不可能です。
原発を止め、9割弱を化石燃料に依存している現状では、パリ協定目標を達成することは不可能です。
つまり、エコ政策を突き進もうとして二酸化炭素ガス削減するためには原発を一定割合で組み込まねばならず、組み込んだら今度は反原発派から「危ない原発反対」とやられるという二律背反になってしまうわけです。
枝野氏にどうやったら原発を止めたままで、CO2削減できるのかお聞きしたいものです。

特に2008年からの2年間の二酸化炭素の排出量の増加は危険視されています。脱原発よって環境が確実に悪化したのです。  
2009年の国連気象変動サミットにおいて、鳩山元首相が国際公約してしまった1990年比で2020年までに25%温室効果ガスを削減するという目標年になってしまいましたが、原子力発電なくしてどのようにするのかはまったく不透明です。

(*CO2削減率問題については過去ログをご覧ください。)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-a3c7.html 

下図を見ると、1997年の京都議定書以降も、CO2は増加の歯止めがかかっていないのが現状です。
京都議定書 - Wikipedia

 

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Warming_chart01化石燃料などからのCO2排出量と大気中のCO2濃度の変化出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010http://www.jnfl.co.jp/recruit/energy/warming.html

このように京都議定書は失敗し、パリ協定もまた実行が疑問視されていることは確かです。
それ以前の1990年に8%削減という政府目標を立てた時ですら、そのために原発を9基増設し、当時60%台だった稼働率を一挙に81%にまで引き上げ、太陽光も20倍にする、と試算されていました。 

また、2009年時点で、政府は電力に占める原子力の割合を当時の30%から2030年には50%にまで引き上げる計画を立てていました。 
とうぜんのこととして、それらの計画は3.11以後、完全に白紙になりました。 
ここで、ではどうやったら原子力なしでCO2削減ができるのか、という問題に直面せねばならなくなったわけです。 

このように簡単に「原発ゼロ」と言って済ませられる問題ではないというのがお判りいただけたでしょうか。
原発問題というのは、放射能リスクばかり強調されがちですが、むしろエネルギー問題だと私は思っています。
原発のリスクをなくすということは、別なリスクを取ることでもあります。その新たなリスクの大小が、代替エネルギーを選ぶ基準となります。  

問題のあり方を切り分けられず、トータルに代替エネルギーを見られない連中だけが、いまだに「自然エネルギー立国」なんて脳みそが日焼けしたことを感覚的に言っているにすぎません。
枝野さん、いつまでも「グリーン立国」なんてお菓子ばかり食べていないで、真正面からエネルギー問題を見たらいかがでしょうか。

2024年4月 8日 (月)

見事なまでに見苦しい川勝知事

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見事なまでに見苦しいのは、岸田氏だけではなく川勝知事も同じなようです。
言うに事欠いてなんと言ったのでしょうか。

「過去の自身の言動が批判を浴びたことを念頭に、「その都度、以後このようなことのないようにと努めていたが、再び、思いもかけない形で(今回の問題が)浮上した。自らの不徳の致すところ」と陳謝。「私の『職業』に対する気持ちは、常に尊敬と敬愛であり、(今回の発言は)本当に本意ではなく、心からお詫びしたい」と謝罪を重ねながら、「人を傷つけたことには私の心も傷ついている」とも述べた。
ただ、問題視された一連の発言について、「悪かったという思いはあるが、言葉不足だった」などとして撤回はしなかった」
(産経4月3日)
「人を傷つけて私の心も傷ついた」不適切発言で辞意の静岡・川勝知事が謝罪 撤回はせず - 産経ニュース (sankei.com)

いいですか、川勝さん、これは謝罪会見の場の発言なのですよ。
ズっと時間がたって回想のインタビューでしゃべっているんじゃない。場をわきまえなさい。
ズっと未来で言うならまだしも、怒っている人たちが現に目の前にいるのに、言った当人が「人を傷つけたことには私の心も傷ついている」なんて言ったら、どうとられるか、常識がなさすぎます。

たぶんこうとられたはずです。
ボク、君を傷つけたみたいだったけば、それは一部を切り取られたからなんだよ、ひどいメディアはボクをバッシングしたんでボクもいっぱい傷ついちゃった、というにとるでしょうな。
川勝さん、あんた子供ですか。
いままでさんざん失言王として県議会と対立してリコールまで迫られた原因は、こういう余計なことを言うためだって、まだ気がつかないんですかね。

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産経 川勝知事

この人はまったく反省していません。
川勝氏の例の新入職員への挨拶も、たしかに川勝氏が言うように「切り取られた」という一面があるのはたしかです。
全文はテレ静がアップしています。
【全文】物議醸す川勝知事の新入職員への訓示 特定の職業引き合いに「みなさんは頭脳・知性の高い方」静岡 | ニュース | テレビ静岡 (sut-tv.com)

テレ静は「切り取りされた」という川勝氏の言い分を検証するために、あえて全文をアップしています。
内容的には、なんのことはない、よく中小企業のオヤジが言いそうな内容です。
いわく、「上にへつらわない、下に威張らない」、「言葉遣いは礼儀正しく」、「デスマス調でしゃべれ」といったことから、「人の艱難を見捨てないこと」、「自分の信念を貫け」などという、人生訓話も垂れています。
全体にありきたりの内容ですが、おもしろいのは「危機管理が大事」と言っていることです。
これは東海地震に対しての備えを言いたいのでしょうが、今回、見事なまでに危機管理が出来なかった川勝氏に言われたくはない弁です。

そして真ん中あたりで、あの例のクダリが登場します。

「そしてですね、そのためにはですね、やっぱり勉強しなくちゃいけません。実は静岡県、県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです」
(テレ静前掲)

農業や畜産たちのように「モノを作る」奴より、県職員は「頭脳、知性が高い」とハッキリ言っちゃっています。
はい、これで前後なにを言おうと一発アウトです。
たぶん事前に第三者がチェックしていれば削除したでしょうに。
後半は自慢話とお国自慢みたいなものですから略します。

この職業差別と批判を受けた一節は全体の1割以下の分量でしかなく、川勝氏はそこにポイントを置いてしゃべったのではなく、「知性を磨け」ということを言いたかったようです。
だから初めは謝罪を拒んだのでしょうね。
「知性を磨け」と言いたいならば、農林水産業者に対する明らかな侮辱を枕にするな、ということです。
こういう不用意な一言が飛び出すのは、本当にそう思っているからです。
象牙の塔に棲むリベラル知識人によくある習性です。

全体を読め、切り取るな、と言うなら、秘書室に原稿を事前に渡してチェックしてもらうべきでした。
きっと「知性」に自信がおありの川勝氏は自分で書いて、勝手にしゃべっちゃったんでしょうね。
そしてその後全国から怒濤のような批判を浴びるとうろたえて撤回しないのですから危機管理ができていません。
だからやっと謝罪をしたのはいいのですが、撤回は拒みそれも「私も傷ついた」なんて余計なことを口走るのです。
あのね、謝罪の時期が伸びれば伸びるほど、その謝罪は面倒になるのですよ。
わかっているのかな、この人。

さて静岡県の新入職員の皆さん、今回の川勝知事の放言に学ぶとすれば、謝罪は危機管理のイロハのイであることを自覚することです。
そのために、失態を犯した当人に好きにしゃべらせてはいけません。
感情的になっているかもしれない当人が、思っていることをそのまま失言を待ち構えているハイエナ・メディアの前でしゃべり散らせば、さらに状況は悪くなり、傷は深くなります。
結果、静岡県はコーポレートガバナンス(企業統治)ができていない組織だという烙印を押されかねません。

「自社に何らかの責任があり、顧客、取引先や一般消費者等に迷惑をかけている状況ならば、通常はまず何をおいても「お詫び」(謝罪)すべきである。
その際、「お詫び」の要素として必須なのは
A.誰に対する謝罪か(被害者、迷惑をかけている相手など)
B.謝罪の根拠が何で、どのような言葉で詫びるか」
危機管理を考える(1)【企業不祥事における謝罪会見】 | 危機管理を考える(1)【企業不祥事における謝罪会見】|PR総研 オンラインプレスルーム (kyodo-pr.co.jp)

今回ならば、農業団体、林業団体、水産団体に対して謝罪し、その理由は「言葉が足りなかった」などというあいまいな根拠ではかえって怒りを助長して逆効果です。
ましてや「自分も傷ついた」なとと言ってしまえば、いくら美辞麗句で謝罪を飾ってもまったく無駄。
このケースの場合ヘルプレスですから、平謝りするしかないのです。
ほんとうに危機管理ができない学者バカです。

ここまでダメなら、いっそのこと本心を言えばよかったのです。
県議長はこう言っています。

「(静岡県議会)中沢議長によると、川勝知事は県議会6月定例会の開会日(6月19日)に辞める意思を示した上で、懸案となっているリニア中央新幹線をめぐる問題について、JR東海が2027年の開業断念を発表したことから「自分の役割は終わった」と話したということです。
これに対し、中沢議長は「なんでそれが任期途中で辞めないといけないことにつながるのか、さっぱり意味がわからなかった」と疑問を呈し、「説明の受け止めとしては嫌がらせが成就したので私の役目は終わったという感じだった。辞めるのは職業差別にまつわる不規則発言が理由ではなさそう。どうやらリニアが上手くいかなかったこと(2027年の開業断念)について目途が立った」と述べました」
(静岡テレビ4月9日)
県議会議長「嫌がらせが成就した…役目は終わったという感じだった」 川勝知事から辞職報告受け 静岡(テレビ静岡NEWS) - Yahoo!ニュース

そうです。JR東海は2027年のリニアの開業を断念したぞ、これで自分の知事になった目的は達せられた、わ、ははと天を向かって哄笑してやればよかったのです。
こんなことを言えば別の意味で問題になるでしょうが、もうその時は知事辞めてますから。

 

2024年4月 7日 (日)

日曜写真館 げんげ鋤いて代掻く頃の風雨かな

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どしやぶりの雨に代掻立ち尽す 豊田千代子

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代掻きてより太陽の力づく 千代田葛彦 

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代掻いて天のあをさを地に移す つじ加代子

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代掻いて村一斉に水うごく 鈴木正治

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たんぽぽに代掻く泥の容赦なき 松倉ゆずる

 

今年の櫻はなかなか開花せず、まだかーいと思っていたら、やっとの思いで開花。
こんどは連日雨。
今日も満開ですが、写真も花見も出来ません。なんてこったい。

 

2024年4月 6日 (土)

まともな野党、自民の崩壊に戸惑う

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ひとり破局へと突っ走る岸田自民に困ってしまったのは、まともな野党です。
いまの国民民主や維新は、現在の自民よりズっとまともです。

特に自民と是々非々で共同でできる政策を煮詰めようとしていた国民民主は、相手方の自民が空中分解をはじめたので当惑したようです。
玉木氏が連立野党でもないのに、自民と一時的に協調して予算案審議通過に応じたのは、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」の凍結解除の実現のためでした。

去年、ガソリンはひどい値上がりを示します。
なんせ全国平均が186.5円ですから、車が生命の郡部では生産活動も生活も逼迫しました。

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ガソリン価格 過去最高値 1リットル186.5円 あすから負担軽減策 | NHK | 原油価格

「トラックやトレーラーで長距離輸送を行う富山市の運送会社では、利益が昨年度の同じ時期に比べおよそ3割も減少するなど燃料費が経営を圧迫しています。 会社によりますと、トレーラー1台が富山と首都圏を1往復するとおよそ580リットルの軽油を使い、1リットルあたり10円の値上がりで1か月の燃料費は200万円ほど増えるということです。
このため、今年度に入って7月までの利益は昨年度の同じ時期と比べておよそ3割も減少したということです」
(NHK2023年9月6日)

またガソリン青天井は、農林漁業も直撃しました。

「東二見漁協によりますと、近海で漁を行う船は燃料として1日あたり100リットル程度の軽油を使用していますが、3年前と比べると、燃料代がおよそ1.5倍に増えているということです。
漁協では少しでも燃料の使用を減らそうと、燃費を向上させるため船底につく貝などを頻繁に清掃するよう促したり、漁を終えて帰ってくる際は速度を抑えたりすることなどをアドバイスしています。
しかし、漁業者の中には一定以上の漁獲量が見込めない日は赤字になるとして漁に出るのを見送る人も増えているとしています」
(NHK前掲)

離島便の船賃が軒並み値上がりしたのもこの時期です。

「連絡船のひと月あたりの燃料費はここ2、3か月は65万円前後で推移してきましたが、急激な値上がりで今月の燃料費は70万円に届く可能性もあるということです」
(NHK前掲)

農業はトラクターや施設園芸が悲鳴を上げました。
このようにガソリン価格の上昇は、国民生活の生活と生産に大きな打撃を与えたのです。

ところで政府がとったのは石油元売りに対する補助金でしたが、これでは個々の元売りの判断でどうにでもなるために、即効性はありません。
たぶん財務省の既得権にふれたのでしょう。補助金なら恒久減税ではないためにすぐに打ち切れますからね。
後述しますが、すでにできた法律があるというのに、財務省に弱い岸田政権らしい弱腰です。

当時まだ追放されていなかった松野官房長官は、こんなのどかなことを言っていました。

「松野官房長官は6日午前の記者会見で「日本経済に及ぼす影響について緊張感を持って注視するとともに、IEA=国際エネルギー機関や主要消費国との連携を強化し、産油国に世界の原油市場の安定化を働きかけていく」と述べました。
その上で「ガソリンなど燃料油の激変緩和事業については、新たな価格抑制策をあすから発動し、段階的に負担軽減を図っていくことにした。まずは今回の措置を年末まで講じるとともに、必要な対応を機動的に講じていきたい」と述べました」
(NHK前掲)

なにが「産油国のに安定化を働きかけていく」だつうの。
サウジなどの湾岸諸国が、イランと二股外交する日本の言うことなんぞ聞くわけはないでしょうに。何寝言言っているのか。

産油国が増産することで、いままでは解決してきましたが、去年に限って産油国の腰が異様に重かったのです。
というのは、産油国はCO2対策がこのまま拡大すると読んでおり、うかつに産油量を上げることにきわめて慎重だったからです。
なぜでしょうか。
それは日本も旗振りに一役勝った化石燃料=悪玉論の世界的流れの中で、石油・天然ガス・石炭の開発投資は急減したからです。

OPECプラス参加国の中で実際に増産したのはごくわずかで、多くの国は過去の設備投資の過小投資の影響で割当て産油量さえままならない状況です。
たとえばナイジェリアやアンゴラは、産油施設の老朽化によって、昨年夏から割当量すら達成できない状況に陥っています。
なおOPECプラスとは、サウジアラビア、イランなどの13カ国が加盟するOPEC(石油輸出国機構)以外の、ロシア、カザフスタン、ナイジェリアなどのOPECに加盟しない10カ国で組織する世界の原油生産の半分強を占める産油国の集団のことです。
中東で唯一生産量を上げられる余裕があるのは、皮肉にもイランだけですが、米国の制裁で輸出が出来ない状況です。

このように、今、世界で起きているのは、CO2の過激な削減要求による人為的な原油不足なのです。
一方、唯一ロシアだけはこの原油高の状況を大いに楽しんでいました。
彼らからすれば、唯一の輸出品である天然ガスの高騰ほど嬉しい状況はないからです。
ロシアがなかなか敗退しないひとつの理由は、ロシア経済がこの原油高で復活してしまったからです。

つまりなんのことはない、脱炭素がこの原油高を招いた原因なのです。
地球温暖化阻止という行き過ぎた理念が、現実社会との折り合いをつけないかぎりこういう問題は続くでしょう。

ならばどうしようもないかといえば、そうでもありません。
唯一の即効性のある解決方法がありました。それがトリガー条項です。
これはガソリン平均価格が3カ月間連続で160円/リットルを超えた場合に、揮発油税の上乗せ税率分の25.1 円の課税を停止する法律です。
「トリガー条項」(租税特別措置法第89条「揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例規定の適用停止」)の適用を早急に検討する必要がありました。

これは民主党政権の遺した数少ない良き遺産でしたが、2010年に「所得税法等の一部を改正する法律」が成立し、このトリガー条項が盛り込まれました。
しかし実際の適用は、その後の東日本大震災の復興財源確保の名目で震災直後の2011年4月27日から凍結されたままです。
民主党は増税派だったために、震災復興を増税で賄おうとしてこのトリガー条項を封印してしまったわけです。
そんなものは復興国債ですればいいのですが、震災復興時に増税して更に国民を痛めつけるというトンデモ政策をとったしわ寄せがここに来たのです。

やっとこのトリガー条項を思い出したのが国民民主の玉木氏でした。
ガソリンの課税停止措置の発動を追加公約とすると発言しました。

この条項の規定には、「東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」とあるだけで、今の状況は充分それに該当します。

玉木氏がすごいのは諦めなかったことです。
国民民主は、急激なガソリン高を受け一昨年から働きかけており、実現すればガソリンは1リットル当たり25円10銭、軽油は17円10銭、それぞれ税金が安くなるはずでした。

トリガーという意味は「引き金」という意味ですが、トリガー条項は、ガソリン価格が160円以上に値上がりした場合に、ガソリン税を引き下げて、ガソリン税は「揮発油税(国税)」と、「地方揮発油税(地方税)」の2つの税金を減税します
これらの特別税率分(1Lあたり25.1円)が、トリガー条項の引き下げ対象となります。
ガソリンはこの国と地方のふたつの揮発油然に加えて消費税までかかっているというムチャクチャな税負担になっているのです。

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高すぎる!おかしい!日本の自動車税3つの問題点と今後の可能性 - 新車情報の車ニュースを配信中 - 中古車のガリバー (221616.com)

財務省の絞りすぎが原因ですから、こんなものをなくすか、せめて軽減するだけで日本のガソリン価格は驚異的に安くなるはずでした。

岸田氏は言質を与えないが否定もしないために、玉木氏は前のめりになっていたようです。
そしてその交渉相手が荻生田政調会長(当時)でした。

「玉木さんは昨秋から、岸田文雄首相の指名を受けた自民の萩生田光一前政調会長を相手に交渉を続けてきた。しかし、萩生田さんは安倍派(清和政策研究会)が集中的な捜査を受けた事件も踏まえ、政調会長を辞任してしまった。
「萩生田さんとは交渉相手として、うまくやっていた。とても気を配った対応をしてくれたが」
(産経1月20日)
玉木雄一郎さん「安倍晋三さんが亡くなり、自民は下野前の姿に戻りつつある」~夜の政論① - 産経ニュース (sankei.com)

麻生氏も肯定的でししたが、岸田氏が自分の決断で決めると言っておきながら、結局はいつものムニャムニャ病のままお終い。
そうこうしているうちに荻生田氏がクビ。
トリガー条項もなにも、自民党全体が破滅に向かって突進しているのですからお話になりません。
玉木氏の分析。一度自分の古巣の民主党を潰しているのでちゃんと見ています。

「自民は21年に下野したときに一度死んだが、奇跡的に安倍さんの力で復活した。一昨年に安倍さんが亡くなった瞬間から、自民は下野する前の姿へと、再び戻り始めたのではないか。今の岸田首相が地盤としていた岸田派(宏池会)は党内第4派閥と弱く、政権運営は派閥政治に頼らざるを得なかった。これが、悪い方向に戻る流れを加速させたとも思う」
(産経前掲)

まぁそのとおりです。

 

 

2024年4月 5日 (金)

もう潰れちゃいなさい、岸田自民

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書きたくない、ああ書きたくない、考えたくないといいながらここまできてしまいました。
短めに書きます。
このテーマは、妙にテレビが似合うので、日テレさんに報じてもらいます。

「自民党は裏金問題に関する議員への処分について4日午後、党紀委員会を開いて正式に決める予定です。離党勧告など厳しい処分となる安倍派の幹部からは不満の声も出ています。
(政治部・笠井美来記者報告)
ある安倍派の幹部は「こんな処分には納得できない、訴訟も辞さない」と反発しています。
キックバックの再開について協議していた4人の幹部のうち、塩谷氏と世耕氏の2人は「離党勧告」に、西村氏と下村氏を「党員資格停止1年」とする方針です。
安倍派・二階派で事務総長だった高木氏と武田氏を「党員資格停止」に、松野氏と萩生田氏、二階氏側近の林氏を「役職停止1年」とする案で調整しています。
処分対象の39人のうち31人はすでに弁明書を提出していて、一部からは不服申し立てが出される可能性も高まっています」
(日テレ4月4日)
“裏金処分”午後に正式決定 安倍派幹部「納得できない」(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

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日テレ

訴訟ってね、あんた地位保全訴訟でもすんの。
そういう問題じゃないでしょう。
自民党は職場ではないし、権力の場で、あんたら安倍派5人衆は権利闘争に破れただけです。
安倍氏の遺産を完全にぶッ壊しておいて、いまさらなにを言っているのやら。豆腐の角に頭をぶつけて死になさい。

出てきた処分はこのようなものです。

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自民裏金、党紀委が39人の処分決定 [写真特集20/21] | 毎日新聞 (mainichi.jp)

この処分の発表前に党規委員会(そんなモンあったんだ)案が盛大にリークされたのは、例によって岸田氏がお茶の間の動向をうかがっているからです。
チョイト出し、「世論」が厳しければ手直しし、ほんとうはハナから「安倍派の5悪人」を残らず党外に追放する気だったのでしょう。
塩谷氏と世耕氏は離党勧告で打ち首獄門、西村氏、下村氏は党員資格停止で自民村から所払い遠島。
たぶんこの線で決まるのでしょうが、ああ、くだらねぇ、あんたら腐りきっている、はいおしまい。
では、いかんでしょうから、もう少し続けます。

打ち首、遠島の理由が奮っていて、彼らが安倍派で「指導的立場にあった」からだそうです。
「指導的立場」を言い出したら、今回の「裏金」事件で問題視され、会計責任者が立憲された岸田派の代表は他ならぬ岸田氏自身じゃなかったんですかね。
え、岸田派は解散したって。こういう事態を見越して、責任をとらないためにさっさと偽装解散して見せただけのことです。
自民党の権力闘争に勝てば、二階翁ではないが「また集まるところに集まってくる」んですから。

そういう岸田氏が党の「政治刷新本部」で本部長を務め、本部長代行を務めるのは茂木氏だというから失笑します。
茂木氏は「裏金」なんぞという稚拙な手を使わず、パーティーで集めた政治資金そのものを派閥から関係政治団体に移していまい、その額なんと約3億円超といいますから、たいしたタマです。

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朝日

自民党茂木敏充幹事長の関係政治団体から、住所と連絡先、会計責任者が同じ別の政治団体に、2022年までの10年で約3億2千万円が移されていたことがわかった。資金が移った団体は、国会議員の関係政治団体よりも金の使途などの公開ルールが甘く、使途の大半がわからない形になっていた。
4日午後の参院予算委員会立憲民主党蓮舫氏が問題視し、政府に対応を求めた。
同様の「資金移動」は、茂木氏が会長の「平成研究会(茂木派)」で事務総長を務める新藤義孝経済再生担当相をめぐっても行われ、10年で約2億5千万円が新藤氏の関係政治団体から別の団体に移されていた。
国会議員関係政治団体は原則、「1件1万円超」の経常経費と政治活動費を政治資金収支報告書に明細まで記載しなければならない。一方、「その他の政治団体」では、経常経費の明細の記載は不要で、政治活動費も「1件5万円以上」と基準が緩い。関係政治団体は監査が必要だが、それ以外の団体では不要となっている」
(朝日3月4日)
茂木幹事長ら10年で億単位を「資金移動」 公開基準甘い団体に:朝日新聞デジタル (asahi.com)

さすがハーバード出、やることがスマートです。
党関係だと政治資金報告書に届け出義務がありますが、「その他の政治団体」に移してしまえば収支や活動費の報告義務が格段にゆるく、監査さえ必要ない番外地だからです。
後ろめたい資金を、架空口座や他人名義口座などを利用して転々と移転することで出所を分からなくしてしまう行為をマネーロンダリングと呼びますが、まさに茂木派はこれをやってのけたのです。
マネーロンダリングなら合法というわけですが、これが許されるなら司法が立件できなかった安倍派だってノットギルティのはずです。
なんというダブスタ。

盛んに刷新本部は「道義的責任」を連呼していますが、それは特捜が全国から検事を集めてローラーをかけても違法行為がみつからなかったからです。
だから違法性を問えないので、「道義」というどうとでもとれる言葉で仲間を吊るしたのです。
道義を言うなら、茂木派も岸田派も同罪なんですがね。
結局、この問題を持ち出した共産党の思うつぼです。
安倍氏暗殺をテロリストの要求どおり統一協会潰しにすり替えられて、自民党議員に関わりの有無を調査させました。
これも野党の追及のなすがままです。

今回も共産党が騒いでメディアが煽れば、危機対応できずに派閥解体、安倍派幹部党外放逐まで進んでしまう。
それも二転三転してです。
結果、自民党は焼け野原。解党の危機です。
ここまで打たれ弱いくせに、リベラル好みの政策だけは世論を押しても嬉々としてやってのける。
もうどうにかしていますよ、このふにゃふにゃ男。
自民にとっていわば外患誘致罪です。
この際、ハッキリいいますが、政治家としてはクズです。

それにしても安倍氏なき後に、意志決定する指導者がおらず、安倍氏の「議員還流は即刻停止しろ」という遺訓を破って「合議でいくべぇ」といういかにも悪しきムラ政治をやってしまった安倍派の情けなさには涙も出ません。
この間の経過を見ていた保守派は、ごっそり自民党から離れてしまいました。

結果がこれです。

「次の衆議院選挙で、立憲民主党などによる「政権交代をのぞむ」声が42%にのぼり、「自公政権の継続をのぞむ」声を上回ったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。
「自公政権の継続をのぞむ」と答えた人は32%でした」
(JNN3月31日)
【速報】次の衆院選で「政権交代のぞむ」42% 「自公政権の継続」を上回る結果に JNN世論調査 | TBS NEWS DIG (1ページ) 読売。

まぁ、でしょうな。訪米終わったら4月に抜き打ち解散なんて言っていますが、やれば間違いなく過半数割れでしょう。
いいんじゃないですか、もうこの政権は解体的出直しをするしかありませんから。


2024年4月 4日 (木)

台湾で大地震発生、今こそ恩返しを

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台湾で大地震が起きました。
震源地は台湾東部花蓮市の沖合い18キロメートルの海域で、影響は与那国、宮古・石垣にまで及びました。
皆様、ご無事だったでしょうか。

ロイター4月4日付けによれば、「台湾中央気象局によると、地震は台湾東海岸沖で発生し、最大震度は7段階中2番目に強い震度6強だった」そうです。
震度6強とは、東日本大震災や能登地震が震度7ですから、それよりやや小さなクラスです。

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時事

「台湾東部沖で3日午前7時58分(日本時間午前8時58分)、マグニチュード(M)7.4の地震があった。同日午後5時までに死者は少なくとも9人に上り、けが人は700人を超えている。日本など周辺国でも一時、津波警報などが発令された。台湾で起きた地震としては、過去25年で最大級だという。
台湾当局によると、100人以上がトンネルや小型バスの中などに閉じ込められており、救助隊が捜索や救出に努めている。
死者のうち5人は、石やトンネルの破片の落下によって死亡したという。
アメリカ地質調査所によると、震源地は花蓮市の沖合い18キロメートルの海域で、震源の深さは15.5キロ」
(BBC4月3日)
台湾東部沖で地震、過去25年で最大級 死傷者多数 - BBCニュース 

台湾では花蓮の被害が大きく、傾いたビルも出ましたが、避難ができたようです。
東部の震度は台東が震度6度強のほか、多くの地域が震度4強で、全台湾で強い揺れが生じています。
特に揺れがひどかった宜蘭、新地区、花蓮など12県市で国家級地震警報がでました。
トンネルで4人が閉じ込められているという報道もあり、おそらくこのようなトンネルの崩落は各所で起きたことが思われます。
また花蓮の内陸部では山野斜面の崩落が起きたようです。
花蓮は、昔私も訪れたことのあるほんとうに美しい港町で、心が痛みます。

一方この地震の影響は与那国、宮古・石垣にも及び、緊急地震速報が発令されました。

[東京 3日 ロイター] - 日本の気象庁は3日正午過ぎの発表で、沖縄県宮古島・八重山地方などに出していた津波注意報を全て解除した。同日午前8時58分ごろ台湾付近で地震があり、気象庁は9時過ぎに津波警報を発表、その後宮古島・八重山地方で第1波の到達を確認した。午前10時40分に警報は注意報に切り替えられていた。
気象庁は震源の深さは23キロメートル、マグニチュード(M)は当初速報値で7.5としていたが、その後情報を更新し7.7と発表した。
この地震で、沖縄県与那国町で震度4、竹富町や石垣市で震度3を観測した。また、与那国島で午前9時18分に30センチ、石垣島で10時42分に20センチ、宮古島で10時50分に30センチの津波を観測した」
(ロイター4月3日)
津波注意報が解除、沖縄宮古島・八重山で20─30センチ 台湾地震 | ロイター (reuters.com)

非常に心配です。被害はなかったでしょうか。

この地震の原因は、現時点ではフィリピンプレートとユーラシアプレートの衝突とみられています。
このプレートの接合部の地域は、わが国も同様ですが、地震エネルギーが蓄積しやすく、地震が発生しやすい地域だと言われています。

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「フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界で発生する地震
琉球海溝付近で発生する地震がこれに相当する。 地震活動は高い。 過去100年間で最大の地震は1901年に奄美大島近海で発生したM7.5の地震、または1911年に奄美大島近海で発生したM8.0の地震である(フィリピン海プレート内で発生した、やや深い地震の可能性も指摘されている。)。
琉球海溝の沖縄本島から与那国島にかけての地域では、 100~200年間隔で繰り返して発生するM8クラスの地震は確認されていない。ただし1771年八重山地震津波がこのプレート境界で発生した巨大地震であった可能性がある。八重山諸島ではおよそ500~600年の間隔で1771年八重山地震津波クラスの津波が襲ってきた可能性が津波堆積物や津波石の調査から分かってきている」
南西諸島のプレート配置図と地震活動 (u-ryukyu.ac.jp)

日本政府も直ちに支援の用意を表明しました。
地震被害の救援は時間との勝負ですので、なんとか一刻も早く国際救援隊を送りたいものです。
そして私たちも東日本大震災、そして今回の能登地震で最大の心のこもった支援を送ってくれた台湾に恩返しする時です。

2024年4月 3日 (水)

川勝知事、遅すぎた辞任

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奇矯にして無知な発言とリニア阻止闘争で有名な川勝平太知事が辞任を表明しました。
なんでも5月だそうで、後任は勝手に立憲の議員を指名していますので、院政政治でも敷くつもりかしら。

「静岡県の川勝平太知事が2日、県庁内で記者団の取材に応じ、「6月の(県)議会をもってこの職を辞そうと思う」などと語り、知事職を辞する意向を表明した。川勝氏は1日に行われた新規採用職員向けの訓示で、職業差別と取れる発言をして批判を浴びていた。
川勝氏は訓示で、新規採用職員らに「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかとは違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨く必要がある」と述べた。
この発言を受け、2日午後に記者団の取材に応じた川勝知事は辞職を表明。「いろいろな職種があるということであり、差別的な意図や意識はない」とした上で「言葉が不十分だった。不愉快に思った人がいたら申し訳ない」と謝罪した」
(産経4月2日)
静岡の川勝知事が辞意表明 新規採用職員への職業差別訓示で批判 - 産経ニュース (sankei.com)

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「6月の議会で職を辞そうと」静岡・川勝知事が突然の辞意表明 これまで何度も不適切発言|日テレNEWS NNN (ntv.co.jp)

川勝氏当人は「差別じゃない。切り取られた」と言っていますが、県の新規採用職員に対して、「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかとは違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方。それを磨け」と言っちゃおしまいですね。
すると、新規採用の謙職員はオレはそこらの汗流して働く百姓と違って、エリート様なんだという意識を磨け、という意味としかとりようがありません。
頭脳、知性が低い農民の私なんぞ、お役人さんの前では土下座せにゃなりませんな。
川勝氏が心に持っている、オレはワセダの教授様だった、オレは知的エリートなんだ、そこらの地べたにはいつくばっている百姓どもとは違う高級な人種なんだ、といんばかりのエリート意識です。
ああ、反吐が出る。張り倒してやりたい。

いやたしかに、川勝氏が言うようにこの発言だけだと「言葉が不十分だった」ということも考えられなくもないわけではありません。
しかしこの御仁、去年には自分の県の御殿場に出かけて、ナニを勘違いしたのか「御殿場は特産はコシヒカリしかない」などと放言した過去があります。

「令和3年には同県御殿場市を「(特産は)コシヒカリしかない」と揶揄(やゆ)したことが分かり、県議会が辞職勧告を決議。川勝氏は給与を返上することを約束した」
(産経前掲)

フツーの知事が同じことを言う場合でも、うちの県のコシヒカリは全国一うまい、それは富士山の水で育っているからだ、くらいは言いますわな。
自分の県の地域農業「そのくらいしかない」と小馬鹿にする意味がわかりません。
御殿場地域はこの時点でリコール運動をすべきでした。

その後川勝氏は、議会からめった叩きされると、「来年は生まれ変わると富士山に誓った」と謝罪したそうですが、その後に今度はかつて学長をしていたテメーの大学の女学生をつかまえて、言うに事欠いてこんなことも言っています。

「さらに同じ年の12月には、同6月の知事選期間中に女性蔑視ともとられかねない発言をしたとの一部報道を受けて謝罪。発言はかつて学長を務めた静岡文化芸術大の学生に関するもので、「(学生の)8割くらい女の子。11倍の倍率を通ってくるので、みんなきれい。顔のきれいな子はあまり賢いことを言わないと、きれいに見えない。ところが全部、きれいに見える」という内容だった」
(産経前掲)

これなんぞ逆に言えば、11倍の競争率を潜ってこない非エリートの一般女性はみんなブスという意味です。
なかなか言えるこっちゃありません。
この人これで、褒めているつもりなんですから困った人だ。
一般常識がある人物なら、女性の顔については話題にしないでしょう。
要するに、この人、常識が欠落しているんです。
だから言っていいことと悪いことのけじめかつかず、知事は静岡で一番エライんだからなにを言ってもいい、何をしても許される、という万能感に酔っているために放言してしまいます。

これらの公人としてあるまじき暴言に対して議会が昨年には知事給与減額条例まで作ったのですが、「富士山に誓って生まれ変わった」はずの川勝氏はスルー。
昨年7月になっても給与など約440万円を返上していなかったことが判明しました。
実は反省なんかコレッポッチもしていなかったから、またぞろやらかしたのです。

この川勝氏特有の万能感といえば、リニア反対理由もムチャクチャで、ほとんどイチャモンつけです。
デニー知事の移転阻止といい勝負で、さすがは高い知性の持ち主はやることからして違います。

「川勝知事は「トンネル湧水の全量戻しがJR東海との約束であり、全量戻しをできないのであれば、工事中止が約束」などと会議の議論そのものを否定した。
工事期間中でも水1滴の県外への流出は許可できない立場を崩さず、“命の水”を1滴でも戻すことができないのであれば、リニア工事は中止あるいはルート変更が必要と要求していた」
静岡リニア問題、「印象操作」だった県の反対理由 過去の資料を都合よく切り取って使っていた | 新幹線 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

JR東海はこれによる損失でリニアの開業予定が見えなくなってしまいました。
今回の川勝辞任清楚明で、JR東海の株価が上がったとか。(笑)

 

2024年4月 2日 (火)

再エネ制度、馬鹿が作り、詐欺師が儲け、国民が負担する

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再エネは甘やかされてブクブク肥満したボンボンのようです。
かつて私が関わっていた頃のように、家庭の庭で手作りソーラーを作って自前の電気を作ってみようという市民エネルギーていどが分相応でした。
そうすれば、送電系統にちょっとお邪魔するていどで済んだのです。

しかし、ナニをトチ狂ったのか、わが国のエネルギーを100%再エネで入れ換えるという狂信じみた人たちが、脱炭素と反原発をお題目として政治的に祭り上げてしまいました。
それに首相になったのはいいが、特にやりたいこともなかった運動家上がりのカン首相が飛びつき、政商まがいの孫正義氏が自然エネルギー協会などを立ち上げて全量固定価格買い上げ制度などという経済を無視した話をくっつけ、それを優秀な官僚諸君らが尻ぬぐいして、負担を国民に賦課金として年に1万円払わせる制度を作ってしまいました。
国民こそいいツラの皮です。

そもそも再エネは元々「気まぐれエネルギー」ですので、その時の気象条件によって左右されます。
風が吹けば電気を作りすぎ、止まればまったく発電しません。気持ちよく晴れればジャンジャン発電しても、曇ればピタリと止まります。
これは再エネである以上逃れられないいわば宿命で、こればかりはなんともなりません。
だから再エネは、産業革命が起きて石油が主なベースロード電源となると、こんな不安定な電源は忘れ去られていったわけです。

それを脱炭素という掛け声で無理矢理に押し入れから取り出して、なにか目新しい画期的エネルギー源であるかのような衣を着せたわけです。
日本においては民主党政権が、それまでの自民党のエネルギー政策を全否定する目的で政治的に利用したことから始まりました。
福島事故以降、安直に原発を止めてしまい、その勢いで化石燃料発電にもストップをかけ、いっそ全エネルギーをクリーンな再エネーにしてしまえば「安全・安心」だと言う人が大量に出現しました。
多くはリベラル左派でしたので、カン首相は自分の応援団が異常な盛り上がりを見てハタと膝を打ったみたいです。
こりゃ使える。オレの誰がみても失敗した原発事故収拾から眼を逸らせられるし、ここで原発ゼロを掲げたら、オレってカッコ良すぎ、支持率急上昇まちがいなしってわけです。

ちなみに、この原発事故のドタバタの時に官房長官をやっていて、「直ちに人体に影響がでない」というまるで後障害が出るかのような発信をしたのが、今の立憲の枝野氏です。
この男のこのひとことで、福島・茨城は風評被害の地獄に突き落とされましたっけね。ああ、思い出すだに腹が煮えくり返る。

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脳みそが軽いカン氏は、専門家や官僚の意見などには目もくれず、独断で全原発の「検査停止」を「お願い」(根拠法がありませんから)したために、それから10数年近く立とうというのにいまだ日本の原発は半身不随から抜け出していません。

そのうえカン氏は全原発を止めて日本のベースロード電源の3割を奪っただけでは飽き足らず、再エネを代替エネルギーとするという素人以外思いつかない「革命的」方針を、「アタシを辞めさせたかったら再エネ法を飲みなさい」と、自分の辞任と引き換えに押しつけて去って行きました。
与党の民主党まで含めて、与野党全部がカン氏に一刻も早く辞めて欲しかったので、スイスイと再エネ法が通過してしまいました。
これが今に至る不幸の始まりです。
結果、将来を展望した制度設計があってやったわけではないので、そりゃあ目があてられないやね、ということになりましたですよ。

重度のドイツコンプレックスのカン氏がやったのは、ドイツ式FIT(全量・固定価格買い取り制度)というモノスゴイ制度で、本場でも失敗しています。
このようにFITはカン氏の政治的思惑で生まれたのですが、カネの臭いがあるところ必ず登場する孫正義氏という怪人がこれに飛びつきました。
彼は当時、ソフトバンクという携帯業の顔だけ世間にさらしていましたが、本業はM&Aの買収屋です。

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そして「盟友」の孫氏が言うがままに、カン氏は世界一高い買い取り価格を設定しまい、当初はなんと40~42円/kWhを20年間固定で全量買い取りますっていうんですから、そりゃやりたい奴が殺到するわな。

こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。
FITは詐欺師とヤマ師の巣窟と化し、発電枠だけとって無許可転売する輩、その枠を買い占めるチャイナ、そして太陽光パネルは中国製に支配されるというハチャメチャなことになりました。

「国が普及を進めてきた再生可能エネルギー業界に2月14日、ついに経済産業省の“メス”が入った。再生エネルギーで発電した電気を電力会社に一定価格で買い取ることを義務づけた固定価格買取制度(FIT)の認定を受けたにもかかわらず、運転を始めていない太陽光発電約670件について、認定取り消しを検討すると発表したのだ。前代未聞の事態の背景には、「いくらでもズルができる」と業界関係者が明かす制度の致命的な甘さがあった。
実は国が認定した設備容量は2249万キロだったが、実際に運転を開始したのは382.7万キロワットで、2割にも満たないことが経産省の調査で判明。しかも、認定から1年以上たっても土地・設備を確保していない業者が全体の3割に上っていることも分かった。」
(産経2014年3月8日) )

呆れてモノが言えません。国が支援している枠に対して、実際に運転を開始しているのはたった2割!悲惨というより、もはやお笑いです。
この制度初期で、実際の発電事業はそっちのけで利権漁りが横行したためです。
こんな詐欺師の楽園と化した再エネ業界を、ひたすら税金と消費者負担に頼る再エネ賦課金で乗り切ろうとしたために、年間実にひとり1万円超、国全体で2兆円ものカネが流出し、しかもその多くは中国へと流れていきました。

再エネ賦課金とは、案外知られていないのですが、まるで税金かNHKのように黙って国民全員が再エネに協力を強いられています。

Surcharge2020

資源エネ庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

しかもこの再エネ賦課金は、毎年、それまでの買い取り価格が上乗されるために、累積して増えていくという仕組みになっていきます。

200323

北電

賦課金が増える理由は、電力会社が再生可能エネルギーを買取る量が増えているからなのですが、2017年度は総額2兆7045億円と毎年4,000億程増えます。
したがって、2016年には2.3兆円の負担だったものが 、 このままいくと2030年にはなんと4兆円になるという試算がされています。
このようにFITは、逆スライドで毎年重い負担となるというトンデモ制度なのです。

そこでみかねた経産省は2014年にFIT制度の見直しをします。

①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

 大幅に買い取り価格を下げるといっていますが、それでも当時はまだ37円ていどでしたから、焼け石に水です。
特にプレハブ住宅のようにあっという間にできてしまう太陽光には新規参入を制限するなんて言い出しました。 

2017年当時、経産省資源エネルギー庁の再エネに関する検討委員会で、次の4つの課題が上げられています。
(2017年12月18日資源エネルギー庁で「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」)

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資源エネルギー庁


①依然として日本の再エネの発電コストは欧州の二倍で国際的に高い水準にある。
②既存系統と再エネ立地ポテンシャルの不一致により「再エネ電源を作りたくとも系統の空き容量が存在せず繋げない」という系統制約の問題が顕在化している。
③太陽光発電および風力発電という変動再エネの導入が拡大したことにより、系統全体の調整力が不足してきている。
④長期安定発電の開発を支える環境が未成熟な他、洋上風力等の新たな電源は立地制約が厳しく、結果として再エネ電源の開発が太陽光発電に偏っている。
宇佐美典也『今後の再エネの普及を左右する「日本版コネクト&マネージ」の行方』より抜粋

①は、日本の再エネはFIT制度で世界一高い水準に高止まりしたままだということです。
現在は15%だが、これでも既に年間2兆円の国民負担をさせているが、目標ドイツ並の24%にするためには更に後1兆円の国民負担が必要だということのようです。
おいおい、冗談も顔だけにしろよ。国民の負担で誰を設けさせているんだ、と言いたくもなります。

②再エネを作っても送電網の系統の空き容量がないのではどうしようもありませんが、これは送電会社の系統接続がネックとなっているということのようです。電力ネットワークの再編が必要だと、委員会は指摘しています。
しかしこんな「異物」のために、それでなくても電力自由化の余波で弱体化している送電網にこれ以上の負担を要求するのは、ちょっと。

③気まぐれエネルギーが大幅に増えたために、系統全体の調整力が不足してきている、としています。
これについて、将来は蓄電池の導入で調整力を増すとしていますが、それがか電力のさらなる高コストにつながることはきのう触れました。

④簡単・安価な太陽光にのみ参入者が殺到したために、他の洋上風力や地熱などに新規参入が見られないというアンバランスな現象が生まれたようですが、これも当然のことです。
ものごとは安易な方に殺到するのですよ。
だからFITが蟻の大群に群がられるケーキのようになってしまったのです。

いまもさらに再エネ買い取り制度の手直しを図って行くようですが、どうなりますことやら。
とまれ、初めのボタンをかけ間違ったら、最後までボタンは合いません。

たとえば、太陽光はメガソーラの浮島発電所の発電実績は1年稼働して、柏崎刈羽原発1号機のわずか15時間分ていどでしかありません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-cf07.html

再エネにとうていベースロード電源の資格などないことは明白です。
その明らかな真実に目を背けて、竹馬を履かせているのですから、しょーもない。
そんなことは、とっくにドイツの先駆例で既にあきらかなのにもかかわらず、脱原発=再エネという誤った政治的思惑から開始してしまいまったうえに、ムチャクチャなFITで後世につけ払いを残してしまったのですから、タチが悪すぎます。

失敗して当然、というか、失敗したら制度全体を白紙にすべきです。
といっても20年間固定買い取り制度ですから、いったいどうするつもりなんでしょう。
枝野さんーん、どうするんだーい。
馬鹿が作り、詐欺師が儲け、国民が負担するというのが「自然エネルギー立国」の実態です。

 

 

2024年4月 1日 (月)

燃えたら消せない太陽光発電

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いままで太陽光発電についていろいろと書いてきましたが、もうひとつ重大な問題が浮かび上がりました。
なんとソーラー発電は消火できないのです。
つまりいったん火がつくと自然鎮火するまで消えないということになります。
極初期のソーラー設置者(シャープ製です)で、つきあいも長い私もさすが驚きました。

「27日夜に鹿児島県伊佐市大口大田のハヤシエネルギーシステム(鹿児島市)の太陽光発電施設倉庫で起きた火災は、発生から約20時間後の28日午後2時35分ごろ、鎮火した。
 伊佐湧水署によると、鉄骨スレート平屋1棟を全焼した。倉庫には蓄電設備があった。業者が施設の電気を遮断し、安全を確保し鎮火を確認した。伊佐湧水消防組合によると、男性隊員4人がやけどを負い、うち1人が顔などに重度のやけどで入院中。29日以降、警察や消防、国の機関が実況見分して出火原因などを調べる」
(南日本新聞2024年3月29日)
太陽光発電施設の火災 蓄電設備ある倉庫1棟全焼、20時間後に鎮火 伊佐 | 鹿児島のニュース | 南日本新聞 | 373news.com

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激しい爆発、噴き出す炎…メガソーラー発電所で火災 消防隊員4人けが うち1人が顔に重いやけど 鹿児島・伊佐市|TBS NEWS DIG - YouTube

今回、爆発火災を起こしたのは伊佐市のメガソーラーでした。
鹿児島テレビはこのように原因を報じています。

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鹿児島テレビ

「今回火災が発生したのは、伊佐市大口大田にある2017年2月に開所した総出力1200キロワットの6号機高柳発電所です。
HPによると、高柳発電所には昼間に蓄えた電力を夜間に送電するシステムが導入されています。
関係者によりますと、この発電所で使われていたのはリチウムイオン蓄電池ですが、そこに消防が水をかけて火を消せない理由がありました。
九州電気保安協会によりますと、携帯電話のバッテリーに水をかけるのと同じで、電気設備に水をかけるとショートしてしまい、感電や爆発のおそれがあり、電気火災の場合は水での消火ができないということです。
今回の火事もリチウムイオン蓄電池が設置されていた建物が燃えていたことから、消防は放水することができず、火が消えるのを待つしかなかったいうことです」
(鹿児島テレビ2024年3月28日)
ソーラー施設火災 消火難航のワケは?|FNNプライムオンライン

メガソーラーに使われているリチウムイオン電池は、一般的に携帯に使われているものを大容量化したもので、原理は一緒です。
ELECOMはこう危険性を説明しています。
発火・発熱など、モバイルバッテリーのトラブルの原因と対策を紹介 - エレコム株式会社 (elecom.co.jp)

「バッテリーである以上、発熱自体が起こるのは仕方のないことですが、発火や爆発に至る理由は何なのでしょう。これは、リチウムイオン電池が劣化したときに起きる「電解質の酸化」が原因のひとつとされています。
電解質が酸化するとガスが発生しますので、バッテリーが内部から膨張します。膨張だけでは発火や爆発に至らないといわれていますが、これに衝撃が加わったりすると事故につながるケースがあります」
エレコム株式会社 (elecom.co.jp)

この伊佐市のメガソーラーのリチウムイオン電池がどこの国のものか判明していませんが、仮にそれが粗悪であった場合、何が原因でトラブルになっても不思議ではありません。
というのは、リチウムバッテリーは非常に壊れやすい装置なのです。

「特に重要なのが、電気を送る部分に配置された安全装置です。この安全装置は、スマートフォンへの充電中にモバイルバッテリーが発熱した場合、給電スピードを落として温度を制御する装置です。安価なモバイルバッテリーは、その安全装置がきちんと機能しないケースや、最悪の場合、安全装置そのものがついていない可能性があるのです」
エレコム株式会社 (elecom.co.jp)

ひと頃携帯が爆発して発火する事故が相次ぎましたが、これはリチウムバッテリーが衝撃や高温に弱いためです。

ところで、いまやメガソーラーの大半は中国資本に支配されています。
理由はいままで何度も述べたとおりFIT制度(全量固定価格買い上げ制度)が発足した当初、日本はヨーロッパ諸国の3倍以上も高い金額で電気を買い取ったために、中韓から続々と外資が上陸し、全国のメガソーラー事業は瞬く間に外国資本が制圧しました。
一見国内企業に見えても、調べると外国がバックにいる場合が往々にしてあります。
特に、自国で過剰生産したために投げ売り状態となっていた太陽光パネルはほぼ100%が中国製で、それを武器にして中国資本は日本の太陽光市場を制圧してしまいました。

また今回の伊佐市のメガソーラーのように夜間売電を売り物にしているメガソーラーも大部分が中国製バッテリーを使っています。

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“EV競争”の陰の主役! 大手車載電池メーカーの意外な横顔を見る - webCG

理由は中国製の太陽光パネルやリチウムバッテリーが格安なために、確実に落札で勝てるからです。
たとえば、大阪の南港北にある咲洲メガソーラー太陽光発電所は、外国企業である上海電力が運営しています。
この認可を降ろした橋下徹大阪市長は、当初、大阪市から土地を借りた事業者が日本企業だったはずなのに、いつの間にか事業主体が中国資本になったという疑惑があるにもかかわらず市民への説明を避けています。
ちなみに上海電力は、このメガソーラー参入について「中国の一帯一路政策の成功例」と喧伝しています。
上海電力は、大阪での事業成功を前例にして、各地の自治体を陥落させ、いまや日本各地の大規模なメガソーラー事業の受注に成功しているようです。
他にも中国企業では「スカイソーラー」が栃木をはじめ全国各地でメガソーラーの建設を行い、現在は日本国内で68カ所が稼働しています。

このようにグリーンニューディールどころか、中国に油揚げをさらわれたのです。
つまりは、日本はメガソーラー事業で、毎月巨額の利益を中国に献上しているということにもなるのですからうんざりします。
かくして再エネのどこをつついても中国の巨大な影が発見できてしまいます。
これは大林ミカ氏の配った資料に中国企業のスタンプがあったというレベルではなく、ハナから構造に組み込まれていたことなのです。

しかも再エネ賦課金は税金のように確実に電気代に載せられて徴集されています。
それもこの制度が始まった2012年から値上がりし続け、2021年では約15倍までになっています。

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2021年度再エネ賦課金は3.36円|家庭では年間1万円超えの負担 (enemanex.jp)

なんのことはない中国資本が濡れ手に粟とばかりに儲けているのを、日本国民全員で支えていることになります。アホクサ。

また、太陽光パネルはカドミウムや鉛、セレン、シリコンなどの有害物質を大量に含んでいます。

「太陽光パネルは、(略)その製造過程や使用後には、環境や人体に有害な物質が発生します。例えば、太陽光パネルの主要な材料の一つであるシリコンは、高温で溶かす際に塩素や水素を使います。これらの化学物質は、大気中に放出されるとオゾン層を破壊したり、呼吸器や皮膚に刺激を与えたりします。
また、シリコン以外にも、カドミウムや鉛などの重金属や有機化合物が太陽光パネルに含まれています。
これらの物質は、太陽光パネルが破損したり、火災が発生したりした場合に漏れ出し、土壌や水質を汚染したり、発がん性や神経毒性を持ったりします」
(エネルギープラス2023年11月29日)
太陽光パネルが猛毒と言われる3つの理由 - エネルギープラス (okayama-epco.co.jp)

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豪雨でメガソーラーが倒壊し、第3者に損害が発生! 法的責任は? | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

太陽光は設置場所が山の斜面である場合が多く、台風や大水による地滑りなどで太陽光パネルが破損して有害物質が流出したり、光が当たれば勝手に発電して感電するケースもあるようです。

そしてこれに大容量リチウムバッテリーを付属させた場合、前述したようになんらかの衝撃で発火し爆発することがわかりました。
しかもこの太陽光発電は、台風で年中行事のように倒壊するのに、いったん火災が起きると消火する方法がないのです。
どこまで性格が悪いんだと嘆息します。


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