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2024年4月15日 (月)

日米共同宣言にあるGXとは

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先だっての日米会談について、私はよく練り上げられたものという評価をしていますが、ひとつ引っかかっています。
それは共同声明にあいも変わらず、こういう部分があるからです。

「イノベーション、経済安全保障及び気候変動対策の主導
(略)
日米両国は、気候危機が我々の時代の存亡に関わる挑戦であることを認識し、世界的な対応のリーダーとなる意図を有する。クリーン・エネルギーへの移行の加速化という共通の目標に向け、我々は、補完的かつ革新的なクリーン・エネルギー・サプライチェーンを促進し、産業競争力を向上させるため、この 10 年間のエネルギー移行の進展を加速させることを目指した日本のグリーン・トランスフォーメーション(GX)推進戦略及び米国のインフレ削減法を含め、それぞれの国内施策を実施し、それらの相乗効果と影響を最大化する方法に関する、新たなハイレベル対話を立ち上げる」
100652148.pdf (mofa.go.jp)

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日米首脳、笑顔でツーショット バイデン氏がXに投稿:時事ドットコム (jiji.com)

まぁ、ここまではいかにもバイデンと岸田氏が好きそうなグリーンニューディールかい、と思いますが、これを単なるバイデンに対するおもねりととるか、それとももっと別な含みがあるのでしょうか。
というのは、この宣言中に出てくるグリーン・トランスフォーメーション(グリーン化への転換計画・GX)について、日本はすでに2年前の22年からGX会議なるもの開催しているのです。
GX 実現に向けた基本方針(案)~今後 10 年を見据えたロードマップ~

議長は岸田首相、構成員は林芳正外相、鈴木俊一財相、西村明宏環境相、副議長には松野博一官房長官に加え、GX実行推進担当大臣(前任者は萩生田光一前経産相、現在は西村康稔経産相)と有識者たちです。
いまや政治家の大部分は粛清されて政治生命を剥奪されてしまいましたが、主流は安倍派の積極財政派でした。
先立っての岸田氏による安倍派粛清劇は、緊縮財政・増税派と積極財政・リフレ派との戦いでもあったのですが、前者の一方的勝利に終わりました。

それはさておき、このGX会議で真正面から論じられたエネルギー源が原子力です。
もちろんお約束の再エネはダラダラと述べられていますが、一昔前ならありえなかった原子力の位置づけ変更がさりげなく差し込まれています。

「3) 原子力の活用
原子力は、出力が安定的であり自律性が高いという特徴を有しており、安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向け、脱炭素のベースロード電源としての重要な役割を担う。このため、2030 年度電源構成に占める原子力比率 20~22%の確実な達成に向けて、安全最優先で再稼働を進める」
siryou1.pdf (cas.go.jp) 

GX会議の基本方針では、ウクライナ戦争移行の状況を踏まえて、エネルギー対策に非現実的ではいられないという危機感から、2030年頃までに再び原子力をベース電源の2割にまで引き上げようとしています。
反原発派メディアが見たら目を剥くことでしょう。
なぜなら、福島事故前の水準に原子力を戻そうという意味ですから。

総合エネルギー統計これによると、2010年における原子力の発電量は2882億kWhでしたが、11年に前年比約3分の1の1018億kWhに激減し、12年には159億kWhと、前年比でさらに6分の1に激減しました。13年は93億kWhで、14年にはついに統計上ゼロとなってしまいました。
集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)|資源エネルギー庁 (meti.go.jp) 

それに連れて化石燃料依存度は急上昇しています。

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1.1.2 東京電力福島第一原子力発電所事故及びその前後から顕在化してきた課題 │ 「平成25年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2014)HTML版 │ 資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

原発停止による燃料調達コスト上昇は3.6兆円にも達しました。
カン政権の思いつき的原子力停止は、東日本大震災からの立ち直りに打撃を与えたのみならず、今に至るも日本のエネルギー供給に計り知れない損害を与えたのです。

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資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

その後、電力会社の安全対策工事の完成に伴って、徐々に原発の再稼働が進みましたが、2021年にようやく708億kWhにいまで回復しても、それでも福島事故以前の2010年と比べて発電量は4分の1の水準にとどまっています。

世の中的には、太陽光だの、風力、地熱、バイオマスだのといった再エネの発電量がさぞかし急増しているに違いない、といったことを考える方は多いはずですが、現実には化石燃料への依存度が、原発操業停止以降、逆に非常に高まっている現象を引き起こしました。
日本が環境団体から化石賞をとるとメディアは大喜びで報じていますが、再エネを増やせば、そのバックアップ電源で自動的に化石燃料による発電も増えるのです。

一方、日本は国際公約として「2030年にCO2を5割削減する」という宣言をしてしまっています。
菅氏らしからぬ軽率というべきか、環境問題を小泉ジュニアにやらせた彼らしいというべきか。

いずれにしても菅氏のオーバーランですが、これに合わせて現行の「第6次エネルギー基本計画」でも、削減目標に合わせて無理やりに化石燃料を低く押さえて、「2030年に13年比でCO2(二酸化炭素)を46%削減する」という無謀な数値目標を立ててしまいました。
ベース電源の3割あった原子力が回復しないままに、化石燃料を低く抑えてしまった結果はわかりきっています。
日本のエネルギーは薄氷の上を歩くことになったのです。
電源予備率は常に黄色信号が灯り、日本企業は燃料購入の長期契約が30年にかかるようなものを締結できず、油田・ガス田への事業参加と権益確保もできなくなっています。

再エネと原発停止、CO2削減の三つの要素は、環境原理主義者の脳内では同じ「グリーン」で括られるようですが、現実には相反して両立しないものです。
再エネを増やそうとすると化石燃料に依存するしかなく、化石燃料を増やそうとすればCO2が増えてしまう、ときが現実です。
このもつれた糸を解く唯一の手段は、原子力を適正な規模で、安全を確認しながら稼働させることしか残されていませんが、原子力がタブー視されたままではどうしようもありません。

日米共同声明に戻りますが、ここには原子力は書かれずに、いかにもリベラル好みの洋上風力発電だけが登場します。

「本日、日本が米国のFloating Offshore Wind Shot の最初の国際的な協力者として加わることを発表する。我々は、クリーンエネルギー・エネルギーセキュリティ・イニシアティブ(CEESI)を通じて、各国の事情を考慮しながら、Wind Shot に沿った世界的な野心に向けて協働
する意図を有し、技術コストを削減、脱炭素化を加速し、沿岸地域社会への便益をもたらす革新的なブレークスルーを追求していく。アカデミアとの連携を通じて浮体式洋上風力発電のコスト削減と量産化を目指す、日本が新たに立ち上げた産業プラットフォーム「浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)」を米国は歓迎する」
(日米共同声明前掲)

洋上風力発電ねぇ。とんでもないカネ食い虫で、遠浅の海が少なく、厳しい海に囲まれた日本に一番不向きなヤツですな。
冒頭の問いに戻ると、私は米国の洋上発電への参加に姿を借りた原子力の再定義に向けた伏線ととりたいと思います。
意地悪くとればいくらでも言えるのですが、11月の大統領選でトランプが大統領になったら空手形に終わりますしね。
ま、その時には岸田さんもいないと思いますけど。

 

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コメント

私は疑い深いので、米国が日本に対して対等な風でフレンドリーだと、「何を企んでいるんだ?」とスグに思ってしまいますわ。米国が、かつて全面戦争をして少なくない戦費を払い人的犠牲を出したにもかかわらず、敗戦国日本に対して賠償金は取らずにコストをかけて民主化したのは、米国が優しいアニキだったワケじゃなくて、「コイツを生かしておけば、将来きっと役に立つだろう」との思惑からですわ。

過去記事にも、現在でも首都圏の空はその半分ほどを米軍がガメており、そのアオリを受けて日本の空港運営は超過密になっているとありましたが、今年正月の海保の地上衝突事故などの遠因になっているのかも知れませんわ。飲酒?運転で日本人を2人ハネ殺しておきながら、日本の裁判から逃げ米本国へ送還され事実上の無罪となった米軍人もいるわで、地位協定なども全然フレンドリーじゃありませんわ。

戦後の世界秩序の成り立ちからして、ロシア・中国・北朝鮮という核保有の全体主義独裁国家を周囲に持つ日本にとって、米国なしには立ち行かなくなるのはガチなんで日米同盟は必須なのですが、それでも米国に全フリはマズイですわ。(その意味では、ムネオ先生などは本人の意志はともかく、その存在は貴重だと思います)

米国の(似非)リベラルを利用する民主党支持のエスタブリッシュメントはグリーンエネルギーなどと言いつつ、そんなものは飾りモノで裏でカネ儲けに余念がないことは、バイデン大統領も先刻ご承知であり彼も同じ穴のムジナですわ。ところが、どーも我が岸田首相は正真正銘の(似非)リベラルであり、グリーンエネルギーなどを心底信じているように見えて、本当に頼りないですわ。米政権のタテマエを真に受けて喜んでいるようで、作り笑いのバイデン大統領とのツーショットを見れば見るほどアホか?と。ただの私の危惧なら良いのですが…

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