イスラエルの新提案出る
イスラエルがハマスに対して、いくつかの前向きな休戦提案をしたようです。
ブリンケンは「非常に寛大な内容だ」としてハマスに受け入れることを要求しています。
「パレスチナ自治区ガザ地区での停戦と人質解放をめぐり、イスラム組織ハマスが29日、イスラエルの新たな提案について、仲介役のエジプト、カタールと協議した。アメリカは新提案を「非常に寛大」なものだと評価し、ハマスが受け入れることへの期待を示した。
新しい提案は、人質の解放と引き換えに、40日間の停戦と、避難しているガザ住民の北部への帰還を認める内容とされる。
また、恒久的な停戦というハマスの要求に応えるため、平穏の回復に関する新たな文言も含まれていると報じられている」
(BBC4月30日)
ガザ停戦、ハマスがイスラエルの新案を検討 アメリカは合意に期待 - BBCニュース
ハマスもまた今回の提案に乗り気のようです。
「【AFP=時事】イスラム組織ハマス(Hamas)の幹部は28日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘が長期化する中、イスラエル側が新たに提示した戦闘休止と人質解放案について、「大きな問題はない」との見方を示した。
匿名でAFPの取材に応じた同幹部は、代表団が29日にエジプトを訪れ、イスラエル側の提案についての検討結果を伝える予定だと明らかにした。 同幹部は「イスラエルから新たに妨害を受けない限り、前向きな雰囲気がある」として、「ハマスの検討結果の中に大きな問題は含まれていない」と語った」
(AFP4月29日)
ハマス、イスラエルの新たな提案に「大きな問題ない」(AFP=時事) - Yahoo!ニュース
かんじんのイスラエルの新提案ですが、まだ推測の域を出ませんが、このようなものだと考えられています。
「米ニュースサイト「アクシオス」は27日、イスラエル当局の話として、新提案にはガザ北部への住民帰還を認めると共に、ガザを分断し移動の自由を妨げている東西回廊からイスラエル軍が撤退する意向が含まれていると伝えた。
また、「合意実施の第2段階の一環として、持続可能な停戦の確立について話し合う」意思も含まれているとした。
イスラエルの当局や外交官は29日、人質解放の第1段階の人数を40人から33人に減らす用意があると、米紙ニューヨーク・タイムズと英紙フィナンシャル・タイムズに話した」
(BBC前掲)
まず、ガザ地区を南北に分断している東西回廊からイスラエル軍を撤退させます。
東西回廊とは、下図(2023年11月3日現在)のピンクの部分と白い部分の間の回廊(赤線)を指します。
イスラエル軍、ガザ市を完全包囲と発表 一部のパレスチナ人の脱出続くも人道危機悪化 - BBCニュース
この東西回廊によって、イスラエルの避難指示で南に逃げた避難民は元の北部の住居に戻れなくなっています。
北部の住居は壊滅的被害を受けていますが、すでに食料や医薬品の援助が届いていています。
3月31日現在は、イスラエル軍がはるか南部まで侵攻しています。
写真:ガザ最大病院再び襲撃 イスラエル軍「精密作戦」 | 沖縄タイムス+プラス (okinawatimes.co.jp)
戦闘はエジプト国境のラファにまで及んでおり、この攻撃に米国が待ったをかけている状況でした。
さらに複雑にしたのが、この時期に起きたのが、4月13日のイランのイスラエル本土へのミサイル攻撃でした。
イランに対して即時に報復をかける気だったネタニヤフに、バイデンは電話会談で止めるように説得し、ネタニヤフは戦時内閣で合意に至っていたイランへの即時大規模反撃を電話会談の直後に中止していたと報じられています。
このときの米国との交渉で、米国はイランへの大規模攻撃を限定的とするなら、ガザのラファへの攻撃を黙認してもいいと譲歩したたようです。
「しかし、ガザのハマスとイランは、無関係ではない。イランがいるからこそハマスがいる。
ラファへ突入してハマスを倒しても、イランを倒さなければ、また同じことになってしまう。イランを諦めて、ハマスを倒すという交換条件は、成り立つようで成り立たないのである。
とはいえ、打倒イランを優先すれば、人質を見捨てるということにつながりかねず、かつ、最大の同盟国アメリカをも失うことになる」
アメリカが大規模イラン攻撃中止と引き換えにラファ攻撃容認か:恐るべし水面下の交渉 2024.4.18 – オリーブ山通信 (mtolive.net)
これを受けて、ご承知のようにイスラエルは準備済みだった全面攻撃、ないしは核施設攻撃を断念しました。
そして4月19日、核施設があるイスファファンの空軍基地のレーダー施設のみをピンポイントで爆撃し破壊しました。
つまりオレはいつでも核施設に精密攻撃を実施できるが、今回はここまでにしておく、というメーッセージです。
4月23日、このイスラエルの自制を評価して、米国はイスラエルに対して大規模な援助も行っています。
「23日、アメリカ議会は、反対勢力を押し切り、戦争支援措置として、ウクライナ、イスラエル、台湾へ950億ドルを支援することで合意。24日、バイデン大統領がこれに署名した。
このうち、イスラエルへの支援額は170億ドル(2兆6000億円)で、ガザなど復興支援に90億ドルとされている。ガザへは、追加で10億ドルを加え、100億ドルを当てるとバイデン大統領は言っている」
オリーブ山通信 前掲
そして同時に西岸地区で非人道的行為を働いたとして、極右入植者への経済制裁と、それに協力したとしてイスラエル軍のネツァ・ヤフディ(ネッツァ・イエフダ)大隊に対しても制裁を加えると発表しました。
この部隊は他のIDF(イスラエル国防軍)部隊とは異なり、純粋のシオニストによって編成されています。
この人々のイデオロギーは、過激入植者と同様で、西岸地区は神がユダヤ人に与えたものだと信じている人々です。
この西岸入植の強行が、パレスチナ問題の解決をどれだけ妨げていることか。
このような宗教右派は、ユダヤ教の聖典どおり政治をしなけりゃ夜も陽も明けない連中ですから、外交もクソもありません。
オスロ合意なんてとっくに失効、アブラハム合意など知ったことか、ハマスみんな死ね、ということです。
そのくせ自分らは兵役の義務がないというのですから、ガザの戦場で死ぬ心配はない、まことにいい気なもんです。
これではいくら米国が、湾岸諸国と友好関係を結ばせて、ハマスを干上がらせようとしても無駄です。
内政大事で外交が吹き飛ぶ、というイスラエルの宿痾が丸出しです。
こんな連中を率いてか、率いられてか、戦時内閣首相をやっているのがネタニヤフです。
逆にいえば、ネタニヤフが今政権の座にいる唯一の意味は、こんなイカレタ連中を説得できるからです。
「イスラエルでは多くのユダヤ教男子が、本来義務であるはずの兵役を免除されているが、ネツァ・イエフダ大隊は、およそ四半世紀前に、超正統派ユダヤ教男子を軍隊に組み込む目的で編成された歩兵部隊だ。同大隊は歴史的にヨルダン川西岸地区を拠点としており、一部の隊員はパレスチナ人に対する虐待に関係しているといわれている。
米国には、人権侵害を犯した外国の軍隊に援助を行うことを禁じる法律がある」
(AP4月24日)
米国イスラエル軍に制裁検討 「ネツァ・イエフダ大隊」(AP通信) - Yahoo!ニュース 。
米国は一方で制止しながら一方で容認し、片手で援助を与えながら別の手で制裁を加えるという複雑なことをやっているわけです。
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今度は和平合意してもラファに攻め込むぞと言い出すとはネタニヤフは完全にユダヤ教右翼に媚びることでしか政権維持をできないとは言え、媚びすぎですね
投稿: 中華三振 | 2024年5月 1日 (水) 13時06分
大使館付属の革命防衛隊ビルに対する攻撃の成果は大きく、その事に対するイラン側の攻撃は派手なわりにお粗末でした。
そのまたイスラエル側の報復は日本のメディアなんかではあまり詳しく報道されませんが、イラン側の各所核施設を守るための防空レーダー網をズタズタに破壊しています。「ヘタヘタの無人機数機だけの攻撃だった~云々」のイラン政府の宣伝は、イラン側の白旗サインとも言うべきもの。
イスラエルは何時でも核施設を攻撃出来る意思表示とともに、バイデンの意向も少しは汲んで見せた格好ですかね。
ここまで来ればネタニヤフの目標の大部分がかなっていて、あとは人質返還と細かくガザの掃除をするだけでしょう。
軍事的に圧倒的有利に立ったネタニヤフ側から、ハマス側が断れない内容の停戦提案の発出は政治的にも優れたもの。ネタニヤフはさすが煮ても焼いても食えないヤカラ、バイデンの手に余る巧者です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年5月 1日 (水) 22時55分