• S-029_20240520161001
  • 20240522-024830
  • S-029_20240520161001
  • S-026_20240520161101
  • 20240520-161539
  • 20240520-161506
  • 20240520-163814
  • 20240521-023519
  • S-257
  • 20240519-090121

« イラン、イスラエルをミサイル攻撃 | トップページ | イスラエルのザヘディ爆撃は国際法違反なのか »

2024年4月17日 (水)

イスラエルの難しい決断

S-030_20240416155001 

イスラエル戦時内閣は報復をすることには一致したようですが、いつどのようにするかは持ち越しました。
イラン国連代表部は14日の攻撃について、「報復は終結したと見なしていいが、イスラエルが再び過ちを犯せばより厳しい対応を取る」と発表しました。
一方、国際社会はイスラエルに自制を求め、NYTやTimes of Israelは自制すべきだとして、「攻撃の被害が軽微だったことを受けてネタニヤフ首相は報復攻撃を中止した」と報じています。
しかし、イスラエルが300発以上のミサイル攻撃を受けて沈黙して引き下がることなど考えられません。
仮にそうしてしまったら、どんどん撃って下さい、とイランにお願いするようなものですから。
自衛権が成立する状況を放置するほど、イスラエルは甘ちゃん国家ではありません。

20240416-164543

「イランに報復」で一致 イスラエル戦時内閣、時期や規模では結論出ず 米政府高官“米軍の反撃参加は想定なし”|FNNプライムオンライン

しかし、だからといって無制限な報復が許されているわけではありません。
イスラエルメディアのN12はこう述べています。

「(戦時内閣の)協議では、テーブルに載せる必要がある2つの公理が生じます。第1は、地域を戦争に発展させないような対応をすることです。2つ目は、アメリカが納得できるような対応をすることです。これは必ずしも完全な調整ではなく、彼らが設定したルールに準拠する対応です」
N12 - 政治・安全保障指導部は「明確に対応するために... (mako.co.il)

たとえば、この完封に終わった迎撃戦闘がイスラエルだけでなし遂げたわけではありません。
ウォールストリートジャーナルは、イスラエルに頭を冷やしてみろ、と言っています。

「それを成し遂げたのは、イスラエルの高度な防空システムと、米国をはじめとする西側諸国およびアラブのパートナー諸国による支援のおかげだった。米英ヨルダンの戦闘機は、無人機の撃墜で特に重要な役割を果たした。イランの無人機とミサイルのほとんどは、イスラエル領空に到達する前に破壊された。
イスラエルとその支援国が、全面戦争の状況下でこれを再現できるかどうかについては疑問が残る。週末のイランによる攻撃は事前に分かっており、奇襲攻撃とは対極をなす。また、イスラエルが外部の助けなしに自国を防衛する能力も未知数だ」
(ウォールストリートジャーナル4月15日)
イスラエルのイラン攻撃撃退、米・アラブ諸国の支援あってこそ - WSJ

米英仏サウジヨルダンなどの支援国連合が、各地から発射されたドローンやミサイルをイスラエル領外で落してくれていたのです。
イスラエル独自の迎撃システムは確かに世界で有数の優秀さを誇っていますが、同じような攻撃が波状で行われた場合、今回のような完封は難しいでしょう。

イランは膨大な数のUAV(ドローン)やミサイルを保有しているといわれています。
今回使ったのは比較的旧式で更新予定になっていたものだとする説もあるほどで、おそらく10億から13億ドル使ったイスラエルよりはるかに安価な攻撃となったはずです。
ですから、イランには前回のような攻撃をなんどとなく繰り返す力は残っており、逆にイスラエルはこれを抑止して未然に防ぐ力は残っていないのです。

「イスラエルは今回、イランにあれだけの攻撃を許してしまったということは、イランへの抑止力がもはや効かなくなっていたことを表している。このまま何もしないでおくと、弱みととらえられ、イランはさらに思い上がってくることになる。
実際、イラン傀儡のハマスが、強気になり始めており、ヒズボラやフーシ派のイスラエル攻撃も続いている。国内のテロも増える傾向にある。
中東では、防衛能力があるだけでは十分ではない。より強力な攻撃能力を思い知らせて、相手に抑止させるしかないのである」
イスラエルはイランの核施設を攻撃するか:IAEA(国際原子力機関)が懸念表明 2024.4.16 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

またイスラエルが過剰な反撃をしたと見られた場合、このイスラエル支援5カ国連合は協力を拒むでしょう。
米国ですら攻撃への支援は拒否するといっているくらいですから、ヨルダンなどは真っ先に脱落するはずです。

「だがイスラエルが対応を検討する際には、ヨルダン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)といったアラブのパートナー諸国の利害も考慮しなければならない。
ガザにおけるイスラエルの軍事作戦で何万人ものパレスチナ人が殺害されたことに対する民衆の怒りをよそに、ヨルダンなどパートナー諸国は、13日にイスラエルがイランのミサイルと無人機を撃墜するのを支援した。
「中東地域のパートナー諸国はこの半年間、米国にイスラエルを抑制するよう対応を求める中、イスラエルとの間で、そして米国との間で、非常に大きな緊張関係にあったが、行動を起こした」
(WSJ前掲)

このような難しい判断をイスラエルは迫られています。
仮に報復するなら、ピンポイントで一切の市民の被害を出さないような、かつ国際世論がなるほどと納得できる目標でなくてはなりません。
実はそのような条件を満たす目標がひとつあります。
それはイランの核施設です。

20240417-021931

イラン核施設で異常発生、原子力長官は「テロ」と断定 | ロイター (reuters.com)

イランは核合意から米国が離脱したことを奇貨として、再び核武装の道を辿っています。
国際原子力機関(IAEA)は2021年1月に、イランが同国中部のフォルドゥのウラン濃縮関連活動で濃縮度を20%に上げると通達してきたことを明らかにしました。
イランは核合意当初、濃縮度「3・67%」を守ってきましたが、19年になってそれを破って「4・5%」に引き上げ、そして今回は「20%」です。
核問題の専門家によれば、「濃縮度4・5%」と「濃縮度20%」では大きな違いがあります。
「濃縮度20%」を超えると核兵器用の「濃縮度90%」まで技術的に容易になるといわれています。
つまりイランは核兵器開発の道に完全復帰したということです。

「[ドバイ/ウィーン/ワシントン 4日 ロイター] - イラン政府報道官は4日、中部フォルドゥの地下施設でのウラン濃縮活動について、濃縮度を20%に引き上げる作業を再開したと述べた」
(ロイター2021年1月5日)

肝心のイランが核開発に戻ると宣告してしまった以上、もう核合意の枠組みそのものが完全消滅して地上には存在しないのです。
田中浩一郎慶大教授がこんなのどかなことを仰せです。

「核施設が標的にされた場合、イランに核拡散防止条約(NPT)から脱退する口実を与えてしまう。イランが核兵器開発に乗り出せばサウジアラビアも同様の道を歩む恐れがあり、緊張が高まるだろう」
(産経4月15日)
イラン報復 事態発展すれば、米英介入も 田中浩一郎・慶応大教授 - 産経ニュース (sankei.com)

なにを寝ぼけているのでしょうか。もうとうにイランは核濃縮を再開しています。
これは核合意廃棄以外なにものでもありません。

IAEAも攻撃を予測してこう述べています。

「国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、イランは「安全保障上の配慮」を理由に日曜日に核施設を閉鎖し、月曜日に再開したが、「状況が完全に落ち着くまで」IAEAの査察官を遠ざけたと述べた。
グロッシ事務局長はニューヨークで記者団に「明日から再開する」と述べた。「検査活動に影響はありませんでした」

イスラエルがイランの核施設を攻撃する可能性について問われると、グロッシ事務局長は「我々は常にこの可能性を懸念している」と述べた。彼は「極端な自制」を求めた」
(イスラエルポスト2024年4月16日)
IAEAのラファエル・グロッシ事務局長、イスラエルのイラン攻撃を懸念 - エルサレム・ポスト紙 (jpost.com)

仮にイスラエルがシリアやレバノンのヒズボラなどの拠点を攻撃するに止めれば、とりあえずのエスカレーションはストップし、国際世論はほっとするでしょうが、イランの核兵器開発は止まらないということになります。

 

« イラン、イスラエルをミサイル攻撃 | トップページ | イスラエルのザヘディ爆撃は国際法違反なのか »

コメント

イラン「頼むぞ…頼むぞ…頼むから全機撃ち落としてくれ…!そのためにノロノロドローンの大群にしたんだから…頼むから、撃ち漏らして深刻な被害、とかにならないでくれ…全面戦争は嫌だ…でも『報復』しないと面子が立たないんだ…」

というコントみたいな思惑で、イスラエルも順当に撃ち落としてくれた、というシナリオを両者(イスラエル・イラン)が暗黙の了解で共有してるのだと思ってました。

イスラエルも、もし「反撃」するとしても、イランそのものでなく、傀儡国家の軍事施設に八つ当たりする程度に留めないと、また旗色が悪くなりますね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« イラン、イスラエルをミサイル攻撃 | トップページ | イスラエルのザヘディ爆撃は国際法違反なのか »