北朝鮮「軍事偵察衛星」打ち上げ失敗
北朝鮮が「軍事偵察衛星」の打ち上げに失敗しました。
黄海上空で、みごとチュドーンとこっぱみじんに爆発しましたので、北はも正直に失敗を認めています。
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は28日未明、国家航空宇宙技術総局が27日、軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1-1」を新型衛星運搬ロケットに搭載して北西部、東倉里(トンチャンリ)の西海(ソヘ)衛星発射場から打ち上げたが、失敗したと伝えた。エンジン部分に問題があり、1段目ロケットの飛行中に空中爆発したとしている。
韓国軍は、北朝鮮が27日午後10時44分ごろ(日本時間同)、偵察衛星を発射し、約2分後には北朝鮮側の海上で多数の破片として探知されたと発表した。北朝鮮は発射から約1時間半後には失敗を認めて公表した。
北朝鮮の同総局幹部は、新たに開発した「液体酸素+石油エンジン」の動作の信頼性に問題があったとし、「その他の原因となり得る諸問題についても審議する」と説明した。北朝鮮は今年中に3機の偵察衛星打ち上げを計画しており、再発射を試みるとみられる」
(産経5月28日)
北朝鮮「新型ロケットが空中爆発」軍事衛星失敗即座に認め、液体酸素+石油エンジンに問題 - 産経ニュース (sankei.com)
北朝鮮メディアが衛星失敗報じる...ロケット1段目が空中爆発「新開発のエンジンの信頼性に問題」と評価 - YouTube
今回のロケットは、液体酸素・石油ケロシン系エンジンだったようです。
ケロシンは要するに灯油のことで、ジェット燃料やロケット燃料に使われています。
「ロケット燃料としての性能(比推力)は噴射速度が高いほど、言い換えると燃焼温度が高く燃焼ガスの分子量が軽いほど、最終飛翔体と燃料の重量比(単に質量比と呼ぶ)がよくなる。したがって、理想的には液体水素と液体酸素の組み合わせがロケット燃料には最適である。しかしながら、液体水素は密度が低いためタンクが巨大になり、また液体酸素との沸点の違いからタンクの断熱構造が複雑になるなどの課題がある。すなわち、実際には燃料タンクなどロケットの構造材の重量も含めて考慮されるべきで、サイズが巨大になる多段式ロケットの1段目には、構造材の装置が簡単になり軽量化が図れるケロシンが燃料として採用されることが多い」
ケロシン - Wikipedia
ウィキにもあるように、この液体燃料+石油ケロシンという組み合わせは、構造材を簡素化できるために軽量化には向いていますが、なにせ液体酸素は大変に扱いにくいシロモノです。
「液体酸素(えきたいさんそ)とは、液化した酸素のこと。酸素の沸点は−183℃、凝固点は−219℃である。製鉄や医療現場の酸素源やロケットの酸化剤として利用され、LOX (Liquid OXygen)、LO2のように略称される。有機化合物に触れると爆発的に反応することがある」
液体酸素 - Wikipedia
つまり液体酸素を使うには、沸点−183℃、凝固点−219℃で管理せねばならないために、かなり大がかりな保管施設が必要です。
下の写真はケープカナベラルの液体酸素タンクです。
この「液体酸素+石油ケロシン」の組み合わせはロケットの黎明期であるV2から使われてきた枯れた技術に属します。
V2は野戦機動を持たせるために、ロケット運搬車、断熱タンクを備えた液体酸素運搬車、アルコール運搬車、電源車、指揮車など約30台の支援車両をワンユニットにして戦場を移動し、発射地点で4~6時間もの時間をかけて発射することができました。
基本的にはV2のように30両もの支援車両群を作るか、今の米国のように大規模な液体酸素タンクを持つしかないわけです。
言い換えれば、発射するには常に液体酸素を超低温で保管しておかねばならないために、即応性を求められる軍事用ミサイルには向いていない技術だということになります。
ただし、軍事偵察衛星も軍事目的ですし、ミサイルとしての軍事転用も可能なので、いうまでもなく国連制裁決議違反です。
この技術自体は、ロシアの技術支援、あるいは、あるいはロシア製のRD-180エンジンのそのものを使ったとみられています。
産経
「(金氏が)ロケット技術に大きな関心を示している」。昨年9月にロシアで金氏と対面したプーチン露大統領は、こう記者の質問に答え、北朝鮮の人工衛星開発に対する支援を明言した」
(産経5月28日)
ロシア支援下でも軍事衛星失敗の北朝鮮 金正恩氏の肝いり計画に影響も - 産経ニュース (sankei.com)
打ち上げが当初の4月から5月末までズレ込んだのは、ロシアとのすり合わせに時間がかかったとも見られます。
粗悪で名高い北朝鮮の砲弾とバーターでロシア製ロケットエンジンをもらったのかもしれませんが、これも粗悪だったというオチがつきました。
きっとこんな喧嘩が朝露であったのかもしれません。もちろん悪意の推測ですけど。
朝「お前んとこから買ったロケットエンジン、爆発したじゃねぇか。粗悪品売りやがって。恥かいたぜ」
露「いつおめーが買った。サンプルだって言ってタダでもっていたんだろうが」
朝「なに言ってやがる、お宝の大砲の弾ゴマンと売ってやったことを忘れたのか」
露「ああ、世間相場以上に高いくせに半分以上が使い物にならねぇ弾な。うちの国の砲兵は怖くって使えねぇって言っているぜ、バーロー」
朝「なら、買うなってんだよ。売ってくれるのはウチの国くらいなもんだろうが」
ギャギャー。
仲よきことは美しきことなり。
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日本はの液体燃料ロケットは「液酸+液水」ですが、酸素よりも水素のタンクはずっと難しい(分子が小さいので少しずつ漏れます)。ので発射直前に充填します。ロケットだと軽量化も必要。
その点「液酸+ケロシン(灯油ですな)」は管理が楽。今はアメリカのベンチャーもこの方式。
で、日本も00年代にIHI等が主導して民間の「GXロケット計画」がありました。
かつてソ連が月探査計画用に作った物が、本来捨てられたはずなのに何故か400本もウクライナの倉庫にあったから、安く買い叩こうと。。あれが「液酸+ケロシン」です。
アメリカのオービタルにかっさわれて計画中止。ギャラクシーエクスプレス社解散。
で、ベゾスのとことかライバルに対抗しようと電装系全取っ替えして打ち上げたオービタルもドカン!でした。
投稿: 山形 | 2024年5月29日 (水) 04時31分
何やら「汚物気球」という与正の「贈り物」の放球には成功したようですが。
やらされる現場の兵士は大変だろうなあ。。。
投稿: 山形 | 2024年5月30日 (木) 05時30分
何やら「汚物気球」という与正の「贈り物」の放球には成功したようですが。
やらされる現場の兵士は大変だろうなあ。。。
投稿: 山形 | 2024年5月30日 (木) 05時31分