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2024年5月 9日 (木)

ハマスはほんとうに停戦案を受諾したのか?

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ハマスが停戦案を受諾したというニュースが流れています。

「【5月7日 AFP】イスラム組織ハマス(Hamas)は6日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での7か月に及ぶイスラエルとの戦闘について、最高指導者イスマイル・ハニヤ(Ismail Haniyeh)氏が仲介役を務めるカタールとエジプトに対し、「両国の戦闘休止案に同意する」と伝えたと発表した。
 ハマスの発表を受け、ガザでは街頭に繰り出した人々が歓声を上げながら祝砲を放ち、喜びの涙を流す人や「アラーアクバル(Allahu Akbar、神は偉大なりの意)」と唱える人の姿も見られた。
ハマス幹部のハリル・ハイヤ(Khalil al-Hayya)氏は、カタールを拠点とする衛星テレビ局アルジャジーラの番組で、休戦案にはガザからのイスラエル軍の完全撤退、パレスチナ避難民の帰還、人質とイスラエル当局に拘束されているパレスチナ人の交換の3段階から成り、「恒久的な停戦」が目標だと説明した」
(AFP5月7日) 
ハマス、休戦案同意を発表 イスラエル側はなおラファ侵攻の構え 写真14枚 国際ニュース:AFPBB News

にもかかわらず、イスラエルはラファに侵攻するという姿勢をくずしていないと伝えています。
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「【5月1日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は4月30日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での戦闘休止合意の「有無にかかわらず」、同地区最南部ラファ(Rafah)への地上侵攻を開始すると表明した。首相府が明らかにした。
ネタニヤフ氏はイスラム組織ハマス(Hamas)に拘束されている人質の家族代表と面会し、「すべての目標を達成する前に戦争を中断するのは問題外だ。われわれは完全な勝利を達成するため、合意の有無にかかわらず、ラファに侵攻してハマスの大軍勢をせん滅する」と主張した」
(AFP5月1日)
休戦合意の「有無にかかわらず」ラファ侵攻 イスラエル首相 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

う~ん、このニュースだけ見るとやっぱりネタニヤフは交渉によらない解決、つまりは戦争で決着をつける気なんだということになってしまいますね。
果たしてそうなんでしょうか。
イスラエルタイムズは5月1日付けで、この「ハマス停戦案合意」についてのネタニヤフのコメントを載せています。
 (timesofisrael.com)

「ネタニヤフは、月曜日に、合意の条件は、イスラエルが数日前に承認したものから変更され、「軟化」され、受け入れられないものになったと述べたイスラエル当局者に同調し、ハマスの提案は「イスラエルの死活的な要求から非常にかけ離れている」と強調した」
(イスラエルタイムス前掲)

では、イスラエルがハマスが停戦提案を改竄しているとすればどこでしょう。
ハマスは、最新の人質取引の申し出を鼻であしらうと示唆するが、交渉は継続すると述べている |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

細かい点は多々ありますが、最大の相違点は人質解放についてです。

「イスラエルが提示した3段階の合意は、最初の42日間で、33人の生きている人質(全員が女性、子供、老人、病人)の解放を求めているが、ハマスは、生死を問わず33人の人質を解放すると述べた。
さらに、ハマスの提案は、第1段階の人質解放のタイミングを、3日ごとに3人の人質から7日ごとに3人の人質に変更している」
(イスラエルタイムス前掲)

・ハマスが受諾していると称している合意案・・・生死を問わず33人
・イスラエルの合意案                             ・・・生きている33人

これは大きい違いです。イスラエルが情勢、子供、老人を中心とする「生きている人質33人」なのに対して、ハマスは「生死を問わない33人」ですから、死体を送り返してくるつもりでしょう。
また人質解放の間隔ですが
・ハマス                 ・・・7日ごとに3人
・イスラエルの合意案・・・3日ごとに3人

ハマスは1週間ごとに3人とするとしていますから、全ての人質が解放されるまで実に77日間もかかることになります。

そして人質解放と同時にパレスチナ治安部隊の囚人を解放するわけですが、その人選に関してイスラエルは拒否権を持つとされていましたが、ハマスは拒否権をあたまから無視しています。
するとハマスは、最初の段階からもっとも危険なテロリスト(ハマスからすれば「英雄」)を釈放しようとするでしょう。
この人質交換のレートも、ハマスは勝手にハマスの都合よく囚人の数を引き上げています。

ガザ北部への帰還についても
・イスラエル合意案                ・・・保安検査を受けた者のみ通過
・ハマスが合意案と称するもの・・・一切の保安検査なく自由に帰還

またイスラエル軍の撤退についても大きな差があるようです。

とまれ、ハマスが狙っているのは、ラファスに残存しているといわれる6個大隊規模といわれるハマス戦闘部隊と指導者の温存です。
ハマスの部隊編成がどうなっているのかは不明ですが、常識的に見て1個大隊は約500人~600人ですから、3千人規模の戦闘員がラファに潜んでいると思われます。
おそらくハマスが狙っているのは、人質解放を2ヶ月以上に渡ってすることで、その間に人質交換で釈放された戦闘員で部隊補充し、中部と北部で部隊の再編をするとイスラエル軍は見ています。

人質解放は望ましいことであると同時に、大変に危険なことを伴います。
大量のパレスチナ側囚人を野に放つからです。

在イスラエルジャーナリスト石堂ゆみ氏はこう述べています。

「しかしながら、その一人が助かることが、非常に大きな問題となって戻ってくる可能性があるということをイスラエル政府、さらにはネタニヤフ首相個人は、はすでに痛いほど経験している。
かつて、イスラエルは、人質になっていた、イスラエル兵のシャリートさんを奪回するために、ハマスと交渉し、その代価として、パレスチナ人テロリストの囚人約1000人を釈放した。今、イスラエルが、探し出すのに苦戦しているガザのハマスの指導者ヤヒヤ・シンワルは、その釈放されたテロリストの中の一人である。
シンワル以外にも、多数のテロリストが、この1000人の中から出てきて、多くのイスラエル人をテロで殺害した。このシャリートさん救出の決断をしたのは、ネタニヤフ首相だった。人質の家族を思えば、本当に辛いが、これと同じことを、今、ネタニヤフ首相がするとは考えにくい」
イスラエル軍ラファへ進軍開始:人質家族たちが大規模デモ 2024.5.7 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

今、ハマスがやっているのは、交渉を長引かせて人道を名目とした国際世論戦を仕掛けることです。
ハマスの残虐非道な無差別テロを「抵抗」と言い換えることで合理化し、イスラエルの反撃のすべてを「ジェノサイド」と認識させようとしています。
このプロパガンダは西側メディアの協力により成功し、本来被害者だったイスラエルの侵略行為による民間人虐殺のように捉えられつつあります。

これはかつて北ベトナムが米国に仕掛けたプロパガンダによる世界的反戦運動の爆発とよく似ています。
結果、米国は民主主義国家最大の弱点である「人命と人権」カードを北ベトナムに握られてしまいました。
その結果、巨大な米国は戦闘で勝ち、戦争で負けたのです。
ハマスはこの北ベトナムの戦略を、よく研究していると思われます。

ただ相手が悪名などは苦にしないネタニヤフであることが最大の違いです。
イスラエルは交渉をしつつ軍事的な一手を打っています。

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イスラエル軍ラファへ進軍開始:人質家族たちが大規模デモ 2024.5.7 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

「イスラエル国防軍は、約100,000人のパレスチナ人にガザの東部地区から避難するよう促した翌日の火曜日に、ガザとエジプトの間のラファ国境検問所を占領した」
(イスラエルタイムス5月8日)
イスラエル国防軍の報道官、米国の武器輸出の停滞を軽視、意見の相違は非公開で解決したと発言 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com) 

 状況は混沌としています。

 

 

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コメント

 イスラエルが出したのは休戦案で、停戦案ではないですよね。
人質の生死状態の他に大きな違いは、「ガザからイスラエル軍が完全撤退する事」で、そんなものイスラエルが飲めるはずがありません。すなわち、戦後のハマスが再びガザ統治に携わると言う事を認める事ですから。

この奇妙な報道の責任はエジプトやカタールにあり、バイデン政府にもあると思います。交渉担当者からのリーク報道が出るまでイスラエルは内容を知らず、当然いまは仕切り直しとなっています。
ところが、世間はイスラエルが合意を覆すためにゴネているかのような印象を与えるものがほとんどです。
ラファへの侵攻を遅らせ、宣伝戦に長けたハマスのワナだったというのが事実です。

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