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2024年5月20日 (月)

ガラントとガンツ国防相コンビ、ネタニヤフ戦時内閣から離脱か

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イスラエルのガラント国防相が、戦時内閣からの離脱を示唆しました。
もし離脱が実行されれば戦争の真っ最中に国防相と前国防相が戦時内閣から出て行くという異常事態となり、戦時内閣は瓦解するでしょう。

ヨアヴ・ ガラントは、ネタニヤフと同じリクードに属しながら、野党の支持もあって、今選挙があれば次期首相の呼び声も高い政治家です。
ネタニヤフとは対照的な考えを持っており、たとえば、ネタニヤフは西岸支配を強化するための司法改革を進めましたが、ガラントは粘り強く反対し撤回させました。

公然と叛旗を翻すのは時間の問題と見られていたようです。

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ヨアブ・ガラント国防相とベニー・ガンツ前国防相
ガンツはギャラントを国防相として復帰させるよう呼びかける - イスラエルの政治 - エルサレムポスト (jpost.com)

今回の戦時内閣離脱の示唆は、前々からくすぶっていたガザの戦後統治のあり方を巡って、ネタニヤフと決定的に対立したからのようです。
ガラントの懸念は、去年10月のテロ発生直後からあったようです。
BBCによれば、対ハマス戦争を遂行する主体であるイスラエル国防軍(IDF)は、この戦争初期の時点で戦時内閣に対して「戦争の計画書」を提出していたようです。


「ガラント氏は、ガザ地区への地上作戦を開始した昨年10月末の時点ですでに、国防省が内閣に戦争の計画書を提示していたと説明。それには「現地主導で非敵対的なパレスチナの統治代替組織を確立する」案も含まれていたという。
ハマスのいない状態は、「パレスチナ人組織が、国際的な組織と共にガザを掌握することによってのみ達成される」と、ガラント氏は述べた。
しかし、この案は一度も議論されず、代替案も提示されていないという」
(BBC5月19日)
ネタニヤフ首相に反発、イスラエル国防相 ガザ地区の戦後計画めぐり - BBCニュース

このIDFの「戦争計画書」がどのようなものかは明らかではありませんが、ガラントのいうことから想像すると戦後のガザ統治まで含んだ中長期的なもののようです。
ここで問題となるのは、なんといっても戦後統治のあり方です。
これを定めて置かねば、戦後のガザは統治主体なき混沌の場と化します。
このような統制の及ばない政治的真空地帯を作ってしまえば、そこには「アラブの春」で各国にISが誕生したような過激組織の温床が生まれるでしょう。
この不安は戦争が拡大するに連れて実体化して、いまやIDFの中にある種の厭戦気分をもたらしているようです。
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BBC ガラント国防相

そりゃそうでしょう。
残虐なテロに対しての反撃をするところまでは多くのイスラエル人の挙国一致でしたが、戦争が長引いて多くのガザ市民が巻きぞいで殺害されて、いまやイスラエルはこともあろうにジェノサイド国家の汚名を着せられつつあります。
しかしハマスの首領は捕まらず、人質は続々と死亡が確認されていき、南部ラファに侵攻かと言う時期を狙ったように戦闘が終結したはずの北部で再びハマスの攻勢が始まっています。
そのうえに仮にガザの戦闘が終わっても、戦後統治が決まらないままにIDFはどこまで続くかわからない治安維持任務に駆り出されます。
たまったもんじゃない、なんで戦争開始の時点でIDFの戦争計画書を戦時内閣が議論しなかったのだ、冗談ではない、これが本音でしょう。
ガラントが考えているのはハマスを放逐し、「パレスチナ人組織が、国際的な組織と共にガザを掌握することによってのみ達成される」(BBC)状態のようです。
ガラントはぼかした言い方をしていますので、「パレスチナ組織」とはいまのアッバスの自治政府を指すのか、それともそれ以外の「穏健な市民たち」で構成される「刷新された自治政府」のか、ならばどうやってその線引きをするのか、あるいは「国際的組織」はアラブ湾岸地域諸国のエジプト、ヨルダン、サウジがこの火中の栗を拾う用意はあるのかなど不透明なことばかりです。
はっきりしていることは、ネタヤフのイスラエル単独でのガザ統治構想に対しての強い批判です。
「ガラント氏は、イスラエル政府が計画を立てられずにいることで、ガザはイスラエル軍と民間人が支配する「危険な道」に向かっていると述べた。
「これはイスラエル国家にとって、戦略的にも、軍事的にも、安全保障の観点からも、ネガティブで危険な選択肢だ」「繰り返すが、私はガザにイスラエル軍による統治体制を作ることに反対する。イスラエルはガザ地区に文民統治を敷くべきではない」」
(BBC前掲)

なお、ガラントの盟友であるベニー・ガンツ前国防相が、ネタニヤフに突きつけた6項目要求は以下です。

「ガンツは、「6つの戦略目標」を達成するために、戦争内閣は「行動計画を策定し、承認しなければならない」と述べた。
1「人質を家に連れて帰れ」

2「ハマスの支配を打倒し、ガザ地区を非武装化し、イスラエルの治安管理を(ガザを)手に入れよう」
3イスラエルの治安管理と並行して、「アメリカ、ヨーロッパ、アラブ、パレスチナの要素を含む、ガザの国際的な文民統治メカニズムを創設し、それはまた、ハマスでもなければ、(パレスチナ自治政府の)アッバス議長でもない、将来の代替案の基礎となるだろう」
4「(ヒズボラの攻撃で避難した)北部の住民を9月1日までに自宅に帰還させ、(10月7日にハマスが標的にしたガザに隣接する)西部ネゲブを復興させる」
5「イランとその同盟国に対抗する自由世界と西側諸国との同盟関係を構築するための包括的なプロセスの一環として、サウジアラビアとの国交正常化を進める」
6「すべてのイスラエル人が国家に奉仕し、国家的努力に貢献する(軍/国家)奉仕の枠組みを採択すること」
ガンツ首相、6月8日を首相の戦後計画策定期限に設定、さもなければ連立政権を断念 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

 ガンツの提案は傾聴を値します。
人質の解放、ハマスの粉砕を前提として、北部住民の帰還、西武の拠点としネゲブの復興などの復興プログラムを組み入れています。
これはイスラエルの(おそらく暫定的な)治安管理の下で、「国際的文民統治メカニズム」を作りながら行われると考えられます。
「国際管理」とは、エジプトとアラブ湾岸諸国が加わり、サウジとの国交正常化を意味するようです。
ここでできる暫定政府からはハマスは言うまでもなく、アッバスも排除されるようです。

このガンツ提案は米国案と重なる部分があります。
米国は一貫してイスラエルのハマスをガザから一掃することについては合意しつつも、戦後に恒久的な平和をもたらすためには、西岸地区とガザ地区を合わせたパレスチナ国家設立が必須だと考えています。

この米国プランでは、パレスチナ国家の樹立主体はあくまでも現行のパレスチナ自治政府です。
これを国家承認し、西岸とガザを管理させ、その復興を湾岸諸国と世界諸国が助けるというビジョンのようです。
そして納得しないイスラエルには、ブリンケンはイスラエルがこのプランを受け入れるなら、サウジとの国交正常化を強く推進するというおまけを用意しています。

ガンツ案と米国案の決定的違いはアッバスの扱いです。
ガンツはアッバスを排除していますが、米国は許容しむしろ戦後の主体にしたいようです。
腐り切ったアッバス政府に対する過剰な思い入れに見えますし、ともかくアッパスは西岸の一部しか実効支配していないのですからどうしてガザ全域を代表できるのか不明です

とまれガラントは6月8日までと時間を区切ってネタニヤフに回答を迫っていますので、もし協議が不調な場合、ガラントとガンツは戦時内閣から出ていくことになるでしょう。
ここまで対立が煮詰まってしまったら(戦時下で可能かどうか分かりませんが)、ネタニヤフの信任を問う選挙をしたほうがいいと思います。
この男はなにも決められないまま、ひたすら軍事力だけで押し進もうとしているようです。

ネタニヤフは、オレに最後通牒を出すのか、ハマスに出せぇと吠えています。
逆質問状はガンツの公開質問状の意図をねじ曲げて、ハマスを殲滅したくないのかといっていますが、これは論点ずらしです。
ガンツが言ってるのは、ハマスを粉砕した「後」の状況についてです。
ただパレスチナ国家について、ガンツがあえて不明瞭にしている点をついています。
まぁ、結局ここなのです。

「ネタニヤフ首相は、大統領府を通じて発表した痛烈な声明で、連立相手が「ハマスに最後通牒を突きつける代わりに、首相に最後通牒を突きつけた」と非難した。
ガンツの要求は「イスラエルの戦争と敗北を終わらせ、人質の大多数を放棄し、ハマスを権力の座に残し、パレスチナ国家を樹立する」ことを意味すると声明は主張している。
首相官邸は、ガンツが本当に政府の転覆ではなく、国益を優先するのであれば、次の3つの質問に答えなければならないと主張した。
・ガンツは、ラファでの作戦を最後まで見届けたいのだろうか、もしそうなら、なぜ彼はイスラエル国防軍の作戦中に統一政府を打倒すると脅しているのだろうか?
・彼は、たとえマフムード・アッバースが関与していなくても、ガザにおけるパレスチナ自治政府の支配に反対しているのだろうか?
・彼は、サウジアラビアとの国交正常化プロセスの一環として、パレスチナ国家を支持するだろうか?」
(イスラエルタイムス5月19日)
ガンツ首相、6月8日を首相の戦後計画策定期限に設定、さもなければ連立政権を断念 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com)

やれやれネタニヤフは、聞く耳をもたないという姿勢です。

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コメント

 ガンツの提案は、1)ハマス排除、2)ガザの非武装化、3)パレスチナの既存政党以外のガザ統治を掲げている点で、論理的には充分条件を満たしていると思うし、それゆえ国民の支持も高いのだと思います。
それに否を言うネタニヤフは「領土的野心を持っている」と見られても仕方ないワケで、しかし一方では、これまでの歴史からガンツ案は「実効性の担保がない」と考えるのが右派的思考としては自然です。

バイデン政権の考えは、単に失敗したオスロ合意の焼き直しなのであって、当事者能力のないファタハに統治を任せる線を残す事は負の歴史を繰り返すだけ。またぞろ新ハマスが勃興して、ガザでファタハと内戦する愚を繰り返すだけのような気がします。西岸地域にはアメリカ人も多数入植していますから、ファハタをないがしろに出来ない事情があるのかも。

イスラエル国民の特に若い人はネタニヤフのような右派の民族主義的傾向を嫌っているようで、たとえ迂遠な方法でもガンツのようにやるより仕方ないか。

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