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2024年5月24日 (金)

国際刑事裁判所、ネタニヤフとハニヤに逮捕状請求

S-022

国際刑事裁判所が、イスラエルのネタニヤフとガラント、ハマスのハニヤ、デイフに、逮捕状を請求しました。

「(CNN) 国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は20日、CNNの単独インタビューに応じ、昨年10月7日に起きたイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃とその後のパレスチナ自治区ガザ地区での状況をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相やハマス幹部に対して戦争犯罪や人道に対する犯罪の容疑で逮捕状を請求する意向を明らかにした。
カーン氏によれば、ICCが逮捕状の請求を行う対象にはイスラエルのガラント国防相をはじめ、ハマスの最高指導者ハニヤ政治局長や軍事部門トップのデイフ氏も含まれる。
今回のイスラエルの政治家に対する逮捕状の請求は、ICCが米国の緊密な同盟国であるイスラエルの指導者を対象とした初めてのケース。
戦争犯罪や人道に対する犯罪の容疑という同じ行動でイスラエルとハマスの指導者に対する逮捕状を請求することは、ICCがテロ組織と選挙で選ばれた政府を同等の立場に置くという批判を浴びる可能性がある」
(CNN5月21日)
ICC主任検察官、ネタニヤフ首相やハマス幹部に「逮捕状」 CNN EXCLUSIVE - CNN.co.jp

20240523-053111

ICC、イスラエル・ネタニヤフ首相やハマス幹部らの逮捕状請求 | TBS NEWS DIG (1ページ)

まず、このICCについて押さえておきます。
よく誤解されているように、ICC(国際刑事裁判所)はICJ(国際司法裁判所)とは別物です。
同じハーグにあって、共に国際司法機関なのでゴッチャにされますが、ICJが国家間紛争を仲介するために作られた国連組織であることに対して、ICCは国際社会が関心を持つ個人の罪に対して儲けられた常設の非国連機関です。

根拠法は1998年に採択された「国際刑事裁判所ローマ規程」で、ローマ規程には10月現在、日本や欧州の主要国など123カ国が加盟していますが、米国や中国、ロシアは参加していません。
このローマ既定にはこうあります。

●国際刑事裁判所ローマ規程
(2)1)集団殺害犯罪、2)人道に対する犯罪、3)戦争犯罪及び4)侵略犯罪をICCが管轄権を行使する対象犯罪とし、構成要件を規定(ただし、侵略犯罪のみ未定義)。対象犯罪が各締約国等で処罰されない場合にのみ、ICCが捜査・訴追を行う(補完性の原則)。
(3)ICCは、1)締約国による付託、2)国連安保理による付託、又は3)ICCの検察官による捜査の着手がなされる場合に管轄権を行使(ただし、1)及び3)については、被疑者の国籍国又は犯罪の実行地国が締約国であることを要する。)。
(4)締約国に対してICCへの一般的な協力義務を定め、締約国において、逮捕、引渡し及び証拠の提出をはじめとするICCへの協力を可能にするため必要な手続を確保することを義務付ける。
外務省: 「国際刑事裁判所に関するローマ規程」について(略称:国際刑事裁判所ローマ規程) (mofa.go.jp)

ICCは、集団殺害を含む戦争犯罪を裁くのが目的で、締結国は逮捕などの協力義務があります。
現在のガザ戦争に関する段階は、ICC検察局がする裁判の前段階にあたる犯罪の捜査と逮捕状の請求です。
なお、ICC検察局は裁判部門からは独立しており、検察官も裁判所の任命ではなく、締約国会議の直接選出です。

今回のカーンICC主任検察官の主張。

「ICCの判事がネタニヤフ、ギャラント、そして3人のハマス指導者に逮捕状を出すよう要請したという月曜日の発表で、彼は、イスラエルの首相と国防長官に対する容疑は「絶滅を引き起こし、人道的救援物資の拒否を含む戦争の手段として飢餓を引き起こし、紛争下の民間人を故意に標的にした」と述べた。
「私たちは、起訴された人道に対する罪が、国家の政策に従ったパレスチナの民間人に対する広範かつ組織的な攻撃の一部として行われたことを主張する。我々の評価では、これらの犯罪は今日まで続いている」とカーンはイスラエルの指導者たちに言及して述べた」
(タイムズ・オブ・イスラエル 5月21日)
検事総長:ICC検察官がイスラエル指導者を逮捕する試みに「根拠はない」 |タイムズ・オブ・イスラエル (timesofisrael.com) 

カーン主任検事は「絶滅を引き起こし、人道的救援物資の拒否を含む戦争の手段として飢餓を引き起こし、紛争下の民間人を故意に標的にした」という表現で、「絶滅」、すなわちジェノサイドであると決めつけています。
つまりハマス側の主張を全面的に認めた非常に問題がある訴追内容です。

提訴した南アは、ジェノサイドの証拠として、ネタニヤフが聖書の申命記から申命記第25章17節から「アマレク」という言葉を引用したことを「ジェノサイドの呼びかけ」として証拠提出しています。

「イスラエルでは「アマレク」は悪のシンボルのように受け取られている。ネタニヤフ首相はハマスの奇襲テロの直後ということもあって、申命記に登場するアマレクに言及したのだろう。イスラエル人はどの世代にも背後からイスラエルを殺そうとする敵が存在すると考えてきた。ナチスもアマレクだった。
ところが、南アフリカは2023年12月末、申命記第25章17節から引用したネタニヤフ首相の演説内容を、「パレスチナ人に対するジェノサイドへの呼びかけ」と解釈し、国際司法裁判所(ICJ)に訴訟を起こす根拠に挙げている。それに対し、ウィーン大学のユダヤ学研究所のゲアハルト・ランガー所長はオーストリア国営放送(ORF)とのインタビューの中で「アマレク人は歴史的にはほとんど知られていない民族だ。アマレクは象徴的な悪を表している 」
ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog) 

南アの主張は牽強付会です。
ネタニヤフはイスラエル人ならよく知っている「アマレク」という言葉を引いて反ユダヤに警戒を呼びかけたのであって、アマレクは狭くパレスチナ人そのものではありません。
現に長谷川良氏も指摘するように、イスラエルではナチスも「アマレク」と呼ばれています。

確かにネタニヤフは過剰な自衛戦争をしてしまったために、出さなくて良い市民の死者を多く出しました。
このことは動かない事実ですし、強く非難されるべきです。
しかしだからといって、カーン主任検事が言うようなパレスチナ人の民族絶滅を目的とした戦争をしたわけではありません。
カーンはハマスサイドのプロパガンダに汚染されています。 

このネタニヤフへの逮捕状についてのイスラエルの反応。
イスラエルのミアラ司法長官の発言。

「ガリ・バハラフ・ミアラ司法長官とアミット・アイスマン州検事は水曜日、国際刑事裁判所(ICC)で反撃し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ギャラント国防相に対するカリム・カーン検察官の逮捕状請求は「根拠がない」と述べた。
ICCの最高幹部2人は、ICCは法律違反の申し立てをすべて調査すると述べ、それゆえICCにはイスラエル当局者を捜査し起訴する権利も権限もないと主張した。
「イスラエル国防軍を含む治安部隊は、国際法のルールに全面的にコミットして戦争を遂行している」と、バハラブ・ミアラとアイスマンは共同声明で述べた。(略)
イスラエルは、ガザでの攻撃はハマスの殲滅が目的であり、民間人の犠牲者が多いのは、テロ集団が民間人を人間の盾として利用したためだと主張している。イスラエルは、ガザ地区への人道支援を拡大する努力を強調し、人道危機の原因は、援助機関が物資を適切に配給しなかったことや、テログループやギャングによる救援トラックの略奪にあると非難している」
(タイムス・オブ・イスラエル前掲)

カーン主任検事は、このミアラ司法長官の訴えにもう少し真摯に耳を傾けるべきでした。
ミアラが言っているように、イスラエルは可能な限り人道援助をしてきましたし、病院を攻撃するときは神経質なほど慎重でした。
しかしハマスやギャングたちは、意識的に救援トラックを襲撃しました。
このことには多数の証拠があります。

一方米国の反応。

「ブリンケン氏は、ICCの判断について、「極めて誤った決定だ」と指摘した。パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルとイスラム組織ハマスを同一視するのは「恥ずべきことだ」と強く批判。超党派で協力し、対抗措置を検討する方針を表明した。
 逮捕状請求を巡っては、バイデン米大統領も20日に「言語道断だ」と非難。イスラエルが民間人保護に取り組んでいると説明し、決定を「拒否する」と語っていた。
 バイデン政権はガザでの戦闘に関し、ICCに管轄権はないという立場。逮捕状請求に反発することで「後ろ盾」としてイスラエルを擁護する姿勢を鮮明にしている。
 ブリンケン氏が出席した別の上院公聴会では、共和党のグラム議員が「イスラエルの友人を助けるためにも、ICCに制裁を科すことを望む」と強調した。ブリンケン氏は議会との連携に前向きな姿勢を示したが、対抗措置の詳細には触れていない」
(時事5月22日)
米国務長官、ICCへの対抗措置検討 議会と連携、制裁視野:時事ドットコム (jiji.com)

ブリンケンはICCへ制裁を課すという表現まで使っています。

このICCの逮捕状請求に呼応したかのように、三国のパレスチナ国家承認運動が起きました。
この逮捕状を受けてネタニヤフはさらに硬化し、パレスチナ国家を承認するようにとのノルウェーなど3カ国の動きに対しても全面拒否を宣言してしまいました。

「【エルサレム=福島利之】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は22日の声明で、スペイン、アイルランド、ノルウェーがパレスチナを国家として承認する方針を表明したことについて「テロリズムへの報酬だ。平和をもたらさない」と非難した」
(時事5月23日)
パレスチナ国家承認は「テロリズムへの報酬」、イスラエル首相が非難…「邪悪な者に国を与えてはならない」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

皮肉にも、これがICCがイスラエルをジェノサイドと決めつけたり、パレスチナ国家承認を求めたことの政治的成果です。
第三国にこんなことにクチバシを突っ込む権利はないばかりか、かえって今の情勢をこじらせます。

ICCはガラントまで訴追することで、今、ゆっくりと進んでいるイスラエル国内の反ネタニヤフのうねりを鎮火させてしまい、結果としてネタニヤフの主張に力を与え、世界に拡がりつつある反ユダヤ運動に燃料を投下しただけなのです。

ガザ戦争の行き過ぎに対する反省や、パレスチナ国家承認問題は、あくまでも当事国イスラエル自身がなすべきであって、このような形の国際圧力は有害無益です。
ヨーロッパリベラリズムの「善意」がもたらしたものは、当事国であるイスラエル自身による解決を遠ざけただけなのです。

 

 

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