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2024年5月14日 (火)

NHK「国の借金論」をまた蒸し返す

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今、6月のいわゆる骨太の方針を巡って追い込みの時期に入っています。
こういう時期にかならず出てくるのが、「基礎的財政収支の(プライマリーバランス)の黒字化の時期」です。

「財務大臣の諮問機関が、政府がまとめることしの「骨太の方針」に向けた議論を始め、焦点となる財政健全化の目標をめぐり、財政の現状などについて意見を交わしました。
財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会は、政府が例年、夏までに「骨太の方針」をまとめるのを前に提言を提出していて、5日、ことしの提言に向けた議論を始めました。
会議では、政府が2025年度の黒字化を目指す「基礎的財政収支」という指標について、ことし1月に行った試算では、高めの経済成長を想定した場合でも、2025年度には1兆1000億円程度の赤字が見込まれることが説明されました」
(NHK2024年3月5日)
財政審「骨太の方針」ことしの提言に向けた議論を開始 | NHK | 財務省

この中で死滅したとばかり思っていた「国の借金」論を、NHKがまたもや蒸し返しています。
たぶんこういうことを言う委員が、かなりの数いるということです。

「国債や借入金などをあわせた政府の債務、いわゆる“国の借金”は、ことし3月末の時点で1297兆円余りと過去最大を更新し、財政状況は一段と厳しくなっています。
財務省によりますと、国債と借入金、それに政府短期証券をあわせた政府の債務、いわゆる“国の借金”はことし3月末の時点で1297兆1615億円と8年連続で過去最大を更新しました。
去年3月末と比べた1年間の増加額は26兆6625億円となり、財政状況は一段と厳しくなっています。
昨年度は防衛費や社会保障費が増えたことに加え、ガソリン補助金や低所得者世帯への給付金など、物価高対策を盛り込んだ13兆円を超える補正予算を編成した結果、国債の発行が積み重なりました」
(NHK2024年5月10日 )
“国の借金” 1297兆円余 8年連続で過去最大を更新 財政厳しく | NHK | 財務省

へぇー、今どき「国の借金」だなんて堂々と言うとはやるな、NHK。
もちろん冒頭から間違っています。
政府債務は「国の借金」ではありません。
そして「借金」という一般家庭の財布と、「国の借金」を意図的に混同して使うという初歩的誤謬をしています。

では、「国の借金」とはなんでしょうか。
一般家庭には債権を発効できませんが、国家は国債を発効する権限を持っています。
ここが一般家庭の家計と国の財務を一緒にしてはならないポイントです。

しかも日本国債はすべて内国債といって、すべて自国通貨建て(円建て)です。
国債が日本で破綻するとすれば以下の条件が揃った時です。

●国債が破綻する原因
①国内投資家が国債を買わなくなること。
②外国投資家が国債を買わなくなること。
③中央銀行(日銀)が国債を買わなくなること。

では、国債の保有者はだれなのでしょうか。
この「国の借金」論の出元である財務省自身がこんなグラフを出しています。

20240512-154300

saimu2023-1-3.pdf (mof.go.jp)

●国債引き受け主体
・中央銀行(日銀)   ・・・47.90%
・保険・年金基金    ・・・19.06%
・預金取扱機関(市中銀行)・・10.92%
・社会保障基金     ・・・4.50%
・海外         ・・・13.51%

国民が「預金取扱機関」(市中銀行)に預けた資金を日銀に預け、そこから日銀は国債を買っています。
つまり一般国民が国債を買っているということです。
海外は13.51%しかないうえに、円建てですので怖くありません。
したがって、日本国債は世界でも稀なくらいにデフォルトする確率が低い国債なのです。

え、国債が満期になったらどうするのか、って。
国には寿命がありませんから、借り換えればよいだけです。

日本国債は絶対に破綻しませんから、ナニかあるごとに財政負担がぁ増えてぇ、国の赤字を先の世代に残してはならないぃなどと言う増税派には警戒のほどを。
こういう人たちは国の借金を返すために政府は無駄遣いをやめ清く正しく緊縮せねばならない、それでも足りないから恒久的財源確保のために増税やむなしという議論に誘導したがります。

自国建て国債でデフォールトした国は、世界広しといえどありません。
破綻するのは、常に自国建てができない経済しか持たない国です。
なによりも一目瞭然なのは、現在の国債の利回りは10年債で0.28%、20年債でようやく1%をわずかに超えて1.103%、最も長い40年債ですら1.564%に過ぎないことを見れば、理解できるはずです。
ちなみに、下図はちょっと古い2018年のものですが、ブラジルは10%超え、米国ですら2.9%です。
日本は金利0.062%ですから、まちがいなく世界一の低利の国債でしょう。
金利が高い国の国債はリスキーだからです。

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No.3793 世界各国の10年国債利回りです… - シャープ1億にモノ申す部屋 - FX、為替掲示板 - Yahoo!ファイナンス掲示板

かつてカンという無知な男が、財務省からギリシアになるぞと脅かされたという話がありましたが、そんなことにはなりようがありません。
ちなみに民主党政権がやったことは、財務省のレクチャーどおりに事業仕分けという名の歳出カット祭りと、東日本大震災の復興財源と称しての復興増税でした。
消費増税も民主党時代の悪しき遺産です。
ホント、民主党ほど財務省にいいなりの党はなかったのですが、みなさんもうお忘れか。

国債依存になるとハイパーインフレになるということが言われましたが、なりません。
いまの日本のインフレは、欧米のそれと較べようがないほど微弱なインフレにすぎません。

今、日本の円安インフレは日米の金利差から生じているもので、際限なく亢進するものではありません。
そんなことになれば、日本の主力製造業は世界のシェアを奪い尽くしてしまいます。
原油高による電力価格の上昇は避けられませんが、なんの原発を少し余分に動かせばいいだけの話です。


 


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コメント

 日本の対外投資残高は1800兆円で、純資産は増え続けて800兆円にならんとしています。36年間、世界一。
日本の信用と財政に関係が深いこのほうの事実報道は控えめで、「国の借金」だけは声高です。
アメリカの国債残高は4200兆円ですが、こちらは金利3%超で、その支払いに苦しんでます。
日本は1250兆でも、ほとんどタダのような金利。しかも、その大半が日銀引き受けですので、金利分は日本国政府に還流しているも同然。
「5000兆円の国債発行でも大丈夫」とまでは言えないが、インフレ率が4%程度にまでは問題なく、とても財政危機なんぞとは言えないです。
という事は、増税したい立場からの発言や、外圧もあったりするんでしょう。


借金には二通りあって、それは良い借金と悪い借金というまんまですわ。前にも書かせてもらったのですが、経済的危機から廃藩寸前まで追い込まれた上杉家米沢を、後に明治の初め日本を訪れた英国のオバさん探検家に東洋のアルカディアとまで言わしめるまでにした鷹山は、片やキビシイ緊縮をして片や大阪商人から大借金してまで殖産興業につとめたそうですわ。

彼女イザベラ・バードが記したその土地の様子は、耕作地には色々な種類の作物が整然として植えられ、町には手入れの行き届いた樹木に囲まれた立派な家屋が立ち並んでいて、そこの住民は上品で親切だったらしい。東京を経ち、それまで過ごした日本の町や村では、ヒトの着物が泥だらけで不衛生とか、宿が蚤や虱でいっぱいだとか、住人はほとんどが酷い皮膚病持ちだとか、とにかく日本の民衆は極貧の生活をしてるとボロクソに書いているので、米沢はもうベタ褒めですわ。

米沢をそうまでした鷹山は、藩の身内には自分を含めて徹底した緊縮財政でムダを排除する一方、カネを生む商品作物やその加工品の開発には大借金してレバレッジを掛けました。その一方、元祖の自助・互助・扶助(公助)制度をすすめて、民衆の不安を解き、その後の東北大飢饉の時にも米沢では一人の餓死者も出さなかったらしいですわ。

日本国においても、この財政借金ジゴクの衰退モードから脱するには小さな政府にして、議員や公務員人件費の削減をして、補助金やら不公平な社会保障はヤメて、とことん死に金(=将来に富を生み出さないカネ)を排除するんですわ。セイフティネットは、最低限(=ひとり当たり国民年金満額まで)を絶対に保障するとします。そして規制の撤廃や緩和をして、民間のアニマルスピリットに火を点けることが必要ですわ(先のライドシェア制度ではあまりにムゴすぎる)。そのためには、社会インフラには惜しみないカネを注ぎ込むんですわ。たとえば新型原発開発などは、エネルギー資源に乏しい日本の安い電力供給には欠かせないと思います。生き金(=将来に富を生み出すカネ)には、借金なんて惜しんじゃいけないんですわ、投資なんだから。

まあネタというかオチとして。

今でも米沢市内の小中学校には上杉10代鷹山公の教えが額装されていてしっかり教育に生かされているんですけど。。あれは遠い九州から来た「婿殿」だから思い切った改革が出来たんでしょうね。
保守的な部下を付いて越させたのは、若くして余程人望があったとしか。


で、戦後ずいぶん経って日本経済が右肩上がりだった70年代に米沢市が「財政破綻自治体」になったという皮肉。
今じゃ人口減少しながら復活して頑張ってますけどね。

先日前市長が引退して選挙があったんですけど、当選したのが民主党政権幹部で衆院選で落選した近藤洋介です。
親父さんは中選挙区時代に置賜地方で大人気だった自民党のコンテツ(近藤鉄男)なんですけどね。実は自民党時代でも大したことはしてないし海部政権という弱体政権で「経済企画庁長官」程度。
当時の中核派のアジビラには当県(選挙区違うけど)加藤紘一(現子供担当大臣の鮎子の親父)や、渡辺美智雄と並べて「コイツら汚染議員に鉄槌を!」なんて書いてあったなあ。。

鷹山つながりで、
実家は宮崎の高鍋藩だったと思います。ま、本人は江戸屋敷に住んだ次男?三男?だったはずですが。だから?何ですね(笑)
日本という国はなぜにこれほど財務省の力がつよいのでしょうかね?
戦前は軍部、戦後は財務省、本当の意味の民主主義なんてない国なのでしょうね。

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