再エネ賦課金を止めろ
人気が低迷などという生易しい段階を超えた岸田氏ですが、ひとつ妙案があります。
電気料金とガソリン代を下げてみせるのです。
ガソリンはリッター160円を切るまで二重の税金を凍結し、電気代は再エネ賦課金の徴集をストップします。
ついでに原発を適時稼働させれば、大幅に電力料金は下落します。
さてFIT制度(再エネ全量固定価格買い上げ制度)を作る前まで、反原発派の人達は「良心的な企業家がくるだろう。だって地球にやさしいエコ事業なんだもん」とナイーブに思っていました。
ま、イメージとしては、孫正義氏のような名前からして「正義の人」といったところでしょうか。もちろん、世の中そんな甘いものじゃなかったのは先日触れました。
結論から言ってしまえば、太陽光には投機的な異業種が食いつき、一方本来はメーンストリームとならねばならない洋上風力やコンスタントに発電できる地熱は苦戦しています。
別に当たって嬉しくはありませんが、私の予想と比較してみます。
■太陽光発電 私の予想
私はかねてから、わが国もドイツなどのFIT(全量固定価格買い取り制度)の総括から同様な大幅下落することになるだろうと予想しました。買い取り価格は42円から38円となり下落し続けています。下図はドイツの買い取り価格のグラフです。
熊谷徹『
[私の予想]
・初年度参入を優遇するために高額買い取り価格を実施し、特に太陽光発電に大量の新規参入者が殺到するだろう
その理由は
・立地条件を選ばない
・設備投資が安価である
・技術的に簡単である
・再生可能エネルギー中でもっとも買い取り価格が高い
・利潤の優遇措置が取られた
■やはり異業種参入で太陽光バブルとなった
東洋経済同記事によれば、太陽光はその法外な世界一の買い取り価格のためにバブルが来ると予想されていましたか、案の定発生しました。
特に住宅向けは既に優遇措置があったために、非住宅系の太陽光設置が進みました。
メガソーラーも飛躍的に伸びました。
・非住宅の太陽光の占める割合・・・全体74%(385万キロワット)
・1000キロワット以上のメガソーラー・・・742件 (3月末には500万キロワットの予定)
・伸びた理由・・・①最高値である。早い者勝ち心理。
・・・②稼働までのリードタイムが2カ月~1年と短い
・・・③投資費用が火力や風力などとは比較にならない安価
■発電量は公称500万キロワット、実態はその10分の1前後にすぎない
「再生可能エネルギーで原発5基分」、というような大本営発表の数字がかつて「東洋経済」(2013年4月13日)に踊ったことがありましたが、ため息が出ます。
経済誌までそんなことを書いているから困ります。
太陽光は他の電源と違って原発何基分なんて簡単にいえません。一般に言われるのは設備容量ですから、太陽光など公称の10分の1がやっとです、と私は脱原発派の皆さんに嫌われながらしつこく書いてきました。
原発や火力が「定常発電量」といえば、そのとおり発電しますが、再生可能エネルギーだと気象条件に左右されてしまって、EUの実測値ではその10分の1前後の出力にすぎません。
ですから、メガソーラーが公称1メガワットだとすると、多めに見ても0.12メガワットが実発電量なのです。
あとそうとうに頑張らないと原発1基分に届きません。
この厳しい現実を理解したうえで再生可能エネルギーを考えてくれればいいのですが、脱原発派の人たちはあまりにも短絡的に原発の代替に再生可能エネルギーを考えています。
■国が認定した設備容量の2割しか稼働していなかった
設経済産業省の認定した設備容量は2249万キロでしたが、実際に運転を開始したのは382.7万キロワットで、2割にも満たないこ悲惨な結果がでました。
その原因は認定取得して年以上たっても土地・設備を確保していない業者が全体の3割に上っていたからです。
そして彼らはその認定資格を転売して投機商品にしていることが分かりました。
つまりFIT制度は投機屋の甘い餌になってしまったのです。
■「奇跡」が頼りの再生可能エネルギー
去年、再生可能エネルギー推進論者の人に説いても絶対に聞き入れてくれなかったことですが、現実にやってみると太陽光も風力にも「奇跡」が必要だと分かりました。
それは常に晴れていること。晴れたり曇ったりめまぐるしく天気が変わらないほうがいい。欲を言えば夜がないほうがいい。
酷暑だと発電効率がわるいので、春のような晴天がいい。
つまり、太陽光発電の理想郷とは、一年中春の晴天で夜がない国なのです。(笑)
風力では巨大プロペラを回すだけの強風がほしい。いつもコンスタントに吹いてくれて、できれば吹きすぎると壊れるので適当な強風が続くほうがいいというゼイタクなエネルギー源です。
では,再エネ野実力を見るために、日本最大級の東電浮島発電所と扇島発電所の実績をみてみましょう。
(川崎市と東京電力が共同で運営する2つの太陽光発電所の概要。出典:川崎市、東京電力)
この浮島・扇島発電所のデータを見る場合、上図の「最大出力」の下にある「実績」が大事なのです。けどこれに騙されて、そうかメガソーラー発電所か、100万ワットだぁ、などと思ったら大間違いで、実績はうたい文句の8分の1から10分の1程度です。
太陽光発電所の能力検定をしてみましょう。
・浮島・扇島太陽光発電所の1年間の発電量実績・・・2315万kW(ただし、扇島は想定値)
・柏崎原発1号機1日の発電量 ・・・3013kW
誤植ではありません。太陽光は1年、原発は1日が単位です。
浮島・扇島太陽光発電所の1年の発電実績は2基で2315万kWですから、柏崎1号機の1日の発電量3013kWの約16時間分ていどの量にすぎません。
原発がいいの悪いのという前にその隔絶した発電能力の差があったことを、再エネムードの中で忘れていたのです。
■電気は生もの 貯めておけないので融通の効かない再生可能エネルギーは不便
おまけに電気は生もの、貯めておけませんから刻々と変化する電力需要に応じた供給を行う必要があります。
ですからドイツでは、気まぐれ電力の再生可能エネルギーがダウンしたり、予想より多く発電してしまうたびに、近所の火力発電の出力を上げたり下げたりしなければなりませんでした。
あるいは余剰が生まれると貯めるための蓄電池も必要となりました。
■ドイツは既に太陽光「敗北宣言」
既にドイツはFIT(ドイツ名EEG)の買い取り額を20~30%切り下げ、太陽光発電に見切りをつけました。
レットゲン環境相はこう述べています。
「今後、われわれは、コストが比較的安い再生可能エネルギーの電源を集中的に拡大していかねばならない。それは陸上風力と洋上風力である」。
ドイツははっきりと太陽光からの離脱と洋上風力発電にシフトしようとしています。
では、この頼みの綱の風力発電は善戦しているでしょうか?
■風力発電 私の予想
風力発電では、予想どおり風力発電最大のネックの送電網問題が浮上しました。
私は風力発電が風力が平均6.7メートル以上ある北方に傾くために、旧来の送電網を大幅に建設せねばならなくなると予想しました。
[私の予想]
・風力発電は有力な電源だが、送電網の不足がネックになるだろう
・風力発電適地は、青森県、北海道、鹿児島県、福島県、静岡県、秋田県、鹿児島県
・ここに大規模な風力発電所を導入した場合、工業地帯のある関東地方にまで電気を輸送するには、南北に串状に基幹送電網を建設せねばならない
・距離は北海道からだと直線距離で約1000キロ、東北200~580キロ、北陸450キロという膨大な建設支出をせねばならないだろう
FIT試算が無視した再生可能エネルギーの送電網コスト: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
■苦戦中の風力、地熱発電
異業種の参入が相次ぎ活況を呈する太陽光と較べて、風力と地熱は厳しいものがあります。
風力は、低周波公害や景観破壊、バードストライクなどの影響が出るために、「最初の風況調査・住民説明に2年、環境アセスで3~4年必要とされる。さらに、建設にも1~2年かかる」(同)そうです。
結果として、「20万キロワット以上の風力発電の新規設備で、FITの認定を受けたのは2件のみ」といったところです。
地熱は有望なエネルギー源で、しかも安定していますが、やはり温泉協会との確執が表面化しています。
「地熱発電にしても、日本は米国、インドネシアに次ぎ世界3位の潜在力を有するといわれるが、自然公園の規制や温泉への影響が壁となって、なかなか開発が進まない」
(同)
■送電線が不足!風力の悩み
実情は、日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長は送電線問題についてこう懸念をしめしました。
「風力発電のポテンシャルのほとんどが(風況のいい)北海道、東北に集中しているが、両地域は電力会社の送電容量が小さい。建築基準法や環境アセスの制約のない太陽光に送電線への接続枠を先に占有されてしまうおそれがある」
(同)
やはり系統送電網の接続が大きな問題のようです。
このように甘やかされた再エはブクブクと肥大し、電気料金から黙って再エネ賦課金という「税金」をふんだくっています。
よく再エネ推進論者は、すべてのエネルギー源でいちばん安い、なんてのたまうておられるのですから、もう再エネ賦課金なんていらないよね。
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県内でも川西町(米沢の隣)にバブル期に開発された大赤字施設「サンマリーナ玉庭スキー&ゴルフ場」が、営業停止してからずっと放置されてました。
で、たまたまYouTube動画で見付けたんだけど、あんな日照時間の少ない所がソーラーパネルぎっしり!
しかも豪雪地なのですでにパネルが潰れてボロボロになって酷い有り様になってます。元々県と町の公社経営だった場所だけど、今の土地保有権や事業者はどうなってんだか。これもカン政権のFITに飛びついたヤツらがやらかした始末です。
あんなのに賦課金掛けられるのはさすがに頭に来ます!
森林環境税そのものはまあ良い。林業活性化のために我が県では条例で15年も前から1000円取ってるし。
ただ活用法と分配の問題がなあ。
少子化の中で林業従事者を育てて国産木材を有効活用するのは理にかなってますが、廃ゴルフ場はともかく森林切り倒して山にソーラーパネル並べるのを止める方が先ではないかと。
すいません。話が脱線しますが今朝暗いうちに聞いたことのない鳥の声がしたのでネットで鳴き声図鑑検索したら「セグロカッコウ」です。
東北にいるとは···宮崎人さんやCowboyさんのトコでは普通に鳴いてるものなのかと。
投稿: 山形 | 2024年5月30日 (木) 05時25分
再エネ賦課金は本当に害悪です。
払いたいなら再エネ推進論者だけで払えばいいものを、再エネ反対派にまで大金を払わせています。
そうして得られたお金で、自然を破壊して太陽光パネルで地表を埋め尽くし、火力発電に依存しなければ運用できない欠陥発電を増やしまくり、結果として電気料金の値上げを推進しています。
岸田も支持率を上げたいなら、再エネ賦課金撤廃くらいドーンとやってみせたらいい。
それなら私も、岸田への評価を改めたいと思います。
投稿: エントランス | 2024年5月30日 (木) 07時15分
「セグロカッコウ」、鳴き声を聞いたら、「あ~!}となるのでしょうね。
あまりに普通に聞こえている鳥の声なのかも。鳥といえば、最近、サギやトンビがやたらと目につきます。トンビなんて、昔は海沿いでしか見なかったのが、今は山の中で悠々と飛んでます。生息範囲が変わってきているのでしょうかね?
今日の話題で言うと、再エネ賦課金も止めて欲しいですが、ガソリン価格のトリガー条項を是非発動してほしいですね。田舎の山間部は車が生命線、その命のガソリン代が高いです。どんなに高くてもガソリンなしじゃ生きられない。それするだけで、田舎では岸田さんの人気爆上がりかも?です。
投稿: 一宮崎人 | 2024年5月30日 (木) 09時55分
いつも勉強させていただいております。ありがとうございます。
ところで本日の記事中、浮島・扇島太陽光発電所と柏崎原発との年間発電量の比較の計算がよくわかりませんでした。浮島扇島が年間2315万kW、柏崎1号機が1日3013kWとすると、(柏崎1号機が年間365日稼働したと仮定して)浮島扇島の方が約21倍発電量が多いことになってしまいませんか。
こちら(柏崎市HP https://www.city.kashiwazaki.lg.jp/soshikiichiran/kikikanribu/bosai_genshiryokuka/1/13/5261.html )のデータでは、震災前 平成22年の柏崎刈羽原発1号機の年間発電量は7,956,120MWhとなっています。この値と浮島扇島太陽光の年間発電量2315万kWhとを比較すると、概ね、柏崎刈羽1号機の方が浮島扇島より343.7倍多い、と計算してみました。いかがでしょうか。
投稿: あいうえお | 2024年5月30日 (木) 12時57分
気候変動について、機動的に対処するべきは人類の義務だ! とか本気でみんな考えているのでしょうか? 再エネビジネスのような胡散臭い商売のための一種の企画物だと考えている私が変なのか?
ノーベル賞受賞者を始め、1500人の学者の「気候変動はしていない」の意見はマスコミでほとんど取り上げられる事はありません。
だいたい、人間が出す僅かなCO²が原因のはずがありません。
馬鹿な祭りの果てが「再エネ賦課金」というもので、仕掛けた一方のドイツなどは「祭りの終わり」の舵を切っているようにしか思えません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2024年5月30日 (木) 22時35分
あいうえおさん。確かにそうですね(汗)。
投稿: 管理人 | 2024年5月31日 (金) 00時18分
一宮崎人さん。ありがとうございます。
やはり普通にいるのか。たまたまYouTube動画探したら撮影·録音が「霧島連峰にて」でした。
今朝は普通のカッコウが初鳴きです。
投稿: 山形 | 2024年5月31日 (金) 05時17分