特定利用空港・港湾指定 デニー知事は同意を見送り
政府は台湾有事をにらんで、全国の重要な空港・港湾を「特定利用空港・港湾」に指定し、平素から自衛隊や海上保安庁が円滑に利用できるよう機能強化を進める方針を決定しました。
ウンザリする話ですが、沖縄県は、例によって例の如しで反対です。
「台湾に近く、対中最前線でもある沖縄では12カ所が候補に挙がった。だが、玉城デニー県政が指定に難色を示しており、今年4月、実際に指定されたのは国管理の那覇空港と石垣市管理の石垣港だけだった」
ZAKZAK6月8日)
有事見据えた「特定利用空港・港湾」指定 沖縄・玉城デニー知事は同意見送り 離島の〝民意〟無視…誰のための県政か(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース
自衛隊・海保の能力を最大限発揮へ16カ所を「特定利用空港・港湾」に指定 | お知らせ | ニュース | 自由民主党 (jimin.jp)
沖縄県ではこの空港・港湾整備事業の候補として、那覇、下地島、久米島、宮古、新石垣、波照間、与那国の7空港と中城、那覇、平良、石垣、比川(新設)の5港が候補に挙がりました。
しかし結局、本年度は沖縄県の反対に合って、国管理の那覇空港と石垣市管理の石垣港だけが指定されたに留まっています。
琉球新報はこう社説で書いています。
「一方で「戦争につながる空港にしたくない」との反対の声が多くを占めた。沖縄戦で、日本軍の拠点となった飛行場や港が米軍の爆撃を受けた。軍事拠点として整備されれば、有事の際に標的となり得る。住民らの懸念は当然だ。
軍事拠点化に抵抗する住民にも滑走路延長への期待はあるはずだ。逆に指定を容認する住民も軍備増強への懸念を抱いていよう。滑走路を延長する場合でも、下地島空港の軍事利用を避けるため国と琉球政府が1971年に「屋良覚書」を交わした時と同様の対応を求めていく考えだ。これも住民の危機感の表れだと言える」
(琉球新報社説5月24日)
<社説>特定利用空港に反対 軍事化への危機感示した - 琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp)
また71年の屋良文書ですか。
文革の真っ最中の当時と、半世紀たって大軍拡のあげく南シナ海と東シナ海に勢力を伸ばしている2024年と、脅威のレベルがまるで違っていることはよほどドグマで眼が曇っていなければ見えるはずです。
台湾有事が起きた場合、離島からの退避で真っ先に使うのは港湾と空港です。
湾を掘り下げて、桟橋を強化すること、空港を強靱化することが、大規模避難の際にどれだけ役にたつことか。
有事に限らず平時においても、これは自治体にとって、願ってもないいいチャンスなのです。
いままで自治体がせねばならなかった港湾や空港の整備について、国の力を借りて大規模整備ができるようになります。
このどこが悪いのでしょうか。
それとも大規模災害や有事は沖縄県に限って起きないとでも、言うのか。
大規模災害時にいかに港湾や空港のハブ機能が重要なのかは、能登半島地震でも改めて証明されました。
能登半島では複数の港が被災し、救援船が接岸できる港湾がほぼ全滅してしまう状況に追い込まれました。
そのために、自衛隊は沖からホパークラフトを使って往復して救援物資をピストン輸送を強いられたのです。
港湾さえしっかりと機能していれば、こんなことをする必要はありませんでした。
孤立地域解消へ 自衛隊 がれき撤去の重機など輪島市に陸揚げ 能登半島地震 | TBS NEWS DIG
たとえば、もっとも復旧が遅れた石川県珠洲市の飯田港は半分が被災して使用不能となりました。
「国土交通省 金沢港湾・空港整備事務所 舟川幸治所長
「地盤が沈下して、地震動で立っていた(岸壁が)前に出ている。そこに空間ができて、地盤が沈下した」
最も深刻なのは、船を停める岸壁の損傷です。飯田港は、普段は最大2000トンの船まで停泊できますが、現在は11ある施設のうち半分以上が利用できず、最大500トンに限られています」
(TBSニュースDIG2月5日)
石川・能登の復旧、加速のカギは“港湾” 半数近くの施設が利用不可 | TBS NEWS DIG (1ページ)
TBS
能登半島地震の大きな教訓は、平時から救援の大きな受皿となる港湾の強靱化を図っておくことが重要だということです。
平時から湾を深く浚渫し、水深を確保すること、岸壁を強化しておくことが防災対策上必須です。
「復旧を加速させるカギは「港湾」にある。そう語るのは、海洋土木の建設業者からなる日本埋立浚渫協会の地田さんです。協会が港湾の応急工事の実務を担っています。
日本埋立浚渫協会 北陸支部 地田英樹副支部長
「(Q.支援船があると違う?)そうですね。車で運ぶ量と、船で運ぶ量では格段に量が違います」
輸送量の差。例えば2000トン級の貨物船であれば、10トントラック200台分の物資が一気に運べる計算です。
本格的な復旧には、▼岸壁の大型工事や、▼水深を確保するため、海底の土砂を掘りあげる工事など、船からの「海上工事」が必要となります」
(TBSニュースDIG前掲)
これがわかっているから全国の自治体は、今回の国の「特定利用空港・港湾」整備計画に諸手をあげて賛成したのです。
たとえは、博多港の指定を受けた福岡市はこう言っています。
「特定利用港湾となった博多港には予算17億円を充てた。管理者の福岡市港湾計画部によると、大型船舶の航路を確保するために海底を掘り下げ、岸壁を強化する事業。河川の土砂がたまりやすいため、数年前から整備を進めているという。
吉岡麻子計画課長は「災害時の物資輸送など九州の玄関口である博多港の役割は大きい。訓練を通して自衛隊との連携が進めば災害対応の強化につながる」と話す」
(南日本新聞5月20日)
特定利用空港・港湾に合計370億円 災害対応の強化に期待できるが…気になる「米軍の利用促進」 | 鹿児島のニュース | 南日本新聞 | 373news.com
福岡市が言うように港湾に国の予算がつくうえに、「訓練を通して自衛隊との連携が進めば災害対応の強化につながる」ことのなにがいけないのでしょうか。
自衛隊は悪者だから戦争協力ノーですか、まるで中学生だ。
それとも沖縄県は、大規模災害時には自衛隊の救援は不要だ、デニー氏を先頭にして県職員が総出で捩り鉢巻して土砂を取り除いたり、トラックで救援物資を運ぶとでもいうのか。
いままで豚コレラがあれば自衛隊に泣きつき、コロナで医療崩壊しかけると自衛隊の医官派遣を乞うたのはいったいどこの誰だったのですか。
はっきりいいますが、沖縄県は全国一脆弱なのです。
コロナ時に、デニー知事は宮古島で発生したクラスターに自衛隊の看護師を要請しましたが、自衛隊は災害派遣として既に活動を開始しています。
ため息が出ますが、実はこれで沖縄県の医療支援要請は二度目なのです。
半年に2回の自衛隊への支援要請を受けて、他県の自衛隊の応援を受けて医療支援に当たりました。
「全国知事会は18日、玉城デニー知事からの要請を踏まえ鳥取県など5県から看護師10人を派遣すると発表した。陸上自衛隊第15旅団(那覇駐屯地)も同日、玉城知事の災害派遣要請を受け、看護官ら約20人を県内の医療機関などに派遣した」
(琉新2020年8月19日)
これだけ自衛隊やよその自治体に安易に支援を求める自治体は、全国でもそう多くはないでしょう。
そもそも夏に一回医療崩壊の危機を経験したのですから、第3波がくる前になぜ手を打たなかったのでしょうか。
時間はたっぷりあったはずで、その間にコロナ専用病棟や、それに見合った医療体制の拡充などいくらでも手当てする余裕があったはずです。
予算不足だったならば、自治体や地元医師会が発議して厚労省に掛けあえばよいのです。
おそらく当時の状況なら問題なく通ったはずです。
「戦争協力ノー」などという悠長なことを言えるのも、沖縄県は今まで国のほうからこれだけの振興予算がつきましたからいかがいたしましょうか、といった上げ膳下げ膳を当然だとおもっていた体質があるからです。
その甘ったれた体質が染みついているため、いざという時に医療崩壊を簡単に起こしてしまい、そして簡単に国にすがる。
簡単にすがっても反省の色もない。
首里城が失火で燃えたといえば、デニー氏は真っ先にナニをしましたか。
このご仁、東京に駆けつけて菅氏に泣きついたのです。
常識的には、失火の疑いが強かったのですから、まずは失火原因を突き止め、県の管理ですから責任の所在を明確にし、その上で再建するならするで、県独自の計画をまとめて、その上で予算が不足するならその時に国に支援を要請すればいいのです。
それをとるものもとりあえず、官邸に泣きつく醜態をさらす、こういう情けない精神を私たちはなんと呼んだらいいのでしょうか。
にもかかわらず琉新はこうも言います。
「地域振興への地元の思いを逆手に国策を推進すれば、地域分断を招くことにもなりかねない。政府の手法としてあってはならないはずだ。政府は振興の在り方で選択を迫り、地域を翻弄(ほんろう)するような施策を強行すべきではない。沖縄振興の理念に反する。
住民が安心して暮らせる将来像を描き、実行することが本来の沖縄振興の姿である。それから逸脱するような国策の押し付けは許されない」
(琉球新前掲)
まさにドグマそのもの。
デニー県政がイデオロギーを優先して、離島の声を無視し「地域を翻弄する」ことが今回ではっきりしました。
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なによりオカシイのは、県の中枢と地元新聞の主義主張がピッタリ一致している事ですね。遠い遥か昔の大本営発表をそのまま垂れ流していたマスコミと同じ。知性の匂いすら感じませんが、気味の悪さを感じます。
先日NHKで安保闘争の回を少し鼻白みながら視ましたが、この時代とほぼ同じ意識を未だ持ち続けている新聞社や、この沖縄の方々をはじめとしたその方面の方々への違和感は、今後も短絡的ですが新聞の部数減少へ向かう要素になるでしょう。
そしてこの方々が有事の際いざその時には我先に…となることが眼に浮かぶような気がします。(首里城火災の時の迅速さときたら…)
投稿: ひだか | 2024年6月10日 (月) 08時24分
外交か軍事か、どちらか一方しかない。
外交と防衛は国家の根幹にして両輪という認識を完全否定する。
などと言っている人はいない。
でも沖縄側では、我が国が外交はやっていない、これからもやらない前提にして、外交のみやれと騒ぐ不思議。
台湾有事にするか、しないか。それを決めるのは中共であって、我々でも台湾でもない。
絶対有るとも、絶対無いとも言えないのだから、我が国も台湾も、起きた時への備えは怠らず、同時に従来から言っていることを粛々と言い続けていく、ただそれだけ。
新聞やテレビやネットが何をどういおうと基本自由であり、それらの全てをすぐに真に受けなくても良い。
災害、戦争、病気、事故、政治、世相etc、なんであれ話が酷ければ酷いほど価値を感じてしまう宿命から、我々は逃れられないから。
より酷いほど、伝える者の価値さえも上がるものだと、それで銭なり評価なりを稼げると、伝える者が思い込む宿命から逃れられないから。
だが、住民の理解は不可欠な中で、もし沖縄県政と大多数の有権者が有事の際にいかなる協力もしない・許さないと決めるのならば、台湾の皆さんにはそのことを踏まえた準備をお願いするより他はないし、我々はその選択で起きる良いことも悪いことも引き受ける道理になる。
ただ、侵略する、目的のものを手に入れると決めた人にとって、欲しいのは場所であって、人は要らない。だから世界のそこここで、相手民間人でも子供ですらも殺してますでしょう?
誰がそれをやろうとその行いに、立場や党派性に関係なくNOと言い続けるのは当然必要としても、独裁者のいる現実は残酷非情常識外れなもの。
有事の際に生き残れる確率を上げる準備って、やるのとやらないのとでは、万一の時の実益から我々の認知力思考力の更新まで、違いは出ると考えますけれどねぇ。
協力するもしないも、それを選ぶための理解に外せない要素を自ら把握し切れない現状なので、ぼーっとしている間に、公民としての実力で台湾の皆さんと随分差がついてしまったように思えて、ちょっとした劣等感。
投稿: 宜野湾より | 2024年6月10日 (月) 17時16分
残念ですが、沖縄のマスコミに踊らされてそんな知事を選びましたからねえ。
次の選挙でよくよく考えないと、本当に危機の際に後悔が残るだけです。
投稿: らんちゃん | 2024年6月10日 (月) 17時30分
「なんだかおかしいぞ、その理屈」と思ってデニーに疑念を抱く県民がいない(あるいは投票に行かない?)ことが問題ですね。
それとも既に、沖縄の地は外来種(パヨ本土人や中国人)、及びその連中に洗脳されたウチナンチュだらけで不可逆になってしまったのでしょうか。
投稿: ねこねこ | 2024年6月10日 (月) 21時40分
現日本の選挙の行方を見ても、左巻きは強いですわ。「~のはずだ、~であるべきだ、~に反する、~は許されない」という連語は、大半の国民にとって非常に心地良い気になれるんです。それで票が取れるんですわ。
大半の人達は、人生の目標を定め、それに向かって不断の努力を惜しまず、失敗にも負けることなく、ついには成功した人生を送るようになる、な~んてことは全然ない。人生の目的なんてどーでもよくて、ダラダラと時間を過ごし、つまずいてはウジウジして、ああオレの老後はどーなんのかなぁなんて、そんな繰り返しですわ、私もそうなんでよく解ります。
まあ成功した人生を送るような人にとっては、政治なんて利用するもんであって、それに頼るもんじゃないです。ですが凡百の人達にとっては、政治は不安を解消する手段のひとつなんであって、それであからさまなバラマキでも大歓迎するんですわ。そして「~のはずだ、~であるべきだ、~に反する、~は許されない」なんてお言葉は、不甲斐ない自分は悪くない!自分ではない誰かが悪いんでこんなミジメな生活をさせられているんだ!という"逃げ"を正当化できる呪文なんですわ。(そいや大昔に逃亡論とか流行りましたねぇ)
私はトシを取ったぶん諦めの境地も手伝ってか、"逃げ"ても結局のところ自分に返ってくるんでムダだ、合理性なき人生設計など有り得ない(やたら頑張っても消耗するだけ)し、自分の人生は結局自分で判断して切り拓くしかなくて他人や政治を頼ってどうこうなるもんじゃない、ボケェ~と過ごしちゃ(頭とチ◎ポは生きてるうちに使え)貧乏になるのはアタリマエだと知らされることになってますわ。
"逃げ"を正当化する左巻きのお言葉というか呪文は、そりゃ心地良い。けど、最後にはどーにもならなくなる。ツケは自分に返ってくる。合理性が無いことは、この現実世では起こり得ない。デニーさんがスジを通すのならいい。自分が原因を作った事に対して、最後まで責任を全うし、それが出来ないのならハラキリくらいして当然だと思いますわ。すぐに国に泣きつくのはスジが通らない、ましてやその時に至って「沖縄を助けないなんて、沖縄を差別してるんだ」だなんて、絶対に口が裂けても言わないで欲しいですわ。ヤクザもんだって”恥”くらいは知ってますぜ。
投稿: アホンダラ1号 | 2024年6月10日 (月) 23時45分