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2024年8月 1日 (木)

トランプか掲げる「エネルギー・ドミナンス」とは

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環境・エネルギー政策は共和党と民主党でくっきりと意見が分かれている分野です。
「仮カマ」(カニカマではない)の場合のエネルギー政策は、いっそう脱炭素政策という経済自殺路線まっしぐらなことはハッキリしています。

トランプ政権時代には、エネルギー温暖化政策の否定とパリ協定からの離脱を図りましたが、逆にバイデンは政権発足の第一日目にパリ協定へ復帰してみせ、同時にカナダとの石油パイプラインの見直しを命じました。
その集大成がグリーンニューディールで、気候変動特使に命じたのが環境派のボス格のジョン・ケリーでした。

共和、民主で互いに政権を取るやいなや前政権の全否定をしていたわけです。
そいういえば、日本でも民主党政権になるやいなや、事業仕分けと称してダムを筆頭にしてバサバサと自民党時代の予算を潰しまくり、米国との準条約であった普天間移設の内容変更をしようとしましたっけね。
ですから「仮トラ」となった場合、今回もその例外ではなく、バイデン政権の環境・エネルギー政策は全否定される運命にあります。

2016年党大会に提出された共和党の大統領選の政策綱領がありますので、エネルギー・環境部分だけをピックアップしてみます。
【アメリカ】[立法情報]大統領選挙における民主党と共和党の政策綱領 (ndl.go.jp)

(3) アメリカの自然資源:農業、エネルギー及び環境
・鉱物資源の生産許可を促進し、原子力エネルギー開発への規制を解除する。
・いかなる炭素税にも反対する。環境保護庁(EPA)を独立委員会に改編する。
・温暖化防止に関する京都議定書(1997 年)とパリ協定(2015 年)いずれにも反対する。

ちなみに同じ年の民主党のそれはこうです。まさに正反対。
もはや社会主義計画経済で、自前のエネルギー源である石炭や原油、シェールガスの生産を著しく制限する内容です。

(5) 気候変動問題への取組、クリーンエネルギー経済の構築及び環境に係る正義の確保
・温室効果ガスの排出を、2050 年までに 2005 年比で 80 %削減する公約を維持する。
・今後 10 年以内に電力源の 50 %をクリーンエネルギーとする公約を維持する。

実はわが国もこの民主党政権の脱炭素路線に追随しています。

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1 脱炭素社会に向けた動向 (mlit.go.jp)
(2)我が国におけるカーボンニュートラル宣言
 2020年10月、日本政府は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。また、温室効果ガス削減目標として、「2050 年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、2030 年度において、温室効果ガスを2013 年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく。」こととし、2021年10月にNDCとして国連に提出した。また、同年10月に2050年カーボンニュートラルを踏まえた対策の方向性等を記載した、更新版の長期戦略を国連に提出した」
(国交省脱炭素化を取り巻く動向)
(mlit.go.jp)

いわば先進国のおつきあいですが、ヨーロッパ諸国は常に目標を変更したり、米国に至っては政権が変わるたびに正反対に突っ走ったりしていますが、優等生気質のうちの国は真面目に実行しようとしています。
まぁ、岸田さんは脱炭素化だけじゃなくて、LGBTQまで米国大使に言われてへへぇとなっちゃいましたけどね。ああ、みっともない。
知ったこちゃないけど、「仮トラ」になったらどーすんだろ。もう安倍さんはいないですよ。

それはさておき、トランプはこのマニフェストを実行に移しました。
民主党政権の脱炭素化という経済自殺路線を転換すると宣言しています。

・パリ協定からの離脱。
・連邦国有地での環境規制の撤廃。
・米国を横断するガスパイプラインの建設促進。
・国産エネルギーの増産支援。
・オバマ政権が環境配慮の規制で抑制した石炭産業、シェールガス支援。
・原子力推進。
・原子力発電の増加は支援。
・グリーンニューディール政策の否定。

原子力推進は両党とも一緒です。
化石燃料を全部封じて、原子力もゼロにしろ、これからは再エネ一本だ、なんてグレタさんみたいなことは、さすがに民主党も言いませんでした。

共和党の2024年版のマニフェストはできていませんが、共和党系のシンクタンク米国第一政策研究所(America First Policy Institute)が提言としてだしているのが参考になります。
「もしもトランプ」の場合に、エネルギー問題への影響はどうなるか – with ENERGY(ウィズエネ)
やや長いですが、資料としてアップしておきます。

1.エネルギー自給を実現し、輸入石油ガスへの依存を終了
・沖合および陸上での石油・ガス生産の拡大を奨励。

・アラスカ国立野生生物保護区(ANWR)とアラスカ国立石油保護区(NPR-A)の開放。
・重要鉱物やレアアースのエネルギー自給への明確な道筋を確立。
・ウランの採掘、転換産業における許可の合理化と規制上のハードルの除去
・戦略的ウラン備蓄の確立
・次世代原子力技術開発のための官民パートナーシップ
・原子力教育、人材育成
2.エネルギー生産増大による価格引き下げ
・生産段階から消費段階までの非効率な補助金、規制の廃止

・退役する発電所の迅速な復旧 等
3.予測可能、透明、効率的な許可プロセスと規制環境の構築
・予測可能、透明、効率的な許可プロセスと規制環境の構築=補助金を評価し、規制・許認可改革による合理的な制度を作る。

・裁量的規制をすべて停止
4.すべてのアメリカ人にきれいな空気、きれいな水、きれいな環境を
・大気浄化法(CAA)水質浄化法(CWA)などを見直し

・中国をはじめとする敵対国の膨大な環境破壊を監視する
・パリ協定ではなく、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)のような意味のある強制力のある環境協定を優先

5.豊富なエネルギー輸出でエネルギー大国に
・国際的なエネルギー・環境機関(UNFCCC、IEA、IREN等)を包括的に監査し、米国の利益に資するよう関与を適正化

・エネルギー省による30日間の審査プロセスでLNG輸出認可を合理化
・自由貿易協定(FTA)の待遇を非FTA諸国、特にアメリカの同盟国に拡大
・国際石油パイプライン・インフラに対する国務省の監視を緩和または撤廃
・海外の化石燃料プロジェクトへの融資に対する障壁を撤廃
・連邦政府による財政支援、保証、契約を受けるための要件として、国内外を問わず、再エネプロジェクトに対して少なくとも75%の国産要件
・原子力技術の移転に必要な認可の期限を設定

ざっとこういう感じですが、第1次トランプ政権と異なるのは、「エネルギードミナンス」という概念が加わったことてす。
ドミナンス(dominance)は 優勢、優越、支配的立場のことですが、この「優勢」な勢力を同盟国と築こうという考えです。
これはエネルギーという場での同盟関係構築を意味します。
トランプ自身に語ってもらいましょう。

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トランプの公約「エネルギードミナンス」とは何か – Global Energy Policy Research | GEPR

「ドナルド・J・トランプ大統領のリーダーシップの下、米国は地球上でナンバーワンの石油・天然ガス産出国となり、米国のエネルギー自立を達成し、石油、ガス、ディーゼル、電力の歴史的な低コストを消費者と企業に提供した。トランプ大統領は、わが国が神から授かった豊富な石油、天然ガス、クリーンな石炭を解き放った。彼は、キーストーンXLとダコタ・アクセスのパイプラインを承認し、連邦の土地と沖合地域を責任ある石油・ガス生産のために開放し、不公平で費用のかかるパリ協定を終結させた。
ジョー・バイデンはトランプ・エネルギー革命を逆行させ、今や海外の敵国を豊かにしている。トランプ大統領は、国内のエネルギー資源の生産を解き放ち、高騰するガソリン、ディーゼル、天然ガスの価格を引き下げ、世界中の友人のためにエネルギー安全保障を促進し、社会主義的なグリーン・ニューディールを排除し、米国が再び外国のエネルギー供給者の言いなりになることがないようにする」
トランプ公式ホームページ

いままでエネルギーは商取引関係のみで語られてきたために、そこに「ドミナンス」という政治・軍事的要素も含んだ概念を持ち込むことはありませんでした。
その結果どうなったでしょうか。
地球温暖化対策は過激化が進み、国際的な枠組みである「パリ協定」は、先進国だけに実現不可能な「2050年CO2ゼロ」を目標化させる一方、世界最大のCO2排出国であるはずの中国は途上国ヅラをして何もしなくてよいという、極めていびつな関係が固定化しました。
パリ協定とはエネルギーにおける不平等条約なのです。
その結果、自由主義先進国には安全保障の要であるエネルギー確保に対して脱炭素という何重もの規制がかかり、常に電力不足、石油高が経済を苦しめることになりました。

トランプが構想しているのは、再びパリ協定から離脱し、これに日本も加わることで実質的にこの協定を廃棄に追い込むことです。
そしてこのエネルギー・ドミナンスに加わる諸国に対して米国は、シェールガスを中心とした米国産エネルギーを安定的に供給し、中国やロシアと対峙しようと考えています。

オバマが始め、バイデンが受け継ぎ、ハリスがさらに徹底的な脱炭素化に突き進もうとするのか、それともトランプが再びそれに待ったをかけるのか、この問題は中絶問題などと違って国際的影響が巨大です。

 

 

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